異世界で舞うはハーレム、奏でるはヤンデレの災禍 作:ka-主
相変わらず暑い日が続いてますね…熱中症対策や体調管理には十分気を付けてください。
さて第1章もクライマックス、まだまだ物語自体は続きます。引き続き応援の方宜しくお願いします
それでは……どうぞ!
王都『ドラズエン』には2つの顔がある。昼と夜─これは民達…正確には店や工房で働く労働者達が不満やストレスなく家族と過ごせる様にと言う意図のもと、建てられた条例である。そして私は、熔岩山島での業務を終え…ドラズエンの『心臓部』とも言われている『ドラズエン大商会』─王都の中心に建っている屋敷の前にとある荷物が入った木箱をもって訪れていた。
『この荷物を『ドラズエン大商会』にいるアマデュラに渡してくれ─無論、中身は絶対に見ぬ様に……皆と前へ進みたいのならな』
(皆と…前へ進みたい─か)
恐らく…ラース叔母様は私にこれを伝えたくて、私を助手として短期間だが雇ったのかも知れない。
まだ折り返しではあるが……ラース叔母様が何故私を助手にしたのか、熔岩山島での業務を仕向けたのか─私はこの一言を言われるまで分からなかった。
私は……姉様達と、カグラと4人一緒に旅をする為に。カグラを護り愛し尽くす為に…『魔王』としての私を再鍛させる為に、故郷に戻ってきた。だから理想として─先生…ヒドゥン先生に改めて鍛え直してもらおうと思ったら母様は、カグラの試練官として先生を指名。更にはラース叔母様の元で助手として業務をすると言う……出鼻をくじかれたなんて、私にとっては生易しくない程にモヤモヤした気分になった。
だけど、この荷物を私に託したラース叔母様の一言で…漸くだけど、ラース叔母様が…アマデュラ叔母様が私に伝えたい事の真意と言うものだろうか。それがわかった気がする……。
─閑話休題。間もなく日没になる。夜になればこの王都は別の顔になり違った雰囲気で賑やかになる。つまりは忙しくなる前に、私は用を済ませようと……屋敷の中へ入った。
「ようこそ、『ドラズエン大商会』へ…魔王ルーツ様。どの様なご要件でしょうか?」
「この荷物を…アマデュラ叔母様の元へ届けたいの」
「アマデュラ会長に御用ですね?会長室までご案内致します」
屋敷に入って、私は受付カウンターに向かい受付嬢の龍魔族に要件を伝えた。そしてそれを承諾した受付嬢は私を連れてアマデュラ叔母様がいる会長室まで案内してくれた。
コンコンコンッ
「会長、魔王ルーツ様がお越です」
「ありがとさん、嬢さんは戻って貰ってええよ〜。ルーツちゃん入ってきてええで〜」
「それでは、私は失礼します。会長は中に居ますので……」
そう言って受付嬢は受付嬢カウンターの方へ戻って行った。私は扉の前に立ち、一度、二度と深呼吸をして扉を開け中へ入った。
「お久しぶりです…アマデュラ叔母様」
「ルーツちゃ〜ん、待っとったで〜♪ほな、こっちへいらっしゃいな。紅茶でも飲みながらお話しましょうさかい」
母様とラース叔母様と同じ紅い髪を後ろに団子状に纏め、白い龍魔族特有の2本の角を生やしている。黄色の瞳の奥に宿しているのは母様とラース叔母様とは違い母性溢れる優しい光を、優しさを宿している。
彼女こそ…『三大巨姉妹』の1人で三女…ドラズエン大商会の会長。
『蛇帝魔王アマデュラ・S・ミラ』……その人であった。『蛇帝魔王』と言う二つ名には似つかない程の温厚てきな性格で東洋の地特有の言葉使い─もとい方言で話しているが……私達がまだ物心着いてない幼い頃はその名に相応しい威厳と覇気を醸し出していた。その実力は一説には母様とラース叔母と引けを取らない程だったと言う。
─閑話休題。東洋の地特有の話し方で私を招いてくれた。私は荷物を傍に置いて席に着く。そしてアマデュラ叔母様も紅茶を用意して私の向かいの椅子に座る。
「いや〜、『新年懇会』以来やけど見違える様に成長したな〜ルーツちゃん♪叔母としても鼻が高いっちゅうもんや〜」
「ありがとうアマデュラ叔母様…えっと、今日はラース叔母様に頼まれて…この荷物を叔母様に…」
そう言って私は傍において置いた木箱をラース叔母様の目の前に置いた。
「あ〜、そうやったそうやった。ラース姉さんとグラオス姉さんから話は聞いとったで〜♪ウンウン、ルーツちゃん確か此処最近頑張っとったんやったもんな〜。そんじゃ一先ずこの荷物は預からせて貰うわ〜♪」
そう言ってアマデュラ叔母様は荷物を自分の傍に置いた。やっぱり……アマデュラ叔母様の元にも母様やラース叔母様の話は行ってたんだ。だから私は……こう聞かずには居られなかった。
「あの、アマデュラ叔母様……多分母様やラース叔母様から話は聞かされてると思うけど…聞いて欲しい」
「ん?えぇで〜、叔母に話してごらんよ〜」
そう言われ私は叔母様に……既に知られてると思うけど、話した。私がどの様な敬意、理由で─想い、覚悟で此処に…故郷に戻って来たのかを。
「ほほ〜、そう言う事やったんやな〜…ルーツちゃんほんま見ないうちに乙女になって〜…グラオス姉さんがああ言うのも納得やね。ルーツちゃん……ウチは姉さん達と違って不器用な真似せぇへん性格なんやけどな?だから、今も悩んで頑張っとるルーツちゃんに免じて教えといてやるさかい。ルーツちゃん…ボレアちゃんとバルカちゃんと違って─すんごい能力秘めとんねん。それも、ウチら姉妹が認める程にな?」
「え……!?」
私は…自分自身の耳を疑った。私に…凄い能力が秘められてる?姉さん達よりも?それも……母様や叔母様達のお墨付き?俄に…本当に俄に信じ難い。
「信じられへんって顔しとるな〜…でも、ほんまやで?最初はウチも信じられへんかったんよ。けど年追うごとに…あ〜コレ間違いないわ思うてな?きっと……姉さん達もそれに気付いとったけどグラオス姉さんがルーツちゃん達と交わした命もあるから─それに自分の力で気付かせた方が魔王となったルーツちゃんの為なる思うて言わんかったんよ。決して悪気あって言わんかったわけちゃうから堪忍な?」
「そうだったんだ…なら母様がラース叔母様の元で助手として働くよう仕向けたのも…」
「お〜っと、それは知らぬが吉ってもんやで?やからこの話はこれでお終い!ここからは仕事の話や。一応この荷物はこれから始まる夜の部で…ルーツちゃんがウチの指導の元仕上げるんや♪」
「仕上げる?何を……」
「ふっふっふ〜…そろそろ種明かしと行こか?─あ、この手紙はルーツちゃん宛やから先ずはそれ読んどき?」
言及するよりも早く、アマデュラ叔母さんは木箱を開け…その中に入っていた手紙を私に渡し読む様に指示した。
色々気になる点もあり…私は訝しげな顔でその手紙を受け取る。差出人は書かれていないが─ラース叔母様だろうなと思い、封筒を丁寧に開き手紙を読み始めた。
─手紙にはこう書かれていた。
あぁ……私はつくづく未熟者だ。ここまでされて漸く……自分の為に動いてくれた人達に、感謝をし─前に進もうと改めてケツイ出来るのだから。
「……アマデュラ叔母様、此度よりご指導ご鞭撻の方…宜しくお願いします」
「えぇで〜♪そんじゃ早速ウチが仕切る商会の事を一から教えたるさかい。付いてきぃや?ルーツちゃん♪」
「…ハイ!」
私は…そう明るく、そして力強く返事をし……アマデュラ叔母様の後をついて行った。
「……雰囲気が違う。もしかして、此処が終着地点かしら?」
幾度も変わる結界の景色を目にしながら、私は広い地下神殿の様な場所に辿り着いた。羅生龍先生が経験した様々な記憶の世界……しかし何故だろう。此処だけ雰囲気が異様でまるで─この結界から出る為だけに作られた場所にも思える。
『ほっほっほ、良くここまで辿り着いたのぅ』
直後…どこからともなく先生の声がしたと思ったら、中央の床にはめ込まれた円盤が光だし……そこから羅生龍先生が現れた。しかし…現れた先生は何処か透けていた。
『わしの記憶で構築したわしの幻影じゃ。今からその幻影と戦って貰う…幻影が消滅した瞬間お主はこの結界から出られる仕組みになっておる。そうそう…負ける事はないが─勝つまでこの幻影と戦い続ける事になる。心してかかって来るが良い。それでは……』
─カッ!!
「ッ!?」
ドカーーーーン…ッ!!!
『ほぅ…『
足元が強く光ったと察知するよりも早く、私は『ウォータシェル』と『ボバリング』の『デュアルキャスト』で先生が唱えた『プロージョン:Lv13x』を最低限の被害で抑えつつ回避し…宙を高く跳んで先生と距離をとった。
『
─閑話休題。先程先生が唱えた『プロージョン』には弱点がある。それは『対象が地に付いてる事が条件である』事だ。私はそれを見越して『ボバリング』で空中に距離をとったのだ。空中でなら、多種多様の魔法でも唱える魔法が限られてくる。しかし…その考えは死角で起きた爆発音と共に呆気なく崩された。
ドカーーーーン…ッ!!!
「あうっ!?」
『バルカよ…わしは教えなかったか?魔法はあらゆる事象を書き換える事が出来る。そしてそれは術者の熟練度と想像力でその可能性は無限にひろがるとな。常識に囚われていてはわしには到底勝つ事も─再鍛も不可能じゃぞ?』
─パチンッ…ドカーーーーン…ッ!!!
「きゃあッ!?」
何が起きたのか、先生が言った一言の意味を理解する暇もなく私は第二波の魔法攻撃?を喰らい、私は地面へと墜落した。
(いや、今のは……)
私は身体を触る……
「……『幻術』─ですね。対象者の脳内によりリアリティのある幻を投射させて精神ダメージを負わせる、精神干渉魔法」
『見事じゃ。精神干渉魔法の一つ『幻術』は対象者が居るだけで有効な魔法じゃ。お主がわしの爆破魔法を警戒して空中で距離を取ることは想定内じゃった。だからわし
やはり…先生は凄い。私の考えてた事を十、二十よりも先に読んで冷静に対象する。流石─【黒龍将軍隊】のトップであり『仙龍』でもあるお方。私よりも幾万もの経験を得なければなし得れない技量を私に見せてくる。こんな人に─仮に記憶で構築された幻影だとしても勝てるのか、怖気付いた……そんな時、先生はこう言った。
『因みに─この試練を挑むのはバルカで2人目じゃ。初めの1人は……バルカがとても良く知る人物じゃ』
(!?そ、それって……その人って…!)
聞いた事がある。先生は、私達が産まれる遥か昔……ある人物の教育係を務めていたと、
私はそれを先生の─幻影ではあるが彼女の口から聞かされた時、私はつい先程まで抱いていた弱い気持ちを、自分の魔力を可能な限り増幅させてその気持ちを打ち消し立ち上がった。
「私には…叶えたい夢と願いがあります。それを実現させる為にも……『魔王バルカ・S・ミラ』、先生に勝ちます!」
『ほっほっほ!そうじゃその意気じゃ、さぁわしに見せておくれ。何千年と生きたわしに…新たな世代の可能性を見出したお主の覚悟を見せるのじゃ!』
こうして私は─『魔王』としての自分を再鍛させる為の試練を再開したのだった。
「……グッ!」
「どうした!其方の覚悟はその程度か!魔王としての自分を再鍛し、大切な者と叶える未来を掴む為の覚悟は……その程度かと言っているのだ!」
バギィィィンッ!!─ドカッ!!
「─カハッ!?」
先生との鍔迫り合いに、私の木剣が折れると同時に私は体勢を崩し……その隙を突かれ、先生の回し蹴りをもろに喰らい吹き飛ばされた。
演習場には、何本何十本か数え切れない程の…私が使った折れた木剣が四散し、所々に私が吐いた吐血の跡もあり…何処ぞの戦場或いは闘技場に居るのかと勘違いさせる程の場と化していた。
「す、凄い…」
「ボレア様とリオン様…手合わせ始めた日からずっと…飲まず食わずでまだやってるのかよ…」
「すざましい胆力─いや執念だ…」
周りで兵士達のそんな声が聞こえて来た様な気がする…が本当なのかどうかすら分からない。知ろうとする気力すらない…だが、それでも私を奮い立たせてるのは……何なのだろう?
「まだ…まだ…ッ!」
「……」
いや…そんな事どうでも良い。私は─勝たなければいけない、魔王としての自分を再鍛しなければいけない、カグラを護り愛し─4人で旅をする夢を…叶えなければならない。
「だから…勝つ…勝たなきゃ…行けn……─」
ドサッ……!!
私はそこで意識を手放してしまった……─。
「!?、ボレア様!」
「大変だ!担架だ、担架を急げ!」
「やれやれ……朝から晩まで毎日演習場で騒音が聞こえると思ったら─相変わらずじゃのうリオンよ」
「羅生龍様…申し訳有りません。つい彼女の覚悟に応えてやらんと─熱が入りすぎてしまいました」
三日三晩飲まず食わずぶっ通しでボレアと手合わせしていたのか…限界を迎えたボレアは気を失い倒れてしまった。これ迄の様子を見ていたわしじゃが…彼女─リオンがここまで熱の入った指導をしたのは初めてだ。新兵ですらここまで過酷な鍛錬を仕向けた事はない。それだけ、彼女はボレアに魅せられた…と言う事なのだろう。
「謝ることは無い。主もそれを承知でお主に頼んだのじゃ。だが……」
わしは担架で医務室へ運ばれて行くボレアを見ながら、リオンにこう告げた。
「リオンよ、やり過ぎるなとは言わぬ。言わずもがなじゃが……任された責務を真っ当せよ。それが…我ら【黒龍将軍隊】の務めであり、存在意義じゃ」
「……心得ております。なので私は、待つべき場所で彼女を待ちます」
そう言ってリオンは演習場を後にした。
「ふむ……ボレアの方は彼女に任せてよいな。なら……わしは戻るとするかのぅ」
そう呟いてわしは、自室へと戻った。
「ん……」
此処は─医務室?そうか…私は先生と手合わせし始めて、飲まず食わずぶっ通しで三日三晩鍛錬して……限界が来たのか気絶したんだったな。
はは…実に情けない。自分の事お構い無しに、ただ勝つことだけしか考えておらず無鉄砲と言ってもいい位に先生に喰らいつく。
(何も…見えてなかった。そんな状態で先生に挑むだなんて……自殺行為にも程がある─)
「目が覚めた様だな」
「!!─先生……」
「その……私、何も見えて居ませんでした。自分自身の状態を顧みず、いつの間にか先生に勝つ事だけしか考えて居ませんでした」
「そうか……」
先生は、私の言う事に只々相槌を返すだけでそれ以上は何も言わなかった。それもそうかもしれない……教育係として私に剣の事から始まり、様々な事を私に教えてくれたのに…10年間何も成長してないと知って幻滅してるに違いない。
そう思っていた私に─先生は言った。
「私もかつて……無神経にも目の前の目標に突っ走る癖があった。その所為で、私は─私自身が最も信頼し大切にしていた部下を戦場で亡くしてしまった」
「え……」
知らなかった。あのリオン先生が先程の私と同じ悪癖─もとい醜態を晒していた頃があったなんて、そしてそれで大切なひととも言える人物を亡くしてしまったなんて……。
「羅生龍様に当時物凄く叱られたよ。『お前は何も見えて居ない。仲間を…支えてくれる者達を頼れ』─とな?あの時の羅生龍様時から当時の私でさえ萎縮してしまうほどたったよ」
そう言って先生はヤレヤレと苦笑いしながら話し続けた…私はその話を─自分の事の様に聞いた。
「その時─目の前で初めて大切な者を失った瞬間…初めて私は恐怖して分かったんだ。私には……自分の命が見えて無かった。自分なら出来ると言う驕りがあったんだ。あの日以降…私は周りに気を遣う様に努めたり、仲間達や部下達と向き合う様にした。……だから、ボレアよ。私みたく大切な者を、おのが命を手放す様な事を経験して欲しく無かった。それを……分かって欲しかった。最も─私がそれを幼かった其方に教えておくべきだったんだがな…」
あぁ…私は何をしていたんだろうな。つくづくそう思い足踏みする自分が嫌になる。だから─私は変わろうと、これ以上自分を嫌いにせぬ様先生に私の気持ちを伝えた。
「ありがとう御座います、先生……まだ結論付けるのは早いのかもしれません。ですが、先生の話を聞いて─『自分自身がどんな魔王になりたいのか』分かった気がしますですので…今日は一先ず自分を大事にし労る時間に専念します。明日から…宜しくお願いします」
「ふむ……立ち直ってくれて良かった。なら今日は其方の話を休暇のお供として聞かせて貰おう」
「せ、先生…///」
休暇以外は半ば冗談交じりでボレアにそう言うと、ボレアは分かりやすい様に顔を真っ赤にして……以外にも素直に私に話してくれた。
その話を全て聞いた私は─誠に不謹慎ではあるが、『彼女なら成し遂げられる』と確信した上で腹を抱えて笑ったのだった。…ん?どんな話を聞いたか?それは……彼女の尊厳保守の為伏せておこう。
〜to be continued〜
如何でしたか?今回はミラ三姉妹中心に執筆させて頂きました。そして…次回は12話、第1章最終話です。どんな結末を迎えるのか…楽しみにお待ち下さい。
そして12話、エピローグ、幕間…そこらの範囲で『人気メインキャラアンケート』を実施します。皆さんの好きな本作品のメインキャラを投票して頂けると幸いです。
それではまた次回お会いしましょう!
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