ヤンデレ魔族と没落貴族のヤバい生活♡~旦那様の体液が全部媚薬でごっくんしたらみんな狂ってイっちゃうんです~ 作:有のよいち
人間なら、とっくに殺されているはずだ。
淫魔の頂点に立つ、リリス。その名を知らない人間はいない。しかしその姿を伝承した人間もまた、いない。なぜなら、出会ったが最期、確実に殺されてしまうからだ。
最強の淫魔として名を馳せるリリスが、僕の体液に狂い、悦楽に酔っている。秘裂から淫汁の豪雨を降らせ、悶え狂っている。バンパイアのラズがもたらした、奇跡の光景だった。
「お母様ったら、私と変わらないじゃない。だらしなく嬌声を上げて、絶頂したりして。四女帝もこうなると可愛いものなのね」
「ラズ、ちゃん……」
「私、うれしいな。エルヴェ様がどれだけ魅力的なのか、お母様に知っていただけて。それに、お母様がイキっぱなしになってるのを見られるなんて、思ってもみなかった」
「やめて……。そんなこと言っては、ダメよ……」
ラズはリリスさんに言葉責めを施す。言葉を浴びせかけられながら、リリスさんは絶頂を繰り返していた。その妖艶な姿を見て、僕は不覚にも息を乱していた。
「このままじゃ浴室が洪水を起こしてしまいそう。だって、まるで滝みたいに漏れ出してるんだもの」
「おねがい……やめて。もう……いわないで」
「それじゃあ、黙ってエルヴェ様といっしょに見つめていればいいの? お母様がイキまくってるのを、じーっとふたりで観察していればいい?」
ラズはそう言って、床にうずくまっているリリスさんのお尻を高く上げさせ、顔を床へと押し付けた。子が親にして良いことではない。
僕がやめるよう言いかけたときだった。ラズの体が変化していったのは。
牙は縮み、翼は小さく紫色に。ツノが生え、耳は長くぴんと張って。血の効果が切れたのだろうか、ラズはサキュバスの姿へと変わっていった。そして、ラズは急にしゅんとした顔をして言った。
「やっちゃった……。私バンパイアになると、いっつも誰かに迷惑かけちゃう」
少女のような、幼さの入り混じる声。サキュバスのラズに間違いない。
「どうしてこんなことしたの?」
「ちょっとだけ、お母様に腹が立ってしまって……」
泣き出しそうな顔をして、ラズは続けた。
「本当はちゃんと話合えばいいって分かってるんです。でも、バンパイアの私にはそれが難しくて……。私が家出したのも、そこに原因があるんです」
「素直に話せなくて、すれ違いからケンカになっちゃったとか?」
「そうなんです。素直じゃないのはサキュバスのときも似たようなものですけど」
人間の親子でも似たような話はよく聞く。魔族もそう変わらないのだなと、またひとつ親近感が沸いた。
話をどう進めたら良いかふたりして言葉を選んでいると、落ち着き始めたリリスさんが言った。
「昔の話は後にしてもらえる? この拘束具、外してもらいたいのだけど」
「ご、ごめんなさいお母様! 今すぐに!」
ラズが枷を外すと、リリスさんは大きくため息をついた。
「もう……どうしてくれるのよ。これじゃ私の面子が丸潰れだわ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい! お母様、本当にごめんなさい!!」
リリスさんの足元にすがりつき、ラズは何度も頭を下げていた。さすがに叱られると思ったが、意外にもリリスさんは笑顔を見せていた。
「ラズちゃん、ママね、怒ってなんていないのよ?」
「え? でも私、酷いことしたのに……」
「まあ、大恥はかかされたけれど……。でも、とってもうれしいのよ」
「何がですか? うれしいなんて、おかしくありませんか?」
「ちっともおかしくないわ。ママはラズちゃんの成長がうれしいの」
ラズは眉間に皺を寄せ、首を傾げた。僕も同時に首を傾げた。僕らの様子に、リリスさんは声をあげて笑った。
「ぷっ、ふたりとも息ぴったりね。……あのね、ラズちゃん。エル君の体液を使ったとはいえ、この私を支配するなんて、今じゃあなたくらいよ?」
「そう……なの?」
「ええ、そうよ。しかもあんなに快感だなんて……クセになってしまいそう♡」
「お、お母様!?」
「ねえラズちゃん。ママには立場ってものがあるし、人間に屈しましたなんて上には絶対報告できないわ。人間を生かしたまま逃しました、とも報告できない。何でもいいから口実が欲しいのだけど」
僕らはリリスさんが何を言いたいのか分からず、ふたり顔を見合わせた。
「いいこと思いついたわ! こうしない? ママとラズちゃんでエル君を惑わして、エル君の精液の有効な活用方法を探っていた、ってことにしない? で、三人で淫らな実験をしたって」
「……お母様、何を言ってるの?」
「だってそうすればエル君はママとラズちゃんの管理下にできるし、他の淫魔からエル君を守る口実になるし、失態もなんとかごまかせるし……」
後半、明らかに小声になっていた。
「お母様!? それって結局お母様の都合じゃない!」
「も、もちろんそうよ。だってほら、ママのほうからエル君の精液をほしがったなんてバレたら、ママとパパの関係にも問題が出ちゃいそうじゃない? ラズちゃんだってそうなるのは嫌でしょう?」
「それは確かにそうだけど……って、もう……。それでいいよ」
「あ~んラズちゃん、ありがとう♡ ほんっとに良くできた娘だわ!」
ひどく強引な気がするけれど——。
家族の問題に発展しても、リリスさんを屈服させたと言ったにしても、どのみち魔族が僕を狙ってくる理由になりそうで口出しできなかった。しぶしぶながらラズも納得してくれているし、そのほうが角が立たないだろう。
「それはそうとラズちゃん。まだエル君の毒、抜けきってないわよね?」
「まあ、ちょっと残ってる感じだけど……」