※この作品はR-18です。

東方オフパコ❤コスレイヤー 憧れの穣子ちゃんコス人妻お姉さん編   作:鍵山ゆーな

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起

 嶋田(しまだ)遥(はる)香(か)はつい数か月前に夫と結ばれたばかりの、新婚の女性である。

 

 彼女の母の出自(ルーツ)は欧州圏にある。彼女自身は日本人父とフィンランド人母との間に生まれた混血(ハーフ)で、母親譲りの恵まれた体型と琥珀色(アンバー)の短髪が特徴的な、見目麗しい女性だ。

 

 遥香は自身の髪型・髪色を生かして、十八歳の頃から趣味で秋穣子のコスプレイヤーをしているという事を新婚の夫である真也(しんや)には隠したままだった。

 

 彼女は別に隠す意図は一切なかったのだが。夫にその事を黙ったままだったのは、言い出す機会も、自宅の中で衣装が見つかって問い質されるようなことも無かったからだ。

 

 真也は遥香のオタク趣味に不干渉であり、かつ、それらに興味も持とうともしなかった。だから彼は、妻が数多の同人誌即売会に日帰りで出向いているという事にも無頓着だった。

 

 結婚早々主任への昇格があった真也は、毎晩二十時以降の退勤となる程には忙しい日々を送っていた。

 

 二人の出会いは遥香が大手IT企業に新卒で入社した際に、彼がたまたま彼女の新人教育担当になったという出来事が切っ掛けだった。

 

 彼女に一目惚れした真也が猛アタックしたことで、その熱意に折れた遥香が要求を受け容れて、彼等は交際することとなったのだった。

 

 遥香は新人教育終了後別の部署に配属となったため、真也のような多忙とは無縁だった。その忙しさの質の違いが、二人の運命の歯車を徐々に狂わせていた。

 

 彼女は新婚なのにも拘らずなかなか夫から愛情を注がれるような状況に至れていないことを不満に思っていた。それに真也が気付けていないのが、二人にとっての不幸だった。

 

 

 九月の下旬、遥香は大阪南港で毎年秋に行われる東方紅楼夢における売り子先を探していた。

 

 彼女がいつも売り子として参加させて貰っている、世話になっているいくつのサークルが今回に限って不参加であったり、既に売り子が決まっていたりと、いくつもの事情が重なったことで、彼女は所謂「難民」状態に陥っていた。

 

 そんな状況であり、時間的な余裕もなかった遥香は、やむなく売り子として参加させてもらえるサークルを自身のSNSアカウントを通じて募ることにした。

 

 早速いくつもの人物から打診があったが。遥香がその中から選んだのは、紅楼夢におけるサークル参加が初めてであるという、とある相互のフォロワーだった。

 

 その人物は、同人誌即売会自体も初参加で、右も左もわからず知識が足りていないそうなのだが、売り子がおらず困っているとのこと。

 

 彼は秋穣子が推しであり、穣子の美麗かつ色香のあるイラストを頻繁に掲出している作家だ。その人物と遥香とはよくSNSを通じてリプライやメッセージを送り合っている懇意の仲だった。だから彼女はその依頼を折角なので、と快諾していた。

 

 

 東方紅楼夢が行われる当日。遥香は会場であるインテックス大阪の時計塔の前で、件のフォロワーと待ち合わせをしていた。

 

 約束の時間が近付いたところで、遥香に声を掛けてきた人物が。

 

 その青年に、遥香は見覚えがあった。だから、

「あれっ、きみは……あの時の、少年……!?」

彼女は思わず驚いて声を上げてしまう。

 

 遥香が覚えていてくれた事に嬉しそうに笑みを浮かべながら、遥香が今日売り子をする新興サークル「明るいノーソン」の主であるペンネーム「村長」こと寺元(てらもと)圭(けい)太(た)は、

「その節は大変お世話になりました。本当に助かりました」

改めてあの時の礼を丁寧に口にする。

 

 二人の最初の出会いは、八年前の夏コミに於いてだった。当時小学生であった圭太は、同人作家であった父母に連れられて東京国際展示場(ビッグサイト)へと足を運んでいた。

 

 その時、彼はコミケの事で我が子に気を配る余裕を失っていた両親に置き去りにされた挙句、初めて経験する尋常ではない人波に呑まれてはぐれ、迷子になってしまったのであった。

 

 ガレリアのコスプレエリアに彷徨い出て右も左も分からず涙目でおろおろしていた圭太を偶然見かけた、秋穣子の衣装を着ていた遥香が声を掛けた。それが二人の馴れ初めであった。

 

 その時は遥香が心細さから今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた圭太の手を優しく引いて慰めながら、コミケット準備会の本部へと連れて行った。それで彼は無事両親と合流することができ、事なきを得た。

 

 圭太はその時手慣れた様子で自分を助けてくれた、当時は見ず知らずの遥香に幼心ながら一目惚れしてしまっていて、以来ずっと憧れていたのだった。

 

 

 彼女に追いつくにはどうすべきかを考えた時、圭太の武器となり得たのは親から受け継いだ絵心だった。

 

 圭太の両親は有名な漫画作家で、普段は商業原稿と同人誌即売会参加で予定がびっしりと埋まっている。

 

 故に彼は十分な額の生活費は両親から得ていたものの、実質的に育児放棄気味の家庭で育ってきたと言っても過言ではなかった。

 

 早々に家事力などの面で親から自立せざるを得なかった圭太は、その過程で時間管理の術を身に着けたことで、学業の合間にイラスト作成の技法を学ぶ時間を作り出してめきめきと頭角を現していった。

 

 圭太の両親は共にコスプレ界隈でも美貌を誇る事で有名だった。彼はそんな両親のそれぞれの長所を色濃く受け継いでいて、所謂「イケメン」と呼ばれる部類の整った顔立ちをしていた。

 

 故に級友の女子から言い寄られる事も多々あった。だから圭太は、性の目覚めからこのかた、性欲発散の相手に困った事は一度もなかった。

 

 圭太は付き合った女子に求められて一度以上肉体関係は結ぶことが多かった。しかしながら、その相手の事をどうしても初恋の相手である遥香と比較してしまい、違和感や見劣りを覚えてしまう。

 

 だから、数か月交際していると、彼はそれに耐えきれなくなってくる。結果として、圭太の方から一方的に関係の解消を申し出る事が常だった。

 

 そういった行動を続けていた彼は、ある時振った女子からの逆恨みで悪評を立てられてしまう。そのことで、彼は高校を卒業する頃には「女癖が悪い」と後ろ指をさされ続けていた。

 

 そんな陰湿な環境に嫌気が差した彼は、進学先を地元から離れた関東地方の学力が高い国立大学に選んでいた。

 

 当然、同級生の学力では到底辿り着く事ができないであろうそこへと進んだのは、学年で圭太ただ一人。

 

 彼が通っていた高校では、その大学への現役合格者が出るというのは今までにない快挙だった。圭太はその事で教師からは絶賛を受けていた。

 

 然るに、同級生達はそれも気に入らないようで、それについても矢鱈と妬まれるばかりであった。

 

 

 果たして、新たな環境での再起を図った圭太は、進学した大学に半ば潰れかけていた漫画研究会がある事を知って、それに入部していた。

 

 彼はそこで出会った、在学中に連載デビューをする程の卓越した画力を持つ先輩のアシスタントを務める事になる。

 

 学業の傍らでそうした技術力の向上につながる活動を地道に続けているうちに、圭太の画力も比例していつの間にか飛躍的に向上していった。

 

 そんな彼が遥香のものであると思しきSNSのアカウントを発見したのは丁度その頃だった。

 

 高校生の時分から見られる事に興奮を覚える性癖を持っていた遥香は、承認欲求と性欲を満たす為、時たま自らのSNSアカウントで秋穣子のコスプレ衣装から下着を露出させた自撮り写真を公開していた。

 

 圭太はそのアカウントが掲載している写真の衣装の再現性の高さと、幼い時分に目に焼き付けていた遥香の右手の特徴である二連の黒子が、公開された画像にも写っているといったところから、それが想い人のアカウントであることを確信していた。

 

 遥香であると思しきそのアカウントをフォローした圭太は、その人物が投稿していた下着を露出しているコスプレ自撮り写真のうち、自身が一番色香があると思うものを選んでイラスト化して、描いてみました、という体にして贈ってみた。

 

 それに対する反応は彼の予想以上で、そのアカウントからは即座にフォロー返しが来たのもさることながら、ダイレクトメッセージで丁寧にお礼のメッセージが送られてきた。

 

 それ以来、二人はそこそこの頻度でやり取りを交わす間柄となっていったのだった。

 

 そんな仲の良い相互フォロワーがまさか高校生の時分に助けてあげた小学生の子で、今日売り子をするサークルの主だったとは露とも思っていなかった遥香は、少し前に特別に撮りおろした下着姿の写真を彼に送ってあげていたという事を思い出して、赤面していた。

 

 一方で、遥香はこの運命的な再会にときめきのようなものを自覚していた。新婚の夫との交渉の機会がここのところめっきり減っていた彼女は、顔立ちの良い青年に逞しく育った圭太に、常日頃から下着姿を見られていたと考えると、身体が火照って仕方がなかった。

 

 

 遥香と共に会場入りした圭太は、彼女から着替えに向かう前に教示されていた手筈で、スペースの準備を急いでいた。

 

 そうしていると、穣子の衣装を身に纏った遥香が戻ってくる。以前と変わらずの美しさと可愛らしさ、それでいて大人の色香も漂わせるようになっていた彼女の姿に、圭太は思わず見惚れてしまう。

 

「やだ、もう❤ なぁに、じっと見ちゃって❤ そんなに憧れのお姉さんが目の前にいるのが嬉しいのかな?」

「わ、ごめんなさい……。あの時から全然変わってなくて、すっごくきれいで、つい……」

 

 満更でもなさそうに頬に紅葉を散らしながら軽口を叩く遥香に、圭太はこくこくと二度頷くしかできなかった。

 

「ふふ、ありがと❤ コスを褒めて貰うのはすっごく嬉しいけどさ。ほら、早く準備終わらせちゃわないと、開場までもう時間ないよ?」

 

 容姿を褒められて擽ったそうにはにかんだ遥香が、ふとスマートフォンの時間を確認して注意を促す。彼女の指摘通り、一般参加者の入場開始まで残り三十分を切っていた。

 

 彼女に背中を叩かれた圭太は、準備作業を目一杯急く。その甲斐があって、彼等に用意されたスペースはぎりぎりのところで準備を開場までに間に合うことが出来たのだった。

 

 圭太は既にインターネット上では美麗なイラストを投稿する作家として名を馳せている。その神絵師の卵が、東方の供給が相当少ないマイナーキャラの同人誌を紅楼夢で出すという噂は、瞬く間にネット上に広まっていった。

 

 特に穣子を推す界隈の反応は衝撃的(センセーショナル)なものであったと言っても過言ではなかった。

 

 故に、今回の紅楼夢が、彼が初めて出展した即売会であるにも関わらず、彼のサークルスペースの前には開幕早々人だかりが出来始めていた。

 

 ここまで自分の同人誌を求めてやってくる人がいるとは想定外だった様子の圭太は驚き、戸惑っていた。だが、熟練の売り子である遥香がそれを的確にカバーしたことで、彼等のスペースは大きな混乱が起きる事は無かった。

 

 そんな大盛況の状況であったことから、圭太のサークルは昼前には持込部数の全てが完売するという、初参加としては快挙というべき戦果をあげていた。

 

 

 遥香の手伝いもあって手早く撤収の準備を済ませてしまった圭太は、彼女に誘われてコスプレ撮影が認められたエリアへと足を運んでいた。

 

 彼女の意図は「イケメン」に成長した圭太を同伴することで所謂「虫除け」の効果を期待したものだった。

 

 普段からSNSでは人妻であることを秘匿している遥香は、即売会などでコスプレの写真撮影が可能なエリアへ赴いたならば、必ずと言って良いほど有象無象の男から軟派の声掛けを受ける。

 

 純粋な写真撮影の依頼ならばともかくも、左手に指輪が付いているのにも関わらずそれでも構わないから、としつこく誘ってくる男があまりにも多かった。

 

 それに辟易してしまった遥香は、本来雰囲気が好きで度々訪れていたそういった場所から足が遠のいてしまっていたのだった。

 

 今回圭太を連れ立ってコスプレエリアへと出向いた効果は、遥香が思っていた以上に覿面だった。普段なら着いて五分も経たないうちに軽薄な男に声掛けをされるところ、今回に限ってはそういった人間が寄り付くのは一時間を過ぎても皆無だった。

 

 圭太も遥香の意図を汲んで、女性との間合いや距離感が分からずぐいぐい来るオタクが現れた際に間を取り持ったりと、彼女から求められた役目を十二分に果たしていた。

 

 そうこうしているうちに、時間は十四時を回っていた。共に関東からの遠征で日帰りの予定だった二人は、そろそろ本格的に撤収を開始しなければならない。

 

「今日はありがとね! そうだそうだ、まだ、きみから私のこと、撮ってもらってなかったね。村長くんの一番いいと思うポーズとアングルで私のこと撮影してほしいな❤」

 

 撤収間際、遥香がそんな提案をしてくる。それに暫し逡巡してしまった圭太が咄嗟に思いついたのは、自分の初めての同人誌を手に携えた遥香の姿を正面からというものだった。

 

 今までそんな構図を指定されたことがなかった彼女は、頬に紅葉を散らしつつも、はにかみながら彼の指示に応じる。

 

 遥香の姿を一通り撮り終えて笑顔を見せる圭太の横に、やはり笑顔の彼女が小走りで駆けてくる。

 

「じゃ、最後に、一緒に撮ろ❤ ほら、カメラカメラ」

 

 彼女は無遠慮に圭太の左腕を抱いて、ツーショットの撮影を急かした。

 

 穣子のコスプレをした豊満な体つきの美女に腕を抱かれているというその様子を目撃した通りがかりのオタクたちから羨望と嫉妬の眼差しを向けられた圭太は少し困惑しつつも、腕に当たる柔らかな感触にとぎまぎしながら、自身のスマートフォンで撮影を始める。

 

「ん、バッチリ撮れてるね! そだそだ。ついでにチャットも交換しちゃおっか。あとで今撮ったの送ってね❤」

 

 彼の端末を覗き込んで撮影された写真の内容を確認した遥香に言われるがまま、圭太は自然な形で彼女と連絡先の交換を済ませる。機会を見計らってそれを言い出そうとしていた彼は、思わぬ幸運に内心手放しで喜ばざるを得なかった。

 

 遥香はこの後更衣室へと向かわねばならないため、二人はその場で解散することとなる。

 

 憧れていたお姉さんと再会できただけに留まらず、その彼女と連絡先まで交換できてしまうという想像以上の成果を得る事が出来たことで、往路よりも軽くなった荷物を引き摺りながらコスモスクエア駅まで移動する圭太の表情は、実に満足気であった。

 

 

 新大阪駅に到着した圭太は、先程交換した遥香の連絡先へ、チャットアプリを用いて写真と今日の御礼を送信する。すると彼女から

「今日は本当にありがとうございました! 写真もありがとうございます! 短い時間でしたがとても楽しかったです。また機会があれば是非売り子に誘ってください!」

早速丁寧な返信が届いた。

 

 圭太はそれに対する返信で、申し込んでいた冬コミの話題を遥香に振った。その上で、当選した暁には、できれば続けて売り子をお願いしたい、と彼女に打診してみた。

 

 それに彼女は、

「わー! すっごく嬉しいです! 是非お願いします!」

やはり丁寧な形で快諾の返事を送ってきた。

 

 そうして二人が数度やり取りを交わしているうちに、それなりの時間が経過していた。圭太はそろそろ乗車する新幹線の時間が近付いて来ている事に気付いて、予約サービスで示された指定の列車がやってくるホームへと移動する。

 

 彼が途中ホームにあった売店で昼食の駅弁を買い込んで、乗車位置に到着してから暫く。博多からやってきた新幹線がホームに滑り込んで来た。

 

 列車のドアが、頑丈そうな安全柵の自動扉(ホームドア)と共に開く。圭太は荷物を引き摺ってそれにいそいそと乗り込むと、自身に割り当てられた座席へと腰掛ける。

 

 彼は今回窓際の席が取れなかった事を憂いていた。往路では朝早くであったため問題なく取れたものの、復路の列車は三連休の夕方ということもあり、窓際の予約は既に埋まってしまっていたのだった。

 

 圭太は今回止む無く通路側の席になってしまったことから、新大阪から隣の席に誰かが乗ってくるのだろう、と見越していつでも立ち上がって道を譲れるように構えていた。

 

 然るに、それらしき人物が現れないまま列車は新大阪駅を発車してしまう。

 

「新大阪からご乗車のお客様、いつも新幹線をご利用頂きありがとうございます。のぞみ○○号、東京行です。この先、京都・名古屋・新横浜・品川の順に停車して参ります――」

 

 車掌の車内放送が流れる中、圭太は車掌が通りがかった時に隣の客の状況を聞こうと志していた。

 

 圭太は一先ず京都駅に到着するまでは隣席の人物はいないものと了解して息を吐いていた。そんな彼の許へ、

「ふーっ、危なかったぁ! 何とか間に合ったよぉ……」

呼吸を乱しながら、一人の女性が近付いてくる。

 

 その人物の声に非常に聞き覚えがあったから、圭太は思わず振り向く。彼の目線の先には、右手にキャリーを、左手に予約票と大阪名物の豚まんの袋を携えた遥香が立っていた。

 

「えーっと、17E……っと。あれ? 村長くん……? なんだ、同じ列車だったんだ。すっごい偶然だね!」

 

 自分の席を探していた遥香が、先程別れたばかりの人物の姿を視認して驚く。

 

「はるさんの席、17Eって、僕の隣ですね……」

「マジ!? そんなびっくりな偶然ある!?」

 

 しかもどうやら、二人は席が隣同士であるらしい。そんな奇縁に二人は揃って目を丸くしていた。

 

「取り敢えず、中どうぞ。キャリーは荷物棚に上げますんで」

「わー、助かる! ありがとう!」

 

 圭太は立ち上がって遥香に場所を譲りつつ、彼女の荷物を備え付けの荷物棚の、自身の荷物の横に収納した。礼を口にした彼女は大きく息を吐いて乱れていた呼吸を整えている。

 

 果たして改めて並んで座った彼等は、先程会場で別れの挨拶を済ませた手前、それぞれぎこちなく苦笑する。

 

 二人は暫し無言だった。だが、どちらともなく彼等の腹が空腹であることを知らせて鳴ったものだから、

「ふふ、そうだよね。今日は二人共忙しくてご飯食べる暇なかったもんね」

その様に遥香は遂に笑い出してしまった。圭太もつられて照れ笑いを浮かべる。

 

 彼女が先程まで携えていた、買い込んだ昼食が目一杯に詰まった袋を座席に備え付けられている簡易な物置へと広げる。圭太もそれに合わせて、先程買い求めていた駅弁を彼女に倣って広げてゆく。

 

 遥香が新大阪駅で購入してきたと思しき飲茶類の数は、到底一人前とは思えない程の量だった。

 

 彼女の随分と健啖な様子に圭太が目を丸くしていると、

「わたしってば、欲張りなところがあって……色々と目移りしちゃってさ。いっつもついこうして買い込んじゃうんだよね……」

遥香は自らそれが癖なのであると、頬に紅葉を散らしながら恥ずかしげに語る。

 

 それが切掛で、二人は暫し食事をしながらの身の上話に花を咲かせてゆく。

 

「そういえば。その左手の指輪は、フェイクですか?」

 

 圭太が会場で彼女と行動を共にしていた時分からどうしても気になっていた事を、思い切って訊ねてみる。すると、

「あーこれね。これは本物だよ。勿論魔除け(ヽヽヽ)に敢えてつけてるってのもあるけどさ」

遥香の口からは彼にとっては思いもよらない事実が告げられる。それを知ってしまった圭太は、一瞬思わず色を失ってしまう。

 

 そんな彼の様子を知ってか知らずか、彼女は

「実はわたし、こないだ結婚したばっかりなんだけどね……。旦那の仕事が忙し過ぎて、最近夫婦っぽいことを全然出来てないんだよね……」

思わず青息を吐き出していた。

 

 そこから、自然と遥香の不満や愚痴が話題の中心に移ろってゆく。何度も場数を踏んでいたことで女性の扱いに慣れていた圭太は、敢えて自身の感情はひた隠しにして聞きと相槌に徹していた。

 

 彼女から得られた情報を総合すると、遥香の夫は彼女の趣味に無頓着で、しかもどうやら甲斐性がなさそうである。それを何となく察した圭太は、今回の偶然が重なった奇縁を存分に生かして、憧れていた彼女の事を略奪してやろうという邪な想いを抱き始めていた。

 

「そういえば、はるさんはどちらまで行かれるんですか?」

 

 圭太がそれとなく話題を転換する。すると、

「わたし、横浜に住んでるから、新横浜だよ」

遥香から彼にとって意外すぎる答えが返ってくる。

 

「えっ、マジですか。僕も横浜なんですよ」

「えーっ、すごい。そんなことある!? ちょっと待って。何区?」

 

 転換した話題でまた偶然が重なっているということを把握した二人は、再び一様に驚きを隠せずにいた。

 

「うっそ、区まで同じとか……横浜線で新横浜から何駅?」

「僕は二駅、ですね」

「マジ? わたし四駅だよ! 実はめっちゃご近所さんだったじゃん!?」

 

 住まう行政区まで同じだったという事実が判明したことで、二人はすっかり意気投合してしまっていた。

 

「折角ですから、どっかで打ち上げしましょうか」

「おっ、いいねいいね! 村長くんはお酒結構いけるクチ?」

 

 すかさず圭太が誘いを入れる。遥香はそれに存外乗り気で食いついていた。

 

 そうこうしているうちに、彼等が乗った列車は定刻通り小田原駅を通過して、新横浜駅に停車すべく速度を落とし始めていた。

 

 

 新幹線から下車した二人は、横浜線に乗り換えると、二駅先の圭太の最寄駅へと向かっていた。ここには彼の行きつけの、焼鳥を中心としたメニューを出す酒家がある。

 

 その店の日本酒に対する拘りが気に入っていた彼は、イラスト作成で煮詰まった時によくここを訪れていた。

 

 圭太の自宅最寄駅から二駅先に住む遥香もこの店の存在は把握していたようで、

「おお! ここかぁ! 一度入ってみたかったんだよ、ここ! 旦那があんまりお酒強いの飲めないから、なかなか機会がなくってね……。紅楼夢のついでではあるけど、思わぬ形で来れちゃったな❤」

かねてからの念願が叶ったと嬉しそうにしていた。

 

 圭太は両親が秋田県出身で酒に強く、限界知らずの蟒蛇だった。そして遥香も山形県の日本海側出身で、同じく日本酒には一家言がある。二人の酒盛りは当然、店側が嬉しい悲鳴を上げてしまうような有様にしかなり様がなかった。

 

 二人が調子良く合わせて一升ほど飲んだところで、遥香のスマートフォンが着信を告げて鳴る。

 

「ごめん、旦那から電話だ……次の頼んでおいて?」

 

 遥香が注文を依頼しつつ席を外す事を告げる。圭太はそれに首肯して返事とした。

 

 暫くすると、少し落胆した様子の彼女が席に戻ってくる。彼がどうしたのかと訊ねてみると、遥香は

「あ……えっとね。旦那が今日も仕事で泊り込みになりそうだ、って連絡してきてて……。ごめんね、なんか最近こういう事、多くってさ」

寂しそうに愚痴を零す。

 

「僕でよければ、今日はとことん付き合いますよ。ここなら終電なんてあってないようなもんですし」

「もー、あんなに小ちゃかった子が、こんなすっごくいい子に育っちゃって❤ お姉さんそんなこと言われたら、嬉しくて調子に乗っちゃうぞ?」

 

 圭太からのそんな提案に、遥香は笑顔といつもの調子を取り戻していた。

 

 そこから二人は更に一升ほどを分け合って飲んだことで、すっかり出来上がってしまっていた。

 

 いつの間にか遥香は、圭太に隣り合って、彼の肩にしなだれ掛かるように座っていた。突然縮まった彼女との距離に、彼ははっきりと勝機を見出していたが。彼はがっついているように見られないようにと、慎重に時期を見計らっていた。

 

「そうだ、HN(ハンドルネーム)で呼ぶと長いからさ、チャットアプリにある本名から、けー君って呼んでもいいかな?」

 

 不意に、遥香が更に二人の距離を縮めるような提案を口にする。全く吝かでは無いそれに、彼は二つ返事で承諾していた。

 

 更に二つほどの話題を経たところで、

「そういやさ、けー君って、彼女はいないの? こんなにいい子でカッコイイなら、女の子から引っ張りだこだと思うんだけどなぁ」

不意に遥香が、圭太が待ち望んでいた話題を口にした。

 

 ここぞとばかりに彼は

「僕は、実はあの時からはるさんに一目惚れしてて……。だから、今まで何度か女の子とは付き合ってみましたけど、なんか違うなぁ、って思っちゃって……。だから今はフリーですよ」

積年の想いを遥香にぶつけてみる。それに対する彼女の反応は、

「そっ、そうなんだ……あっ、ごめんね? 全然嫌じゃないというか、むしろ嬉しいかも、なんだけど……いや、なんかちょっとびっくりしちゃって……。けど、ずっと片思いしてくれてたってことなんだ……そっかぁ……❤」

明らかに満更でもなさそうだった。

 

「だから旦那さんがいるって聞いて、ショックでしたけど……こうしてお話してみて、やっぱり好きって気持ちは変わらないな、って」

 

 好機を逃すまいと、圭太は盃を傾けながら更に彼女の気持ちを揺さぶってゆく。その効果は覿面で、実際に遥香の心持ちは大きく揺らいでいた。

 

 彼女は、偶然が重なってこうして再会して、更には自身にずっと片想いをしていたと告白してきた圭太に対して、ときめいてしまっているという事をはっきりと自覚していた。

 

 遥香の夫である真也は、彼女からしてみれば周囲が羨む程の美人を自分のものにしたという現状に満足してしまっているような節がある。彼女は前々から彼の向上心のなさを不満に感じていた。

 

 それは、今となっては立場があると理解していながらも、若い男に告白されて浮ついてしまっている彼女の背中を押す、ある種の免罪符となり得つつあった。

 

 酒も進んですっかりしおらしくなってしまった遥香の様子に勝利を確信した圭太は、

「そろそろラストオーダーですね……場所、変えましょっか……?」

自身の腕を小脇に抱えるようにして身体を押し付けて、期待の雰囲気を醸し出して来ている遥香に、それとなく誘いの提案をする。

 

「ん……❤」

 

 盃に残っていた日本酒を飲み干した彼女は、圭太からのそれに遂に小さく頷いてしまっていた。

 

 

 売り子の謝礼の一環としてその場の会計を受け持った圭太は、そのまま遥香を連れ立って再び改札を潜って自宅最寄駅のホームへと降り立っていた。

 

 彼等が目指していたのは遥香の自宅の最寄駅とは反対方向、つまり新横浜方面だった。その端には男女が一晩褥(しとね)を共にする為の施設が多数あるということを、共に横浜市民である彼等はそれぞれ了解していた。だから二人は暗黙のうちにそこへと足を向けていた。

 

 目的地に到着した彼等は、数あるモーテルの中から無作為に一つを選んで入り込んで、一晩二人きりになれる場所を確保していた。

 

「本当に、いいんですか……?」

「ここまで来ちゃったんだもん、今更、だよ……❤ それとも、怖気づいちゃった?」

「まさか。すっごく、嬉しいし、光栄ですよ……」

 

 圭太は部屋に入るなりすっかり出来上がって表情を蕩けさせてしまっている遥香と、早速接吻(キス)を交わし始める。それが舌を絡めた濃厚なものに変化してゆくのには、然程の時間を要さなかった。

 

 そのまま寝台へと縺れ込んだ二人は、互いの衣服をゆっくりと脱がせ合ってゆく。

 

 圭太が上半身の衣服に続いて遥香が身に着けていた丈が長い伽羅色のプリーツスカートを脱がせようとしていた。然るに、

「あっ、ちょっと、まって……。スカートと、ぱんつは……自分で、ぬぐから……」

彼女はそれを嫌って圭太の手を制していた。

 

 不思議そうに首を傾げる圭太に、

「その、今日、さ……えっちすることになるなんて、思ってなくて……。ぱんつ、やっすいやつ、はいてて、はずかしいから……」

遥香は下着、特にショーツに油断があったという事を認めて赤面する。

 

 そんな彼女の様子に堪らなくなってしまったらしい圭太は、遥香の意向を無視して無遠慮にスカートを脱がしに掛かった。

 

「や、ちょっと、だめぇっ……。うぅ……はずかしい、から……そんな、みちゃ、だめぇ……」

 

 圭太によってショーツのみの姿に剥かれてしまった遥香は、羞恥から赤面して両手で顔を覆っている。

 

 彼女が身に着けていたのは、綿製の灰梅色の生地に二種の花弁の紋様がプリントされた、履き心地が良さそうなショーツだった。

 

「可愛らしくて、いいじゃないですか……別に変でもないし、すっごく、似合ってますよ」

 

 圭太は遥香の耳障りがよさそうな言葉を選びながら、自身もトランクスのみの姿となった上で、改めて彼女を抱きしめる。

 

「でもでも、レースもない、やすっぽいぱんつで、ちょっと、がっかりしたよね……? ほんとは、もっとちゃんとした、かわいいやつとか、えっちなやつとか、あるんだよ? ううっ、こんなことなら、ちゃんとぱんつも、よそいきのやつ、はけばよかったなぁ……」

 

 遥香は圭太の胸に抱かれながら、涙目で言い訳を口にしていた。

 

「そんなこと、ないですってば。僕は、初恋の人であるはるさんを抱けるってだけで、もう堪らなくって……」

 

 彼は首を振って彼女の言を否定すると、彼女の右手を自身の股間へと誘導する。布越しでもはっきりと理解できるその質量を確かめた遥香は

「わっ、すご、っ……。ってか、けーくんの、お○んぽ、すっごく、でかくない……?」

驚きを隠せずにいた。

 

 圭太のそれは同年代の男性に比してかなり太さも長さも桁違いの所謂「巨根」と称して差支えのないものだった。

 

 こんな逞しいものを迎え入れたならば、どれ程の快感が得られるのだろうか。遥香はそれを思わず想像してしまい、身体の芯が熱くなってゆくのを感じていた。

 

 抑えが効かなくなりつつあった二人は、舌を絡めた接吻(ディープキス)を交わしながら、最後の一枚を脱がす寸暇も惜しんで互いの身体を優しく愛撫し合ってゆく。

 

 遥香は今まで男性との性交では絶頂に至ったことがなかった。だから、夫と愛を育んだ後も一人欲求不満を慰めるのが常だった。

 

 然るに、圭太と交わろうとしているこの最中においては、遥香は彼に乳房や鼠径部から恥丘にかけてを優しく愛撫されているだけで、今まで味わった事のない快感を得て、身体を震わせてしまっていた。

 

 彼女が履いたままだったショーツのクロッチは、止め処なく秘唇から溢れ出てくる蜜で既にぐっしょりと濡れてしまっている。

 

 そんな様子を目の当たりにしたことで、圭太も遥香がしっかりと快感を得られているようだという状況をはっきりと理解していた。

 

「はる、さんの、ここ……すっごい、濡れて、ますよ……。気持ち、いいですか……?」

「ひぁ、ぅぅ……っ❤ そんな、とこ……はずかしい、から、みちゃ、だめ、だよぉ……っ❤ ううっ……はずかしい、くらい……わたしの、お○んこ、ぬれちゃってる……っ❤」

 

 圭太がそれを確認すると、遥香は伏せ目がちのままで、涙目になりながらも物欲しそうな表情で圭太を見つめつつ、快感に溺れつつあることを認めた。

 

 そんな遥香の様子に堪らなくなったのだろうか、彼は無言で下履きを脱ぎ捨てて、生まれたままの姿となる。それで改めて圭太の剛剣を目の当たりにした彼女は驚きで目を白黒させた。

 

「はる、さん……。もう、ぼく、たまらなくなっちゃって……。いれても、いい、ですか……?」

「ん……❤ いい、けど……っ❤ こんなに、おっきいの、はいるかなぁ……❤」

 

 彼女のショーツのクロッチをずらしながら要求する圭太に、遥香も待ちきれないという表情のまま小さく頷いて、それを受容してしまっていた。

 

 滾った肉棒を秘唇に押し付けられたことで一瞬我に返った遥香が、

「あっ、まって……❤ ごむ、しなきゃ……っ❤」

避妊の要を口にした。それに、

「あ、あの……。はるさん、すみません……。ぼく、その……ラブホの、ゴム……入らなくって……」

圭太は気まずそうに謝罪を口にする。

 

 遥香としても、彼の雄の質量を目の当たりにしていたことから、成程と頷いてみせる。だが、流石に避妊なしで間違いがあったならば言い訳のしようもないので、困惑しきりだ。

 

 然るに、二人は揃って最早この場で鉾を収めるなどという選択肢を持ち得ていなかった。

 

「ぜったい、外に出すんで……このまま、いれても、いいですか……?」

 

 圭太が遥香の理性を蕩かせるかのように亀頭を膣口に擦り付けながら、生挿入を欲する。最早彼の卓越した技量に屈服して、すっかり肉欲に溺れてしまっていた彼女は、遂にその要求に否とは言えず、

「なかだし、だめ、だからね……? そと、だしてね……? ん、む……っ❤ ん……❤」

最後は圭太の唇を奪いながら、半ば秘唇を覆い隠す役割を果たさなくなっていたショーツのクロッチを完全にずらしてしまう。

 

「やくそく、してくれるなら……。そのまま、いれても、いいよ……❤」

 

 そして遥香は極限まで張りつめて硬くなった彼の肉棒を、優しく撫で擦りつつ自らの秘唇へとそれを誘導して、挿入を欲した。

 

 生挿入の許可を得た事で、圭太は満を持して遥香の膣内へと侵入を試みてゆく。

 

 ゆっくりと、だが確実に自身の膣壁を抉り押し拡げながら挿入(はい)ってくる圭太の肉棒の感覚と、それから与えられる強烈な快感に、遥香は多幸感を得て表情を蕩けさせてしまっていた。

 

「はる、さん……どう、ですか……? きもち、いい……?」

「ん、っ……❤ しゅごい、よぉ……❤ こんな、いれられた、だけで……イっちゃったの、なんて……❤ はじめて、で……❤ けーくん、じょうず、すぎ❤ だよぉ……❤」

 

 遥香自身、男性経験は少なくないと自負していた。だが、彼女がここまで悦んでしまったのは、圭太が初めてだった。それ程まで彼の性交に関する知識と技術は磨き上げられていたし、彼の剛剣の逞しさも人並み外れていた。

 

 愛している筈の夫とですら今まで味わう事ができなかった快感を得てしまった彼女は、彼の肉棒を膣奥まで咥え込んでしまう頃には、すっかり力強い雄に屈してしまっていた。

 

「よかった……じゃあ、もっと、きもちよく、させて、あげますから……っ」

 

 遥香の蕩けた嬌声を耳にして苦痛はないものと了解した圭太は、そのまま雁首から幹にかけてで遥香の子宮口を抉るかのように腰を打ち付けてゆく。

 

「あふぅっ❤ あっ、らめぇぇっ❤ おくぅぅっ❤ らめ、らめぇぇ❤ イっちゃうっ❤すぐ、イっちゃぅぅぅよぉっ❤」

 

 早速彼女は続け様の絶頂へと至らしめられ、乱れてしまった。遥香はいよいよ我慢が出来なくなってしまったのか、

「きもちいぃ、きもちいぃ、よぉ❤ けーくんの、おち○ぽ、しゅごい❤ おく、くるのぉ❤ こんな、きもちいぃ、の❤ はじめて、でっ……❤ けーくん、おねがい❤ もっと、ごりごり、おく❤ ん、そこぉ❤ いっぱい、そこ、おち○ぽで、こすってぇ❤」

口の端から垂れてしまっている涎をそのままに、圭太の腰に自らの足を絡めながら更なる力強い抽迭をねだる。

 

「はる、さん、はる、さんっ……! ぼくも、すっごく、きもちいい、ですっ……!」

 

 圭太も憧れだった遥香を抱いているという事に興奮を隠しきれていない。彼もまた、かつて同級の女子達を抱いていた時よりも情熱的に、熱に浮かされ突き動かされるかのように夢中で遥香の膣で抽迭を繰り返して、快感を貪っていた。

 

「けーくん❤ けーくんの、おち○ぽ、しゅごい、しゅごいよぉ❤ わたしの、お○んこの、おく❤ ごりごり、するたびに❤ どんどん、おっきく、なってるっ❤ わたしの、お○んこ、おかしく、なっちゃうっ❤ けーくんの、お○んぽの、かたち❤ おぼえちゃう、よぉ❤」

 

 遥香は蕩け切った表情のままで、圭太の肉棒を咥え込んで離さない。それどころか、彼の腰を足で掴んだまま自らも腰を振って膣奥での射精をねだるかのように舐り上げてゆく。

 

 彼女の腰の動きも相俟って、射精感が限界に近付いて来ていた圭太は、

「はる、さんっ……そろそろ、ぼく、げんかい、でっ……」

それを率直に彼女へと伝えた。遥香は呼吸を乱しながら頷くと

「ん、っ……❤ いい、よ……❤ わたしも、また、すごいの、きちゃい、そう❤ だから……いっしょに、イこ……❤ さいご、ぬいて、くれたら……すきなところに、かけて、いいからっ❤」

彼の身体を抱きしめつつ、耳元に唇を寄せると、蕩け切った甘い声で囁いた。

 

 それで理性を蕩かされてしまった圭太は、我武者羅に腰を振って絶頂へと昇りつめてゆく。そんな限界まで遥香の膣で快感を得ようとする圭太の腰の動きに、彼女にもすぐさま再び絶頂が近付いてくる。

 

「ひぁ、っ❤ らめ、はげ、しっ❤ おく、ごりごり、らめっ❤ イ、イくぅっ❤ また、お○んこ、イっちゃうぅっ❤ ひぁぅ、ふぁ、ぁぁぁっ❤」

「う、っ、はるさん、だします、よっ……ぼくも、イきます、っ……! っっ!」

 

 二人は同時に絶頂へと至った。その際、圭太は何とか中出し寸前のところで膣外に肉棒を抜き去ることに成功していた。

 

 膣外へと抜けた圭太の肉棒は、そのまま白濁の火箭(かせん)を遥香の身体に向かって迸らせた。夥しい量のそれは、彼女の履いたままだったショーツや腹部だけに留まらず、豊満な乳房までをどろどろに白く染めてしまう程だった。

 

「わ、すっごぉい……❤ せーし、いっぱい、でた、ね❤ どろどろで、あっつい……❤ちゃんと、やくそくどおり、なかだし、しないで、ぬいてくれたんだ❤ えらいえらい❤」

 

 指輪が光る左手で自身の身体にべっとりと付着した精液を摘まんで弄びながら、遥香は圭太に労いの言葉を掛けた。

 

「す、すみません……おもったより、いっぱいでちゃって……すぐ、拭きますね」

「ん、きにしないで❤ わたしの、お○んこ❤ そんなに、きもちよかった、って、ことだもんね❤ それに、わたしも……いっぱい、きもちよく、なっちゃったから……❤ だから、いいの❤」

 

 替えもないところで下着を汚してしまったという事に圭太は恐縮しきりで平謝りする。遥香は絶頂の余韻に浸って満足そうな表情のまま、首を横に振って彼のそれを辞していた。

 

 圭太から受け取ったちり紙で身体や下着に付着した精を軽く拭った遥香が、

「あ、そうだ❤ せっかくだから、さ❤ いっしょに、おふろ、はいろうよ❤」

精液がべっとりと付着して汚れてしまったショーツを脱ぎ払いながら、更に大胆かつ魅力的な提案をする。

 

 遥香からのそれに圭太は否とは言えず、何故か赤面したままに小さく頷く。

 

「もしかして、だけど。けーくん、女のコ、と、お風呂はいるの、はじめてなの?」

「は、はずかしながら……」

 

 先程の性交とはうって変わって初々しさを見せる圭太の様子から察したらしい遥香が、彼の肯綮(こうけい)に当たる事を訊ねてみる。すると図星を指されてしまった彼は、顔を真っ赤に染めたまま再び頷く。

 

「ふふ、そうなんだ……❤ さっきまでは、あんなに、女のコ慣れしてそうだったのに❤結構かわいいところもあるんだね❤ ほら、早くいこ❤ お姉さんの身体、じっくり眺めるチャンスだぞ❤」

 

 精液でどろどろに汚れてしまったショーツを脱ぎ払って生まれたままの姿となった遥香が、先程までの仕返しとばかりに、緊張と羞恥で赤くなる圭太の手を取って浴室へと引っ張ってゆく。

 

 主導権を握られてしまった圭太は、それに逆らえず、遥香のされるがままになる他なかった。

 

 二人は仲睦まじげに一緒に浴室で湯に浸かり、同人誌即売会と打ち上げ、そして性交での疲れをゆっくりと癒した。

 

 既に時刻は午前零時を過ぎていた。当然彼等には睡魔が容赦なく襲い掛かってくる。

 

 浴室から出た二人は、生まれたままの姿のまま、どちらともなく抱き合うと、幸せそうに眠りに落ちてゆくのだった。

 

 

 

 翌日の朝。一晩を過ごした新横浜から横浜線に乗り込んだ彼等は、そこから二駅先の、昨晩打ち上げをした記憶が新しい、圭太が住まう古びた住宅街の最寄駅へと戻ってきていた。

 

 遥香のコスプレ衣装などが入った荷物は、この駅構内にあるコインロッカーに預けていたから、彼等がここに再度立ち戻るのは必然だった。

 

 昨晩身体を交えてしまったことを思い出してしまい、互いに我に返ってぎこちなくなってしまった二人は、ここまで終始会話が少なくなりがちだった。

 

「それじゃ、僕はここで……また(ヽヽ)、おねがいしますね」

「うん、また、ね……❤」

 

 売り子の依頼なのか、身体の関係なのか、どちらとも取れるような意味合いが籠る言葉を吐きつつ、圭太は遥香に手を振ると改札を出て帰宅の途へと就いていった。それを見送って一人残された彼女は、

「『また』、かぁ……。真也さんとも、ほんっと、ご無沙汰だし……。しばらくは、忘れられそうに、ないかもなぁ……」

 改めて愛されることに飢えてしまっているという事を自覚させられ、一人青息を吐き出していた。

 

 

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