機動戦士ガンダム エロ短編集 女達の地獄の黒史録 作:みなぽん
第一章 「摂政」
宇宙世紀0083年8月。
小惑星アクシズ。
その日、少女は一人、静かな霊廟の前に立っていた。
喪服の黒が、白い肌を際立たせる。
黄金色の長い髪が、人工重力の微かな風に揺れていた。
十六歳。
その少女――ハマーン・カーンは、棺の前で静かに目を閉じる。
「……お父様。」
マハラジャ・カーン。
アクシズをまとめ上げた男。
そして、彼女の父。
その死は、一人の父親を失った娘の悲しみであると同時に、アクシズという国家の均衡を崩す出来事でもあった。
葬儀を終えた人々は、涙を流す者もいれば、すでに次の権力闘争へと思考を巡らせる者もいた。
ハマーンには、その空気が分かってしまう。
ニュータイプとして育てられた彼女は、人の感情のざわめきを敏感に感じ取ってしまうのだ。
「悲しんでいる人は……少ない。」
彼女は小さく呟いた。
その言葉に答えたのは、一人の男だった。
「政治とは、そういうものだ。」
振り返る。
赤い軍服。
仮面は外され、美しい素顔を見せる青年。
シャア・アズナブル。
アクシズに亡命してきたジオンの英雄。
幼い頃、研究施設でその名を知り、「ニュータイプとは何なのか」を初めて希望として感じさせてくれた存在。
彼はハマーンにとって、英雄であり、憧れであり、誰よりも信頼できる人だった。
「シャア大佐……。」
「疲れているようだな。」
「少しだけ。」
少女は無理に笑った。
シャアはそれ以上、何も聞かなかった。
彼女の心にある悲しみを、ニュータイプ同士でなくとも理解できたからだ。
しばらく二人は黙って宇宙を眺める。
遠くには青い地球が浮かんでいた。
「ハマーン。」
「はい。」
「これから忙しくなる。」
「父の代わりに、お仕事を手伝えということですか?」
シャアは少しだけ苦笑した。
「いや……。」
その表情は珍しく曇っていた。
「君を利用しようとする者が現れる。」
「私を?」
「君はマハラジャの娘だ。」
「そしてニュータイプでもある。」
「その肩書きだけで、人は君を神輿に担ぎたがる。」
ハマーンは首を傾げる。
「私は政治家ではありません。」
「それで済めばいい。」
シャアは遠くを見つめた。
「済まないのが、この世界だ。」
⸻
翌日。
アクシズ最高評議会。
長い円卓を囲む老人たち。
将官。
官僚。
旧ジオンの名門貴族。
誰一人として、十六歳の少女を子供として見てはいなかった。
彼らが見ているのは。
「マハラジャ・カーンの後継者」
という肩書きだけだった。
「諸君。」
一人が立ち上がる。
「摂政を決めねばならない。」
形式上の君主は幼いミネバ・ラオ・ザビ。
だが、幼女に政治はできない。
誰かが国を動かさねばならなかった。
「シャア・アズナブル大佐を推挙する。」
一人がそう言うと、別の老人が静かに首を振った。
「彼は英雄すぎる。」
「軍が彼個人についていく。」
「政治を任せれば、我々の立場は危うい。」
「ならば……。」
全員の視線が、一人の少女へ集まった。
ハマーン。
本人だけが、その意味を理解していない。
「マハラジャの娘。」
「若い。」
「民衆の人気も得られる。」
「シャア大佐も支えるだろう。」
最後の言葉に、老人たちは互いに頷いた。
理想的だった。
表向きは少女が指導者。
実際には、自分たちが国を動かす。
そのはずだった。
⸻
数時間後。
ハマーンは執務室へ呼ばれる。
「摂政就任、おめでとうございます。」
彼女は目を丸くした。
「……え?」
「本日付で、ミネバ様の摂政となります。」
「お待ちください。」
少女は立ち上がる。
「私は政治を学んだことなどありません。」
「これから学べばよい。」
「ですが……。」
「あなたしかおりません。」
「シャア大佐も推薦されています。」
その一言で、彼女は黙った。
シャアが認めたのなら。
シャアが必要だと言うなら。
自分も役に立ちたい。
その純粋な想いだけだった。
「……分かりました。」
その返事を聞き、老人たちは満足げに笑う。
若すぎる。
素直すぎる。
これなら扱える。
誰もがそう思った。
⸻
夕方。
シャアは新しい執務室を訪れた。
机には書類の山。
まだ制服も着慣れていない少女が、必死に目を通している。
「シャア大佐。」
その顔には、少しだけ誇らしさがあった。
「私……頑張ります。」
シャアは複雑な表情を浮かべる。
「無理はするな。」
「皆さん、とても親切です。」
その言葉に、シャアは心の中で苦く笑った。
親切なのではない。
彼らは、この少女を玉座へ座らせ、その後ろから操ろうとしているだけだ。
「ハマーン。」
「はい。」
「誰の言葉も鵜呑みにするな。」
「え?」
「私の言葉も含めてだ。」
少女は意味が分からず首を傾げる。
シャアは窓の向こうに浮かぶ宇宙を見つめた。
——この子は、優しすぎる。
だからこそ、政治という世界は容赦なくその純粋さを奪っていく。
深夜。
執務室の空気は冷え切り、書類の山だけが微かな人工光を弾いていた。
ハマーンは机に突っ伏していた。肩が小刻みに震えている。
十六歳の細身には、国家の重圧はあまりに過酷だった。
老人たちの腹黒い視線、言葉の裏に隠された打算。
ニュータイプとしての敏感な感覚が、彼らの放つどす黒い欲望を嫌というほど吸い上げてしまう。
「……もう、嫌」
呟きは静寂に溶けた。
その時、ドアが無音で開いた。
気配に顔を上げると、そこに立っていたのは唯一の安らぎだった。
「シャア……大佐」
赤い軍服。彼の存在だけで、張り詰めていた神経が解けていく。
ハマーンは思考よりも先に体を動かしていた。
椅子を蹴り、彼の胸に飛び込む。
軍服の硬い布地に顔を埋め、その体温を貪るように抱きついた。
「……お願い」
涙声だった。
彼女の理性は限界を超えていた。政治家でも指導者でもない、ただの傷ついた少女に戻っていた。
「私を……愛して」
それは救いを求める祈りだった。
冷たい政争の海で溺れかけた彼女が、手を伸ばすことのできる唯一の流木。
シャアは一瞬、体を強張らせた。
だが、腕の中で震える小さな体、黄金色の髪から漂う甘やかな香り。
そして、自分を見上げる濡れた瞳の純粋な強さ。
彼はゆっくりと腕を上げ、その華奢な背中を包み込んだ。
「……ハマーン」
低く呼ぶと、彼は少女の顎を捉え、唇を重ねた。
優しい口付けではなかった。
熱い、獲物を確認するような、男の唇だった。
ハマーンは目を見開き、そしてゆっくりと瞑目する。
口内に滑り込んでくる舌の感触に、背筋が痺れた。
「んっ……」
甘い吐息が漏れる。
シャアの手が喪服の背中のファスナーを下ろす。
黒い布が滑り落ち、白磁のような肌が露わになった。
まだ発育途上の乳房、くびれた腰、そしてその下に広がる薄い茂み。
赤い髪と白い肌のコントラストが、薄暗い部屋で妖艶に発光していた。
「美しいな」
シャアの低い声が耳元を撫でる。
その言葉だけで、ハマーンの体は熱く火照った。
彼は自分の軍服を脱ぎ捭棄てることもせず、ただ少女の体を弄び始めた。
熟練された指先が、首筋から鎖骨へ、そして胸の頂へと這う。
「あっ……」
指先でつまみ上げられ、ハマーンが背けた。
痛みと痺れが同時に走る。
少女の未知の性感を、シャアの指は的確に探り当てていく。
もう片方の手は、太腿の内側を撫で上げ、その奥の秘所へと忍び込んだ。
「……濡れている」
事実を突きつけられ、ハマーンは顔を赤らめた。
拒否したいわけではなかった。
ただ、自分の体が勝手に反応していることへの戸惑い。
シャアの指が、その濡れた割れ目をなぞり、奥へと沈んでいく。
「ひぁっ……!」
異物の侵入に体が強張る。
だが、シャアは耳元で囁き続けた。
「力を抜け。ハマーン。お前は俺のものだ」
その声に導かれるまま、彼女は力を抜いていく。
指が出し入れされる度、水音が部屋に響く。
羞恥で頭がおかしくなりそうだったが、同時に下腹部で何かが膨れ上がっていくのを感じていた。
彼女はシャアの軍服の胸座を握りしめ、縋るように喘いだ。
「シャア……シャア……っ」
名前を呼ぶことしかできない。
シャアは指を抜き、代わりに熱く猛った自分をあてがった。
太い楔が秘口を押し広げる感覚に、ハマーンは息を呑む。
「痛いか?」
「……構わない」
彼女は涙目で訴えた。
早く。早く私を壊して。
この冷たい世界で生きていくための、熱が欲しかった。
シャアは一気に腰を押し込んだ。
「————ッ!!」
悲鳴にならない声が喉から漏れる。
身体が裂けるような激痛。
処女の証が破られる鈍い音が聞こえた気がした。
ハマーンはシャアの背に爪を立て、痛みに耐える。
だがシャアは止まらなかった。
彼女の苦痛を理解しながらも、容赦なく奥へと侵入していく。
それが彼女の求めた「愛」の形なのだと、体で教え込むように。
「くっ……あぁっ……!」
きつく締め付けられる感触に、シャアもまた低く呻く。
根元まで埋めると、彼はしばらく動かず、ハマーンの涙を唇で吸い取った。
やがて、激痛が痺れに変わり、それが次第に熱帯びた感覚へと変わっていく。
シャアがゆっくりとピストン運動を始めると、ハマーンの口から別の種類の声が漏れ始めた。
「あっ……ああっ……そこ……っ!」
内壁を擦り上げられる度、目の前に白い光が散る。
思考が溶けていく。
政治も、ニュータイプの敏感さも、孤独も。
ただ、シャアという男に犯されている事実だけが、彼女の全てになった。
「いい子だ、ハマーン」
シャアの低い声が脳髄に響く。
その言葉は甘い毒だった。
彼女は無意識に腰を揺らし始めた。
自分から求める。
もっと深く。もっと熱く。
快楽の波が押し寄せるたび、彼女の理性は崩れ去っていく。
「んんっ! あぁっ! シャア……! シャア……!」
幼い少女の声が、淫らな女の喘ぎに変わっていく。
汗ばんだ肌が打ち付け合う音が、執務室に響き渡る。
シャアは彼女の足を大きく開かせ、より深く突き上げた。
子宮口を叩くような刺激に、ハマーンは仰け反り、白い喉を晒した。
「……っ! 来る……っ! 何か……っ!」
「俺の中でイケ、ハマーン」
その命令と共に、彼女は弾けた。
脳裏で花火が炸裂するような絶頂。
今まで知らなかった痙攣が全身を駆け巡り、彼女は声も出せずにシーツを握りしめた。
同時に、熱い飛沫が子宮の奥に注ぎ込まれる感覚。
ハマーンは、その熱さを全身で感じながら、深く息を吐き出した。
事後。
冷たい空気が肌に触れる。
だが、シャアの腕の中は温かかった。
ハマーンは彼の胸に頬を寄せ、荒い呼吸を整えていた。
痛む下半身と、満たされた心。
彼女はゆっくりと目を開け、シャアを見上げた。
「……シャア」
「ん?」
「……温かい」
あの冷たい霊廟での感覚は消えていた。
彼女は確信した。
この男がいる限り、自分は一人ではないのだと。
たとえそれが、彼の計算の上の行為だとしても。
シャアは何も言わず、ただその赤い髪を撫でた。
その瞳の奥にある感情を、今のハマーンは読み取ることはできなかった。
ただ、快楽に目覚めたばかりの少女の体は、確かに男の体温を求めて甘く疼いていた。
宇宙世紀0083年10月。
アクシズの政治において、ハマーン・カーンの影響力は確固たるものになりつつあった。
「地球への資源輸送計画? 却下します」
評議会の席で、十六歳の少女は冷酷なまでの眼差しで老人たちを見下ろしていた。
「我々の現状維持が最優先。無駄な出費は抑えるべきです」
「しかし、摂政殿……」
「意見はありますか?」
ハマーンは静かに問うた。その声には、微かな威圧が含まれていた。
彼女の能力は、予想以上だった。
ニュータイプとしての鋭い直感は、相手の嘘や打算を容易に見抜く。
政敵の言葉の裏を読み、的確に切り返すその姿は、もはや無垢な少女のものではなかった。
老人たちは顔を見合わせ、沈黙した。
彼らが玉座に据えたはずの傀儡は、いつの間にか牙を剥き、彼らの喉元に刃を突きつけていたのだ。
シャアは壁際でその様子を眺めていた。
(成長したな)
その眼差しには、感嘆と共に微かな影があった。
彼女は強くなった。だが、その強さは彼女自身を削り取っている。
彼女が他人の醜い欲望を拒絶すればするほど、彼女の心には深い傷が刻まれていく。
そして、その傷を癒せるのは——。
⸻
深夜。
ハマーンの私室。
執務を終えたハマーンは、シャワーの熱い湯を浴びながら、今日一日の緊張を解いていた。
鏡に映る自分の体を見る。
首筋には昨日シャアにつけられた赤い痕が残っていた。
それを見た瞬間、下腹部が甘く疼く。
今夜も、彼は来るだろうか。
その想いだけで、心臓が早鐘を打つ。
ハマーンはバスローブを羽織り、寝室へと向かった。
部屋の灯りは落とされている。
彼女はベッドの端に座り、ドアの方をじっと見つめた。
コンコン。
ノックの音。
彼女の心臓が跳ねた。
「……どうぞ」
ドアが開き、赤い軍服の男が入ってくる。
シャアは無言で近づき、ベッドの傍らに立った。
「今日の評議会、見事だったよ」
「……お役に立ちましたか?」
ハマーンは上目遣いで彼を見上げた。
その瞳には、昼間の冷徹な指導者の面影はない。
ただ、甘えるような熱っぽい光が宿っていた。
「シャア」
彼女はバスローブの前を寛げさせ、白い肌を晒した。
「今日も……抱いて」
その言葉は、命令ではなく懇願だった。
彼女にとって、シャアに抱かれる時間だけが、この冷たい世界で生きていくための唯一の活力だった。
シャアは微かに目を細め、バスローブの合わせ目から覗く乳房に手を伸ばした。
「疲れは取れたか?」
「ええ。でも……あなたの熱が欲しいの」
ハマーンは自らシャアの首に腕を回し、唇を重ねた。
深く、貪るような口付け。
舌を絡ませ、唾液を交換する。
昼間の自分を捨て去り、ただの女として溺れていく感覚。
「んっ……ふぅ……」
唇を離すと、二人の間に銀色の糸が引いた。
ハマーンは潤んだ瞳でシャアを見つめながら、彼の軍服のボタンに手をかけた。
「脱がせて……」
彼女は自ら彼を求めた。
かつて受動的だった少女は、もういない。
快楽の味を覚えた彼女は、自らそれを貪り始めていた。
シャアの上半身が露わになると、ハマーンはその胸板に頬を寄せた。
男の匂い。筋肉の硬さ。熱い体温。
全てが愛おしい。
「ハマーン」
シャアは彼女をベッドに押し倒した。
バスローブが完全に剥ぎ取られ、十六歳の肢体が白く浮かび上がる。
彼はその太腿の間に割り込み、すでに濡れそぼっている秘所に指を這わせた。
「あっ……!」
ビクンと体が跳ねる。
シャアの指は巧みに彼女の性感を刺激し、愛液を溢れさせる。
「もうこんなに濡らして」
「だって……シャアが欲しいんだもの」
ハマーンは腰を浮かせ、彼の指を受け入れた。
指が出し入れされる度に、卑猥な水音が響く。
羞恥心よりも、快楽への渇望が勝っていた。
「お願い……もう……」
指では足りない。
彼女が求めているのは、彼の硬い楔だった。
シャアは指を抜き、猛った自身をあてがった。
「自分で入れるか?」
その言葉に、ハマーンは頷いた。
彼女はシャアの首に腕を回したまま、体を起こし、跨る体勢になった。
騎乗位。
彼女が主導権を握る形。
ハマーンは震える手でシャア自身を握り、濡れた秘口に導いた。
先端が当たった瞬間、全身に電流が走る。
「くっ……うぅ……」
ゆっくりと腰を沈めていく。
肉壁が押し広げられ、異物が侵入してくる感覚。
痛みと快楽が混ざり合い、彼女の思考を白濁させる。
「ああっ……! 入ってくる……! シャアのが……!」
根元まで飲み込むと、ハマーンは息を荒げた。
これほど満たされる瞬間はなかった。
彼と一つになる。物理的にも精神的にも。
「動いていいのか?」
シャアが下から問いかける。
ハマーンは恍惚とした表情で頷いた。
「動く……私が……気持ちよくなるの」
彼女は腰を揺らし始めた。
最初はぎこちなかった動きも、次第にリズムを刻み始める。
前後に。円を描くように。
自身の最も感じる場所を探り当てていく。
「んっ! あっ! そこっ……!」
子宮口を擦り上げられる角度を見つけると、ハマーンは激しく腰を振った。
長い金髪が乱れ飛び、白い乳房が弾む。
汗ばんだ肌が、薄暗い部屋で妖しく光る。
「ハマーン……いい子だ」
シャアは彼女の腰を掴み、下から突き上げた。
「ああぁっ!!」
更なる深さに貫かれ、ハマーンは悲鳴に近い嬌声を上げた。
彼女は自ら動くだけでなく、シャアの動きにも合わせた。
二人の体が激しく打ち付け合い、肉と肉のぶつかる音が部屋中に響き渡る。
「好き……シャア……大好きっ……!」
快楽の波が押し寄せるたび、理性が崩れ去っていく。
ただ彼を求め、彼に愛されたいという本能だけが残る。
「もっと! もっと奥まで! 私の中いっぱいにして!!」
ハマーンの叫びと共に、二人は絶頂へと達した。
ドクン。ドクン。
熱い飛沫が子宮の奥に注ぎ込まれる感覚。
ハマーンは仰け反り、全身を痙攣させながら、その熱を深く受け止めた。
事後。
二人はシーツに包まり、互いの体温を分かち合っていた。
ハマーンはシャアの胸に頬を寄せ、満ち足りた表情で呟く。
「明日も……頑張れるわ」
「ああ」
「だから……夜はご褒美をちょうだいね」
彼女はシャアの胸板に指で円を描きながら、悪戯っぽく笑った。
そこには、昼間の冷徹な摂政の姿はない。
ただ、愛する男に甘える一人の少女がいた。
シャアはその赤い髪を撫でながら、天井を見上げた。
彼女は成長した。
だが、その成長の原動力が自分への依存と愛欲にあることを、彼は知っていた。
この関係は、果たして彼女のためになっているのだろうか。
答えは出なかった。
ただ、腕の中の少女が発する甘い香りと熱だけが、シャアの心を満たしていく。
彼は目を閉じ、その温もりに身を委ねた。
その後、シャアの失そうは、彼女をより深い闇へと突き落としていく。
⭐️シャアの裏切り
シャアの去ったアクシズは、ハマーンにとっては真空の宇宙よりも冷たく、息苦しい場所となった。後の女帝の貫禄は、まだ彼女の中にはなかった。
権力の掌握に焦るが弱輩の彼女は弱くそれは砂を噛むような絶望の連続だった。
そして彼女は
彼女は重臣たちに身を捧げることで、自らの指示基盤を固めることになる。
第1夜:将軍エリヤス
「摂政殿、今宵は軍部の拡充案につきまして詳しく……」
将軍エリヤスの髭面が近づく。巨漢はハマーンの細い腕を掴むと、作戦室の隣にある休憩用ブースへと引きずり込んだ。
「まずは契約の証をいただきたい」
金属パイプのソファに押しつけられ、制服のベルトが引き千切られる。露出した乳房に彼の脂ぎった掌が這った。
「くっ……!」
噛み殺した悲鳴。逃れようと脚をばたつかせるが、軍靴に踏み潰される。抵抗するたびにエリヤスの息が荒くなり、興奮に歪んだ笑みが滲んだ。
「シャア閣下が愛した肉体か。確かめてやろう」
太い指が無造作に秘所を抉る。乾いた粘膜を裂かれる痛みに涙が浮かんだ。
「痛い! 離せ!」
だが声は届かない。獣じみた欲望は容赦なく穿たれ、血の匂いと鉄錆の味が口腔に広がった。
「これが支配だ」
奥歯を食いしばりながらも、ハマーンは悟った。ここでは抗えば破滅しかない。
***
第2夜:財務長官ダグラス
豪奢な仮住まいの一室。タキシードの老人がグラスを傾けている。
「摂政殿のおかげで予算編成が順調です。感謝の印に贈り物を」
卓上には金塊が積まれた。
眩暈。政治の道具としての価値。
「では私の番です」
ダグラスの指先は優雅だが、執拗だった。高価なオイルを垂らした掌で、乳首を摘み上げ、転がす。
「あっ……ん…!」
生理的な反応と精神的な拒絶。身体が勝手に熱を持ち、乳首が硬く立ち上がる。見られているという羞恥が背筋を震わせた。
「ほら、感じていらっしゃる」
「ち、がう……っ!」
否定できない。執拗な愛撫に翻弄され、彼女の意思とは裏腹に蜜が溢れる。
「商品は飾っておくのが一番です」
ダグラスの乾いた唇が耳を這う。金と快楽の腐敗した匂いに包まれ、思考が白濁した。
*第3夜:貴族ブルクハルト
「我が家系の権威なればこそ、摂政の地位も安泰。その意味を教えねばなるまい」
古めかしい執務室。ブルクハルトは鼻につく貴族的な抑揚で囁く。
「膝をつけ」
命令に従い、天鵞絨の絨毯に跪く。背中を押し下げられ、臀めを高く掲げる姿勢。
「見苦しい」
その叱責と共に、革のベルトが臀めを叩いた。パンッという乾いた音。
「あぅっ!」
痛みに強張る筋肉。しかし追撃の鞭は柔らかく、震える肉を叩く。
「どこまで堕落するか、見せてもらおうか」
屈辱的な姿勢で前後を弄られる。指先が敏感な芽を弾く。
「や……あぁっ……!」
恥ずかしさに顔を染めるが、快楽の波は止められない。屈辱がスパイスに変わる感覚。
第4夜:技術局長イグナーツ
薄暗いモニターの光。無機質な機材の間。
「素晴らしい反応データです」
冷ややかな手つきで下半身を愛撫する。粘着質な指は隅々まで探り、弱点を執拗に擦り上げる。
「あっ……あぁっ……!」
何度も絶頂寸前で止められる。焦燥と飢え。
「まだです。観察が必要でして」
神経が焼き切れそうな程の焦らし。ついに理性が折れた。
「……ちょうだい……!」
掠れた哀願。イグナーツは満足げに微笑み、一気に貫いた。
「これが欲しかったんですね」
背筋を駆け上る快感。脳裏が真っ白になる。
抵抗の意志は跡形もなく消えた。
第5夜:顧問ギュンター
薄紅色のバラが咲き乱れる温室。老顧問は皺枯れた手でハマーンの頬を撫でる。
「もう我慢しなくていいのですよ」
その言葉は魔法のように効いた。堰を切ったように泣きじゃくりながら、ギュンターの膝に跨る。
「抱いて……もっと強く……!」
自ら唇を押し付け、舌を絡める。硬く反り返ったものを迎え入れるため、自ら秘裂を割り開く。
「すごいですね……まるで別人のようだ」
悦びとも諦めともつかぬ喘ぎ声。貪欲に腰を揺すり、もっと奥へと求める。
「んぁっ……ああっ……!」
全身で快楽を受け止め、絶頂を迎える。ギュンターの腕の中で弛緩した身体は、甘美な倦怠感に浸っていた。
夜明け前のアクシズ首都。執務室に戻ったハマーンは、デスクに向かう。背筋を伸ばし、決然と書類を捌く姿には既に翳りがない。
「……これが私の生き方」
独り言は静寂に溶けた。彼女は悟った。孤独と屈辱を糧にすればいい。快楽は薬だ。どれほど汚れたとしても、この道を行くしかない。
朝陽が窓を染める。彼女の黄金色の髪もまた、淡く輝いていた。
⭐️女帝誕生
宇宙世紀0088年。
ネオ・ジオンの旗の下、小惑星基地アクシズは巨大な軍事国家として君臨していた。
その頂点に座すは、一人の女帝。
ハマーン・カーン。
かつての純粋な少女の面影は、どこにもない。あるのは、冷徹なまでの知性と、人を絶対的に支配する傲慢さだけだった。
玉座の間。
薄暗い空間に、ムスクの香りが濃く立ち込める。
ハマーンは踝まである長いドレスの裾を捌き、玉座に深く腰掛けていた。
その足元には、二人の男が跪いている。
一人は、ネオ・ジオン親衛隊長、マシュマー・セロ。
もう一人は、若きエリート将校、グレミー・トト。
「マシュマー」
ハマーンが名を呼ぶだけで、マシュマーの体は電流に打たれたように震えた。
「はっ、ハマーン様……!」
彼の瞳は、狂信的な愛と忠誠に濡れていた。
「私の足が、少し疲れているの」
それは命令だった。
マシュマーは這うようにして近づき、ハマーンの足にすがりつく。
白魚のような足首に唇を押し当て、舌を這わせる。
「このような卑しい者が、お役に立てますでしょうか……!」
彼は自らを卑下し、そのことに悦びを感じていた。
ハマーンの肌に触れること、彼女に奉仕すること、それが彼の生きる意味だった。
ハマーンはマシュマーの頭を小さな足で踏みつけた。
「舌をもっと使え」
マシュマーは歓喜の声を上げそうになるのを堪え、足の指の間に舌を差し込んだ。
涎が垂れ、足の甲を濡らしていく。
その姿は、忠誠を誓う騎士というより、飼い主に媚びる犬そのものだった。
「ふふ、いい子ね」
ハマーンは満足げに笑った。
彼女にとってマシュマーは、愛を誓う道具だ。忠誠心という燃料を注げば、どれでも快く動く便利な玩具。
「……しかし、これだけでは足りないわ」
ハマーンは視線をもう一人の男に移した。
グレミー・トト。
プライドが高く、野心に満ちた若者。
彼を屈服させることに、ハマーンは格別の興奮を覚えた。
「グレミー、お前はただ見ているだけなの?」
グレミーは悔しそうに唇を噛んでいた。
マシュマーのような狂信的な奉仕は、彼のプライドが許さない。
だが、ハマーンの圧倒的な魅力と、場の空気に抗うことはできなかった。
彼のズボンの下では、すでに猛りが膨らんでいた。
「……ハマーン様の御心のままに」
グレミーは屈辱を押し殺し、這い寄った。
マシュマーの隣、ハマーンの左足の側へ。
「お前のその生意気な口で、私を舐めなさい」
グレミーは一瞬、硬直した。
しかし、ハマーンの冷たい視線に射抜かれ、ゆっくりと顔を近づけた。
ドレスの裾をめくり、白く滑らかな内腿に唇を寄せる。
皮膚の熱が伝わってくる。
舌先でつつくと、ハマーンが小さく息を吐いた。
「んっ……」
その反応が、グレミーの支配欲を刺激した。
彼は内腿に吸い付き、痕を残すように強く吸った。
「あっ……ふふ、痛いわね。でも、いいのよ」
二人の男に奉仕され、ハマーンの体は熱を帯びていく。
彼女は玉座から腰を浮かせ、自らドレスを脱ぎ捨てた。
白磁のような肌が露わになる。
「私を気持ちよくさせなさい。いい子にできた方には、ご褒美をあげる」
マシュマーとグレミーは、同時に彼女の秘所に顔を寄せた。
マシュマーは花唇を割り開き、溢れ出る蜜を貪るように吸い上げた。
「んぁっ! マシュマー、上手ね……!」
グレミーはその横から、硬く勃ち上がったクリトリスを舌で弾いた。
「ああっ! そこっ……!」
二人の舌が、一つの蜜壺を奪い合う。
時折、二人の舌が触れ合うが、構うものか。
ただ、目の前の女王を悦ばせることだけが、彼らの目的だった。
「あっ、あぁっ! いいわ……! もっと……!」
ハマーンは二人の頭を両手で掴み、自らの秘裂に押し付けた。
二人の若い男の顔汁と唾液で、下腹部はぐちゃぐちゃに濡れそぼっていた。
快楽の波が押し寄せる。
かつての、老人たちに身を委ねた夜とは違う。
今の彼女は、自らが支配し、自らが貪る側だ。
「ああぁぁっ!!」
絶頂の声が玉座の間に響き渡る。
ハマーンは背筋をのけぞらせ、二人の男の顔に愛液を注ぎ込んだ。
余韻に浸る暇もなく、ハマーンは命令した。
「今度は、入れなさい」
二人の男は服を脱ぎ捨てた。
マシュマーはハマーンの前に立ち、彼女の足を抱え上げた。
「愛しています、ハマーン様……!」
狂信的な叫びと共に、一気に貫いた。
「んくっ……! ああっ!」
マシュマーの腰は激しく動いた。
彼はハマーンの中に自分の全てを捧げようとしていた。
ハマーンはマシュマーの背に爪を立て、その獣のような動きを受け止める。
「もっと! もっと奥へ!」
グレミーはその様子を眺めながら、自身をしごいていた。
しかし、ハマーンは彼を見ていない。
それが許せなかった。
「次は僕だ」
グレミーはマシュマーを押しのけた。
マシュマーは不満げに唸ったが、ハマーンが頷いたので退いた。
グレミーはハマーンを四つん這いにさせた。
「ハマーン様、僕のを見てください」
後ろから貫きながら、グレミーはハマーンの顎を掴み、無理やり自分の方を向かせた。
「あっ……ぐ、グレミー……!」
独占欲の強いストローク。
子宮口を小突かれるたびに、ハマーンの目は虚空を彷徨った。
「くっ……! いいわ……! あなたのその野心、全部私の中にぶつけて!」
「ハマーン様ッ!」
グレミーは絶叫し、奥へと放った。
熱い飛沫が注がれる感覚に、ハマーンもまた二度目の絶頂を迎えた。
事後。
ハマーンは二人の男を両側に侍らせ、汗ばむ肌にシーツを巻いて玉座に座っていた。
マシュマーは彼女の足に頬を寄せ、グレミーは肩に顔を埋めている。
二人とも、ただの忠実な犬になっていた。
ハマーンは天井を見上げた。
権力。快楽。支配。
全てを手に入れたはずなのに、胸の奥には冷たい穴が開いていた。
かつて、赤い軍服の男に抱かれた夜の、あの温もりはもう二度と戻らない。
「……もっと」
ハマーンは呟いた。
「もっと、私を愛して」
それは、二人の男への命令だったのか、それとも、遥か遠くに去った幻影への呼びかけだったのか。
彼女自身にも分からなかった。
ただ、女帝の夜は、まだ終わりそうになかった。
⭐️ハマーン if
宇宙世紀0088年。
アクシズとエゥーゴの攻防は泥沼の様相を呈していた。
だが、戦場の喧騒から離れたコロニー内のひとつの静寂な区画で、ハマーンは不思議な安らぎを感じていた。
彼女の目の前には、一人の少年がいる。
ジュドー・アーシタ。
十四歳。
ラビアンローズからやってきた、ただのモビルスーツパイロット。
「あんた、いつもそうやって星を見てるのか?」
ジュドーはハマーンの隣に腰掛け、飾り気のない声で問いかける。
その瞳には、恐怖も、打算も、権力への屈服もない。
ただ、透明な光があった。
ハマーンは息を呑んだ。
これまで彼女が出会ってきた人間は、彼女を「摂政」として見るか、「ニュータイプ」として見るか、あるいは「女」として欲望の対象として見るかだった。
シャアでさえ、彼女を何かの道具として見ていた。
だが、この少年は違う。
彼はただ、目の前にいる一人の人間として、ハドーを見ていた。
「ええ……。あの星の向こうには、何があるのかしらね」
「さあな。でも、綺麗だろ?」
ジュドーは屈託なく笑った。
その笑顔が、ハマーンの冷え切った心に春の日差しのように差し込んだ。
ああ、なんて健やかなのだろう。
この少年の中には、闇がない。
ハマーンは思わず、彼の手を握っていた。
ジュドーは驚いたように目を丸くしたが、手を振り払うことはなかった。
その温もりが、たまらなく愛しかった。
その夜。
ハマーンはジュドーを自室に招いた。
戦略でも、駆け引きでもない。
ただ、この温もりに触れていたかった。
「ハマーンさん、髪下ろしたんだな」
シャワーを浴び、バスローブを羽織ったハマーンを見て、ジュドーは無邪気に言った。
普段は堅く結い上げている金髪が、肩へと滑り落ちている。
「似合わないかしら?」
「ううん。綺麗だと思う」
ジュドーの言葉には、少しの下心も含まれていなかった。
ただの率直な感想。
それが嬉しかった。
ハマーンはベッドの縁に座り、ジュドーの手を引いた。
「ジュドー。私を抱いて」
彼女の声は、これまでのどの夜よりも震えていた。
それは恐怖ではなく、恥じらいだった。
初めて自分から、心から抱かれたかった。
ジュドーは顔を赤らめながらも、頷いた。
「俺で良かったら……」
彼の動きはぎこちなかった。
バスローブの紐を解く手が震えている。
ハマーンは微笑み、自ら衣を落とした。
白い肌が露わになると、ジュドーは息を呑んだ。
「すごい……」
彼は恐る恐る手を伸ばし、ハマーンの頬に触れた。
それから、首筋へ、鎖骨へ。
まるで壊れ物を扱うように、優しく指を這わせる。
「んっ……」
ハマーンの口から自然と吐息が漏れる。
これまでのセックスは、常に快楽を貪るか、権力を守るための行為だった。
だが、今の彼の手つきには、ただ純粋な好意が込められていた。
ジュドーの手が乳房に触れる。
揉みしだくのではなく、確かめるように包み込む。
「ハマーンさん、温かい……」
「あなたもね」
ハマーンはジュドーの頭を抱き、胸に導いた。
彼は乳首に舌を這わせた。
舌足らずな愛撫。
だが、それが心の底から溶かしていくようだった。
「ハマーンさん、ここ……濡れてる」
ジュドーの指が下腹部へと伸び、湿り気を帯びた秘所に触れた。
「いいのよ、ジュドー。それは、あなたを欲している証拠」
ハマーンは彼の手を取り、自らの秘裂へと導いた。
「指を……入れて」
ジュドーは言われた通り、中指を沈めていく。
「あっ……!」
きつく締め付けられる。
だが、かつての痛みのような拒絶ではない。
歓迎の収縮だった。
「こうか?」
「ええ、動かして……」
彼の指が動くたび、愛液が溢れ出す。
ハマーンは彼の耳元で囁いた。
「女の体は、こうして喜ぶの。あなたの優しさに、応えているのよ」
彼女はジュドー自身を手に取った。
若く、硬く、熱くなっている。
「これを、私の中に」
ジュドーは彼女の上に覆いかぶさった。
先端が秘口に当たる。
「入れるよ……」
「ええ、おいで」
彼が腰を進めると、蜜に濡れた肉壁が滑らかに受け入れた。
「うわ……すごい、気持ちいい……」
ジュドーの無垢な感嘆の声が、ハマーンの耳を打つ。
彼女は彼の背中に腕を回し、しっかりと抱きしめた。
「んっ……ああっ……」
ゆっくりとしたピストン運動。
激しさはない。
ただ、互いの体温を分かち合うような、穏やかな結合。
彼が奥へと打ち付けられるたび、ハマーンの心の中の空洞が埋められていく気がした。
「ハマーンさん……俺、なんか……っ」
「いいのよ、そのまま……私の中に出して」
「うっ……!」
ジュドーは短い絶叫と共に、彼女の最奥に放った。
熱い飛沫が注がれる感覚。
ハマーンもまた、深い絶頂に達していた。
目の前が白く弾けるような快感ではなかった。
全身を包み込むような、穏やかで、幸福感に満ちた波。
彼女は涙を流していた。
嬉しかった。
ただ、嬉しかった。
事後。
ハマーンはジュドーの胸に頬を寄せていた。
彼の心臓の音が、トクトクと伝わってくる。
力強く、健やかな鼓動。
「ジュドー」
「ん?」
「あなたは、私を特別な人だと思わないのね」
「特別? うーん、綺麗な人だとは思うけど」
彼は天井を見上げながら、とぼけるように答えた。
「でも、ただの人だろ?」
その言葉が、ハマーンの胸に深く突き刺さった。
ただの人。
ああ、なんて甘美な響きなのでしょう。
摂政でも、ニュータイプでも、女帝でもない。
ただの、一人の女。
「ねえ、ジュドー」
「なんだ?」
「私が、全てを捨てて、ただの平凡な女になったら……あなたは、私のそばにいてくれるかしら」
彼女の声は、真剣だった。
アクシズも、ネオ・ジオンも、ジオンの理念も。
全てを投げ打って、この少年と共に、名もなき一介の女性として生きる。
そんな想像が、初めて「未来」として輝いて見えた。
ジュドーは少し驚いたような顔をした後、あの屈託のない笑顔を見せた。
「ああ、いいぜ。俺、ハマーンさんの笑顔、嫌いじゃないし」
「ふふ……そう」
ハマーンは彼の胸に顔を埋め、微笑んだ。
目から涙がこぼれた。
もし、この温もりを選ぶことができるのなら。
この先に待つ破滅よりも、この瞬間の安らぎを選びたい。
彼女は心の中で、初めて自らの意志で「選択」をしようとしていた。