娼館IFルート
フィオは娼館の受付係に案内され、奥の部屋へと足を踏み入れた。重厚な扉の向こうは薄暗く、柔らかなランプの光が石造りの壁を照らしている。床には水滴が跳ねた跡があり、かすかに海藻のような匂いが漂っていた。
「ここにお待ちください」
受付係が退出すると、静寂の中に触手が蠢く音だけが残る。天井から垂れ下がる太い触手がゆっくりと降下し、フィオの視界に入った瞬間、息が詰まった。いつも森で出会う個体とは全く違う──交接腕の形状だ。
何層にも重なった鋭いエラ状の突起。まるで螺旋状の剃刀を思わせる凶悪なフォルム。それでいて先端は不釣り合いなほど滑らかで丸みを帯びている。娼館で使役されているというのに、この個体は明らかに「快楽」という名の暴力性を秘めていた。
(……怖い。でも)
恐怖と同時に込み上げる期待。ローブの下で秘所が熱く潤んでいる。フィオは震える指で下着を脱ぎ捨て、素足で触手へと近づいた。驚くべきことに、触手は拘束しようとしない。代わりに複数の交接腕を眼前に並べ、選択を迫ってきた。
(躾けられてるって本当なんだ)
森の個体は問答無用で捕らえに来る。だが目の前の触手は、客として扱ってくれている──あるいは客の反応を愉しむ猟犬の賢しさか。並ぶ交接腕のうち、最も数多くのエラを持つ一本にそっと手を伸ばす。
ぬめる表皮が掌に絡みつく。フィオは自らの膣口に導くよう促し、身体を触手に預けた。触手は彼女を受け止め、優しく横たえるように体勢を整える。そして予想外の行動に出た──挿入前に、外側からの射精。膣口へ直接叩きつけられる濃厚な粘液。白濁した糸が内腿へ垂れ落ちる。
「っ……そんなことしなくていいのに」
抗議の言葉は快楽への渇望で霞む。確かに濡らす必要はない。子宮がすでに期待で震えている。けれど触手は娼館のルールに従い、挿入前の前戯を欠かさなかった。
(こんな丁寧なのが、逆に……)
触手は返しを備えた交接腕を慎重に膣口へ押し当てた。ぬぷりと侵入が始まる。最初のエラが膣肉をかすめる──「あッ!?」
想定以上の刺激が背筋を走る。次々と現れるエラが内部を撫で上げ、削ぎ落とし、押し広げる。一突きごとに異なる角度で刺激され、フィオは爪先まで戦慄した。
(ダメ……こんな……)
子宮口をこじ開けられると同時に、触手が静かに射精を始める。ドクンドクンと脈打つリズムが体内で響く。膣壁を舐めるエラがさらに蠢き、収縮する性器がそれを強く締め付けることで、より詳細な輪郭を感じ取ってしまった。
「ひっ、あ……! エラ……動いて……!」
淫紋が発光し、射精と絶頂の二重奏が彼女を襲う。触手は穏やかに律動を続けながらも、射精を止めようとしない。子宮内に溜まっていく熱量。そこに宿るかもしれない生命の種子──禁忌の予感が背徳感を加速させる。
(孕んじゃうかも……でも……こんなの……気持ちよすぎる……)
フィオは両手でお腹をさすった。子宮のある位置を確かめるように。そして深く息を吸い、膣全体で交接腕を締め上げた。娼館の個体といえど、その反応には満足したようだ。最後の一滴まで絞り出すような蠕動を伴い、さらに深く射精が続く。
「もっと……全部……ください……」
背徳の言葉が甘く零れる。子宮が満たされる快楽と、異種族の命を宿す恐怖。相反する感情が混じり合い、フィオの瞳に涙が滲んだ。だが指は下腹部を撫で続ける。今この瞬間だけは、すべてを忘れて快楽に溺れていたい──その願望こそが、彼女を完全に堕とした証だった。
触手は射精を終えてもなお、エラの一つひとつを確認させるように緩慢な抽送を繰り返す。フィオは声を上げる余裕もなく、ただお腹を撫でながら最後の一粒までを味わった。淫紋の光が淡く揺れ、胎内に注がれた禁忌の種を祝福するかのように輝いていた。
精液オナニー
薄暗い室内に精液の甘い腐臭が立ち込める。フィオはベッドの上で膝を抱え、硝子の小瓶を握りしめていた。森から持ち帰った触手の精液——粘稠な白濁が瓶底で不気味に揺れている。蓋を開けると、とろりと指が沈み込んだ。
「……んっ」
中指を引き抜くと、蜘蛛の糸より太い粘糸が指先と瓶の間を繋ぐ。それでも十分な量が指に絡みついていた。月明かりに照らされたその滴が艶やかに光る。フィオの喉が鳴る。
(今から……自分で……するの……?)
触手に犯された日々が脳裏を掠める。強制された快楽。だが今は違う——完全なる自主行為。しかも子宮は空虚。しかも排卵日。このまま進めば……確実に異種を孕んでしまう。だが本能はそれを求めていた。一度味わった受胎絶頂の甘さが理性を蝕む。
彼女は腰を高く上げた体位でベッドに俯せた。片手を股間に添え、中指を膣口に当てる。湿った膣口がひくりと蠢いた。精液を纏わせた指をゆっくり沈めていく。
「ふぅ……んっ……」
挿入と同時に淫紋が疼き始める。触手の粘液が指を通じて直接子宮へと導かれる感覚——それだけで軽い絶頂が襲う。子宮口が緩み、指先がくぱりと押し広げられる。精液を奥へ押し込むと、淫紋が明滅を激化させた。
「ひぁっ……!?」
子宮全体が脈打ち、背筋を電流が駆け上がる。触手に犯された時の絶頂と寸分違わぬ衝撃。膣肉が指を締め上げる。絡みついた粘液をさらに奥へ誘う蠕動。
(だめ……これ……癖になる……)
理性の最後の糸が切れた。フィオはもう片手で瓶を掴むと、中の精液を慎重に膣口へ傾け始めた。ねっとりとした塊が滴り落ちるたびに指で攪拌しながら奥へ導く。子宮内へ流れ込むたび淫紋がじわじわと熱を放つ。排卵日の子宮が精液を歓迎するかのように収縮を始める。
「あぁ……すごい……全部……きて……」
半分ほど注ぎ終わった時、不意に子宮底が破裂するような衝撃が走った。
ドクンッ!
一度目と同じ受胎絶頂——快楽の雷撃が脊髄を焼き尽くす。フィオは瓶を落とさぬよう必死にベッドサイドへ置くと、枕に顔を埋めながら体を痙攣させた。腰を高く上げたまま、絶頂の波に飲まれていく。
(孕んだ……また……あの子を……)
快楽が落ち着くと、フィオは腰を落とした。ぼんやりと淫紋の光る下腹部を見つめ、指をゆっくりと引き抜く。絡みついた精液が驚くほどの粘性で指先にまとわりついている。まるで生き物のように糸を引くその姿に、フィオは狂おしい笑みを浮かべた。
(こんな……ねっとりしたもので……私…)
精液まみれの指を子宮口に押し当て、ぐりぐりと円を描くように撫で回す。次の出産まであと数ヶ月。その時はまたこの瓶の中身で——受胎絶頂を繰り返す。未来への期待と恐怖が入り混じる愉悦の中で、フィオは長い夜を過ごした。
窓の外で梟が鳴く。精液の匂いが充満する部屋で、新たな胎児が卵管を移動する微かな動きだけが、禁忌の成果を告げていた。
自作触手ディルドオナニー(射精機能付き)
月明かりが差し込む部屋に、フィオの荒い息遣いだけが響く。ベッドの上に横たわる彼女の足元には、鈍く光る魔法製の器具が置かれている——触手の交接腕を忠実に模した太いディルド。先端は精巧な子宮口押し付け機構を備え、後部には精液タンクとポンプが接続されている。
(……本当に作った……触手のあれを……)
恐怖と期待が入り混じった指先が、そっとディルドに触れる。表面は粘膜に似た魔法素材で覆われ、冷たいのに生暖かいような不思議な触感。フィオは震える手で下着を脱ぎ捨て、M字に脚を開いた。内腿を濡らす愛液が、彼女の準備万端であることを物語っている。
「んっ……ふぅっ!」
ディルドを自ら膣口に押し当てる。ぬるりと侵入する異物感——だが彼女は怯まない。根元まで一気に挿入すると、先端が子宮底にコツンと当たる感触が脊髄を走った。子宮が震える。淫紋が淡く輝き始める。
(普段は触手が勝手に動くのに……今日は私が……)
フィオは自らの意思でディルドを前後に操る。普段の乱暴なピストンではない。自ら子宮底に先端を擦り付ける官能的な動き。子宮口を圧迫する亀頭の形状——それが彼女の意志で繰り返される倒錯。
「ひぅっ……奥…いい……」
奥を責めるたび、膣壁が収縮してディルドを締め上げる。淫紋の光が明滅する。もう限界だった。フィオはタンク上のポンプに手をかけ、ぎゅっと握りしめた。
(来て……射精して……)
バシュッ! 内部で圧力がかかり、ディルドの先端から温かい粘液が迸る。擬似的な射精の勢いが子宮底を叩き、淫紋が爆発的に光った。
「あ゛ああぁっ!!」
背筋が弓なりに反り返る。子宮内で跳ねる精液の量感——それは触手の実物よりずっと少ないはずなのに、支配されることへの罪悪感が快楽を倍増させる。フィオは喘ぎながらポンプを握り直し、再度注ぎ込む。間隔を空けながら注入するたび、タンクの内容量が減っていく。触手の精液特有の粘度が子宮内壁に絡みつき、重く満たされていく感触。
「どんどん……入って……くる……」
三度目。四度目。五度目。タンクが半分を超えたころ、フィオの腕から力が抜けた。ディルドを掴んでいた手が離れる。背中をベッドに預け、脚を開いたまま天井を見上げる。ポンプを押す指先だけが動いている。射精の勢いが衰えても、内部の精液は次第に子宮底へ溜まっていく。毎回の注入で淫紋が反応し、軽い絶頂が繰り返される。
「もっと……全部……私の中に……」
残量が三分の一になったとき、フィオは最後の力を振り絞ってポンプを押し込んだ。バシャッと音を立てて最後の精液が子宮内を満たす。ディルドが栓となって溢れさせないよう固定される。彼女はその状態で意識を手放した。
排卵日は数日後。今夜注がれた精液が残っていれば——新しい子種を待つまでもなく、彼女は受胎してしまう。眠るフィオの下腹部に刻まれた淫紋が、胎内の精液の存在を肯定するかのように静かに光っている。禁忌の卵が熟成する時間だけが、静かに過ぎていった。
おまけ
朝日が薄いカーテン越しに差し込む部屋で、フィオはぼんやりと目を開けた。腰の奥に鈍い重みがある。昨夜の狂宴の余韻——ディルドの冷たい金属感と、胎内に滞留する粘液の存在を鮮明に思い出す。慌てて起き上がり、バスルームへ向かった。
熱いシャワーの湯気が浴室に満ちる。フィオは慎重にディルドを抜き去った。栓が外れた瞬間、濃厚な精液が内腿を伝い落ちる。排水口へ流れゆく白濁の塊。しかし彼女は立ち止まった。膣内にはまだ大量の粘液が残っている。排卵日は明日に迫っている。
(どうしよう……)
科学者の冷静な部分が囁く。「処理すべきだ。人工授精と違って精液の生存率は低い。無駄になるだけだ」だが女の本能が牙を剥く。「このままにしておけば……?」胎内の粘液が生きているかのように子宮を圧迫し続ける。
葛藤の末、フィオはシャワーヘッドを下腹部に向けたまま立ち尽くした。指先で膣口を広げれば精液は流れ出る。でも——
「……ダメ」
小さく首を振る。指を引っ込めると同時にシャワーの湯が流れを妨げた。精液はそのまま子宮内に留まる。淫紋がじんわり熱を持つ。禁忌の証拠を抱えたまま、フィオはタオルで体を拭いた。
部屋に戻る足取りが重い。歩くたびに粘液が子宮内でねっとりと揺れる。触手の精液特有の高粘度——精管を通るときより濃縮されたそれが、子宮壁に吸着しながら揺れ動く。一歩ごとに粘糸が引くような感覚。質量のある液体の存在が下腹部を重くする。
「んっ……」
淫紋が淡く輝く。緩やかな快楽が背筋を伝う。まるで胎内の精液が淫紋に共鳴しているかのようだ。排卵日まであと一日。このまま放置すれば——
(妊娠……できる……)
禁忌への期待が脳裏をよぎる。科学的理性は警告を発するが、淫紋の快楽と精液の質量感に抗えなかった。フィオは椅子に腰掛け、下腹部に手を当てる。熱を持つ淫紋を撫でると、胎内の粘液がさらに濃厚に感じられた。
粘度の強い精液は容易に流れない。子宮頚管を塞ぐように滞留し続ける。明日の排卵を迎える頃には、卵子を待つ精子たちがすでに準備を整えているかもしれない。その想像だけで淫紋が激しく脈動した。
「早く……来て……」
囁きは誰に向けたものか。明日の卵子にか、胎内の触手の命にか。フィオは淫紋を押さえながら、来るべき受胎の瞬間を夢見た。禁忌の境界線で踊る彼女の瞳に、朝の陽光が妖しく反射していた。