白濁のカンヴァスに、聖女を。 〜完璧なクラス委員長の机に射精したらバレた。恐怖の脅迫ゲームが始まると思ったら、彼女の歪んだ美学で飼い慣らされることになった男の末路〜 作:つる植物
おそらく一目惚れだったのだと思う。
2年にあがった4月最初の日、初めて彼女を見たとき俺の電撃に撃たれたかのような衝撃を受けたのを今でも覚えている。
6月になって外はうだるような暑さだが校舎の中は涼しいものだ。
俺の席は窓際の一番後ろだ。
つまらない授業の時によく外を見るかと思っていたが基本的に見ることはない。
暇なときは大体俺の右隣の列、その最前列にいる織原(おりはら) 香澄(かすみ)のブローチ型ヘアピンで纏められているハーフアップの長い髪を眺めている。
たまに髪の隙間から白い肌のうなじが見えると運が良いと思ってしまう。
ちょっときつめの美人といった顔と表現したらいいのだろうか、胸は結構大きく制服用の白いブラウスを押し上げている。
黒に近い緑のスクールスカートは規定通りの長さである。
織原は学年1位のクラス委員長、特定のクラブには入っていない。
性格は温和で誰にでも優しい、自分の成績を鼻に掛けるようなことはしない。
よくほかの女子と楽しそうに話しているのを見かける。
それなりにもてるらしくたまに告白されているという噂を聞くが誰かと付き合うとかはないらしい。
授業中は先生の言葉を聞き流して黒板の内容をノートに書き写す、そして織原の後ろ姿を眺めるのが日課であった。
告白する勇気などあるはずもなく、しかし眺めているだけでは物足りないという状態だった。
だからこそあんな凶行に俺は走ってしまったのだろう。
部活は一応美術部入っているがそこまで熱の入った部活ではない。
最近は織原をモチーフにして書いていると筆が乗るような気がするが織原自身を書く勇気はない。
真面目に書いたのは去年の文化祭に出品したのが最後だ、締切に追い立てられて必死で描いたのだ。
みんなそんなに真面目じゃないし何かイベントがあるわけでもない。
普段の部活自体は大体1時間くらいで終わってしまう。
いつもなら部活が終わったら部室から直帰する。
しかし今日に限って明日の提出する宿題に必要なノートを机の中に忘れてしまった。
教室に入ると当然誰もいない。
自分の机から目的のノートを回収し、後は帰るだけ。
なぜだか織原の机が目に入ってしまった。
きょろきょろして周りを確認しながら吸い寄せられるように織原の机の近くに行く。
織原の机には何も掛けられておらず机の中には何もない。
ただ机がキャンバスの様に広がっていただけだった。
そして机を一瞬でもキャンパスと認識してしまったのが最大の過ちだったのだと思う。
俺は再度周りを確認すると廊下に背を向けた。
もし誰かが入って来た時に一発で自分の行為を把握されないためだ。
社会の窓から自分の肉棒を取り出す。
自分の口角が吊り上がるのがわかる。
(やめてよ……汚らわしい……)
織原が俺の精液を掛けられて俺を侮蔑する、その想像だけで俺の肉棒はギンギンに勃起した。
右手で肉棒を掴んでしごくとそれまで自分が過去のオナニーのどれよりも興奮することになってしまった。
(本当に最低……)
(こんなことして人間として恥ずかしくないの?)
(頭おかしいんじゃない?)
頭の中の織原が本当に嫌そうな顔をして次々に俺を罵っていく。
なぜ悪いことを、最低なことをしている時はこんなに気持ちが良いのだろうか……。
1分も経たないうちに限界を迎えてしまった。
「射精(で)る!」
机にぴったりと太ももを付けて卓上に射精する。
灰色のプラスチックで出来たキャンパスに俺の精液が飛び散った。
射精したあとも少ししごいて全部卓上に吐き出す。
「はは、やっちまった」
かなりの高揚感と……すこしの達成感と……そしてどうしようもない虚しさだけが波のように襲って来た。
冷静になった俺は美術部で使った雑巾で彼女の机を拭く。
見た目上、精液が付いていたのは分からないだろう。
俺は翌日の織原の反応をドロドロとした歪んだ反応を妄想しながら教室を後にした。
翌朝登校すると織原は既に自分の席に座っていた。
右隣に座っている女子と仲良さそうに会話していた。
後ろのドアから入り自分の席に座る。
織原が普通にすごしている事自体が俺を興奮させる。
授業中、俺の精液の掛かった机に教科書とノートを広げている。
昼休み、俺の精液の掛かった机に弁当を広げて食べている。
休み時間、俺の精液の掛かった机に手を置いて誰かと話している。
もし……もしあの机の上に精液が掛かったと知ったらどんな反応をするだろうか。
おそらく徹底的に軽蔑した表情を浮かべて俺を罵倒するのだろう。
そんな歪な妄想が楽しくてたまらなかった。
部活は週3回あるのだが部活が終わるたびに机に射精をして……そしてふき取ってを繰り返す。
猿の様だと言われれば反論は出来ない状態だった。
あの聖女みたいな澄ました顔をしている織原を俺は汚している、バカみたいな優越感によりアドレナリンが出まくっていたのだと思う。
俺はこの時、織原が机の上の凶行に気付いていて、更に俺が犯人であるという目星をつけていたなんて知る由もなかった。
あの凶行から既に2週間が経ち、俺は相変わらず織原の机の前でオナニーをしていた。
「あ、射精(で)る!」
俺の肉棒からでた精液が織原の灰色の机を白く汚す。
ここまではいつも通りだった。
カシャリ。
おそらくスマホでの撮影音が左側から聞こえて振り返る。
「へー、男の人の射精ってこんなんなんだ。気持ち良かった瀬田君?」
「お、織原?」
クラスメイトに向ける優しい顔でピンク色のスマホカバーを掛けたスマホを構えている織原が立っていた。
(……終わった)
肉棒を露出したまま固まってしまった。
冷や汗が止まらずおそらく俺の顔は真っ青だっただろう。
言い訳する要素が一切ない犯行現場を見られた、いや写真に撮られたのだ。
織原はスマホをスカートのポケットにしまうとこちらに近づいてきた。
表情には恐怖も軽蔑も蔑みの表情もない。
織原は自分の机の横に立ち止まると卓上の精液を右手の人差し指で掬った。
俺がパニックで何もできず、織原をただ見ていることしか出来なかった。
織原は精液の付いた指をなんのためらいもなく口に入れて……吐き出した。
「うぇ、まっずぅ、生臭いし苦いし最悪……」
まるでジョークグッズのまずいお菓子を食べた時のテンションであった。
織原はポケットからハンカチを取り出して指先を拭いた。
織原は固まっている俺の隣にきて俺の肩をポンと叩く。
「いつもみたいにちゃんと拭いておいてね」
そう言い残し教室を後にした。
「え、え?ナニコレ?」
肉棒を丸出しにしたまま俺は事態が飲み込めずしばらく茫然としていたのは言うまでもない。