※この作品はR-18です。

ブルアカ:TSF   作:おくらいりーOh9lawinー

5 / 5
わなにかかったホシノと先生(みたいな)

「先生は、そんな自分の姿を見て、大事な生徒に手を出すようなクズみたいに言うけどさ」

 

シャツははだけていた。なだらかな二つの果実、その微かな胸の隙間にそっと割り込むように、ネクタイがしおらしく倒れていた。小鳥遊ホシノは、仰向けで、自分に覆いかぶさっている少女の背中を、軽くさすった。

 

「おじさんは……私は、ね?本当の、クズなオトナっていうのがどんなのか、少しは知ってるつもりだからさ。先生はそんなのとは全く違うって、うん。私、そう言い切れるよ」

 

二人の少女は抱き合っていた。もっと言えば、繋がっていた。仰向けに、星空を見上げるような姿勢のホシノに、縋りついている少女の髪は、ホシノと同じくピンク色で、髪の毛は下ろしている。互いの髪が、互いの背中に流れて、それぞれが質のよいシーツのようになっていた。

 

「普通だよ」

 

ホシノは、少女に言い聞かせる。先生、と呼びかけながら、今も声にならない泣き声を上げている、自分そっくりな少女を慰める。その華奢な体と、震える肩を抱きながら、自分がどれほど小柄で無力なのかを、じんわりと噛み締めている。

 

「生徒と先生が、恋をするのだって普通。先生が、生徒と男女の仲になっちゃうことだって、普通。ここ、キヴォトスじゃあ、ね?だから私、こう見えて、嬉しいんだよ?こういうカタチで先生を独占できてるんだから。あの先生が、私にだけ、こんな風に縋り付いてくれてるんだって、思わせてくれるから」

 

彼女は、ホシノの肩に顔を乗せるようにして、自分の顔を見せようとしない。それはありがたいかな、とホシノは空を見上げながら思う。さすがの自分も、自分と寸分たがわぬ顔が、涙を流している姿だけは、見たくなかった。見てしまったら、こんな虚勢も張れずに、きっと同じように動揺していただろうから。

 

互いの体の下敷きになって、同じチェックのスカート生地が、シワになっているのがわかる。散々ホシノの体に放たれた欲望の証が、覆いかぶさった「先生」の身動ぎで逆流して、ぼたぼたと太ももの付け根を垂れていく。それでも全く衰えというものを知らない、互いの意志の下にないかのような、制御不能な男の欲望。体だけは、刹那の衝動に従って生きているかのように、ちょっとした休憩に息継ぎをすると、また、次の戦いを求める。腰がくねり、ホシノの股間に男性器が叩きつけられる。

 

にわかに、なんとかホシノから逃げようとした「先生」が、暴れるのがわかる。

 

本当は、逃げたいのだろう。ここから遠ざかりたいのだろう。とてもとても、ホシノに合わせる顔がないと、生徒の姿になって、その生徒を欲望のままに襲って、それを受け入れられるなんて。

 

でも、そうはさせない。ホシノは先生の願望に反し、彼女の腰に自分の足を巻きつけて逃さない。くっ、と彼女が喉を鳴らしたのがわかった。

 

ぎしぎしっ、と体が軋む。荒い吐息が交わされる。行かせてくれ、と彼が泣いているのが分かる。生徒の姿になって、その本人を襲って、今度は逃げ出そうとして。

 

そのどれもが全く自分の意志でなく、しかも後で後悔すると分かっていて、それでもそうせざるを得ないのだろう。それが彼の考える、たった一つの冴えたやり方、と言ったところか。

 

でも、手放すわけには行かない。大事な人の手を離せば、呆気ないくらい簡単に、その人を失ってしまうことを、誰よりも、私が一番よく知っているから。

 

「やー、欲を言うなら、先生に、はじめてをあげるならさ……もっとじょうずに、先生自身がおじさんに手を出しても後悔しないような感じで、っていうのが良かったんだけどさ」

 

股間からは、赤い血が流れていることだろう。それは精液と、愛液とを赤く染めて、まだらな、妙に生々しいピンク色のペンキのように、服を汚しているかもしれない。

 

股間が引きつる感じが、まだある。足を使ったホールドなんて、正直痛くて、まだその余裕を体が許してくれていない。

 

でも、大切な人を引き留めることができるなら、それでいいと思う。

 

覆いかぶさっている、自分とよく似た人影が、また自分の体を貪り始める。活路を見いだせなくなった自棄、というわけではないのかもしれないが、でも、それに似た何かを感じる。

 

さっきまで自分にしがみついていた「彼」が、ゆっくりと身を起こして、自分と目を合わせようとしていた。

 

怯えきった瞳がこちらを覗いていた。鏡の中に見ることができた、久しく見かけなかった顔がここにあった。忙しなく動く目の動きが、動揺を物語る。

 

「先生」

 

呼びかけに、果たして彼は気づいているのだろうか。

 

「だーいじょうぶ。おじさんはここにいるからね」

 

小鳥遊ホシノはにへらっ、と笑って、自分と同じ顔をした少女の唇に、自分の唇を重ねた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。