※この作品はR-18です。

おっさんず、ダンジョン都市を攻略する   作:おっさん

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おっさんず、ギルド登録する。

「それで……スキルとかステータスはどうなったんだ?」

「んーと、こうか。ほら、これ」

 

 ガラス窓に映る自分を、いろんな角度から眺めている瑞樹に京助は、気を取り直して声をかけます。

この外見になる為に、どれだけのポイントを使用したのかが気になったからです。

 

名前:高橋 (たかはし)瑞樹(みずき)

性別:女性 (元男性)

年齢:十歳相当(元・三十六歳)

種族:人間(亜人混血)★半吸血鬼

職業:魔術師

ステータス(才能):知能五割、魔力五割 ★天才

スキル(パッシブ):『詠唱省略(ショート・キャスト)』『外見固定(パーマネント・ビューティー)』『記録の保存(バックアップ・メモリー)』

スキル(アクティブ):*1『マジックアロー』『ファイアーアロー』

所持金:一万クレド

 

 

「清々しいほどに、見た目全振りだな!」

「どやぁ」

 

 見せて貰ったステータスを見て、京助は絶叫しました。

職業の魔術師とスキル二つ以外、全てが見た目にポイントを使用していたからです。

特に特徴のない中年おじさんが、ここまで特徴のある少女になったとは誰が分かるでしょうか。

 

「きょうちゃんは、肉体年齢と視力だけにしたんだな」

「まぁ……自分の顔、嫌いじゃなかったし。その方がスキルも多く取れたからな」

 

 瑞樹の言葉に、そう答えました。

実際は、少し考えもしましたが、外見にかかるポイントが勿体なさ過ぎて、その他にかけることにしたのです。

好きに生きるにしても、ダンジョン内に入るには、力がないといけません。

 

「俺も、戦う事も想定はしてスキルは取ってあるから」

「『詠唱省略(ショート・キャスト)』だけじゃないか?『外見固定(パーマネント・ビューティー)』『記録の保存(バックアップ・メモリー)』ってどんなスキルよ?」

「こんな感じだな』

 

 

スキル:『外見固定(パーマネント・ビューティー)』

【ランク】:固有特殊スキル

【内容】:

対象の外見を、設定した「理想の姿」に永久的に固定するスキル。

このスキルが発動している間、以下の恩恵を常時受ける。

 

状態維持機能:

どのような状況下にあっても、外見上の「美しさ」が劣化しない。ダンジョン内での泥汚れ、衣服の破れ、さらには極度の疲労による顔色の悪化やボサボサ髪など、一切の「マイナス要素」が物理的に付着・発生しない。

 

年齢・成長の凍結:

肉体の成長や老化を停止させる。対象が設定した姿が、どれだけ時間が経過しても、どれだけ過酷な環境に身を置いても完全に保たれる。

 

 

「……つまり、どんなに泥沼を這いずり回っても、常に美少女のままなのか?」

「そう! これでどんなにハードなダンジョンでも、SNS映え……じゃなくて、冒険中のメンタル維持はバッチリだし、何より「美少女が頑張っている」という事実だけで、神々からの評価も爆上がりよ!」

「中身、おっさんだけどな」

「おっさんのバ美肉なんて、一般ジャンルだろ。イケる、イケる」

「『詠唱省略(ショート・キャスト)』は分かるけど、『記録の保存(バックアップ・メモリー)』は?」

「こんなん」

 

 

スキル:『記録の保存(バックアップ・メモリー)』

【ランク】:固有特殊スキル

 

【内容】:

五感を通じて得た「あらゆる情報」を、劣化させることなく脳内に完全保存し、任意のタイミングで再生・解析・比較を行うことができる。

 

完全回想:

一度見た風景、聞いた会話、戦ったモンスターの細かな挙動、さらには街の地図や魔術回路の構造までを、解像度を落とすことなく完璧に引き出せる。「超記憶」に近い状態。

 

動体解析・比較再生:

戦闘中、敵の動きをリアルタイムで「バックアップ」し、過去のデータと照合する。これにより予測を、直感ではなく「データ」として弾き出す。

 

 

「あっ……これは便利だな」

「おうよ。日本に住んでいたころの、いろんな知識がすぐに思い出せるようになってる。一度でも、見た事があれば、思い出せるらしい。小難しい、化学式とかも思い出せるぞ。というか、魔法が多くなってくると覚えてられないから」

「……」

 

 最後のスキルは、想像よりも使えるスキルでした。

これからだけでなく、前の世界の知識を覚えておけるのは、ありがたいことです。

 

「知識無双出来そう?」

「いや、魔法もある文化なんだし、こっちの生活基準の方が高いかもしれない。先に来た人が同じようなスキルを取って、既にやってるかもしれないし」

「そういえば、『生活魔法』も習得スキルであったな」

「その魔法の習得の難易度にもよるが、簡単であれば、家電製品は要らないな」

「そうか……ところで、種族って変更可能だったか?」

 

 未だにその場から動いていない為に、地球の知識がどこまで使えるかなどが、不透明であり、話が変わります。

次に注目したのは、瑞樹の種族の話でした。

京助の知る限り、種族に関しては弄れなかったと記憶しています。

裏技でもあったのかと、あったならそこだけは、教えてくれてもと思いました。

 

「いや……弄ってない」

「うん?なら、何でだ?」

 

 瑞樹自身も、その事に関しては首を傾げます。

それを見て、京助は信じて、同じように考えました。

 

「んー……あー……もしかして、ボーナスとかか?」

「ボーナス……容姿のボーナス?」

 

 二人で「ランダム」「血筋」「前の世界での行動」などなどあがります。

そして、暫く考えて、思いついたのが、今会話で出て来たことでした。

 

「特定のスキルの組み合わせでボーナスが付くとか」

「ありそうー……てか、それがあるかも知れないことを忘れてた!やり直したい!」

 

 瑞樹が思いついたボーナス特典のことを、教えられ、京助は頭を抱えます。

確かに、黒髪のロング、赤目、美少女(TSバ美肉おじさん)、姿が変わらない(外見固定)など、全ての特徴を合わせると妖怪などの類に思えます。

妖怪=亜人混血の可能性を見て、自分ももっと弄れば良かったと後悔しました。

しかし、時すでに遅し、戻る事も出来ず。

進む事しか出来ません。

 

「まぁ、それが本当かも分からないし……取り敢えず、案内通りにギルドに行こうか?」

「そうしよう。宿とか、食事とかも気になるし」

 

 道端で幾つかの話題を話しあったことで、先ほどまで興奮していた気持ちの、落ち着きを取り戻します。

そして、先ほどから脳内に浮かんでいた。

文字列を読んで、その通りに進むことにしました。

 

●チュートリアル

・ステータスを確認しましょう           

・ギルドに行き、冒険者登録をしましょう

・パーティーを組みましょう   

・宿を取りましょう                

・食事をしましょう                

・演習場で動きを確認しましょう          

・チュートリアルダンジョンを踏破しましょう (0/5)

 

「ゲーム仕様の世界みたいだ」

「そっちかーって感じだな」

「分かりやすいけどな」

「まぁ……リアル寄りだとフ〇ムゲーとかになりそうだし」

「初心者に優しいのは、ありがたいことだな」

 

 京助が苦笑し、瑞樹が和服の袖を軽く揺らして同意します。

道端でステータスを確認し、種族の不可解な変化について少しばかり後悔はしたものの、二人はすぐに切り替えました。

どう転んでも、この世界で生きていくしかないのですから。

 

 

 

 

☆★★☆☆★★☆

 

 

 

 

 街路樹の並木を抜け、少し大通りに出ると、そこにはいかにもな巨大な建物が見えてきました。

掲げられた看板には、二本の剣がクロスされた紋章と、『冒険者ギルド』という文字が共通語で記されています。

 

「立派だな」

「思っていたよりも、大きいな。ちょっとした、マンションだな」

 

 二人の脳内あったギルドは、酒場と宿屋が組み合わさった木造建てのものでした。

しかし、目の前にあるのはコンクリートか何かで出来ている、四角いマンションみたいな姿をしています。

入口部分だけが、大きなアーチ状になっていて、重厚な扉が開きっぱなしになっていました。

そこを、様々な種族、多様な装備をした人々が行き来しています。

 

 中に入れば、そこは大きな広間となっており、天井を見れば吹き抜けとなっていました。

奥には役所の様なカウンターがありました。

その前には、酒場になってるのかテーブルと椅子が幾つか用意されており、そこにパーティーを組んでいると思われる人々が、何かを食いながら座って話し合っています。

そんな様子を物珍し気に見ながらも、空いている端のカウンターを選んで、近づきました。

 

「ようこそ、第一層冒険者ギルド「セントラル」へ!」

「先ほど、こちらに辿り着いたのですが、基本的な説明の後、登録をお願いします」

「かしこまりました。登録はお二人でよろしいでしょうか?」

「はい」

 

 受付嬢の女性は、にこやかな笑顔のまま淀みなく説明を始めます。

その口調は、まるで暗唱しているかのように正確で、ここが神々の管理する「遊び場」であることを再認識させるものでした。

 

「まず、この街は「第一層」に分類されます。ここでは、初心者同士のトラブルや理不尽な襲撃を防ぐため、神のご加護により如何なる暴力行為、犯罪行為も物理的に不可能となっています」

「なるほど。じゃあ、ここで強奪されたりする心配はないわけですね」

 

 京助の問いに、受付嬢は小さく頷きました。

 

「はい。ですが、これは「第一層」だけの特権です。この世界は階層を登るごとにルールが変わります。レベル制限、資産上限……これらは、いつまで経っても高階層へ行かない人への装置です。第一層ではレベル二十が制限上限となっており、それ以上を目指すには、次の階層へ進む必要があります」

 

 彼女はそこで一息つき、意味深な笑みを浮かべました。

 

「上の階層に上がるにつれ、制限は解除され、出来ることは飛躍的に増えます。……裏を返せば、「犯罪」も可能になるということです。もちろん、どの階層にも神の法に代わる「自治警察組織」や「ギルド法」が存在します。法の目を掻い潜る犯罪者もいますが、捕まれば相応の――時には元の世界よりも苛烈な処罰が下されますので、くれぐれもご注意くださいね」

 

 その言葉は、二人への「忠告」であると同時に、これからの冒険が「ただのゲーム」ではないことを突きつける宣告でもあります。

 

「それから、最初の関門です。全ての冒険者は、まずチュートリアルダンジョンを踏破しなければなりません。これに合格しなければ、街の外でのクエスト受注や、本格的なダンジョン攻略の許可は下りません」

 

 瑞樹が小さく頷き、京助が「了解です」と短く応じます。

この街の「ルール」が理解できました。

安全な場所は最初だけ。

後は実力がすべて――どこまで行っても、おっさんたちの人生と変わらない、泥臭い世界です。

 

「登録料として、一人につき五百クレド頂戴いたします」

「ステータス画面には、所持金が書かれていますが、どう渡せばいいですか?」

「手のひらをこちらにお出しください。特殊な機械を使い、手のひらから生体データを読み取って、頂戴いたします」

「……便利ですね」

「他のお店でも、同じような構造となっております。相手に譲渡したい場合は、握手を交わし、相互の意思により、可能となっていますのでお忘れないようお願いいたします。こちらが頂戴いたします料金となります。ご確認下さい」

 

 疑問に思っていた事を聞いてみると、現代よりも楽な貨幣制度で、二人は少しばかり驚かされます。

京助と瑞樹(背が足りず、カウンターによじ登ってぶら下がることで何とか届く)が手を出すと、受付嬢は金額の数字がこちらに見えるように表示される「バーコードスキャナー」のようなもので、読み取りました。

 

 相手に断りを入れて、京助がステータス画面を開くと、確かに五百クレドが減っていました。

所持金の欄が一万クレドから九千五百クレドになっています。

 

「……ところで、もし死んでしまったらどうなるんですか?」

 

 京助がふと思い立ち、ギルドの受付嬢に尋ねたのは、まさにダンジョン攻略の最大の懸念点でした。

 

「ご説明いたします」

 

 受付嬢は、少しだけ事務的な笑みを深めました。

 

「このチュートリアルダンジョン、および正規の攻略対象となるダンジョン内では、皆さまの魂は神のご加護下にあります。万が一、魔物に殺害されたり、致命傷を負ったりした場合は、即座にギルドの神殿エリアへと強制転送――いわゆる「死に戻り」が行われます」

「あぁ、セーフティネットがあるんですね」

 

 京助が安堵の息を漏らしましたが、受付嬢の言葉はそこで終わりませんでした。

 

「ただし、それはあくまで「命」の話です。転送の際、所持していたアイテムや装備の多くはダンジョン内にドロップし、その場に消失してしまいます。また、魂が削れることによるレベルの減衰もあります」

 

 彼女は淡々と続けます。

 

「死なない、というだけで、タダでは済まないということです。ダンジョンは神の遊び場であり、皆さまは駒。駒を失うのは惜しいが、使い潰すのは一向に構わない――神々は、そう考えておいでですから」

 

 その説明は、甘い期待を砕くには十分な冷たさを含んでいました。

死ぬことは「スタート地点に戻る」こと。

しかし、それは積み上げた努力やリソースを「ゼロに戻す」ことと同義でした。

 

「それと最後に、お二人を『パーティー』として登録しておきますね」

 

 受付嬢が端末を操作すると、カウンターの奥から二つの小さな輝きが浮き上がってきました。

それは、鈍く銀色に光る細身の腕輪でした。

 

「これを手首に装着してください。パーティーメンバーのステータス共有、譲渡手続きの簡略化、そして緊急時の通信機能などがこれ一つで可能となります」

 

 京助と瑞樹は言われるがままに腕輪をはめました。

冷たい金属が肌に触れた瞬間、パッと視界の端に半透明のウィンドウが展開されます。

 

 

【パーティー情報】

 

パーティー名:(未設定)

 

メンバー:

柏木京助 格闘家<Lv1>

高橋瑞樹 魔術師<Lv1>

 

共有資産: 一九,〇〇〇(19000)クレド

 

通信状態: 接続中

 

クエスト状況: チュートリアル・ダンジョン(進行中)

 

 

「あ、言い忘れておりました。この第一層での生活についてですが、今の皆さまにとって決して快適とは言えませんよ」

「生活基盤……ですか?」

 

 京助が問い返すと、彼女は慣れた手つきでカウンターの端末を操作し、街の地図をホログラムのように空中に展開しました。

そこには、現在の第一層から上層へ向かうにつれて、色合いが豊かになっていく階層図が映し出されています。

 

「皆さまが今いらっしゃる「第一層」は、あくまで「生存の最低ライン」です。提供される宿は簡素な部屋か相部屋の場所がほとんど。食事も栄養価は補完されますが、ものは「ペースト状の何か」です。冒険者としての最低限の活動は行えますが、ここで安住することは推奨されません」

 

 彼女はホログラムを指でなぞり、上の階層を強調しました。

 

「階層を一つ上がるごとに、宿の質は格段に向上し、食事も各段に良くなります。第十層を超えれば現代以上のグルメや娯楽、快適な居住空間を確保できるでしょう。つまり、「より良い生活を送りたければ、より高い階層へ挑め」。それが、この世界の経済とモチベーションを維持するためのルールなのです」

「……なるほど。完全に実力主義の構造ってわけですね」

 

 京助が、そういうと受付嬢は何も言わず、作った様な笑みで答えるのみでした。

 

「お二人とも、これで正式な冒険者です。チュートリアルダンジョンへの入り口は、カウンター横の扉から直結しております。ご使用の際はこちらでご登録ください。それでは……皆さま、どうか楽しませてくださいませ」

 

 無機質で、それでいてどこか煽るような受付嬢の言葉を背に、二人はギルドを後にしました。

 

●チュートリアル

・ステータスを確認しましょう     

・ギルドに行き、冒険者登録をしましょう  

・パーティーを組みましょう    

・宿を取りましょう                

・食事をしましょう                

・演習場で動きを確認しましょう          

・チュートリアルダンジョンを踏破しましょう (0/5)

*1:
魔術師に付与されているスキル

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