ヤンデレ魔族と没落貴族のヤバい生活♡~旦那様の体液が全部媚薬でごっくんしたらみんな狂ってイっちゃうんです~ 作:有のよいち
私に似合う下着を買ってくださった旦那様。私を森の中へ誘い込んで、激しくえっちに責めてくださった旦那様。
サキュバスに生まれてきて良かったって、何回も絶頂しながら思った。こんなに幸せな時間が私に訪れるなんて、まるで夢みたいで。
そして目の前に、真剣な目をしてひざまずく旦那様がいる。これじゃ私が旦那様を従えているみたいになってしまう。
——違うの。
私は貴方の奴隷——なのに、貴方はこんな私を幸せな気持ちにさせてくれる。あまりにも尊く、崇拝すべきお方。
大切なお話ってなんだろう。旦那様は本当にお優しいお方。私を蔑ろになんてしない。でも、何だか不安。
「ラズ、聞いてほしい」
「……はい」
ただならぬ雰囲気。旦那様は片膝をついて、私を見上げた。
そして————。
「僕は……ラズが好きだ。本気で好きだ。どうか僕と……恋人になってほしい」
(え…………。今、何て……)
時が止まった。音が消えた。息がうまくできない。真っ直ぐに私の目を捕える、黄金に輝く旦那様の瞳。
(好き? 恋人? 確かにそう言ったような……)
「だめかな? 僕なんかじゃ君の恋人には釣り合わないかな……。人間の、僕なんかじゃ……」
俯く私の手を取って、もう一方の手を自らの胸に当て、願いを請う旦那様。聞き間違いじゃない。でも畏れ多くて、私は動けずにいた。
「それでも僕は、ラズと恋人になりたい。もし不足なら、ラズの恋人として相応しい男になれるよう頑張るから、どうか考えてほしい」
もったいないお言葉——。
「そんな……旦那様に不足なんて…………。不足があるのは、私の方です。旦那様の恋人になんて……。私は半人前のサキュバスですよ?」
「そんなことない。ラズは立派なサキュバスだよ。それに、最高に可愛い女の子だよ。僕にはまぶしいくらいで……」
「私、可愛くなんて…………」
「可愛いよ。こんなに可愛いひと、僕は他に知らない。僕はもう夢中なんだ。君に……ラズに夢中なんだ!」
信じられない。私に恋をする殿方が現れるだなんて。それがまさかの旦那様——エルヴェ=フォン=ストラディバリ様だなんて。
(誰かが私に術をかけている? ちがう……周りにそんな気配はない。旦那様が魔法を使っている? それもちがう……そんな気配もない。じゃあ…………)
でも私には正直、人間の言う「好き」とか「恋」とか、まだよく分かっていない。
魔界では恋愛自体がめずらしい。ましてやサキュバスではお母様くらいのもので、分からない方が正常なくらい。知らないまま生きるのが普通のことだから。
お母様の言葉を思い出す——。
『その人のことを考えて胸が苦しくなったら、好きってこと。その人とずっといっしょに居たいって思ったら、それは恋。命をかけてでもその関係を守りたいって思ったら、それが愛ってことなのよ』
(私……旦那様を思うと胸が苦しくて、死ぬまでいっしょに居たくて……。じゃあ私、旦那様のことが好きで、恋してるってことで……いいんだよね?)
そう思ったら、言葉が自然と出ていた。
「私も旦那様が好き……大好き。私だって旦那様に夢中です。ずっといっしょに居たいです……。できれば、旦那様の恋人に……なりたい、です♡」
「本当? じゃあ……いいの?」
「……はい。私の方こそ、よろしくお願いします♡」
瞬間、強く抱きしめてくれた旦那様。私も強く抱きしめ返す。絶対離れたくない、絶対失いたくないって、心がひどく叫んでいる。私、恋どころか——。
「大好きぃ♡ 愛してます、旦那様ぁ♡♡」
尻尾を旦那様の腰に巻き付ける。翼で旦那様を包み込む。キスを我慢できない。ううん、ずっと我慢なんてできてなかった。舌を入れて激しく絡める。旦那様は応じてくれる。いつだってそうだった。
(旦那様も私と同じなのかな……。ずっとお互い好きって、思ってたのかな……)
もうだめ。これ以上は制御できない。私、旦那様に何もかも捧げたい。
——私の、最後の
——ちがう。したくてたまらないの♡♡
「旦那様、私もうダメです! 今すぐに……私の……ラズの処女を、もらってください♡♡」
サキュバスであることが、急に恥ずかしく思えた。大胆になれるのはいいけれど、すぐに言葉に出てしまうのは下品だよね。はしたなくて、性に汚らしい存在って思えてしまう。
いつでも品があって、高貴な旦那様。その恋人が、私みたいな下品な女の子でいいのかな。旦那様と毎日だって淫らなことしていたいって思ってしまう、私なんかでいいのかな。
そんな心とは裏腹に、穏やかに微笑む旦那様。
「うれしいよ……ラズ。僕は……君を独り占めしていいのかい?」
はっとした。旦那様が目に涙を溜めている——。
「どうなさったのですか?」
「あはは……ごめん、うれしくて……うれしくてたまらなくて……。勝手に涙が出てしまうんだ」
「うれしくて?」
「うん……。ごめん、僕はとことん情けない男だね。だめだ……止められない」
私は旦那様に抱き着いて、もう一度キスをした。ねっとりと、ゆっくりなキスを——。
私の目にも、涙が滲んでいた。泣いている旦那様を見て、悲しくなったんじゃない。愛おしく思えたから、それも少し違う気がする。
(そうだ、きっと……うれしいからなんだ。同じ気持ちだって分かって、安心して、たまらなく好きって思えて、我慢しなくて良くて、心まで裸でいられて……。どうしようもなくうれしいからなんだ)
旦那様は私を、ベッドへ寝かせた。ひたすらにやさしい眼差しを、私だけに向けて。
そして旦那様は、首輪だけを残して、私を裸にした。お互い涙は止まっていた。微笑むと、微笑み返してくれた。
ああ、このまま私——。