※この作品はR-18です。

『神符大戦 ──世界大会決勝で負けて底辺に堕ちた男、TCGの勝敗が全てを決める異世界で美少女達を調教しながら盤面制圧を目指す──』   作:シキセ

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第七十二話 偽帝式

祭祀殿の広間には冷えた灰の匂いが満ちていた。焦げ痕の残る柱が等間隔に並び、高い天井の下で床一面の旧い紋様が闇に沈んでいる。灯りは一つもない。それなのに中央に立つ男の首筋だけが、暗がりの中で赤く明滅していた。

 

「燎」

 

返事はなかった。名を呼ばれて黙っていられる男ではなかったはずだ。訓練区画では俺が口を開く前から喋っていた。その口が縫われたように動かず、削げた頬の上で焦点の合わない目だけがこちらを向いている。俺を見てはいない。

 

首筋の赤い光は皮膚の下にあった。細い紋様が脈打つたびに明滅している。札の光は体の外で灯るものだ。あれは内側で灯っている。灯りに照らされる側ではなく、灯りを埋め込まれた側の光だった。

 

「……世一様」ルクシエルの声が符叢の奥で硬くなった。「肌に描いたものではありません。骨の際まで彫り込んであります。剥がせば彫られた側が壊れます」

 

「符闘の裁定には」

 

「反応しません。あれが縛っているのは、勝ち負けではなく——体です」

 

なら、話は一つで済む。

 

(勝つ。外すのはその後だ)

 

広間の奥、最奥の扉の手前には風音が立っていた。壁際に置物のように据えられて、燎との間に視線の行き来は一度もない。仲間として並んでいるのではなく、同じ棚に別々に置かれている。門番が燎で、本命が風音。奥の封印まで運んで、破らせて、燃え残りは回収もしない。そういう段取りの顔ぶれだった。俺と打って俺の符叢を知る男から技量だけを抜いて使う。連中にとって符士は、そこまで含めて式符と同じ扱いなのだろう。

 

どちらも、俺が先に唾をつけた札だ。燎は次に打つのが楽しみな数少ない対戦相手で、風音は俺のものにする予定の女だった。他人の手垢が付く前に、両方とも取り返す。

 

「小夜。風音を奥へ通すな。傷は付けるな」

 

「……縫い留めて、止めます」

 

言い終わると同時に足元の紋様が目を覚まし、円周から順に光が走った。背後で入ってきた道が石ごと閉じる。祭祀殿そのものが旧式の裁定結界で、内側の四人をそれぞれ別の符士として静かに数え上げていく。隣の戦いに札は届かない。それだけ確かめて正面へ戻った。

 

燎が符叢を構え、風音が壁から離れた。二人同時だった。

 

────

 

先手は燎だった。

 

「炎鳥の雛、実体化。烈火の雛、実体化」

 

抑揚のない声で二羽が同時に出て、それぞれの羽根に炎育の火が灯った。羽ばたきの照り返しが柱の焦げ痕を舐め、暗かった広間に初めて色が差す。祭祀殿は炎の色がよく映える造りをしていた。こういう規模の符闘を受け止めるために、誰かが昔この広さを用意したのだろう。

 

同じ札を訓練区画で見ている。あの夜は一羽置くたびにこちらの手を読んで、読んだ内容を全部口に出す男だった。厄介な型だ、揃う前に潰す——そう言いながら組み立ててきた。今夜は二羽まとめて置いて顔も上げない。

 

「焰迅の一声」

 

早業で二羽の火が一気に膨らんだ。宣言だけが手順書を読むように落ちてきて、あの噛みつく口上を削ぎ落とした精度だけが残っている。速さも順番も代償の払い方も、癪なことにあの夜より上手い。符闘の速さには二種類ある。読みが速いのと、迷いがないのとだ。前者は才能で、後者は——今夜のこれは、ただの欠落だった。

 

初撃は様子見なしで来た。育ちかけの雛が火の粉を曳いて低く滑空してくるのを半歩引いて外套の裾で受け流すと、布の端が焦げた。展開の遅れた側から削る。基本に忠実で容赦がない。

 

「挨拶が熱いな。口数まで持っていかれたか。……なら、お前の分まで俺が喋る。うるさければ止めに来い」

 

返事の代わりに次の札が動いた。

 

エーデルガルトを展開した。八色の気配が暗がりに満ち、黒いローブの裾が広間の闇より濃く落ちる。翠衣で育ちかけの一羽を霊体に解いて受け皿を外す。定石の一手だが燎の手は止まらず、外された雛が戻る手番を待つ間も別の札で火を積み続けた。溜めて撃つのがこの男の呼吸だったはずだ。その呼吸が消えて、直線だけが残っている。

 

戻りの手番で、外された雛が霊体から実体へ引き上げられた。代償の札が一枚その下へ重ねられ、燎の手は淀みなく次の展開へ流れていく。実体化は財産を前へ出す行為だと、この国の符士は最初に習う。前へ出した財産が惜しくない打ち手ほど手が速い。この手が速いのは惜しさを克服したからではなく、止まる理由を全部取り上げられているからだ。

 

「お前は読んだことを全部口に出す男だったろう。……さっきから一度も開かんぞ」

 

火の照り返しの中で、削げた頬は動かなかった。

 

代わりに答えたのは盤面だった。戻った雛が助走もなしに二の矢で飛んでくる。翼の縁がもう育ちの色を帯びていて、受け流した外套の裾から薄く煙が立った。喋る間も削りに来る。それ自体は正しい符闘で、正しさしか残っていないことが今夜の異常だった。

 

右の視界の端で風が走った。槍を構えた使役式が広間の奥行きを一直線に詰め、小夜の脇を抜けて扉を狙う。床で影が跳ねて走る足を縫い止め、鈴が鳴って、槍は影のまま抜けた。一枚では止まらない相手らしい。見ていられるのはそこまでで、俺の盤面が呼んでいた。

 

燎は外した雛を戻す隙に攻めてくる代わりに、床の紋様の中心へ一枚を置いた。

 

「偽帝式:灰冠炉心」

 

灰色の炉が音もなく据わり、内側で灰混じりの火が渦を巻いた。据わっただけで広間の空気が乾き、灰の匂いが一段濃くなる。祭祀殿の古い紋様と炉の輪郭が重なって、最初からそこに在ったような顔をしている。

 

正規の式符には来歴がある。誰が作り、誰が認め、どこの符闘場で試されたか。この炉にはそれがない。神廟の裏で誰かが組んだ、名無しの装置だ。

 

「早業のたびに、手札を一枚対価に呑んでいます」エーデルガルトが盤上から読み上げた。「呑んだ分だけ、火が余分に育ちます」

 

「薪をくべる炉か」

 

「はい。ただし薪は——あの方の手札です」

 

燎の符叢は感情で伸びる設計だ。連中はそこへ感情の要らない炉を外付けした。増幅ではなく改造で、この符叢が何で燃えるかを知らない人間の仕事だった。

 

打ち筋も同じだった。読みではなく、確率で打っている。手札が何であれ期待値の高い順に切り、外れれば次の札で埋める。数字としては正しく、符闘としては死んでいる。あの夜、こちらの伏せを一枚ずつ数えに来た読みの粘りは、どこにもない。

 

(——つまらん)

 

仕留める興も、削り合いの緊張もない。あるのは作業だ。この男とはもう一度打つために唾をつけておいたのに、他人が中身を書き換えた。その事実が、盤面のつまらなさより余程、癪に障った。

 

「趣味の悪い焚き方だ」

 

答える口は薪をくべ続けた。早業が入るたびに炉が手札を一枚呑み、雛の羽根が一段ずつ膨らんでいく。手札の痩せ方と火の育ち方が綺麗に反比例して、やがて烈火の雛の炎育が四つを超えた。あの数を超えた烈火の雛はこちらの効果の対象から外れる。緋衣も翠衣も、もう届かない。

 

ならばと緋衣に着替え、耐性を持たない若い一羽へ破壊の爪を届かせた。雛は焼け落ちたが、落ちる寸前に炉が短く明滅して灯っていた火が烈火の雛へ流れ込んだ。潰した先から炎が引っ越していく。炉は薪をくべるだけの装置ではなく、こぼれた火を拾う継ぎ口まで持っていた。

 

「無駄撃ちだな」

 

今夜最初の言葉がそれだった。挑発ではなく盤面の事実を帳面のように読み上げる声だ。あの夜ならここで一番うるさかった男の声で。

 

「そっちこそ返しが薄いな。言葉は符闘の分しか残してもらえなかったか」

 

答えは札で来た。効果の届かない烈火の雛が翼を広げて突っ込んでくる。除去は通らない。受けるしかない。黄衣の外套が体当たりを受け止め、踏ん張った足の下で床の紋様が軋んだ。効果は防げる衣でも重さまでは消えない。翼の火が床の灰を巻き上げ、頬の横を熱が通り過ぎていく。狭い部屋ならもう二度は焼かれていた。外套の焦げ跡は増える一方で、火傷はまだ数えるほどだった。数えるほどで済んでいる間が、勝負のうちだ。

 

返す波が続けて来た。若い雛が正面から押し込み、その避け先にもう一羽が置いてある。一の矢で動かして二の矢で刺す。教本通りの連携を、教本を読む顔もせずに組んでくる。白衣に替えて戦力で正面から潰したが、代償に置いた札が一枚灰になり、俺の符叢は三十を切った。

 

(押されているな)

 

技量は本物だ。恐怖で手が縮まない符士は最短距離しか打ってこない。読みやすく、読みやすいことがいっとう不気味だった。

 

受けながら柱二本ぶん下がって立ち位置を変えた。祭祀殿の広さは向こうの火力に味方するが、こちらの逃げ場にもなる。翼の火が通った後の床には灰が薄く積もり、踏むたびに乾いた音を立てた。盤面の外の足場ひとつまで勘定に入れて、ようやく五分の受けだった。

 

一つ、試すことにした。

 

「この前の続きを、もうやる気になったか」

 

札を切りながら言った。

 

手は止まらなかった。瞬きも呼吸も指先も、どこにも波が立たない。観察は無駄にしなかった。呼吸、目線、札を持つ角度。揺れそうな場所を順に見ていって、どこにも揺れがなかった。次の早業が寸分違わぬ速さで炉へ入る。

 

訓練区画で負けた男が、負けた相手と三度目に向かい合っている。本来なら、この状況こそ最も燃える口実のはずだった。あの夜は自分から場所を指定して呼び出した男だ。今夜は、言葉の落ちた先に何も立たない。

 

思い出すのは声ばかりだった。読んだ端から口に出し、宣言してから取りに来る。手の内を先に晒す打ち方は符闘の作法としては下の下で、それでもこの男の場合は理に適っていた。喋るほどに熱が乗り、乗った分だけ火が伸びる符叢だからだ。声を取り上げられた今夜の盤面は、半分しか燃えていない。半分で、この火力だった。

 

(気色が悪い)

 

「燎。お前のその火は、そういう焚き方をする火じゃないだろう」

 

返事はなく、手だけが動いた。

 

その手が一度だけ迷った。炉へ入れる札を選ぶ指が二枚の上で半拍だけ往復して、すぐに右の一枚が落ちて火の勢いは変わらなかった。どちらを呑ませても火は同じだけ育つ。差のない二枚の上で迷うのは、選ぶという行為そのものが一瞬だけ浮いたということだ。命令は選ばない。選ぶのは人間だけだ。

 

「……今、手が」ルクシエルが小さく言った。

 

「見えた。——聞こえてはいるんだ」

 

届いている。届いた先で、動かせるものが何もないだけだ。

 

左で槍が三度目に走った。一度目と二度目は見ている。柱の陰から出て影の網を潜り、扉へ寄る。三度とも同じ筋だ。速度型の弱点は速さではなく、同じ速さを二度見せることにある。小夜が追わず先回りしているのは、それを数えているからだろう。影の層が一枚ずつ、通り道に増えていた。

 

その三度目の途中で槍が不自然に止まった。網に掛かる前に風音自身が一拍置いたのだ。整い際を空振りさせる呼吸——屋台で俺が話した二択の、遅らせる方だった。命令は最速を求めているはずで、その上から稽古で刻んだ手癖が顔を出している。焦点の合わない目の奥で、千歳風音の符闘が一拍だけ戻っていた。

 

「小夜。今の、見たか」

 

「……見ました。あの一拍の癖ごと、読んで縫います」

 

刻印は意志の出口を塞いでいるだけで、中身までは焼けていない。なら燎も同じだ。二枚の上で往復した指が証拠で、殻の中の男はまだ符闘を数えている。

 

なら、遠慮は要らない。中の男に届く勝ち方は一つだけだ。符闘で、正面から、全部潰して勝つ。

 

────

 

反撃の口は、炉そのものにあった。

 

ここまでに雛を二度潰している。炉の継ぎ口が開いてこぼれた火を拾ったのは、どちらの手番でも最初の一度だけだった。

 

「エーデルガルト。あの継ぎ口、二度目を見たか」

 

「……いいえ。拾ったのは、どの手番も一度きりです」

 

「そうだろうな。名無しの装置にしては、弁の作りだけは律儀だ」

 

炉の弁は一手番に一度しか開かない。なら、開かせてから二度目を刺せばいい。言うだけなら一行で済むが、やるとなれば同じ手番の中で二度、破壊を通す必要がある。着替えには息が要る。間に一色挟んで手を補充し、呼吸を切らさずに緋へ戻る。読みは足りていた。足りないのは手数の呼吸だけで、読み合う相手のいない盤面には算術だけが残る。

 

仕掛けは手番の頭から始めた。緋衣のまま育ちの浅い一羽へ爪を届かせる。雛が砕けて炉が明滅し、こぼれた火が烈火の雛へ移っていった。弁はこれで閉じた。ここからが本番だ。蒼衣に替えて手札を二枚伸ばす。引いた二枚のどちらにも破壊の芽がなければ計画はこの手番ごと流れる——引けた。指先に緋の手応えが残っているうちに勢いを殺さず纏いを裏返す。青から緋へ。エーデルガルトの爪が二羽目の若い雛へ届いた。

 

雛が焼け落ちた。炉は明滅しなかった。灯っていた火は行き場を失い、羽根ごと灰になって床へ散った。

 

「……こぼれました」エーデルガルトの声に、珍しく熱が乗った。「今の火は、どこにも渡っていません」

 

「見たか、燎。お前の炉にも穴はある。……中で数えてるんだろう。今の手順を覚えておけ。目が覚めたら答え合わせをしてやる」

 

殻は答えない。それでいい。声は届いている。中の男が聞いているなら、ここから先の盤面は全部教材だ。目を覚ました時に、言い訳の余地を一つも残さないための。

 

初めて燎の盤面が目に見えて痩せた。押し返した、と手の中でわかる感触だった。間を置かず布石を二枚伏せて次に備える。この先に来るものが何であれ、受ける形は多いほどいい。

 

符闘はここからが数えどころだ。炉は健在で烈火の雛も健在だが、火の供給線は細くなった。細くなった線を装置がどう埋めてくるか。埋め方にこそ、組んだ人間の性根が出る。

 

「——許容の内だ」

 

燎が言った。声に悔しさはなく、損害を帳面に付けただけの響きだった。機械は損を悼まない。悼まない代わりに埋め方の計算だけが速い。

 

実際、埋め方はすぐに来た。次の展開から若い雛は烈火の雛の陰へ置かれるようになった。効果の届かない一羽を壁にして、育つまでの時間を稼ぐ配置だ。緋衣の爪は壁を素通りできない。潰す速度と育てる速度の競り合いに持ち込まれて、盤面はまた一段、熱を増した。

 

左では、風音の走る筋がまた一歩ぶん外へ押し出されていた。通り道に増えた影の層が薄い檻の形に見え始めている。速さは削れていない。削れていないのに届く場所だけが減っていく。縫って止めるとは、ああいう手順を言うのだろう。頼んだ仕事は確かに進んでいた。

 

三体目の雛が実体化した瞬間、伏せてあった布石が起きた。

 

「偽帝式:過燃の孵化槽」

 

燎の符叢の上から二枚がそのまま炉に呑まれ、灰の帯になって渦へ吸い込まれた。生まれたばかりの雛に火が無理やり灯る。育てるのではなく焼き急がせる火で、羽根の先から白く灰化していく様は育成というより消耗だった。手札が尽きかければ符叢を削って火に変える。装置には損の埋め方まで組み込まれていた。

 

「符叢まで前借りか。……利子は誰が払う」

 

燎は答えず、焰迅の一声の二枚目を切った。全ての雛の火が膨らみ、炉がまた薪を呑む。広間の熱が一段上がって松明のない祭祀殿が炎の色だけで明るくなっていく。

 

焼き急がされた雛たちは待たなかった。灰化の進んだ羽根のまま波になって押し寄せてくる。一羽を黄衣で受けて二羽目は軸をずらして流し、三羽目の火が外套の肩を掠めて焦げ跡を増やした。受けるたびに広間の灰が舞い上がり視界の底で床の紋様が明滅する。急がされた火は個々の狙いが粗い。粗いままで数と熱だけが増えていく。強くなっているのではなく、燃やし尽くしに掛かっているのだ。

 

そして灰の火は燎自身の腕にも薄く這い始めていた。

 

「世一様。あの方の体が——炉と一緒に、焼けています」

 

「見えている」

 

焼き急がされているのは炎鳥だけではない。使い手ごと同じ炉にくべられている。命じた連中の勘定にこの男が朝まで保つかどうかは入っていないのだ。壊れたら次を拉致すればいい。そういう帳面の付け方をする連中の装置がいま目の前で人間を一人、薪の束として燃やしている。

 

符闘は財産を賭ける遊戯だ。だから面白い。自分の持ち物でないものを賭け金に積む奴には、符闘に立つ資格そのものがない。この装置を組んだ人間の顔を俺はまだ知らない。知らないまま終わらせる気もなかった。

 

(刻限は夜明けじゃない。お前の体だ。——さっさと潰して、降ろしてやる)

 

燎の手が符叢の上で止まった。今夜初めての静止だった。命令が次の手順を読み込む間の、空白のような止まり方だった。

 

炉の灰が渦を巻いて中心に集まり始めた。雛たちの輪郭が灰の中で溶け合っていく。個体の形を捨てて、一つの大きな熱へ。羽根と羽根の境が消え、広間の天井へ向かって熱柱が立ち上る。床の紋様が炎の明るさに呑まれ、裁定の光の在り処も分からなくなった。伏せた二枚の位置だけを、指でもう一度確かめる。受け切れるかどうかではなく、受けた後に何を返すかだけを考えることにした。

 

「——来ます」

 

エーデルガルトが構え直した。

 

望むところだった。炉と雛と確率論——機械の組んだ式の、答えの札がようやく出てくる。隠し持ったまま符叢を尽きられるより、よほどいい。切り札は、盤に出たものしか折れない。出てきたそれを切り札ごと詰ませて、初めてこの作業は符闘になる。

 

炎育の合計が、条件の桁に届いた。

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