『神符大戦 ──世界大会決勝で負けて底辺に堕ちた男、TCGの勝敗が全てを決める異世界で美少女達を調教しながら盤面制圧を目指す──』 作:シキセ
契約から数日して、小夜に初めての単独任務を出した。三人での調べ物とは違う。指示は出発前の一度きり、道中の判断は全部本人持ちの、一人の仕事だ。
「大会本部の裏で、書式を刷って渡していた連絡役——逃げた先の見当がつくと言ったな」
「はい。帝都の南、古い染物問屋の二階です。たぶん、まだいます」
「所在を確かめて、動きを一日見て、戻れ。捕えなくていい。手を出すな。見て、覚えて、帰ってくるのが任務だ」
小夜が、少し目を細めた。
「……確認します。これは、囮任務ではないですね」
「違う。ただの偵察だ」
「危険手当は」
「出す。それと、条件を一つ足す。相手が符士を抱えていたら退け。退いたことは咎めない。半端な情報でも、生きて持ち帰れば手当は満額だ」
「……それ、契約に足していいんですか」
「足す。書き取らせておけ。死なれると、耳と足の仕込みが一からやり直しになる。俺の損だ」
「……わかりました。三日で戻ります」
────
小夜は、四日で戻った。
「一日、余分にかかりました。相手が用心して、宿を変えたので。……変えた先まで、見届けました」
小夜が、覚えてきたことを順に並べた。連絡役の顔。出入りする刻限。染物問屋の主が絡んでいること。裏の水路から荷が運び込まれること。一つずつ、正確だった。
「よくやった。報酬だ」
俺は約定の額を、苑子を通じて正式に渡させた。任務の対価として。私的な情ではなく、契約に基づいた銭として。
小夜が、それを受け取った。両手で。
「……初めてです。一人で任されて、一人でやり切って、銭をもらうのは」
「これからは、そうなる」
小夜が、銭を懐にしまった。しまってから、動かなかった。
「……世一さん」
「なんだ」
「仕事は終わりました。報酬ももらいました。……ここからは、任務じゃない話をしていいですか」
「言え」
小夜の耳が、赤くなっていた。
「……したいです。任務の礼とかじゃなくて。……私が、したいので」
「打算はあるか」
「……あります」小夜が正直に言った。「世一さんに気に入られていた方が、次の仕事も回ってくる。それは計算しています。……でも、それだけじゃないです。半分は計算で、半分は——」
「半分は」
「……言わなくても、わかってるくせに」
小夜が、少し睨んだ。暗殺者だった頃の凄みは、もうどこにもなかった。
「言葉にしろ。仕事と、分けて」
小夜が、深く息を吸った。
「……仕事とは別に、世一さんに抱かれたいです。私が、そう決めました」
────
膳を下げた後、小夜が俺の前に来た。
膝をついた。いつもの姿勢だった。
「待て」
小夜が顔を上げた。
「今日は——お前が欲しいものがあるんじゃないか」
小夜の動きが止まった。
「……なぜ、わかるんですか」
「顔に出ている」
「……そんなに」
「そうだ」
小夜が口を引き結んだ。耳が赤くなっていた。
「……お願いがあります」
「言え」
「……取引じゃなくて——お願いです」
「わかっている。何が欲しい」
小夜が膝の上に視線を落とした。しばらく黙っていた。
「……言葉にしろ」
「……」
「言えないなら、今夜は奉仕だけだ」
小夜が「っ」と小さく声を上げた。
「……貫いて——ほしいです」
「もう一度」
「……聞こえましたよね」
「聞こえた。もう一度言え」
小夜が深く息を吸った。
「貫いてほしいです」
目を閉じたまま言った。声が震えていた。
「どこで」
「……どこって」
「言葉にしろ。どこに入れてほしい」
「……っ、そこ、です。女の、そこ」
「もっとちゃんと言え」
小夜が目を閉じたまま「……お股、です」と言った。
「お股では足りない。中まで言え」
「……お腹の、奥、まで——来てほしいです」
絞り出すような声だった。
「よく言えた」
小夜がようやく目を開けた。目が潤んでいた。
「……意地悪ですね」
「そうだ」
「……意地悪なのに、なんで」
「なんでなんだ」
小夜が「……なんでこんなに欲しくなるんですか」と言った。
俺は答えなかった。
「まず自分でほぐしてみせろ」
「……え」
「自分でやってみせろ。指で」
小夜が「……それは」と言いかけた。
「お前の体だ。自分でもできるようになれ」
「……見ながら、ですか」
「そうだ」
小夜が「……わかりました」と言った。
着物の裾を、ためらいながら持ち上げた。膝が出た。白い太ももが露わになった。
下着の端に指をかけ、横へずらした。
「……ん」
それだけで声が漏れた。布が引っかかって、ぬちゃりと音を立てた。
「……っ」
小夜が身をすくめた。
「声を出しながらやれ。欲しいものを言いながら」
「……そんな」
「やれ」
小夜が唇を噛んだ。おずおずと、自分の指先をそこへあてがった。
「……っ♡」
指が触れた瞬間、小さく震えた。
「……奥まで——来てほしい——です——っ♡」
「自分の指はどうだ」
「……細い、です——足りない——です——っ♡」
「もっとやれ」
ぬちょ……ぬちょ……。
指を動かすたびに、湿った音が部屋に滲み出す。小夜の呼吸が速くなっている。もう片方の手で口元を押さえていた。
「手を下ろせ。声は隠すな」
「……っ♡ はい——っ♡」
「……世一さんのが——欲しい——ずっと——欲しかった——です——っ♡♡」
「もっとやれ」
「……ん——っ♡♡ だめ——もう——限界——っ♡♡♡」
「止めろ」
小夜の手が止まった。荒い息をしていた。
「こっちに来い」
「……はい」
「ゴムをつけろ」
小夜の手が止まった。
「枕の横だ」
小夜が手を伸ばした。指先がためらいながらそれを摘まんだ。
「……自分でつけるんですか」
「そうだ」
「……こう、やって——」
手元を見ながら、ゆっくりとつけた。指先が震えている。
「……つけました」
「上に来い」
小夜が「……えっ」と止まった。
「俺の肩は動かせない。お前が上だ」
「……私が、自分で」
「そうだ。自分でまたげ」
小夜の顔が真っ赤になった。それでも、ゆっくりと膝をついて、またがった。
両手を俺の胸に置き、腰を浮かせている。
「……あの——」
「自分で位置を決めろ」
「……っ、やっぱりこれ、恥ずかしい——です」
「見ていろ」
小夜が自分で手を使って位置を合わせた。
先端が触れた瞬間、「……っ♡」と全身が引き締まった。
「……熱い——です——っ」
「ゆっくり座れ」
「……はい——っ」
小夜が、少しずつ体重をかけた。
ずぷり……。
「……っ——痛い、です」
「動くな。そのままでいろ」
「……でも」
「慣れる。じっとしていろ」
小夜が止まった。唇を押さえながら、震えていた。目をぎゅっと閉じている。
俺は動かなかった。
左手を小夜の腰へ当てた。
「……っ♡」
「怪我した方じゃない。掴まれていろ」
「……はい——っ」
しばらくして、小夜の息が少しずつ落ち着いてきた。
「……さっきより、痛くない——です」
「そうか」
「……もう少し、いいですか」
「好きにしろ」
小夜がまた少しだけ体重をかけた。
「……っ——あ——」
「……入った——」
声が、変わった。
「……あ」
「どうだ」
「……なんか、変な感じ——です。でも——痛いより——変な感じの方が——っ♡」
「動いてみろ」
「……自分で、ですか」
「そうだ」
小夜がおそるおそる腰を動かした。
「……っ♡ あ——」
止まった。また動いた。
「……世一さん——」
「なんだ」
「……これ、すごい——です——っ♡」
「そうか」
「……さっきまでと全然——っ♡ こんなに奥まで——来るんですか——っ♡♡」
「陰の気と陽の気だ。お前の体はそういうふうにできている」
「……知らなかった——っ♡ だめ——つ——っ♡♡」
ぐちゅっ……。
小夜の腰がびくびくと震えた。全身が小刻みに揺れ、俺の上でわずかに崩れた。
「……っ♡ は——あ——」
小夜が前のめりに倒れてきた。額を俺の胸に押し付けて、荒い息をついている。
左手を腰から滑らせて、着物の合わせに差し入れた。
「……っ♡」
小夜の肩が跳ねた。
「動くな。まだ終わっていない」
「……世一さん——手が——」
「動け」
「……っ♡ 動きながら——っ♡♡」
小夜がおそるおそる腰を動かし始めた。着物の中の手に戸惑いながら、それでも腰が止まらない。
「……もう一回、していいですか」
「欲張りだな」
「……欲張りでいいです——っ♡ もう一回——したいです」
「自分で動け」
「……はい」
二度目は、最初より大胆になっていた。
自分でリズムを掴もうとしている。上下だけだった動きが、少しずつ前後にも広がっていく。
「……っ♡ ん——っ♡ あ——っ♡♡」
ぬちゅ……ぬちゅぬちゅ……。
腰が動くたびに、湿った音が繰り返される。
着物の合わせから手を入れて、細い胴の上にあるふくらみを包んだ。手のひらにちょうど収まる感触がある。
「……ひぁ——っ♡♡」
「止まるな」
「……っ♡ さわりながら——っ♡♡」
「それでいい。動き続けろ」
ぬちゅぬちゅ……くちゅくちゅ……。
小夜が懸命に腰を動かしながら、俺の手の感触に乱れていた。
「……もっと——深く——したい——です——っ♡」
「前に傾けろ」
「……こう——ですか——」
「そうだ」
「……っ♡♡ すごい——世一さん——こっちの方が——奥に——っ♡♡♡」
指先で先端を軽く押さえた。
「——ひぁぁ——っ♡♡♡」
「声が大きい」
「……だって——さわりながら——当たるから——っ♡ だめ——また——っ♡♡♡」
小夜の全身がぶるりと震えた。腰が不規則に跳ねて、それでも動くのを止めない。
「……っ♡♡ は——あ——は——」
荒い息が落ち着くまで、待った。
「……もう——一回——だけ——いいですか——っ♡」
「まだやるか」
「……はい——っ♡ もう少しだけ——」
三度目、小夜は前に倒れたまま腰を動かしていた。
最初の恥ずかしさはもうない。ただ、欲しいものを求めて、自分で動き続けている。
「……っ♡ ん——っ♡ 世一さん——っ♡♡」
ぬちゅぬちゅ……ぐちゅぐちゅ……。
「そろそろ止まれ」
「……え——」
「腰を動かすな。そのままでいろ」
小夜の腰が止まった。
「……もう少し——っ♡」
「止まれ」
「……は、い——っ♡」
俺は小夜の腰を左手でしっかり押さえた。
「——出すぞ」
「……っ♡——え——」
「そのままでいろ」
「……は——い——っ♡」
ぐちゅ……ずぷっ……。
深く押し当てたまま、最奥に向けて出した。
「——っ♡♡!」
小夜が声を上げた。
「……あ——っ♡ 世一さんが——なかで——っ♡♡♡」
「ゴムの中だ」
「……わかってても——脈打ってる——っ♡♡ なかに——来てる——感じが——っ♡♡♡」
小夜の腰がまたびくびくと震え始めた。
「……っ♡♡ だめ——また——っ♡♡♡」
射精に合わせて絶頂した。全身を震わせながら、小夜は俺の上で動けなくなった。
しばらく、二人とも動かなかった。
小夜が俺の胸に頬を乗せたまま「……もう、組織には戻りません」と言った。
「聞いていなかったか」
「……聞いていました。でも——今言いたかったです」
「なぜ」
「……戻れなくなった、というより——戻りたくない、になったので」
「それは」
「……帰る場所が、なくなりました。元々、あったかどうかも、わからないですけど——」
小夜が少しの間、黙った。
「……世一さんのところが、一番食事が美味しいので」
「それだけか」
「……それだけじゃ、ないです。でも——それだけでも、十分だと思っています」
俺は答えなかった。
小夜が「……世一さん」と言った。
「なんだ」
「……自分でやる方法、教えてくれましたよね。さっき」
「そうだな」
「……一人でもできますか」
「できる」
小夜が「……そうですか」と言って、目を閉じた。
「……覚えておきます」
それがどういう意味か、小夜自身わかっていたかどうかは知らなかった。
わかっていたとしても、もうどうにもならない段階に来ていた。