※この作品はR-18です。

TSうすほそ転生魔族ちゃんが人間の男に救われて一緒に暮らす話。   作:ソイレント・グリーン

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誤字報告ありがとうございます。

そして今回R18展開無しッ!!

本当に申し訳ない(無能博士)







 

 

 アレキ姉さん達が人界大陸に向かってから、1週間ほどが経った。

 

 みんな口々に、末っ子に負けたのは不意を打たれただけだとか、あの3人と真っ向でやればアイツも死ぬとか言ってた。

 

 でも三人ともまだ帰ってこない…。

 それどころか、なんか海の果てのほうにバカみたいな精度の結界が張られちゃってるみたいで、誰も人界の様子を見に行くことすらできなくなってしまった。

 

 本来ならこの想定外の状況…長女のルティモ姉さんが対応するはずだったんだけど…ゴルガーン…敵対する大魔族との勢力争いが忙しくて動けないらしい。

 他の姉妹は搦手のやつばっかりで…だからこの私、八女のルスカに声がかかったのだった。

 

 私はタコ足を揺らしながら憂鬱に海を進んでいた。

 調べるだけで良いって言ってたけど…絶対なんの成果も得られずに帰ったらバカにされるよなぁ…はぁ…。

 

 そんな事を考えながら泳いでいると、意外と早くそれは見えてきた。

 

「ナニコレ…」

 

 めっっっちゃ横に広い風の壁…アイツ…結界の構成も上手いの?やってられるかよ…。そうため息をついた。

 瞬間──

 

 

 身体をひび割るような稲妻が落ちた。

 

 

 何が…起きた…。全身が痙攣して灼けていく。薄れゆく意識の中、風の壁の上に視線を向けた。

 …アイツ…は…。

 

 私は数え切れないほどの稲妻によって消し炭にされた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 今のは『青い牙』のルスカか。彼女は水中で本領を発揮する。偵察に差し向けられたのだろう。たまたま俺がここに来ていたのが運の尽きだったな。今日は海鮮の気分だったから海に立ち寄っていたのだ。

 

 しかし大物が手に入った。ちょっとデカすぎるな。食糧庫に入り切るだろうか…。

 小屋ほどの大きさの魚を引きずりながら俺は帰宅したのだった。

 

 

 

 ◇◇(↓リリス視点)

 

 

 

 りゔくん、きょぴたやと別れて大体1週間くらい経ったあと、あたしは拠点に到着していた。

 

「リリスよご苦労だった…」

 

 長いヒゲの生えた老爺、ここの研究部長のイコルニだ。簡単に紹介すると強欲ジジイかな…。

 あたしは採ったデータを渡す。けどどうやって説明したものか…まあ適当でいっか。

 

 イコルニはデータを解析し、何やら興奮している。きも。

 

「なんじゃこのデータは…!魔力の構造が明らかに自然物ではない…!だが人が手を加えたにしては…!」

 

 鼻息を荒くしながらスクロールに齧りついてる。ここでしれっと出てったらワンチャンバレないかな?

 

「いったい何があったのじゃ…!リリスよ…!はよう教えろ…!!」

 

 ちっ

 

「えー?何か風の結界だったよ?めっちゃデカいやつ」

 

「風…!?内と外、結界はどちらを向いておった!?詳細を教えろ!これを再現できれば…!」

 

 ずいずい聞いてくるジジイにドン引きしながら説明した。

 あーあもう自分の世界に入っちゃってるよ…こうなったら研究独占して誰にも手を付けさせないんだよね…。

 

「いったい誰がこれを…まさか、かの精霊が…?」

 

 勝手に考えてくれてるし…なんか理由適当に考えなくてもなんとかなりそうかも。

 

「じゃ、あーしもう行くからね〜」

 

 返事は無いけどいいや。

 

 あたしがリーダーではなく、あのジジイに最初に情報を渡したのには一応理由がある。

 今派閥争いでコミュニティがガタガタなのだ。難民を受け入れるべきとかすべきでないとか…。

 

 あたし的にもどっちかに肩入れとかしたくないし。だからあのジジイに渡した。あいつあれで完全な中立にいるからね。情報欲しければあたしから直接もらうんじゃなくて、あのジジイんとこ行ってこいってな感じ。

 

 リーダーは、人類存続の危機かもしれないんだぞ…!?なんて鬼気迫るリアクションするかもしれんけど、それこそ調べないとわかんないコトじゃん?あたしが採ってきた情報直接見てアンタらに何がわかるんだっての。それにあたしは…。

 

 研究部屋から出たところで、ちょうど廊下の向こうからやってきた奴とかち合ってしまった。

 

「……情報はイコルニに渡したか?」

 

「まーね、知りたきゃ入れば?まだ夢中になってるとこだろうけど」

 

 とりあえずのリーダー…オルン。

 白髪ロン毛で痩せぎすの、いかにも神経質そうな男…実際細かいししつこいんだよね…。

 

「…何があった?」

 

「それ聞くのイコルニ経由するってハナシだったくない?」

 

 あたしはイライラしながら気怠げに答える。

 

「じゃ、あーし行くから」

 

「待て」

 

「なに」

 

「現場の様子を知りたい、俺がイコルニに話を聞く際補足しろ。これは命令だ」

 

 だる。

 

「抜け駆けかぁリーダー?」

 

 この声は…また会いたくないやつが来た。

 

「スナウ…」

 

 もう一つの派閥の代表みたいなのやってるスナウクルとか言うやつ。黒髪短髪で、話し方が粗野な男。こいつが難民を入れるなとか、受け入れるなら奴隷にしたほうが良いと主張している。

 

「リリスちゃんも困ってんじゃんよ?まずはジジイから話聞いてからにしようや、あん?」

 

 そう言ってニヤニヤとあたしの肩を抱こうとしてくる。こいつもキモいんだよなー無理して若作りしてるおじさんって感じ…。

 

 リーダーは明らかにスナウクルを睨んでいる。対してスナウクルも明らかにメンチ切っている。なんで情報聞きに来ただけで一触即発なん?

 

「そう言うのいーし、早く入んなよ」

 

 あたしはスナウクルの手をはらい、2人の方を振り返ることもせずに去った。

 

 やっぱり今回の異変、新しい地脈の露出じゃなくてほんとに良かった。いや、そのほうが利用可能な魔力が潤沢になるから人類のためにはなるんだろうけど…でも今の状況ではあたしはそうは思えない。どうせまた他人を傷つけるために使うだろう。

 

 さんざん無辜の民を巻き込んで戦争しまくった結果、人類滅びそうだから協力…したと思ったらまた争ってる。

 難民がどうたらとか、対立してる理由はそれだけじゃない。根本的に別の国から集まって来た者たちだから、価値観が違うんだ。だけどお互い譲歩もしなければ、冷静な議論もやらないで、自分の主張だけを通そうとして…。それがどうにも気に食わない。

 

 あたしは食堂に向かい、お腹を満たした。

 

 りゔくんときょぴたやの2人と一緒に食べたご飯、美味しかったなぁ…なんて思ってしまう。

 

 ここのご飯もできる限り美味しくなるように作られている。だがやはり資源が限られている以上、質素なものになるのは必然だ。一般人はお粥だとかポタージュだとか、そういったものしか食べられない。

 だが、リーダーの金魚の糞をしているカスどもが、良い食材を独占しているのは知っている。いっそ殺してやろうか。

 

 でも実際には殺せない…。現状人類最強のあたしが自分の判断で生き死にを選び始めたら、それこそ皆にプレッシャーを与えるだろう。妊婦さんもいるし、下手に過激なことはしたくない。

 

 だからこうして、拠点の外の方でストレスを発散するのだ。

 

「ふんっ!」

 

 杖を力任せに振るい、術式を付与してない魔力の塊をぶっ放す。

 食材にもならない、グールウーズ…死肉喰らいの粘体どもを蹴散らした。これは駆除も兼ねてたりする。

 

 そんなときだった。

 

「ずいぶん雑な魔力の使い方だなァ??」

 

 後方。木の上から声が聞こえた。拠点では聞いたことのない声。

 

「アンタ…誰?」

 

 ゆっくり振り返るのと同時に、索敵と防御式を展開した。

 

「オ?んだよそういうコトもできんのか」

 

 ……な、に…?コイツ…?

 

 身体は人と変わらない。黒い革と金属で構成された、妙にパンクな服…。だけど頭は、青白い炎に包まれた骸骨だった。

 

「何…?ナンパ…?どっかであったっけ…?」

 

 明らかに異様な雰囲気に息が少し乱れたが、余裕ぶって軽口を返した。索敵に引っかかってないんだけど…どういうことなの…。

 

「初対面に決まってんだろォ!けど顔を覚える必要はねェぜ!」

 

 奴は枝から地面に降りた。薄く積もった雪は音すら立てない。

 

「この先に人間どもの群れがいるんだろォ?まずオマエを殺して死体を晒してやろうと思ってよォ!!」

 

「何が目的なん…?」

 

 悪人だ。人じゃないけど。

 ケラケラと骸骨が笑っている。

 

「俺様は弱いものいじめがだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい好きなんだよッ!!!!」

 

 目にも留まらない速さで距離を詰めてくる骸骨。でもセリフが無駄に長かったおかげでカウンター術式を組むことができた。

 

「レフラクシオン・エコイカ……!」

 

「ギャハッ!!」

 

 拳が腹部を貫く。なんで…術式は発動したはずなのに…。

 

 杖に魔力を纏わせ短刀とし、奴の顔面を切裂くべく横に振り抜く、それと同時に飛び退いた。

 

「ほぉ~まだ動けるのかよやるじゃねェか」

 

 再生の術式を肉体にかける。もうちょっと上貫かれてたら一撃で死んでた…!その事実に息が荒くなってしまう。

 けど…今のでわかった。こいつは霊体。それもたぶん、自由に実体と切り替えられる都合の良いタイプ…。あたしの攻撃を回避するために身体を霊体化させたから、お腹を貫く腕も簡単に抜けたんだ。

 

「まだ…夕暮れだよ…?丑三つ時じゃないんですけど…?オバケ出るには早くない…?」

 

「そんな古い価値観イマドキじゃねェよ!幽霊だって朝昼晩いつだって出かけてェのさ!」

 

 霊体…霊体……霊媒術ってどうやるんだっけ…昔たしか特務部隊…エリュなんとかの攻略のために叩き込まれたはずなんだけどなぁ〜…聖性は分野が違って使えないし…どうしよ…。

 

 ゆらゆら動きながら奴は近づいてくる。とりあえず自己強化!物理防御すれば一撃じゃやられないっしょ!

 

「エンサンブレ・ロホ…!」

 

 奴が動く軌道に合わせ、空中に収束した魔力を不可視の衝撃波として幾つも放つが、やはり意味はない。

 

「ムダムダァ!!!」

 

 両腕で顔面を守る…ってやっぱすり抜けてくんじゃん!!すんでのところで躱すことができたっ…けど!

 

「オラオラオラオラァ!!」

 

 こいつ理不尽すぎ〜!マジクソゲーなんですけど!

 一撃一撃が防御だけをすり抜けてウィークポイントに当ててこようとする。それに掠っただけでも身体が持ってかれるくらいにはパワーもヤバい…!

 

 こんなんじゃ霊媒術思い出そうにもむり…!

 

 

 …いや、まって、そうじゃん!当たる瞬間にこっちも当てれば良くない!?あたし天才かも!

 

 なら必要なのは矢だ。コイツの反応速度よりも速い矢、いや威力も欲しいから、槍……!!

 

「バシーオ・レソナンテ……!」

 

 あたしはボソッと唱え、頭の後ろに隠すように不可視の魔力を収束する。タイミングは一瞬…。お願い成功して〜!

 

 バシバシと連打が続く。何とか避けるけどじり貧で動きが鈍くなり、ヒットも増えてきた。重くて鋭い拳…そう何度も耐えられるものじゃない。だから誘う。

 

 わざと少し体勢を崩した。それを見逃す奴じゃないはず。その瞬間に叩き込む…!

 

「これでトドメェ!!」

 

 来たっ…!顔面直線のストレート…!走馬灯が頭をよぎるけど、今は気にしてる暇はない。拳はもう鼻先1センチくらいのところに来ている。

 

 あたしは自分自身の側頭部に衝撃波を与えて緊急回避し、同時に。

 

「穿て!!!」

 

「アバ!?!?!?」

 

 不可視の槍を放った。

 

 キーーーンと耳をつんざく金切り音がする。けどあたしは目を閉じないでその光景を見ていた。

 

 その一撃は奴の拳にクリーンヒットし、そのまま身体ごと吹っ飛ばした。

 

 やった…!当たった!

 

 地面に積もった雪が飛び散り、奴は頭ごと地面に埋まる。

 

「はあ…はあ…はあ…」

 

 なんとか息を整え、身体を再生する。

 でもこの後どうしよ…。2回目通じるかな~…。

 絶望的な状況は変わらない。

 

 奴はバコォ!と地面をめくり上げながら飛び出し、地面に仁王立ちした。

 

「てめェ…! 当てたな!?このオレ様にッ…!!」

 

「怒ってんの〜?顔真っ青だからわかんないんだけど」

 

 青筋とかないけど、激おこ寸前なのは何となくわかる。魔力も少し淀んだ。

 

「おもしれェ…!てめェは敵だ人間…!!せっかくだから名乗ってやるぜ…!!!」

 

 胸を張って自慢げに大きな声を上げる骸骨。

 

「オレ様の名はギャナー!!大魔族最強であるオヴァニの兄貴の鉄砲玉だぁッ!!!」

 

 飛びかかってくるギャナー。あたしは気合を入れ直した。

 

 

 

 

 ◇◇(↓キョウ視点)

 

 

 

 

「………っは!!!??」

 

 なんだここは…?一面真っ白。雪かと思ったけど寒くないし…さっきまで俺寝てたよね…?

 

「やあ、末っ子ちゃん」

 

「?」

 

 目の前の何もない空間から声がする。

 すると突然、透明な布がめくれるように人が現れた。

 

「お前…」

 

「君からしてみたら久しぶりかな?」

 

 六女、『夢喰い』タピス…。なるほど、ここは夢の中だというわけか。しかしどうやってここに?いくらなんでも距離がある。

 

「不思議に思っているね?実は君がこちらに飛んできたとき、私もついて行ったのさ。今は少し遠い所で居を構えているよ」

 

「殺す」

 

「ちょっと待ってくれ」

 

 なんだよ。御託はいいだろう。どうせ俺を殺しに来たのに。

 

「私は別に君を殺しに来たわけでも、母さん…ボダの手先としてやってきたわけでもないんだ」

 

「どう言うことだ」

 

 不敵に笑うタピス。

 

「私は君の強さに惚れ込んだんだ。ボダの居城にやってきた時の大立ち回り…私たち姉妹11人を持ってしても倒すことができなかったタフさ…私は君こそが九番目の大魔族の器であると思っている」

 

「興味ない、殺す」

 

「だから待ってって」

 

 おべっかを並べられても信じられないよ。

 タピスは続ける。

 

「私はボダではなく、君側につきたい」

 

「え?」

 

 何言ってんのこいつ。

 

「理由は幾つかあるが…まずは先程も言った、君の強さに惚れたという点。2つ目は私自身が殺されたくないため…このまま行くと私も君を殺すよう差し向けられると思ったからな…ボダの執着は本当に恐ろしい…」

 

「………」

 

「3つ目はお互いにメリットがあると思ったからさ。私ならば君を大魔族にするサポートができる。そうすれば魔界でのお互いの安全は保証されるだろう?」

 

「ふむ…」

 

 ほ〜ん…なんだかかなーり自信があるみたいだな…。確かにこいつは結構頭がまわるタイプだったはずだ。

 

「現時点でも君に有益に働く情報がいくつかある、これは君に信用してもらうためだ」

 

「試しに1つ教えてくれ」

 

「…いいだろう」

 

 有益にって、そんなに求めること無いけどな。今の暮らしで凄く満足しているし。

 タピスはこめかみに触れ、片目を閉じて集中する。

 

「君が先日会っていた女性…リリスと言ったか。彼女は今、オヴァニのところのギャナーと交戦している。かなり追い詰められ死に瀕しているみたいだ」

 

 えっ!?

 

「何処でだ」

 

 なんでオヴァニの勢力が人界に…?障壁を通ってきたのか?……いや、霊体になって通り抜けたのか!あちゃ~だな…姉対策しか考えてなかったから想定外だ。

 

「場所を教えてほしいなら、まずは契約だ。そしたら教えてあげよう」

 

「わかった契約する」

 

 タピスはニヤッと笑って手を差し出してくる。俺は自分の手を重ね、契約を成立した。お互いに攻撃をしてはならないという条件…どこまでが攻撃判定かはわかんないけど。破ったら結構大きなデメリットがあるだろう。死ぬとかはないはず。

 

「場所はここから南方◯◯kmの地点、人間の拠点の外だ、君の全力なら数分でつけるだろう」

 

 リリスには一度嫉妬してしまったが、本人自体は嫌いじゃないんだ。それに、彼女が死んだらリーヴも悲しむし、寝覚めが悪い。だから助ける。

 

「助かった、じゃあ死ね」

 

「え?」

 

 俺は竜巻でタピスを削り殺した。

 

「ぎゃああああ!!!!?!?なぜ!?!?!?」

 

 打算アリで嫌いな奴に近づかれたら殺すに決まってるだろ。

 

 今頃どこかで本体はショック死しているだろう。あいつの技能は夢に干渉できる稀有なものだが、本体へ痛みもフィードバックする。

 さて、デメリットはどうなるかな。

 

 まあいい…とりあえず目覚めよう。

 

 

「……むぅ…」

 

 かすれた目を擦ってベッドから降りる。隣にはリーヴがすやすや寝ている。

 

 俺は心のなかで、いってきますとリーヴに伝え、窓から飛びたった。

 

 

 






リーダーとスナウクルさんはそんなに変な事は言ってないと思う。


ゴルガーンさんは元女騎士→嵐の精霊に魅了されて岩の大魔人みたいになった人。

オヴァニは別に大魔族最強ではないし、ギャナーはアレキサンドラくらいの強さである。

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