後編なのと切りがいいので短いですが原作と同じ部分で終えました。
キーンコーンカーンコーン
次の日の放課後
ダダダダダダ ダダダダダ ガチャ
「おお~…すっごい楽だ…っ!」
いつも練習はおじいちゃんの家でしてたから、改めて学校の使うとその差が分かった。
じいちゃんのは古いものだったから新しいであろう学校のミシンはやはり使い心地や使いやすさが違った。
「うちの学校手芸部がなくてよかったなー。放課後になれば誰も来ないから堂々とできるし」
ただあったらどうなったのかな? と考えたりもしたが、うちのクラスだけかわからないがギャル率が高いのであまり入部者はいなさそうだ(偏見)
「喜多川さん来てくれるかな~?」
今のところおおむね原作通りだから大丈夫だとは思うが、バタフライエフェクトとい言葉もある。
実際、俺はお雛様の頭を持ってきていない。大切なものではあるが、何かの拍子に壊れたり傷つくのが嫌だから持ち歩いていないのだ。
だから原作と少し違う世界ではあるため、なにか俺が分からない違いがあればもしかしたら……と不安になる。
「悩んでても仕方ないし続きするか」
そう思って再開しようとしたとき――
ガラッ
「!! き、喜多川さ…」
ガターンッ
気持ちを切り替えた瞬間だったから驚いて立った拍子に椅子を倒してしまった。
「す、すいません」
倒れた際に大きい音がなってしまったので謝罪しつつ椅子を立てた。
「ハァ…ハァ……何それ…」
顔をあげると息を荒くした喜多川さんが傍にまで来ていた。ちょっと怖い。
「すっご~い! ごじょー君ミシンできる人なの!?」
「へ?」
しまった変な声が出た。
今なら原作の新菜の気持ちが分かる。いきなりミシンができることを褒められてもまともに返せないわ。
「だからぁーミシン! なんでできんの? 選択で家庭科ないじゃん!!」
「あ、えっと…俺の家、雛人形の店やってて……。なので昔から教わって……」
「そっち系? だからか! ねっミシンで何作ってたの?」
「えっと、雛人形の服を作ってて……俺はまだ服作るぐらいしか出来ないので」
「ぇ……………服…作れんの?」
「あ、はい」
「マジ?」
「はい。でもただ縫う程度なんで、大したことじゃ」
そこまで言うとばっとシャツの上に着ていたベストを脱いだ。
その瞬間に俺も後ろを向いて喜多川さんに背中を見せた。
着せ恋を読んだことがある人は思ったことはないだろうか。この時、新菜が自分で背中を見せていれば喜多川さんは新菜を気にせずに服を脱いでいたのではないかと。
肩に紐がなかったことを考えるとノーブラのはず。
プチップチッというボタンの音やジーッというチャックなどの音で判断すればショーツ以外を脱ぎ終わった時と喜多川さん作の衣装を着るタイミングが分かるはず!
だが、これは賭けだ。覗かれたとわかれば好感度が最初から下がり、下手をすれば衣装づくりの話もなくなるかもしれない。
それでも! ここで振り向かなければ漢でないと心の中の同胞が言っている!
ガサガサ
鞄をあさっている音……!
振り返るタイミングは衣装によって喜多川さんの視線が遮られる一瞬!
スルッ
今だ!
……――
…―
「ん? ごじょー君どうかしたの?」
「いえ…大丈夫です」
ただムラムラしているだけです。
真っ白な肌、体は細いのにショーツの紐で段差ができていた腰とその女性的な肉付き、健康にいい下乳、そして一瞬だけうっすらと見えた薄ピンク色。
その光景が脳裏に焼き付いただけですので。
「そっか。じゃあ、ごじょー君こっち見て」
「はい」
そこには薄手のシンプルな黒いドレスを着た喜多川さんがいた。
「…………まだ途中だよ? 途中なんだけどー…」
もじもじとどこか緊張しているような動きをしている
かわいい
「これ…あの…どうかな?」
「…どうとは…? なんの格好…ですか?」
ス…と何も言わずスマホを渡してきた。
画面を見てみると、あの雫たんが映っていた。
うわっおっぱい柔らかそう、というかエロいあと可愛い。
雫たんて(着せ恋の世界で)生で見るとこんな感じなのか。
「え~~っとお……そ、その服を作った~…みたいな? あたしが」
画面と喜多川さんを交互に見る。
多分今真顔になっている。
さっきまでエロいな~とか思ってたのが吹き飛ぶ衝撃。
なるほど、これがあの時の新菜が受けていた衝撃か。
「…冗談ですか?」
「へっ? 冗談じゃないよ、真面目に作ったし…」
「いやだって全然違くないですか? 狙ってもここまで下手にできませんよ!」
「ええっ! あ…」
「それ裏地が必要な布ですよね?」
「裏? 裏って?」
「そこからわかってないんですか!? 信じられない…!」
少し近づいて着ているものを軽く見てみる。
「やっぱり返し縫いは全然してないし皺になってる」
袖の部分も見てみる。
「あっ! 下糸がない! これじゃ縫ったことにならないですよ! それに……あっ」
しまったと思い喜多川さんの顔を見てみると涙目になっていた。
「す、すみませんでしたぁ!!」
勢いよく土下座した。
ここは穏便に済ませることで好感度を上げられたかもしれないのに…!
つい服を作ってる者の血が騒いだというか新菜の血が騒いだというか……冷静でいられなかった。
「ちょっ…はぁ~~?! 何してんの、やめてよ!」
「いや、女の子を泣かせたんだから頭を地面にこすり付けはしないと…」
「ちょっと過激じゃない!? 全然泣いてないし怒ってもないから!」
床にぴったりとつけていた頭を少し浮かせた。
「てゆーかごじょー君、顔上げてくんない?」
言われたため顔をあげて上体を起こすと喜多川さんが窓の方へ歩き出していた。
「えっと……これはね、」
夕日が射す方へ駆けるその姿は漫画でもアニメでも見た――
「あたしが、コスしたくて作ったの!」
光を背にした喜多川さんは前よりも輝いて見えた。
漫画なら見開きで描かれていたあのシーンだ。
思い出補正、フィルターと呼ばれるものかもしれない。
だけどその再現された一瞬は名画家が描いた絵に引き付けられるような感動があった。
「コス?」
「そう!コスプレ!」
すこし呆けていた。
コスの意味は知っているのに聞き返してしまった。
「あたしね、漫画とかアニメとかゲームのキャラと同じ格好がしたいの!」
よく知っている。
一番好きが何人もいるくらいキャラが好きでなりきることにあこがれを持っていること。
「コスってね、押しへの想いを全力でアピれんのよ! 凄くない? それってもう…」
その瞬間クルっと周り後ろを向いた瞬間に短いスカート?がふわっと舞った。
「究極の愛じゃん!」
はい。究極にエロいですね。
黒のレースが入った赤を基調とするショーツで隠れ切らない柔らかな尻肉。
原作の新菜が見ていた景色を俺も観ることができたよ。
「聞いてるごじょー君!」
「あ、はいっ!」
危ないガン見し続けるところだった…。
「そんで…うちミシンないから放課後ここで作ってたんだけど、でもまぁこんな感じでかなりヤバめだし? 周りに裁縫得意な人もいなくて……」
自嘲気味だった喜多川さんの顔が真剣なものになる。
がしっ!
「ごじょー君、あたしにコス衣装作ってくれないかなっ…?」
「え?」
「無理なら…無理って言ってくれればいいんだけど……っ」
「…………」
「あのねっ、あたし…もう自分じゃどうにもできなくて……。でもどうしても雫たんに…大好きだからなりたいの! お願いっ ごじょー君!」
呼吸から感情を乗せて全部伝えたという意志と断られるかもしれない緊張、そして先ほどダメだしされたことによる断られた時の不安が姿からも見て取れた。
おそらく現時点で最後の希望で、頼むのは緊張もしただろう。
だから、これには応えてあげなければ。
握られていた手をこちらから両手で握り返した。
「わかりました。人用は作ったことがないので上手くいくかわかりませんが、できるだけやってみます!」
「ってことは……いいの?」
「はい」
「マジ?」
「はい」
「わぁ……アハハ」
不安だった顔にだんだんとキラキラな笑顔が宿っていく。
「やった~~~~~~っ!! やったやったやった! わあ~やった~~!」
あまりの嬉しさに飛び上がるとピョンピョンと跳ねながら机の周りを一周していた。
「雫た~ん雫た~ん雫たんになれる~!」
スキップをしたり飛び跳ねたりして喜びを表しつつ、その顔は嬉しすぎたようで涙が出ていた。
俺とは違う世界、二次元という突破することのできない隔たりの向こう。自分では関わることのできない世界で生きている人がいた。その人と出会うどころか会話や接触までできるなんて当時は思ってもみなかっただろう。
「え~ん…ガチで涙出てきた……。あ、でもあたしにもできることはするから、できることは少ないけど!」
「はい。そんなにその人になりたいんですね」
「うん! だってめちゃくちゃ尊いんだもん」
「【
「なんだって?」
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青柳のばら(のんちゃん)は何処の高校に通うか
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五条新菜と同じ高校
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別の高校