機動戦士ガンダム エロ短編集 女達の地獄の黒史録 作:みなぽん
グローブ事件 宇宙世紀0080年。
「私はあの地獄から生き延びてここにいる。」
ネオジオンのアンジェロ・ザウパーは、艦内の冷たい鋼鉄の壁に額を押し付け、掠れた声で呟いた。その双眸は暗く澱み、焦げ付くような憎悪と、底知れぬ空虚さで満ちている。閉じた瞼の裏には、常にあの日の悪夢が焼き付いて離れない。嗅覚が蘇る。血の鉄錆臭と、火薬の焦燥臭、そして人間の尊厳が搾り取られる時に放たれる、甘くねっとりとした体液と汗の悪臭が。
宇宙世紀0080年。一年戦争の終結は、勝者である地球連邦軍にとって祝杯を挙げるべき輝かしい歴史の1ページだった。しかし、敗者であるジオン公国の民にとって、それは奈落への転落に過ぎなかった。連邦軍上層部は平和の構築を声高に謳い、ジオン共和国政府という傀儡を据えた。だが、コロニー落としによって数十億の血を吸ったジオンへの憎悪は、占領軍となった連邦の末端兵士たちの腹の底で燻り続けていた。上層部の綺麗事など耳に入らない。彼らは、自分たちが奪ったものの代償を、無力な民の肉と血で清算しようと欲していた。
そして、その毒気が噴き出したのが、グローブだった。
人口わずか千人余りの小さな町。前線から引き揚げるべき兵士たちが不在のその町には、老いも若きも、女たちと子供たちしかいなかった。武装も、抵抗の手段も、あるはずもなかった。だが連邦の兵士たちにとって、それは無抵抗な獲物でしかなかった。彼らは「ジオンの鬼畜」と叫びながら、自分たちこそが鬼畜の所業を遂行していたのだ。
「私はあの地獄から生き延びてここにいる」
アンジェロは再び呟く。フロンタルの冷たい手に触れられた時だけ、あの熱く、臭く、粘つく地獄の記憶が凍りつく。だからこそ、彼は「袖」であり続ける。フロンタルこそが、この穢れた世界における唯一の救済であり、彼が掲げる彗星の舵だけが、この腐敗した連邦と、グローブの亡霊たちを焼き払うことができるのだから。
あのビデオの回転音が、今も耳の奥で鳴り止まない。
その音が止む時は、この宇宙が滅びる時だけだ。それまでは、この身が果てようとも、ネオジオンの怨念は炎となって燃え盛り続けるだろう。
「私はあの地獄から生き延びてここにいる」
その言葉を呟くたびに、アンジェロ・ザウパーの鼻腔には、あの日の悪臭が蘇る。血の鉄錆臭、火薬の焦燥臭、そして男たちの汗と体液が混ざり合った、鼻孔の粘膜を焼き尽くすような獣の臭気。それは決して過去のものではなく、今も彼の内臓の奥底で腐り続け、ドス黒い憎悪の燃料となっている。
あの日、グローブの空は鉛色に垂れ込め、湿った風が街路を吹き抜けていた。父が連邦の兵士たちに引きずり出され、路地の向こうで嬲り殺しにされる鈍い打撃音と、骨が砕ける嫌な音が聞こえた時、母は震える私を抱きしめ、押入れの奥に私を押し込んだ。「絶対に出てきちゃダメよ」という母の声は、普段の優しさとはかけ離れた、張り詰めた恐怖に満ちていた。
だが、その避難も無意味だった。押入れの襖が銃托で打ち破られ、無遠慮な軍靴が踏み込んできたのだ。
「おい、まだ使える女が残ってたぞ。ガキもいるな」
土汚れした軍靴と、血の付いた迷彩服。下卑た笑い声を上げながら、3人の連邦兵士が狭い寝室に侵入してきた。母は咄嗟に私の前に立ち塞がったが、男の一人がその細い首を無造作に掴み上げ、部屋の中央へと放り投げた。母は畳の上に崩れ落ち、激しく咳き込む。その隙に、別の男が私の襟首を掴み、壁際に押し付けた。
「動くなよ。ジオンのガキ。お前のクソババアがどうなるか、特等席で見てろ」
男はそう言うと、私の頭を軍靴の底で床に押し付けた。冷たく硬い感触と、土の臭い。視界は斜めに歪み、だが、目の前で繰り広げられる光景は嫌でも網膜に焼き付いた。
「やめて! 私は何もしていない! ただの町民よ!」
母が必死に懇願する声。しかし、兵士たちにとってそれは、獲物が震えているのを見て悦に入る材料でしかなかった。
「うるせえんだよ、ジオンのアマ。お前らがコロニー落として何億人殺したと思ってる? そのツケを身体で払ってもらうんだよ」
男の一人がカメラを構え、赤い録画ランプを点灯させた。その冷徹なレンズが、これから起こる冒涜を凝視している。
別の男が母に馬乗りになり、荒々しくブラウスを引き裂いた。ボタンが弾け飛び、白く脆弱な肌が露わになる。母は胸元を隠そうと身をよじったが、男はその両手首を片手でねじり上げ、頭上に固定した。
「いい乳してるじゃねえか。ジオンの女はみんな淫乱だって噂だったが、本当だったな」
男は涎を垂らしながら、残った手で母の胸を鷲掴みにした。脂肪が指の間から溢れ出し、白い肌に赤い指の跡が残る。母の唇から屈辱と恐怖に満ちた悲鳴が漏れた。
「やめろ! お母さんに触るな!」
私は床に擦り付けられた頬を激痛を覚えながら叫んだ。すると、カメラを構えていた男が私の腹を蹴り上げた。「静かに見てろと言っただろ!」風が抜けたような激痛に、私は呻き声を漏らし、胃液を吐きそうになった。
涙で滲む視界の中で、母が私の方へ手を伸ばそうとするのが見えた。
「アンジェロ! アンジェロッ!」
「ガキの心配してる余裕あるのかよ」
スカートが乱暴に剥ぎ取られ、下着が引き裂かれた。布が裂ける乾いた音が、私の心臓を直接抉るようだった。母の秘部が、無遠慮な男たちの視線とレンズの前に無防備に晒される。
「さあ、ジオンのアマ。俺たちを楽しませてくれや」
男はズボンの前を寛げ、凶器のように猛った自身を露出させると、容赦なく母の脚を割り開き、その間に身を沈めた。母の顔が苦痛に歪む。
「いやぁぁぁっ! やめてぇっ!」
拒絶の叫びも虚しく、男は一息に腰を突き入れた。
「ぐっ……あぁぁぁっ!」
乾いて硬く閉じた肉体を無理やりこじ開けられる暴力。肉が裂ける嫌な音が聞こえたような気がした。母は背を弓なりに反らし、白目を剥いて絶叫した。それは人間が出してはならない、魂が砕け散る時の悲鳴だった。男は母の反応を楽しむかのように、激しく腰を打ち付け始めた。「おう、いい締まりだ。ジオンのアマは死ぬほど気持ちいいな」下卑た言葉を吐きながら、男は母を揺さぶる。
私はただ、目を見開いてその光景を見つめることしかできなかった。お母さんが犯されている。あの温かかったお母さんが、目の前でただの肉の器として扱われている。理解を超えた惨劇に、私の幼い精神は凍りつき、壊れていった。
最初の男が獣のような唸り声と共に母の中に放つと、代わるように二人目が乗り出してきた。「次は俺だ。バックからやってやるよ」母はまだ最初の暴行の余韻で痙攣しているのに、男は無理やり四つん這いにさせた。
「おい、顔を上げろ。カメラに顔を向けろ」
男は母の髪を掴み、無理やり顔を上げさせた。涙と鼻水と涎でぐしゃぐしゃになった母の顔。空虚に見開かれた瞳には、もう光がなかった。カメラがその惨めな表情を至近距離で捉える。
「ほら、どうだ? 息子に見せつけてみろよ。お前がどんなメスかってな」
男はそう言うと、母の後孔に指をねじ込みながら、自身を突き入れた。前後からの暴行に、母は声にならない悲鳴を上げ、口から胃液を吐き出した。酸っぱい臭いが部屋に充満する。男が動くたびに、母の身体は肉人形のように無惨に揺さぶられ、白濁した体液と鮮血が混ざり合って太腿を伝い落ちていく。
三人目はさらに残虐だった。「ガキにもよく見えるようにしてやろうぜ」男はそう言うと、私の方へ母の顔を向けさせた。そして、母の上に覆いかぶさりながら、私に向かって笑った。
「よう、ジオンのガキ。お前の母ちゃんはいいオンナだぞ。俺たちの精液をたっぷ汲んで孕みな」
男は母の中に放った後も抽出せず、そのまま母の腹を圧迫した。圧力に耐えきれず、母は失禁した。黄色い尿がシーツに染みを作り、排泄物の臭気が漂う。人間として最後の尊厳まで奪われたその瞬間、母はただの子宮を持った肉塊へと成り下がった。
彼らは母を完全に使い捨ての性処理用具として扱い、飽きるまで何時間も陵辱を続けた。交代で入り込み、ありとあらゆる穴を犯し、精液という汚泥を身体の中にも外にも浴びせかけた。母はもう抵抗すらしなかった。ただ時折、神経的な痙攣を起こし、虚ろな目で天井の一点を見つめ続けていた。「お母さん」と呼びかけても、もう私を見てはくれなかった。
ビデオカメラの回転する音だけが、冷徹にその冒涜を記録し続けていた。
彼らが満足して去っていった後、部屋には死のような静寂が広がっていた。床には血と体液と排泄物が混ざり合った汚泥が広がり、そこに母は芋虫のように丸まって横たわっていた。
私は震える手足で這い寄り、母に触れようとした。「お母さん……」指先が触れた母の肌は、冷たく、粘つく体液で覆われていた。私の手には白濁した汚れたものが絡みついた。それは私の手をも汚染し、生涯洗い流せぬ呪いとなった。
母はゆっくりと顔を上げた。その瞳には涙すらなく、ただ深い深い闇だけがあった。「……アンジェロ」掠れた声で私の名を呼んだきり、彼女は再び沈黙した。その時私は確信した。お母さんは、もうあのお母さんではないのだと。
あの日、母の中で死んだのは人間としての尊厳であり、魂だった。そして私の中で死んだのは、世界への信頼と無垢な幼年期だった。
後に母は入浴中に剃刀で手首を断ち切った。お湯は瞬く間に赤く染まり、母はまるでようやく穢れを洗い流せたかのように安らかな顔で沈んでいた。
私はあの日からずっと、あのお湯と同じ色の血に浸かった世界を見続けている。
あの時嗅いだ体液と排泄物と血の臭いが、今も私の中で蠢いている。
彼ら連邦の豚どもが私たちから奪ったものは、命などという生温いものではない。
人間として在ることを許されず、肉の塊として消費されたあのおぞましい記憶こそが、私を駆動する唯一のエンジンだ。
私はあの地獄から生き延びてここにいる。
だがそれは、生き残ったなどという希望に満ちた言葉ではない。
この身が灰燼に帰するその日まで、あの輪姦の惨劇を反芻し続けるために存在しているという、永劫の呪いである。
フロンタル閣下だけが、この腐臭漂う私の手を取ってくださった。
あの氷のように冷たい手に触れられる時だけ、私は自分が肉塊ではなく人間であることを思い出すのだ。
だから私は戦う。
あの時レンズ越しに私を見下ろしていた冷酷な視線を持つ世界そのものを否定し、破壊するために。
この手についた母の汚泥を拭い去るために。
私の中で鳴り止まないあの悲鳴を黙らせるために。
彗星がこの腐敗した宇宙を焼き尽くすその瞬間まで、私の引き金は撃ち続けられるだろう。
「グローブビデオ」。それはアンジェロだけの傷ではない。
ネオジオンには、そのビデオの「出演者」となった女たちがいた。彼女たちは、屈辱と絶望の淵から這い上がり、生きる力を憎悪に変えて、この艦に立っている。彼女たちの告白は、グローブという名の地獄の、さらに深く底知れぬ深淵を覗き込むものだった。
【告白1:マリアナ・オスワルド】ネオジオン 曹長 ザクパイロット
「私は母の目の前で犯された。いえ、違う。母と共に犯されたと言うべきでしょう。
あの日、兵士たちが家に押し入ってきた時、私は母と台所にいました。父は数日前に連行され、もう戻らないと分かっていました。兵士たちは銃を突きつけ、私たちを寝室に引きずり込んだ。『ジオンのアマどもは、みんな淫乱だって噂だな。親子揃って確かめてやるよ』下卑た笑い声と共に、母の服が引き裂かれました。40を超え、私の出産で崩れた母の身体が、冷たいカメラのレンズの前に晒されたのです。
私は母を庇おうとしましたが、男の一人に髪を掴まれ、床に叩きつけられました。『いいか、見てるんだ。お前のクソババアがどうなるか、よぉく見てろ』男は私の頭を軍靴で踏みつけ、無理やり顔を上げさせました。視界の先には、二人の兵士が痩せ衰えた母の手足を押さえつけ、脚を無理やり開かせている光景。母は『やめて、お願い、娘だけは……』と懇願していました。しかし、その言葉は、男たちの嗜虐心をさらに煽っただけでした。
『おう、母ちゃん元気だな。じゃあ娘の番だ』男の一人が私にのしかかり、私のスカートを捲り上げました。下着を引き裂かれる音と同時に、鋭い痛みが下腹を貫きました。私はただの十四歳の少女でした。心の準備などあるはずもなく、身体は硬直し、乾いていました。男は唾を掌に吐きかけ、それを私の股間に塗りつけると、容赦なく自身をねじ込んできました。裂けるような痛み。腹の奥を鋭い棒でかき回されるような異物感。私は声も出せず、ただ口をパクパクさせました。
『おいおい、娘の方が締まりがいいぞ。さっきのババアはカスカスだったがな』男たちはケラケラと笑いながら、私の身体を上下に揺さぶりました。私は痛みと恐怖で気が遠くなりそうでしたが、軍靴で頭を踏まれ、目を開けさせられました。『見ろって言ってんだよ!』
目の前では、別の男が母の背後から母を貫いていました。母は四つん這いにさせられ、揺さぶられるたびに胃液を吐きそうにえずいていました。親子が、一つのベッドの上で、同時に獣たちの欲望の捌け口として扱われる。その異様な光景。母の空虚な目と、私の目が合った瞬間、母は泣き崩れました。それは悔し涙などではなく、人間としての魂が砕け散った音でした。
その後、男たちは『レズプレイ』と呼んで、私と母を重ね合わせたり、互いの身体を舐めさせたりしました。拒絶すれば暴力が振るわれ、カメラが回り続ける。私は母の肌の温もりと、男たちの粘つく体液の冷たさを同時に感じながら、心が死んでいくのを感じていました。
あのビデオが出回っていると知った時、私は吐血するほどの衝撃を受けました。私の陵辱が、連邦の男たちの慰み者として、何万、何十万回も消費されている。私の苦痛に満ちた顔を見て欲望を吐いている。私の魂が、粘着質な視線で陵辱され続けている。母は事件後すぐに精神を病み、今も施設の壁を殴り続けています。私は、ビデオの中の自分を消すために戦っているのです。私の身体が映っているあのビデオを、この宇宙から抹消するために。連邦の豚どもを、一匹残らず焼き尽くすために」
【告白2:カレン・ヘンドリクソン】ネオジオン 二等兵 ムサイ給仕班
「私には3歳の娘がいました。マリィと呼ぶ、ふわふわの金髪の可愛い娘です。
逃げ遅れたのは、マリィが熱を出していたからでした。物陰に隠れていましたが、物音を立ててしまい、見つかってしまった。兵士たちは3人。最初は金目当てかと思いました。しかし、彼らの目は、私の胸元と、私の腕の中のマリィに釘付けでした。『おっと、いい肉が2匹も残ってるぜ』男たちはニヤニヤしながら、銃を私に向けました。『抵抗すんなよ。お前のそのいい乳で、俺たちを楽しませてくれれば、ガキは助けてやる』男はそう言って、私からマリィをひったくりました。
マリィは『ママ、ママ』と泣き叫びました。私は『言うことを聞くから、お願い、娘を返して』と懇願しました。男はマリィを部屋の隅に放り投げ、他の二人に『ガキを見張ってろ』と命じました。そして、私を床に押し倒したのです。
服はナイフで切り裂かれました。刃先が肌を掠め、血が滲みましたが、男はそれを舐めとりながら、私の脚を無理やり開かせました。『ジオンのアマは総じて締まりがいいと聞くが、どうだかな』男の吐息はタバコと酒の腐った臭いがしました。私は必死にマリィの方を見ました。マリィは兵士に腕を掴まれ、恐怖に震えていました。『見てるんだよ、マリィ。ママはお前のために頑張ってるんだからな』男の下劣な声と共に、男のモノが私の中にねじ込まれました。
強烈な圧迫感。内臓をかき回されるような暴力。私は痛みに声を殺し、ただマリィに『大丈夫だよ』と目で訴えました。男は私の両胸を掴み、捏ね回しながら、激しく腰を打ち付けました。『おう、いいぞ。子持ちの割には締まりがいい。夫はサイド3で兵隊さんか? その夫の代わりに俺たちがたっぷり可愛がってやるよ』男たちは私の体内に精液を吐き出し、すぐに別の男が代わりました。
二人目は背後から犯しました。四つん這いにされ、胸を床に擦りつけられながら、後孔を含め交互に貫かれました。屈辱と痛みで意識が朦朧とする中、三人目が私の顔の前に立ち、口を開けさせました。『汚ねえジオンのアマだが、口は使えるだろ』汚臭を放つモノが喉の奥まで突き入れられ、私は嘔吐反射で苦しみましたが、殴られながら飲み込まされました。
やがて男たちが満足し、ボロ屑のように床に転がされた私は、血と体液にまみれた身体でマリィの元へ這っていきました。『マリィ、大丈夫……』しかし、マリィはもう震えていませんでした。見張っていた男が退屈し、『うるさいガキだ』と言って、マリィを壁に叩きつけたのです。
鈍い音。後頭部から赤い液体が流れ出し、マリィのふわふわの金髪が赤黒く染まっていきました。『あ、やっちまった。まあいいか、こっちは用済みだし』男たちはケロリと言って、ビデオカメラを片付け、出て行きました。
私はマリィの冷たくなった身体を抱きしめ、声も出ないほどの絶望の中で丸くなりました。あのビデオの中の私は、娘の命と引き換えに獣の交尾に耽る最悪の女です。あの鈍い音が、私の耳から消えない。私が生きているのは、この音を聞いたままで死ねないからだ。連邦という名の悪魔に、倍の音を返すためだ」
【告白3:ルイセ・アルノー】少尉 ゲルググM パイロット
「私はまだ14歳でした。女としての自覚すら持たぬ子供でした。
グローブは静かな町でした。戦争が終わったからと、大人たちは少し安心し始めていました。でも、連邦の兵士たちは違いました。彼らは私たちを『ジオンの残滓』と呼び、人間扱いしませんでした。私が連行されたのは、町の集会所でした。そこは既に血の海で、数人の男性の死体が転がっていました。その臭いで嘔吐していると、兵士の一人が私の髪を掴んで引きずり起こしました。『おい、まだ使えるのが残ってたぞ。ガキだが、穴があればいい』
私は教室机が並ぶ部屋に投げ込まれました。そこには数台のビデオカメラが回っていました。『さあ、ジオンのガキの初モノを頂戴しようぜ』男たちは下着を取った私の未成熟な身体を検品するように弄りました。まだ膨らみかけの胸をつねり、薄い陰毛を引き抜き、裂け目を無理やり開いて中を覗き込みました。『うわ、まだ使い込まれてねえな。赤ん坊のままだ』男たちはげらげらと笑いました。
初めての経験が、暴行でした。大人の男の重量がのしかかり、肋骨がきしみました。男の太い指が私の乾いた身体に無理やり押し込まれ、裂けるような痛みが走りました。私は『お母さん』と叫びました。すると男は私の口を手で塞ぎ、『お前の母ちゃんはもう俺の仲間にやられて発狂してるよ』と耳元で囁きました。
挿入された瞬間、身体が真っ二つに裂けるかと思いました。乾いた壁を無理やりこじ開けられる摩擦の熱。腹の底に鈍い鉄の塊が押し込まれるような圧迫感。私は痛みで失神しそうになりましたが、冷水を浴びせられ、頬を殴られて無理やり目覚まされました。『逃げんなよ。ちゃんとカメラに映れ。お前が俺たちの記念撮影の主役なんだからな』
何時間も、何人もの男が入れ替わり立ち替わり私の上に乗りました。腹部が張り詰れ、他人の白濁液が溢れ出して床に溜まっていく感覚。下半身は感覚を失い、ただの肉の器に成り下がっていきました。私は人間としての尊厳を、その瞬間に完全に喪失した。あのビデオの中で、私はただの『穴』だった。表情も、言葉も、ただ痛みに歪む顔が映っているだけ。
以降、私は人を愛せない。ただ、全てを憎むことだけが私を支えている。あのビデオを焼き払い、私を犯した男たちの肉を裂くことだけが、私の生きる理由だ」
【告白4:エバ・ハーメル】ネオジオン 伍長 ビグロパイロット
「私の隣には、病弱な兄がいました。兄は足が不自由で、車椅子に乗っていました。兵士たちが押し入ってきた時、兄は『エバを守る』と車椅子から立ち上がろうとしました。しかし、兵士の一人が銃床で兄の頭を横から殴りつけました。鈍い音がして、兄は床に崩れ落ちました。血が耳から流れ出ています。『クソ障害者が。俺たちの邪魔をするな』兵士は兄の腹を軍靴で踏み抜きました。兄は苦しげに呻き、血を吐きました。
私は叫びました。『お願いです! 兄を助けて! 私が言うことを聞きますから!』男はニヤリと笑い、『なら、お前のその身体で兄貴の命を買えよ』と言いました。私は頷き、服を脱ごうとしました。震える手でボタンを外していると、男は待ちきれずに私の服をナイフで切り裂きました。
兄の倒れているすぐ側で、私は押し倒されました。兄の顔が、私のすぐ横にありました。兄の目は、焦点が定まらないまま、虚ろに開いていました。その目の前で、男は私の脚を肩に担ぎ上げ、一気に貫きました。衝撃が脳天を突き抜けました。『おう、兄貴の前で犯られるのはどうだ? 気持ちいいか?』男は私の耳元で囁きながら、激しくピストン運動を始めました。
私は兄と目を合わせないように、天井を見つめました。しかし、別の男が私の顔を兄の方へ向けさせました。『見てみろよ。お前の大事な妹が、俺たちの精液便所になってるんだぜ』兄の口からは言葉が出ませんでした。ただ、瞳の奥で、兄の魂が砕けていくのが分かりました。
男たちは交代で私を犯しながら、倒れた兄を蹴ったり、兄の上に跨ったりしました。『おい、障害者。お前の妹、締まりがいいぞ』男が私の中に放つたびに、兄の顔に精液が飛び散りました。兄はただ、血と涙で濡れた顔で、天井を見つめていました。
やがて男たちが去った後、兄は私に『ごめんな、エバ……』と微かな声で言い、息を引き取りました。兄は死ぬ間際、何を思ったのだろうか。無力な自分を呪ったのか、それとも私を哀れんだのか。あのビデオの中の私は、兄の上で汚されるただの肉だ。私は兄の上で犯された屈辱と、兄の命を代償にできなかった絶望を抱えたまま、ネオジオンの制服に袖を通している。私の命は、兄の血の上に成り立っている。それを無駄にしないために、私は連邦を地獄に叩き落とす」
【告白5:シルヴィア・クライン】ネオジオン 中尉 軍医
「あのビデオが出回っていると知った時、私は吐血するほどの衝撃を受けた。私の陵辱が、連邦の男たちの慰み者として、何万、何十万回も消費されている。私の苦痛に満ちた顔を見て欲望を吐いている。私の魂が、粘着質な視線で陵辱され続けている。
私は看護師でした。負傷した兵士を運び込んでいた時、連邦の部隊が病院を占拠したのです。彼らは患者のベッドの上で、死にかけている老いた男たちを射殺し、私を手術台の上に縛り付けました。『ここはジオンの病院だろ? なら、俺たちのドクターが足りねえな。俺たちの毒を吸い出してくれよ』男たちはまるで遊戯のように私を弄びました。
手術台の冷たい革の感触。手足を拘束されたまま、彼らは医療器具を使って私の身体を開きました。ピンセットで乳首を挟み、メスの背で内腿を撫で、カテーテルを尿道に差し込もうとしました。
『おっと、医者が暴れるな』男たちは私の口に猿轡を噛ませ、私の股間に冷たい潤滑ゼリーを塗りつけました。そして、消毒済みのメスで私の下着を切り裂き、彼らの汚れたモノを突き入れました。
猿轡の奥から漏れるくぐもった悲鳴。彼らは私の苦痛に歪む顔をカメラに収めながら、『ほら、もっと苦しそうな顔をしてくれよ。視聴率が上がるからな』と笑いました。彼らは交代で私の中に精液を吐き出し、それをまた別の男が掬い取って私の顔に塗りつけました。視界は白濁した粘液で遮られ、鼻の穴を塞がれ、息苦しさで意識が飛びそうになりました。
彼らは私の身体を『治療』と称し、あらゆる場所を犯しました。口の中は粘膜が擦り切れ、血が滲みました。後孔は裂け、血と汚物が混じり合いました。そして彼らは、私の身体に残った精液を集め、それを私に飲ませました。『ジオンのアマにはこれがお似合いだろ。栄養をつけて次の客に備えろ』
私は死者よりも酷い扱いを受けているのです。彼らは私を人間として扱わず、ただの性処理用の肉塊として消費しました。その記録がビデオとして残り、今も誰かのパソコンの中で再生されている。私の屈辱が、彼らの快楽の道具になっている。
だが、それを直視しなければならない。
私の身体を奪還するためには、私の尊厳を取り戻すためには、この世界を焼き尽くすしかないのだ。
あのビデオを回している男たちの喉笛を食いちぎるまでは、私は死ねない」
アンジェロは、彼女たちの告白を知っている。それは、彼自身の傷口と共鳴する、血で滲んだ和音だ。彼女たちが戦場で躊躇なく引き金を引くその瞳の奥には、常に「グローブビデオ」の残像が焼き付いている。アンジェロもまた然りだ。
ジンネマン艦長もまた、同じ傷を抱える者だ。彼が酒に溺れ、狂乱するその姿の根底にあるのも、グローブの亡霊だ。彼らは皆、あのビデオの中の亡者なのだ。生き残ったからこそ、死ぬことすら許されない地獄の巡礼者たち。
俺の名はスベロア・ジンネマン。ネオ・ジオン残党「袖付き」に属する偽装貨物船ガランシェールの艦長だ。今は海賊まがいの略奪行為に手を染め、連邦の艦船を狩る日々を送っている。だが、これは復讐などという甘い言葉で語れるものではない。これは、俺の魂の欠落を埋めるための、ただの破壊衝動に過ぎない。
俺には妻がいた。エレナという名の、笑顔の美しい女だった。娘もいた。マリーという、まだ五つの小さな天使だ。グローブで事件が起きた時、俺は戦争の後始末で故郷を離れていた。連邦がジオンの占領地で何をしているか、噂には聞いていた。だから急いで戻ったが、遅すぎた。
町は死んでいた。焼け焦げた家々、路上に転がる死体、そして異様な静寂。俺は狂ったように家族を探し、自宅の跡でエレナの割れた眼鏡と、マリーのお気に入りだったクマのぬいぐるみを見つけた。血にまみれたそれらを握りしめ、俺は理解した。俺の世界は終わったのだと。
しかし、本当の地獄はその後だった。
事件の数ヶ月後、ある情報がもたらされた。連邦の兵士たちが虐殺と凌辱の様子を録画し、それが「グローブビデオ」として裏市場で取引されているという。俺は金を積み、あらゆるルートを辿り、ついにそのビデオを入手した。酒を浴びるほど飲み、震える手で再生ボタンを押した俺を、スクリーンの中の悪夢が待っていた。
最初に映ったのは、俺の家の居間だった。見慣れた家具、壁に掛けた家族写真。その見慣れた場所で、見知らぬ男たちが獣のように蠢いている。そして、中央の床に組み敷かれているのは、エレナだった。
エレナの服は既にほとんど引き裂かれ、細く白い肢体が晒されていた。彼女は必死に身をよじり、近くにいるマリーを守ろうと手を伸ばしている。泣きじゃくるマリーの姿が画面の端に映り込む。ああ、マリー。俺の小さな天使。お前はまだ五つだった。いつも俺の膝の上で絵本を読んでくれとせがんでいた、あの愛おしい存在。
「お願いです!娘だけは、娘の前でだけはやめてください!」
エレナの悲痛な叫び。それが男たちの嗜虐心を煽った。兵士の一人が彼女の髪を掴み、床に何度も顔を打ち付ける。鈍い打撃音が響き、彼女の鼻と口から鮮血が飛び散った。それでも彼女はマリーを庇い続けた。無様で、哀れで、だが誰よりも毅然とした姿だった。
「娘の前でやめてだと?ジオン女、お前の願いなんか聞くかよ」「むしろ、ジオン女を娘の前で犯してやるのが最高の楽しみだ」
別の兵士が笑いながら言い放つ。彼はマリーを無理やり引きずり寄せ、エレナの目の前に座らせた。俺の小さな娘は、何が起きているかも理解できず、ただ「ママ、ママ」と泣き続けている。
「ほら、よく見てろよ。お前のママはどうやって俺たちを喜ばせるか」
兵士はエレナのスカートを捲り上げ、下着を引き裂いた。カメラが彼女の秘部にズームインする。無残に晒された恥部を隠そうとする彼女の手を、別の男が踏みつける。指の骨がきしむ不快な音がした。
最初に彼女を貫いた男は、まるで発情したイヌのように激しく腰を打ち付けた。エレナの口から苦痛に満ちた悲鳴が上がる。乾ききった身体を無理やりこじ開けられる肉の裂けるような痛み。それでも彼女はマリーを見まいと、涙で濡れた顔を背けた。
「お母さん、痛いの?お母さん!」
マリーの無垢な声が、この地獄をさらに残酷なものにしていた。娘は母が苦しんでいるのを見て、小さな手を差し伸べている。だが兵士はマリーを押さえつけ、無理やり母の陵辱を見せつけた。
「いい子だ、よく見ておけ。これがお前の未来だ」
男の一人が、マリーの頭を掴み、エレナの方へ向けたまま動かさない。マリーの澄んだ瞳が、母が獣のように犯される姿を映し出していた。ああ、なんという地獄だ。俺の目の前で繰り広げられているのは、俺の愛する者たちへの最も卑劣な冒涜だった。
エレナは次第に抵抗をやめ、ただの肉人形のように揺さぶられるだけになった。彼女の目は虚ろに開かれ、何も見ていない。だが、彼女の口元は微かに動いていた。俺は音量を最大にし、耳を澄ました。
「……ごめんね……マリー……ごめ……」
彼女は最後まで、自分ではなく娘を想っていたのだ。俺の妻は、最も尊厳を奪われた状況でさえ、母としての愛情を失わなかった。これが彼女の最後の言葉だった。直後、男の一人が彼女の首を軍靴で踏みつけ、彼女は意識を失った。
だが、悪夢はこれで終わらなかった。
男たちは気を失ったエレナの中に順番に精液を吐き出し、彼女の腹が膨らむほどの量を注ぎ込んだ。「これでジオンのクソ女も妊娠するだろうぜ。連邦の慈悲だ」ゲラゲラと彼らは笑い、白濁した体液が太腿を伝って床に広がる様をカメラに収めていた。
そして、彼らの標的はマリーに移った。
「さて、次はお前の番だ、お嬢ちゃん」
「やめろ!まだガキだぞ!」
俺はスクリーンに向かって叫んでいた。画面を殴りつけ、涙と嗚咽が止まらず、嘔吐しそうになりながらも、目を離すことができなかった。
「がきだからいいんだよ。締まりが違う」
男の一人がマリーの小さな身体を持ち上げ、テーブルの上に仰向けに寝かせた。兵士が三人がかりでマリーの細い手足を押さえつけ、別の一人が彼女の小さなワンピースを乱暴に捲り上げた。花柄の可愛らしい下着が露わになる。それは先月、エレナと一緒に買い物に行って選んだものだと、スクリーンの中の光景が告げていた。
「ママー!ママー!」
マリーは泣き叫びながら、気を失っている母に助けを求めた。だが、彼女の母は動かない。その声が俺の心臓を直接握り潰すようだった。ああ、神よ。もし神がいるなら、なぜこんなことを許すのか。なぜ俺の娘が、まだ五歳の無垢な存在が、こんな目に遭わねばならないのか。
男はマリーの下着を脱がそうと手をかけた時、マリーは必死に足をばたつかせ、兵士の顔を小さな足で蹴った。男が一瞬ひるんだ隙に、彼女はテーブルから転がり落ち、無我夢中で這って逃げ出そうとした。
「このガキっ!」
蹴りを受けた兵士が激昂し、這いずるマリーの後頭部に軍靴を振り下ろした。その時、画面の録画が乱れた。おそらく、カメラを構えていた男が動揺し、手が震えたのだろう。画像が乱れた後、再び画面が安定した時、そこにはもう動かないマリーの小さな身体が映し出されていた。床に広がる赤黒い血の海。花柄のワンピースが、そしてあのクマのぬいぐるみが、みるみるうちに真紅に染まっていく。
「おい、やりすぎだ!」
「大丈夫だ。死体は焼けばわからねえよ」
「つまんねえな。ガキはつまんねえ」
彼らはマリーを殺したことを、ただの「つまらない」と評した。その言葉に、俺の内の何かが完全に壊れた。俺の娘は、この世で最も愛おしい存在は、連邦の屑どもにとっては「つまらない」で片付けられる存在だったのだ。
ビデオはその後、気を失ったエレナの身体にさらに暴行を加え続け、最後は家に火を放って終わっていた。画面の端に、燃え上がる我が家と、その前で笑いながら「記念撮影」をする兵士たちの姿が映っている。
再生が終わり、青い砂嵐が画面を埋め尽くした後、俺は床に這いつくばって泣いた。いや、泣くという生易しいものではなかった。俺の目からは涙ではなく、魂が液状化して流れ出ているような感覚だった。体中の水分を根こそぎ吸い出されるような、そんな恐怖と悲嘆。これ以降、俺は人として在ることをやめた。心は燃える家と共に灰になり、残ったのは憎悪という名の残骸だけだ。
スクリーンの中のマリーは、母を守ろうとしていた。五歳の、まだ何も知らぬはずの小さな娘が、誰よりも勇敢だった。彼女は最後の瞬間まで、無垢で、純粋で、そして愛に満ちていた。その俺の天使を、豚どもは軍靴の下でゴミのように踏み潰した。
俺は誓った。この手で連邦を破壊し尽くすと。マリーとエレナの魂を冒涜したあのビデオの存在を、この宇宙から完全に消し去ると。
だから俺は戦う。ガランシェールの艦長として、ネオ・ジオンの一兵士として、ただの破壊衝動の塊として。俺の人生に意味などない。あるのは、あのビデオの中で失われた家族への、生涯癒えることのない慟哭だけだ。
時々、静かな夜にマリーの声が聞こえる。「パパ、ママはどこ?」と。俺はその度に、あのビデオを思い出す。エレナが最期に「ごめんね、マリー」と謝っていた姿を。彼女が謝る必要などなかった。悪いのは全て連邦だ。この腐敗した世界そのものだ。
フロンタル様は言われた。「君の憎しみは正しい」と。あの方の言葉だけが、俺の壊れた魂をかろうじて繋ぎ止めている。あの方が示す「コントロール・メイス(彗星の舵)」こそが、俺の家族を冒涜したこの世界を焼き尽くすための唯一の希望だ。
俺は生きている。だが、それは生きているとは呼べない。ただ、復讐という燃料で動き続ける機械だ。燃料が尽きるその日まで、俺は引き金を引き続ける。マリーのクマのぬいぐるみに染みついた血痕が乾くことは永遠にないのだから。
⭐️復讐
宇宙世紀0096年。サイド7の空片隅、連邦軍の補給基地として公表されている小さな宇宙要塞「ベルト7」。その氷冷したブロックの最深部で、ネオ・ジオン残党「袖付き」の怒りが静かに、だが確実に牙を剥いていた。
情報将校アンジェロ・ザウパーが、ありとあらゆる裏社会のルートを洗い、辛うじて突き止めた「グローブビデオ」の製造元。それがここ、第407任務隊の拠点だった。彼らは公式には「対ジオン残党諜報部隊」として存在していたが、その実態はジオン共和国へのネガティブキャンペーンを密かに実施する卑劣なプロパガンダ製造工場だった。過去の虐殺と陵辱の記録を整理し、新たなフェイクを付加して裏市場に流すことで、ジオン残党の精神的な土壇場を削り、同時に連邦内の反ジオン感情を永続的に維持すること。それが上層部から与えられた彼らの「任務」だった。
「全機、突入開始。生存者は不要。データと、製造に関わった者たちだけを確保せよ」
ジンネマン艦長の命令は、ガランシェールのブリッジに冷徹に響き渡った。彼の瞳の奥には、妻エレナと娘マリーの無惨な死に様が焼き付いている。アンジェロもまた、母の陵辱の記憶を胸に、ニュータイプ的な共感覚で敵の恐怖を拾い上げながら、冷たい笑みを浮かべていた。そして、かつてグローブで「出演者」とされた女兵士たち——マリアナ、カレン、ルイセ、エバ、シルヴィア——は、自らの手足の拘束を解き、モビルスーツのシートに座していた。彼女たちのコックピットは、復讐の祭壇だった。
襲撃は一方的な虐殺として始まった。
第407任務隊の守備モビルスーツ——陸戦型ジムの改修機たち——が、格納庫から出ることすら許されず、ビーム・マグナムの閃光によって次々と蒸発させられた。シルヴィアの駆るギラ・ズールが、クロー・アームでジムのコックピットを握りつぶす。金属が軋み、中の肉が潰れる感触。彼女は冷笑しながら、かつて自分の口を塞いだ男たちと同じ眼で、敵の断末魔を見つめていた。
内部への突入もまた、血塗られた通路となった。セキュリティドアを爆破し、煙の中から突入したアンジェロとジンネマンの部隊は、抵抗する守備兵を容赦なく射殺した。「殺せ! 撃て!」カレンは叫びながら、アサルトライフルの銃口を連邦兵に向け、彼女の娘が壁に叩きつけられた時の鈍い音を脳裏に反芻させながら、引き金を引き続けた。
彼女たちは、製造部門へと直行した。そこは、かつてのグローブの惨劇が、デジタルなデータとして冷たく保存され、加工される場所だった。無数のサーバーラックが並ぶ部屋。アンジェロは技術班に指示し、全データの吸い出しを開始させる。グローブビデオのマスター、未編集の生データ、そしてそれを注文した連邦上層部の宛先リスト。全てが、ネオ・ジオンの手に落ちた。
製造設備——撮影用のスタジオセットや、映像を加工する編集機材——は、ジンネマン自らバズーカを撃ち込み、鉄屑に変えた。「これで二度と、俺たちの魂は売り物にはならねえ!」彼の咆哮と共に、炎が上がった。
そして、最深部の居住ブロックで、彼らは「関係者」たちを引きずり出した。
5人の男女が、血と油にまみれた床に跪かされた。彼らは、第407任務隊の中核を成す者たちだった。アンジェロは、かつてグローブで回されていたあのビデオカメラを彼らの前に置き、録画ボタンを押した。
「さあ、お前たちの番だ。お前たちが撮影したように、お前たちの内実を全世界に晒してやる。さあ、語れ。お前たちが何者で、なぜあんなことをしたのか」
アンジェロの冷徹な声に、彼らは恐怖に震えながら、次々と卑劣な内実を吐き始めた。それは、被害者たちの怒りをさらに深く抉る、恨みの連鎖の末路だった。
【関係者1:第407任務隊指揮官、グラハム・フォード少佐】
「我々は……言われたことをやったまでだ!連邦軍参謀本部からの直接命令だ!『ジオンの残党を精神的に追い詰めろ』と!あのビデオは、ジオンの連中が見たら発狂するほどの効力があるんだ。それを流し続けることで、再起不能にする。それが、我々の任務だったんだ!金のためじゃない!連邦のためだ!」
「連邦のためだと?」ジンネマンが軍靴で彼の顔を踏みつけた。「俺の妻と娘を犯して殺して、それをビデオにして売り捌いたのが、連邦のためだと?」
「あれは……仕方なかったんだ!ジオンの連中がコロニーを落として、何億人もの連邦の民を殺した!その恨みを晴らすためには、ジオンの女たちに屈辱を味わわせるしかなかったんだ!彼女たちが泣き叫ぶ姿を見て、ようやく俺たちの心が救われると思ったんだ!」
「救済だと?」アンジェロが冷笑する。「人の不幸を消費して、お前の腐った心が救われたか。お前はただの加虐趣味の豚だ」
【関係者2:撮影担当、カメラマンのハロルド・ベイン二等兵】
「僕は……ただ、良い画が撮りたかっただけだ!泣き叫ぶ女、血走った目、絶望に歪む顔。あれ以上の被写体はないだろう?光が当たって、涙がキラキラ光るんだ。僕は、アートだと思ってた。あのマリアナという女とその母親の『姉妹プレイ』は、傑作だったよ。あの絶望の表情は、何度見ても飽きない」
マリアナが銃を向け、安全装置を外した。「私の母の涙を、お前は傑作と呼んだのね。消してやる。お前の目玉を、このカメラに収めてやる」
【関係者3:流通担当、アーネスト・コルター軍曹】
「俺はただ、需要に応えただけだ!あのビデオはな、連邦内で飛ぶように売れたんだぜ?特に、サイド7や地球の連中は、ジオンへの恨みが深いからな。『ジオンのアマが泣いてる』ってだけで、高値で買う客がいくらでもいた。闇のルートだけでなく、一部の連邦高官も個人的に買い込んでた。ビジネスだよ、ただの!」
「ビジネス……」シルヴィアの声が震えた。「私の身体は、お前らの金儲けの道具だったのね」
【関係者4:元地球出身市民、ダグラス・キーン伍長】
彼は、他の4人とは明らかに異なる空気を纏っていた。目は狂気に満ちていたが、それは彼らの欲望とは異なる、深い悲しみと怒りから来るものだった。
「俺の家族は……コロニー落としで死んだ!妻も、息子も、生まれたばかりの娘も!一瞬で蒸発したんだ!ジオンの畜生どもが!お前らジオンは、人の命を何だと思ってる!俺は許せなかった。だから、ジオンの女を犯す時、俺は思ったんだ。これでやっと、俺の家族の供養になるってな!お前らの女が泣き叫ぶ声は、俺の家族の悲鳴の代わりにはならないけど、せめて同じだけの苦しみを味わえって!あのルイセとかいうガキが、俺の息子くらいの歳だったから、俺は特別に入念に犯してやったよ!」
ルイセは、銃口を彼のこめかみに当てた。「お前の家族の悲しみを、私たちで晴らそうとしたのね。お前のその怨念が、新たな怨念を生んだ。私の心は、お前が殺したのよ」
【関係者5:民間請負業者、プロデューサーのミシェル・デュバル】
「彼らの行動は、計算されたものなのです!ビデオを流通させることで、ジオン残党の間でトラウマを広げ、連邦内の憎悪を煽る。それが参謀本部の狙いでした!私はそのコーディネートをしただけ!罪は上層部にあります!」
「上層部か」アンジェロは頷いた。「そのリストは頂いた。だが、お前も共犯だ。お前たち全員、ただの消費物として我々を扱った」
アンジェロはカメラに向かって言った。
「これが、連邦の実態だ。彼らは、過去の悲劇を道具にし、今の悲劇を消費物に変える。だが、この連鎖は今日、ここで断ち切る」
5人の自白は、全てカメラに収められた。それは、新たな「グローブビデオ」として、今度は連邦の上層部へと送りつけられることになる。
アンジェロは、彼らを処刑するよう指示した。かつてのグローブの再現ではない。ただ、粛々と、銃口を向け、引き金を引いた。5発の銃声が響き、5つの肉塊が床に崩れ落ちた。
基地は、破壊されたサーバーと編集機材から延びる火の手に包まれた。データを抱えたガランシェールが離脱する頃、ベルト7は業火の中で崩壊し始めていた。
艦内で、アンジェロはフロンタルの元へ向かい、報告した。
「第407任務隊は殲滅しました。データは確保。グローブビデオの製造元は破壊しました」
フロンタルは静かに頷いた。
「恨みは、連鎖する。彼らの行いもまた、連邦という巨大な暴力の元で生まれた怨念の連鎖だったのだ。だが、それを断ち切るためには、この腐敗した世界のシステムそのものを破壊するしかない。我々の『コントロール・メイス』は、そのためにあるのだよ、アンジェロ」
アンジェロは深く頭を垂れた。
「はい。あのビデオの回転音は、まだ止まりません。しかし、これで少なくとも、新たな悲鳴が録画されることはなくなりました」
だが、彼の心の奥底で、母の虚ろな瞳は消えない。奪われた尊厳は、戻らない。だからこそ、彼は戦い続ける。この宇宙そのものを、あの日の地獄へと引きずり込むために。