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「ヤッバ~! これガチで嬉しいんだけど…! ごじょー君凄すぎっ」
「サイズちょうどでしたね」
「うんっ マジ完璧!」
「あとはウィッグを…」
「待ってごじょー君」
「?…はい」
「じ…実はあたし、コスすると…き、気持ちまでキャラになっちゃうの…」
「え?」
「ごっ、ごじょ…ごじょー君、ご…ごしゅ…ご主人様ぁ…♡」
ゴクッ
「わ…私…わたひのは…恥じゅかしい所ぉ…はぁ~~っ♡ハァ~~っ♡」
「見て…くりゃひゃい♡♡」
「はっ!」
その時、目が覚めてがばっと布団から上体を起こした。
「夢……」
まあ、水着姿だったうえにポロリもあったら夢にもでるか。
あとは【ヌル女】をした影響だろうな……。
――――――――――――――――――――――――
朝学校に登校すると廊下で喜多川さんのことを話す女子学生の声が聞こえた。
「やっぱ、海夢ちゃん超かわいい~」
「足も細せ~」
「モデルとかやってるんだっけ?」
「ぽいぽいウチるとは違うもん骨が」
「やっぱモテんのかな」
「モテるでしょ~」
(なんか…改めて喜多川さんがいるって思うと、信じられないな……)
のんちゃんや美織姉ちゃんたちは幼馴染だったり従姉妹だったりで身近な存在だからあまり思わないが、いざ喜多川さんに会うと自分はあの着せ恋の世界にいるのだと改めて実感させられる。
「あっ、ごじょー君! おは~っ!」
そんなことを考えていると、喜多川さんが手を振って呼んできた。
嫌ではないが、いい意味で話題に上がるような人がいきなり公衆の前で絡んでくるのはびっくりする。
「お、おはようございます」
「土曜はありがとね~。雫たんに一歩近づいたって感じでマジ嬉しかったよ~」
「……はい、喜んでもらえているなら俺としても嬉しいです」
「ねっ、どう? 今日ノリで髪巻いてきたんだけど」
「いつもとはまた違った魅力があってかわいいと思うよ」
「でしょー!」
うん、髪を巻いている喜多川さんも普段のストレートの時とは違った柔らかな印象を与えるというか美少女にふんわりとした可愛さがプラスされた感じがする。
「何してんのー? うちも混ぜろよ~」
おそらくブドウ味の棒付き飴を舐めながら菅谷乃羽が寄ってきた。
ツインテールのせいか上半分が黒、下半分が赤と言った独特な配色になっているが可愛いと思う。
「確か菅谷乃羽さんですよね。おはようございます」
「おっす、乃羽でいいよ」
「分かりました。じゃあ乃羽さんと呼びますね」
「うん!」
かわいい…。
「おはよ~っす」
「おは~」
乃羽さんの後に八尋大空と山内瑠音が寄ってきた。
いつも4人でいることを考えると、グループで行動していたところを喜多川さんが抜けて俺のところに来たのだろう。
「おはようございます」
「何気に初絡みだよね? よろ~」
「はい、よろしくお願いします。八尋大空さんと山内瑠音さんですよね」
第一印象としては、八尋大空さんは弟とか妹がいそうな姉味を感じる。山内瑠音さんはおっとりというかふんわりした雰囲気がある。
「フルネームて(笑) 名前でいーよ」
「あたしも瑠音でいいよ~」
「わかりました。大空さん、瑠音さん」
知り合えたのはよかった。
これからも話す機会が増えるといいけど。
「アメいる?」
「ありがとうございます。アメ好きなんですか? 舐めているところをよく見かけるので…」
「そだよー。味はブドウ味が一番好きかなぁ」
「ブドウ味いいですよね。俺はミカン味も好きです」
「あーわかる~」
飴を話題に乃羽さんと少し親しくなれたと思う。
原作では描写が少なかっただけかもしれないが、喜多川さんとよく接しているわりにこの三人との会話が少なかったから会話回数等を増やしたい。
「そだ海夢、早く自販機いかないと1限始まっちゃうよ」
「ヤバッ、そーだった」
「じゃねっ、ごじょー君っ!」
「じゃあね~」
「またね~」
「じゃあなー」
「はい、また」
原作では確か分かれるとき言ってくれたのは喜多川さんだけだったはずだ。
少しは仲良くなれたかな?
「ねぇ、もしかしてあの男と付き合ってたり?」
「え~普通になくね? だって……」
うーん、気にしなければ大丈夫とはいえ、聞こえてると普通に傷つくな。
「幼馴染の彼女がいるっぽいし」
(ん?)
「だよね~、ははっ」
…多分、この場面は普通に喜多川さんには適さない的な理由だったと思うが……。
のんちゃんがいることでこんな変化も生まれるのか……。
授業終わりの休み時間
「ごじょーく~ん!」
喜多川さんが両手を広げて横にスライドしてくるという斬新な登場をしてきた。
「ねぇねぇ聞いてくれる? 今日の放課後さ、買い物行かない?」
「いいですよ、何を買うんですか?」
「衣装の材料、一回見ときたくってさ」
「わかりました」
「ありがと! 今から楽しみ~! 」
――――――――――――――――――――――――
放課後
俺と喜多川さんは【ユサワヤ】というお店にコス衣装の材料を見に来ていた。
「コスプレ専用のコーナーなんてあるんですね」
棚には布、棚上にはマネキンにコス衣装が着せられていた。
「そっ! 今は結構みんなコスするしね~。ハロウィンとか」
「なるほど…」
確かにハロウィンは子供がお菓子をもらうだけでなく年齢性別問わずコスする人はしている。
「そうだ、喜多川さん」
「ん?」
「これなんですが…」
カバンから一枚の紙を取り出して喜多川さんに渡した。
「えっ、すごっ!」
「雫たんの三面図を描いてきました」
その紙には三面図だけでなく書き込みがびっしりとされていた。
「必要なものが結構あって、【布】、【レース】、【リボン】、【バラの造花】、【靴】、【ウィッグ】、【ファスナー】、【カラーコンタクトレンズ】、【ガーターストッキング】、それから――」
「ちょっ、ちょっ…待った! ってかヤバッ! これ全部ごじょー君が描いたの!?」
「はい」
「マジすごいんだけど…!」
「これスカートがかなり広がってるじゃないですか」
「うん」
右側に描いた雫たんの正面図を見ながら話す。
「中にボリュームのあるパニエを履いたほうがいいと思うんです。既製品を買うしかないんですが…」
「オッケっ! 買お買お!」
次に中央下あたりに描いた靴に視線を変える。
「それと靴もデザインが独特で…、これも専門店で買った方がいいと思います。ゴシックロリータですよね?」
「探しとく!」
喜多川さんの返事がテンポよくて話しやすいのとちょっと面白い。
「首輪も自作というよりは既製品のほうがいいかと」
「V系ショップならあるかも。これも探しとくね!」
「よろしくお願いします」
小道具等の話の後は布を選んでいた。
「ねぇ、これとかよさげじゃん?」
指の背で軽く触れて肌触りを確かめる。
「どう?」
「そうですね……」
少し移動し、さっきと違った質感の布が置かれているところに行った。
「こっちのほうがいいと思います」
「えっ、なんで? なんか違いあんの?」
「【ヌルヌル女学院】はお嬢様学校ですから、雫たんはそれなりの制服を着ているはずですよね? 光沢のあるものより、少し厚く、重い印象の生地の方がいいかなと」
「なるほどね~!」
生地を手に取り買い物かごに入れた。
「それじゃあ、どんどん行こ~!」
その後、この店で見られる【リボン】や【バラの造花】などの小道具や材料を、喜多川さんと相談しながら見て回った。
「お会計、○,○○○円になります」
店員さんに○,○○○円を渡した。
「ちょっごじょー君っ、あたしも払うよ! ってかあたしが払うし!」
「喜多川さんには靴なども探してもらうのでここは俺が払いますよ」
「でも……」
「ここだと邪魔になってしまうので会計の後に話しましょう」
会計後
「ねぇさっきの分、あたしに払わせてくれない?」
「?…なんでですか?」
「だってごじょー君には服作ってもらうんだし、お金ぐらいはあたしが払いたいの」
「…確かに服を作るのは俺だけど、だからと言って費用を喜多川さんに全部負担させたくないんだ。俺も喜多川さんが俺の作ったコスを着てくれるのを楽しみにしてるんだから」
それにあのくらいの出費はまったく問題ないし、コス費用全額払ってもいいぐらいだ。
でも、それは喜多川さんが納得しないだろうし、今の段階の関係性ではあまりよくないと思う。
「じゃあこうしましょう。今日は俺が全部払います。衣装が完成したら喜多川さんに買ってもらった分を合わせてから多く払っていたほうにその分渡す、ということで」
「うん、 わかった!」
店があった建物の外まで出てきた。
「とりあえずこんな感じか~。荷物ありがとね」
「はい」
「おしっ、次! “スワローテイル”行こっ!」
「スワローテイル?」
スワローテイルというお店があるビルにやってきた。
エレベーターで4階に上がるとすこし暗め廊下を少し歩く。
「ここさ、入った瞬間マジビビるよ! ハンパないから!」
「? はい…――っ!」
入るとそこにはパッと見るだけでも様々なカラーのウィッグが何種類もあった。
「わぁ…――――すごい…っ!」
「でしょ~? マジ アがるよね」
「これは圧巻だ…!」
見惚れて呆けてしまいそうなほどの光景が目の間にあった。
彼女たちと出かけても見かけることのない店内であり光景だ。
とても新鮮で見ているだけで高揚する。
「あたしスワロー見んの超好きなんだよね~。楽しすぎてヤバい」
「うん……よくわかる」
壁側の棚に置かれているウィッグを眺める。
(本当にすごい……。1つの色でこんなに種類があって…――)
(どれも、
「ごじょー君」
カラフルで艶のある きれい なウィッグに見惚れていると喜多川さんに呼ばれた。
「これじゃん? 黒のミディアム」
「黒…」
「うん、雫たん黒髪だし、これ買おうよ」
「喜多川さん、こっちの色にしよう」
黒の段から一つ下の段に並べられている色を指した。
「え? ってそれ……紫なんだけど」
「うん。あのゲームはキャラごとにイメージカラーがあって、雫たんのイメージカラーって紫だよね? 一見黒のようで艶が紫のほうが雫たんらしいと思うだけど」
喜多川さんの顔をみると顔がだんだん赤くなっていた。
「……だ…だよね!」
(喜多川さんて結構大ざっぱだよなぁ…)
キャラ愛は確かにあるが、意外と細かい部分が甘かったりするな。
「だから、このブラックバイオレット……いや、こっちのディープバイオレットかな」
黒髪に見える雫たんにはブラックバイオレットがいいかとも思ったが、イメージカラーを強調するために一段階明るいディープバイオレットにした。
色を決めると視線をロングのウィッグが並ぶ棚へと移す。
「それから、髪の長さもロングにした方がいいと思う」
「なんで?」
「雫たんは前下がりボブだからミディアムだと長さが足りない。ロングを切って使おうか」
「オッケ! サロンで担当の人にカットしてもらう!」
「いいね、プロの人なら問題ないと思う」
「………ホントはさ、今日一人で来るつもりだったんだけど」
「え?」
「さっきの店でもここでも、あたし完全に違うのばっか選んでるし冷静にヤバいじゃん?」
喜多川さんが大ざっぱなせいもあると思うが、ここは専門的な視点があったから選べたところもある。
だからそんなに気負わなくていいと思うが……。
「ごじょー君がいてくれてマジよかった。サンキュッ」
「…………うん」
“いてくれてよかった” ……言葉自体も嬉しいし、なにより喜多川さんにそう言ってもらえたことが嬉しかった。
「それじゃあウィッグも決まったから会計しようか」
袋に入った購入用のウィッグをもってレジに向かった。
「あ、ごじょー君、カラコンも買っていい?」
「うん、良いのがあったならついでに買っておこうか」
「サンキュー。んじゃあ、後は…」
「ガーターとストッキングっ!」
俺と喜多川さんは今、女性ものの下着の店に来ていた。
「どうぞご覧くださ~~いっ」
「喜多川さん、あとどのくらいかかりますか?」
「ん~? もうちょい?」
うーん、女性ものの下着のお店には彼女たちと来たことがあるが、相変わらず慣れない。
この居心地の悪さというか肩身の狭さ、部外者感というかここに居てはいけないんじゃないかって感じがすごいんだよね。
彼女たちの試着した下着姿を見れたりするから来る分には嫌ではないが、この気恥ずかしさのような居心地の悪さは慣れないんだよな~。
「ごじょー君、ヤバい!」
「うわあっ」
いきなりだったのでちょっとびっくりした。
「どうよ~?」
カーテンの隙間から見せるように脚とガーターベルトを見せてきた。
いや、隙間というかがっつり下半身、ショーツやらがしっかり見えている。
これ見せるというより最早見せつけてるよね?
「いい感じじゃない?」
「はい、いいと思います。それでその…見えてますよ」
カーテンを少し閉じて万が一他の男性客が来た時、見られないようにする。
「ってゆーか、今日つきあってくれたお礼しなきゃな~みたいな? もっとエロいやつのがよかった?」
ふーん、そういう風に揶揄ってくるんだ?
俺はカーテンを閉め切って、上半身だけカーテンをくぐった。
「そうですね、今はいているのも魅力的ですが」
見せつけていた生脚に、その太腿の外側を指先で触れるかどうかの距離に手を近づける。
「んっ…」
太腿の外側から内側へ、滑らせるように動かす。
指先が少し掠るようで、こそばゆいようだ。
「もう少し透けてて、こちらを誘っているような煽情的なものだとより嬉しかったです」
太腿の内側から付け根へゆっくり手を動かしていく。
「…っ♡………んっ……」
そして股のところへ到達――
「なーんて、冗談です」
ぱっと両手を喜多川さんから離し、無実を表すかのように肘を曲げた状態で両手を挙げた。
「っ!……むーっ」
頬を膨らませてむくれている顔も可愛い。
「あはは、揶揄い返しです」
くるっと喜多川さんに背を向けた。
(あっぶね~っ! 続行して襲っちゃうところだった…)
更衣室という密室に相手から下着を見せつけるという行為、そして耳に入って来る喜多川さんから漏れる声。これらが雰囲気を作り俺を流そうとした。
ん? 更衣室でヤったことあるのかって?
…………さあ? どっちだろうね。
女学生が話してるところを原作通りに会話させて、それを のんちゃんが怒る展開にしようか迷ったけど、原作と違っておどおどはしないし内向的でもないから評価も変わると思って無しになりました。
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