野営地に戻ったのは、それからしばらくしてからだった。
アリシアを抱きかかえたまま、俺は慎重に骨の平原を歩いた。彼女の身体はやはりひどく損傷していて死体だから痛みはないはずだが、見ているこっちが痛む。
「すぐに手当てしてやるからな」
俺はアリシアを毛布の上に横たえて、まずは縫合用の道具を探した。以前どこかで拾った針と糸がある。屍体縫合用の特別なものではないが、彼女の皮膚を縫い合わせるくらいはできるはずだ。
「エルナ、周囲を見張ってくれ。何か来たらすぐに知らせろ」
エルナは無言で頷いて、剣を手に野営地の外に立った。彼女も左腕をやられているが、それでも動けるだけましだ。今夜はゆっくり休ませよう。
俺は魔力灯をアリシアのそばに置いて、まずは彼女の服を丁寧に脱がせた。破れた布の下から、傷だらけの白い肌が露わになる。
古傷の上に新しい傷が重なって、痛々しいことこの上ない。でも不思議と、それが彼女の美しさを損なうことはなかった。
「まずは肩からだ」
俺はアリシアの左肩に手を当てて、外れた関節を慎重にはめ直した。ごきりと鈍い音がして、腕が元の位置に戻る。
死体だから痛がらないのが救いだ。次に潰れた右拳。指の骨がぐちゃぐちゃに砕けている。これを元通りにするのは難しい。
「一本ずつやるしかないな。我慢してくれよ、アリシア」
俺は折れた指をできるだけ正しい位置に戻して、細い木の棒を添え木にして包帯を巻いた。完璧ではないが、放置するよりはずっとましだ。それから脇腹の裂傷に針を入れる。皮膚を縫い合わせていく地味な作業だが、俺は一針一針、祈るような気持ちで針を動かした。
「お前が俺を守るために負った傷だ。俺がちゃんと治す。絶対に綺麗に治してみせる」
最後の一針を縫い終わると、俺は深く息を吐いた。彼女の全身に包帯が巻かれて、痛々しさは変わらない。でも処置はした。これで少しはマシになるはずだ。
「さて、ここからが本番だ」
俺は水袋を取り出して、布を濡らした。戦闘の汚れを落とすためだ。彼女の金髪についた埃と血を拭い、顔の汚れを落とし、首筋から胸元へと布を滑らせていく。
「こんなに傷ついても、お前は綺麗だ。俺が守らなきゃいけないのに、逆にお前に守られてばかりだな。ほんと、俺はダメな主だ」
包帯の隙間から覗く無傷の肌を、俺はそっと撫でた。冷たい。いつもの温度だ。でも今はその冷たさすら愛おしい。
「今日はお前を甘やかす。お前が俺のために無理をしてくれたぶん、俺もお前に何か返したい。まあ、俺にできることなんてこれくらいしかないんだけどな」
俺は彼女の乳房にそっと手を当てた。包帯を避けて、白い膨らみが手のひらに収まる。冷たくて、柔らかくて、何度触れても飽きない感触だ。
「精気強化も兼ねてるから、一石二鳥ってことで許してくれよな」
俺は彼女の胸に顔を埋めて、そっと乳首に唇を寄せた。包帯だらけの身体を気遣いながら、できるだけ優しく吸い上げる。いつもより丁寧に、いつもより時間をかけて。
「アリシア、お前は俺の誇りだ。今日の戦いぶり、本当にすごかった。生前のお前よりずっと、いや、生きているどんな戦士よりもかっこよかった。あの一撃、忘れないからな」
俺は彼女の腹に口づけを落とし、包帯の隙間から覗くへそに舌を這わせた。冷たい肌が、俺の唾液で少しずつてらてらと光っていく。
「脚も開かせてくれ。できるだけ優しくするから」
俺は彼女の脚をゆっくりと広げさせた。今日は無理をさせないように、いつもの半分くらいの角度だ。それでも彼女の一番秘密の場所はきちんと見えた。
金髪の茂みの下、閉じた大陰唇。ふっくらとしていて、きれいな肌色のそこは、戦闘の傷から守られて無事だった。
「ここが無事でよかった。ここはお前の中で一番大事な場所だからな。少なくとも俺にとっては。お前のここに、俺は何度救われたかわからない」
俺は指でそっと割れ目を開いた。淡いピンクの内側が露わになる。クリトリスも無事だ。膣口もいつも通り狭くて、指が一本入るかどうかというところだ。
「舐めるぞ」
俺は彼女のクリトリスに舌を這わせた。冷たい突起を、できるだけそっと、でも確実に転がす。ちろちろと舐めて、唇で包み込んで、そっと吸い上げる。
返事はないけど、俺の舌が触れるたびに、彼女の身体がかすかに震える気がした。気のせいだ。でもそう感じられるだけで、俺は満ち足りた。
「アリシア、今日は本当にありがとう。お前がいなかったら、俺はあの糸の中で溶かされて死んでた。お前は俺の命の恩人だ。死んでるのに、生きてる俺を救うなんて、ほんと変な話だよな」
俺は顔を上げて、彼女の顔を見つめた。閉じられた瞼、長いまつげ、ほんの少し開いた唇。相変わらず美しい。戦闘の傷がなければ、いつも通りの寝顔だ。
「キスするぞ」
俺は彼女の唇に自分の唇を重ねた。冷たい。でも柔らかい。何度キスしても、この感触だけは新鮮だった。
舌を差し入れて、彼女の冷たい舌に絡める。当然動かない。でも俺は夢中で彼女の口の中を味わった。
「そろそろ入れるぞ。優しくするから、安心しろよ」
俺は自分の服を脱いだ。もう充分に昂ぶっていて、先端から透明な汁が垂れている。彼女の脚のあいだに腰を落として、そっと亀頭を膣口にあてがった。
「いくぞ……!」
ずぶり。いつもよりゆっくりと、慎重に、彼女の中に入っていく。冷たい肉壁が俺の熱を包み込む。その感覚に、俺は溜息をついた。
「ああ、アリシア。やっぱりお前の中が一番落ち着く。冷たいのに、俺のためにちゃんと用意されてるみたいで。俺の形にぴったりだ」
包帯だらけの彼女の身体を壊さないように、俺はゆっくりと腰を動かした。いつものような激しさはない。でもそのぶん、一つ一つの感触がはっきりと伝わってくる。
襞の一本一本が俺の形をなぞっていく。冷たい膣壁が、ゆっくりと動く俺の熱をじわじわと包み込んでくる。
「アリシア、アリシア、愛してる。今日こそはちゃんと言わせてくれ。感謝してるとか、助かったとか、そういうんじゃなくて、ただ単純に、俺はお前を愛してる。死んでるのに愛してる。いや、死んでるから愛してるのかもしれない。どっちでもいい。とにかく愛してるんだ」
俺は彼女の顔に覆い被さって、額に口づけを落とした。彼女の肌の冷たさが伝わってくる。それが心地いい。
腰の動きを少しずつ速めていく。それでもいつもの半分以下の速度だ。でもそれがかえって、射精までの時間を長くしてくれた。彼女の中に長くいられる。それだけで嬉しかった。
「エルナ、お前もこっちに来い。見てるだけじゃ退屈だろ」
俺は見張りを続けるエルナに声をかけた。彼女は無言で近づいてきて、俺の隣に立った。
「服を脱げ。お前も今日はよく戦った。ご褒美だ」
エルナは素直に服を脱ぎ、裸になった。彼女の身体もまた傷だらけだ。左腕の腫れ、脇腹の裂傷。でも彼女は痛みを感じないから、すぐにでも俺の相手ができる。
「アリシアを抱きながらで悪いが、お前の胸も触らせろ」
俺は右手でアリシアの胸を揉み、左手でエルナの胸に手を伸ばした。左右で違う感触を同時に楽しむ。
アリシアは大きくて柔らかくて、エルナは小さくて弾力がある。どちらも冷たいのに、感触の違いがはっきりしていて面白い。
「エルナ、お前も今日はよく頑張った。双剣の冴えも、アリシアが来るまで一人で支えてくれた粘りも、本当に助かった。お前は俺の大事な配下だ。アリシアほどじゃないけど、でもちゃんと大事に思ってるからな」
エルナは相変わらず無表情だが、俺の手の中で彼女の乳首がかすかに硬くなった気がした。魂縛の指輪がそう感じさせているだけかもしれない。
でも俺は、彼女がちょっとだけ嬉しそうにしていると解釈することにした。
「アリシア、そろそろ限界だ。出すぞ。今日の精気が、お前の傷を少しでも癒やしますように。そういう祈りは、死霊術の理論にはないけど、俺が勝手に祈るんだ」
俺は彼女の一番奥まで腰を押し込んで、熱い精液を注ぎ込んだ。どくどくと脈打つ快感が全身を貫いて、彼女の冷たい胎内を少しずつ温めていく。精気強化の実感。俺の愛情の証。それが彼女の身体を満たしていく。
「はあ、最高だった。ありがとう、アリシア」
俺は彼女からゆっくりと抜いて、精液が溢れないように布で軽く押さえた。それからエルナの方に向き直る。
「お前も抱いてやる。今日は短めで悪いが、精気強化だけはちゃんとしておく」
エルナは無言で毛布に横になった。その姿勢のまま、俺を見上げている。光のない目が、どこか物欲しそうに見えるのは、やはり気のせいだろうか。
「入れるぞ」
彼女の中はアリシアより少し緩いが、それでも十分に気持ちいい。
俺は先ほどより少し早めのテンポで腰を振り、エルナの胸を揉みしだきながら達した。これで彼女の精気強化も進んだはずだ。
「よし、これで二人とも今日のノルマは達成だ。よく頑張った」
俺は汗を拭いて、服を着直した。それからアリシアの隣に寝転ぶ。彼女の右手は包帯だらけで、握り返すこともできない。
でも俺はその手をそっと握った。包帯越しに伝わる冷たさが、俺の心を落ち着けてくれる。
「今日は特別な日だった。お前が戦ってくれた日だ。俺は一生忘れないよ、アリシア。いつかお前がもっと自由に動けるようになったら、また一緒に戦おう。今度は俺がお前を守る番だからな」
エルナは見張りに戻り、俺はアリシアを抱きしめて目を閉じた。ポケットの中の卵がどくんどくんと脈打っていて、まるで俺の鼓動とシンクロしているみたいだった。
「卵も元気だな……」
遠くで骨の軋む音が聞こえる。でも今夜はそれが怖くなかった。俺の隣にはアリシアがいて、エルナが見張っていて、一人じゃない。それだけで、この悍ましい塔の中でも安心して眠れる気がした。