※この作品はR-18です。

機動戦士ガンダム エロ短編集 女達の地獄の黒史録   作:みなぽん

2 / 26
機動戦士ガンダム ミハル・ラトキエ 花売り少女の鎮魂歌

機動戦士ガンダム ミハル・ラトキエ 花売り少女の鎮魂歌

 

第一章 初体験

 

ベルファストの港街は、常に湿った風と鉄の匂いに包まれている。戦争が長引くこの街で、平和な日常など幻想に過ぎない。ミハル・ラトキエは、その幻想を背負いながら、冷たい石畳の上で花を売っていた。幼い弟のジルと妹のミリー。彼らに明日のパンと、せめてもの温かな寝床を与えるためには、花籠から漂う甘い香りだけでは足りなかった。

 

「お兄さん、お花はいかが? 寒い夜はお部屋に飾るお花が欲しくならない?」

 

行き交う連邦軍の兵士たちに、作り笑いを浮かべて声をかける。彼女の真の顔は、ジオン公国軍のスパイ『107号』。だが、スパイという響きが持つ華やかさなど、彼女の日常には微塵もない。あるのは、肌を売るという惨めな現実だけだった。

 

その夜、ミハルの相手をしたのは、補給物資の管理を担当するという連邦軍の後方支援将校だった。パンのように膨れ上がった腹、脂ぎった顔、そして安い酒とタバコの臭い。ミハルの華奢な体など、その肉の塊に押しつぶされれば跡形もなくなりそうだった。

 

「へへ、花売りちゃんよぉ。今晩は俺の部屋で、とびきり綺麗な花を咲かせてくれよ」

 

太い指が、ミハルの顎を無遠慮に持ち上げる。その感触に胃液がせり上がってきそうだったが、ミハルは耐えた。この男から聞き出せる情報は、ホワイトベースの補給ルート。ジオンへの報告が、弟妹の命綱なのだから。

 

粗末な将校用宿舎のベッドは、スプリングが軋み、シーツには前の男が残したであろう黄色い染みが点々と残っていた。ミハルは震える指で薄いセーターを脱いだ。発育途中の肢体が、冷気と男の欲望に晒され鳥肌を立てる。ブラウスのボタンを外す手が止まる。しかし、男は待てなかった。

 

「なんだ、まだかよ。俺の息子が待ちきれねぇぞ」

 

男は無骨な手でブラウスを引き裂いた。ボタンが飛び、小さく盛り上がった胸が露わになる。まだ白く薄い乳輪。男はそれを卑猥にねめつけ、舌なめずりをした。

 

「へへ、ちっせぇな。だが若い肉はいい味がする」

 

男がのしかかってくる。ミハルの視界が、汗に光る脂肪で埋め尽くされた。重い。呼吸ができない。男の腹の肉がミハルの腹部を圧迫し、胸の肉に顔を埋められ、湿った舌が首筋を這う。その感触は、ヘビに絡まれたカエルのようだった。男の手が、ミハルの平坦な胸を無造作に掴み、乱暴に揉みしだく。脂肪の層を通して骨に響くような力。乳首を爪で弾かれ、痛みに顔をしかめるが、声は出さない。声など出せば、心が壊れてしまいそうだったから。

 

「ほら、もっと足を開けよ。仕事だろ?」

 

下卑た声と共に、男の太い指がミハルのスカートの中にねじ込まれる。

下着の上から割れ目を擦られ、そのままクロッチを横にずらして指を入れてきた。乾いた粘膜を無理やりこじ開けられ、鋭い痛みが走った。準備などさせるつもりはないのか、男は自分の屹立をミハルの腿に押し当てた。それは、ミハルの体には残酷なほど大きく、凶悪に脈打っていた。

 

「いっ……! ……!」

 

悲鳴は喉の奥で潰された。男は容赦なく、その禍々しい肉棒をミハルの膣口に当てがい、一気に根元まで押し込んだ。メリメリという音が聞こえた気がした。処女膜が破れ、体の中心を縦に引き裂かれるような、想像を絶する激痛。

ミハルはシーツを握りしめ、唇を噛み切りそうな勢いで歯を食いしばった。血の味が口の中に広がる。目尻から溢れかけた涙を、男に気づかれないように慌てて枕に吸わせた。

 

(ジル……ミリー……)

 

彼女は心の中で、愛する弟妹の名を呼び続けた。それだけが、彼女を狂気から繋ぎ止める唯一の鎖だった。

男の荒い鼻息が頬にかかり、汗の雫がミハルの肌を濡らす。男の体臭と加齢臭が混ざった悪臭が鼻腔を満たし、吐き気がこみ上げてくる。

 

「きつきつだな、おい。ま、それがいいんだけどよ」

 

男はミハルの抵抗など意に介さず、体重をかけてピストン運動を始めた。ズン、ズンと、内臓を押し上げるような暴力的な抽送。ミハルの腰はシーツに埋まり、スプリングがギシギシと悲鳴を上げる。肉と肉がぶつかり合う醜悪な音が、狭い部屋に響き渡る。男の動きに合わせて、ミハルの薄い胸が痛ましく上下する。そこに快感など存在せず、あるのは痛みと圧迫感、そして計り知れない屈辱だけだった。

 

やがて、男の動きがさらに激しさを増し、獣のような唸り声を上げて、ミハルの中に熱い欲望を叩きつけた。どぷどぷと大量の精液が子宮口にぶちまけられる感覚。汚らわしい液体が体内に広がっていく忌避感。

ミハルはただ、天井の染みを見つめ続け、この悪夢のような時間が早く過ぎ去ってくれることだけを願った。

 

事が終わり、男は満足げにベッドから降りた。ズボンをはきながら、財布から数枚の紙幣を取り出すと、それをミハルの汗と体液に濡れた腹の上に無造作に投げつけた。

 

「いい仕事だったよ、花売りちゃん。また頼むな」

 

紙幣はミハルの柔らかな肌の上に落ち、汗と混じり合って滑り落ちる。一枚は内股に挟まり、一枚は下着に引っかかって奇妙な形に折れた。男は何事もなかったかのように部屋を出て行く。残されたミハルは、しばらく動くこともできず、ただ冷たい金額が肌に貼りつく感覚を感じていた。これが、自分の体の値段。これが、弟妹の命をつなぐ糧。惨めで、哀れで、やりきれないセックスの後遺症が、体の奥底で鈍く疼き、血と精液が混じったものが太ももを伝って垂れ落ちるのを感じていた。ミハルはゆっくりと体を起こし、散らばった金を震える手で拾い集めた。

一枚一枚が、自分の尊厳の欠片のように重かった。鏡に映る自分の顔は青ざめ、目は虚ろだった。

 

第二章 メス堕ち

 

ミハルは港の倉庫街にある、廃墟と化した事務所を訪れていた。ジオン公国軍の潜入員、マッドアングラー隊の連絡係が待つ場所だ。潮の臭いと錆びた鉄の臭いが染みついたその部屋で、ミハルは震える声で報告を行った。

 

「ホワイトベースの補給物資は明日の朝、第3ドックへ入る予定です。護衛は……」

 

「ご苦労、107号」

 

暗がりから現れたのは、鋭い目つきの男だった。軍服の襟を緩め、傲慢な態度でミハルを見下ろしている。彼はミハルの報告を聞き終えると、ニヤリと口角を上げた。その笑みに、ミハルは本能的な恐怖を覚え、後ずさろうとしたが、壁に背中が当たる。

 

「だがな、その情報だけでは不足だ。連邦の士官遊びも、ただでは済まんだろう? お前の体には、もう連邦の臭いが染みついているな」

 

男はミハルに近づくと、その顎を乱暴に掴み上げた。男の瞳に、ミハルの怯えきった顔が映る。

 

「や、やめてください……私はただのスパイで……これは私の仕事で……」

 

「スパイなら、スパイらしく主義(ジオン)に全てを捧げろ。お前のその若い体は、ジオンの勝利のために役に立つんだよ」

 

男はポケットから小さな錠剤を取り出し、ミハルの唇をこじ開けて口にねじ込んだ。指が喉の奥を押し、錠剤がごくりと喉を通る感覚。苦い味が舌に残り、それが胃の中に落ちていくのを感じた。

 

「それはね、忠誠心を高めるための薬だ。リラックスして、素直になれる」

 

異変はすぐに訪れた。まず全身の血管が一斉に拡張したかのように、体の芯が燃えるように熱くなった。次いで頭がクラクラし始め、耳鳴りとともに周囲の音が遠くなっていく。思考が霞がかかったようにまとまらない。

さっきまでの惨めな記憶、連邦の男に犯された屈辱、それらが霧散し、代わりに得体の知れない渇望が下腹部の奥底から湧き上がってくる。全身の神経が研ぎ澄まされ、衣擦れのわずかな刺激でさえ甘く痺れるような錯覚に陥った。

 

「ほら、どうだ? 体が熱いだろう?」

 

男の荒い手がミハルの服を剥ぎ取る。今度は自ら脱ぐ力も、抵抗する気力も残っていなかった。無防備な肌が倉庫の冷たい空気に晒されるが、それを冷たいと感じるよりも、男の掌の熱さを求めて肌が疼いた。

 

「あ……あぁ……ぅぅ……」

 

口から漏れるのは、拒絶の言葉ではなく、切ない吐息だった。薬の効果なのか、それとも心のどこかで支配を望んでいたのか。男の指が乳房を這うと、背筋がしびれるように震え、腰が無意識に浮いてしまう。乳首を摘まれると、それはたちまち硬く勃ち上がり、快感の電流が脳髄を直撃した。連邦の男に触れられた時とは全く違う、痺れるような強烈な快感が神経を侵食していく。

 

「そうだ、いい子だ。ジオンの犬になれ」

 

男がミハルを机に押し倒した。冷たい天板が背中に触れるが、それすらも快感のスパイスとして感じられる。男の屹立が、すでに愛液で濡れそぼった秘所に触れた瞬間、ミハルの体は反射的にそれを迎え入れるように腰を開いた。

 

「ああっ! ……きて……お願い……!」

 

自分の口から出た言葉が信じられなかった。彼女は懇願していた。ジオンの男に、自分を犯してくれと。

理性の堤防が決壊し、本能だけがむき出しになる。男が一気に貫いた瞬間、甲高い悲鳴が倉庫に響き渡った。

しかし、それは痛みの悲鳴ではなく、歓喜の叫びだった。膣壁が男の屹立をぎゅっと締め付け、奥へ奥へと誘い込む。頭が真っ白になり、ただ快楽の奔流に身を任せていた。

 

「これだ! この顔だ! ジオンに仕える雌の顔だ!」

 

男の腰が激しく打ち付けられる。ズン、ズンというリズムが、ミハルの体をガクガクと揺らす。机の上の書類やペンが床に散らばっていくが、そんなことには目もくれず、ミハルは男の首に腕を巻きつけ、自ら腰を振った。脳裏に閃くのは、ジオンの旗、ザクのモノアイ、そして絶対的な支配者への隷属。薬が描き出す幻覚と、現実の肉の快楽が混ざり合い、ミハルは自らがジオンの巨大な歯車の一部になる妄想に溺れた。

 

「ジオン……ジオンに……仕えます……あぁっ、いいっ、もっと……! もっと奥まで……!」

 

彼女はもはやスパイではなく、ただの雌だった。快楽に忠誠を誓い、支配されることに絶対の安らぎを見出す。

男が奥を突くたびに、子宮が痙攣するような絶頂が幾度も押し寄せる。その度に男の名を、ジオンの名を叫び、白濁が注ぎ込まれるたびに、彼女の魂もまた、ジオンという色に染められていった。

事が終わった後、放心状態のミハルの目からは、もう以前のような光は消え失せていた。あるのは、ただ虚ろな服従の色だけだった。体の中を駆け巡る薬の余韻と、男の体液の感触。それら全てが、彼女をジオンの雌として固定化していった。

 

第三章 カイとの恋

 

雨上がりの路地裏で、ミハルは彼と出逢った。カイ・シデン。ホワイトベースのクルーでありながら、その艦に反発して降りてきたという皮肉屋の青年。彼との会話は、ミハルにとって新鮮だった。スパイとしての打算も、体を売る女としての惨めさも、彼の前では消え去った。ただの年頃の少女と、不器用な少年として向き合える。それがどれほど救いだったか、カイには分からないだろう。

 

そして、その夜。カイの借りた安宿の一室で、二人は結ばれた。

 

「いいのかよ、俺で……」

 

カイはベッドの端に腰掛け、ミハルの服に手をかける動作をためらっていた。その顔は赤く染まり、視線が泳いでいる。童貞特有の緊張と、相手を傷つけまいとする優しさが入り混じった表情だった。ミハルは、その手のひらに自分の手を重ねた。

 

「カイさん……私、カイさんが好き。だから、いいの」

 

その言葉は嘘じゃなかった。ジオンの任務などどうでもよかった。ただ、この温かい男に包まれたかった。過去の男たちのように、体を道具として扱うのではなく、一人の女性として愛してほしかった。

 

ミハルは自ら服を脱いだ。

夜の闇に浮かぶ白い肌。カイの視線がそれを追う。欲望と、純粋な慕情が入り混じった眼差し。ミハルはカイの首に腕を絡め、そっと唇を寄せた。触れ合った唇は、不器用ながらも互いを求めて重なり合った。

 

カイの手が、恐る恐るミハルの体を這った。連邦の男のような乱暴さも、ジオンの男のような支配欲もない。確かめるような、壊れ物を扱うような優しい指先。それが乳房の先端を撫でた時、ミハルの体に走ったのは、これまでとは違う、甘く切ない電流だった。それは痛みを伴わない、純粋な快感だった。

 

「んっ……カイさん……」

 

「ミハル……」

 

カイはミハルをベッドに横たえた。彼自身も服を脱ぎ、初々しい体を露わにする。張り詰めた屹立は、ミハルの秘所に触れた瞬間、少し震えた。カイはゴムを被せる手つきもぎこちなく、指先が震えていた。ミハルはその手を取り、微笑みながら導いてあげた。

 

「ここよ……カイさん……」

 

ゆっくりと、カイがミハルの中に入ってくる。痛みはない。むしろ、体が彼を受け入れるために喜びの声を上げているかのようだった。ミハルの潤いが、カイを優しく包み込む。二人が一つになる感覚。それは、肉体的な結合以上の何か、魂が触れ合うような温かさだった。

 

「あぁ……ミハル、すごい……気持ちいい……」

 

「私も……カイさん、私も……」

 

カイはゆっくりと腰を動かした。

動きは未熟で、リズムも不安定だ。しかし、その一突き一突きに、彼の真っ直ぐな想いが伝わってくるようだった。ミハルはカイの背中に腕を回し、強く抱きしめた。爪を背中に立てるのではなく、ただ肌の温もりを確かめるように。

 

二人の吐息が交じり合い、汗が混ざり合う。

 

 

部屋に響くのは、卑猥な水音よりも、互いの名を呼ぶ甘い声だった。ミハルは目を閉じ、この瞬間が永遠に続くことを願った。戦争も、スパイの任務も、惨めな過去も、全てが消え去り、ただカイと繋がっているこの時間だけが真実だと信じたかった。

 

カイの動きが次第に速くなる。しかし、それは決して乱暴ではなく、ただ切迫した愛しさの現れだった。ミハルもそれに応えるように、腰を揺らし、カイを深く受け入れた。互いの鼓動が聞こえるほど密着し、体温が溶け合う。絶頂が近づくにつれ、ミハルの視界が白く染まっていった。それは今まで感じたことのない、圧倒的な幸福感の白さだった。

 

「好きだ……ミハル……」

 

「私も……愛してる、カイさん……」

 

二人は同時に果てた。カイがミハルの中で弾け、ミハルはその熱を子宮の奥で受け止めた。痙攣するように体が震え、涙がとめどなく溢れ出した。

それは悲しみの涙ではなく、生まれて初めて知る、愛する人との結びつきの喜びの涙だった。

カイの腕の中で、彼女はただの少女に戻っていた。そして、どうかこの幸福が、戦火の中で散りゆく花のような儚いものではありませんようにと、神に祈らずにはいられなかった。事後、カイが優しく彼女の涙を拭い、額に口づけを落とした時、ミハルは確信した。自分はもう独りではないと。

 

第四章 罪滅ぼし

 

ホワイトベースへの潜入任務。その最中、ミハルは見てしまった。カツ、レツ、キッカ。自分の弟妹と同じくらいの幼い子供たちが、艦内で暮らしているのを。彼らの無邪気な笑い声が、ミハルの胸を抉った。自分がジオンに伝えた情報が、この子供たちの命を奪おうとしている。その事実が、ミハルの心を引き裂いた。

 

(私は……何てことを……)

 

スパイとしての自分を、女としての自分を、姉としての自分を、全てが許せなかった。罪滅ぼしをしなければ、彼女は自分でいることさえできなかった。だから、彼女はカイと共にガンペリーに乗ることを選んだのだ。マッドアングラー隊の襲撃から、ホワイトベースを守るために。

 

ガンペリーの狭いコクピット。隣にはカイがいる。彼と共に戦えること、それだけが今の彼女の支えだった。しかし、戦場は残酷だ。水中から襲い来るジオンの水陸両用モビルスーツ、ズゴック、ガンペリーは回避行動を取りながらミサイルによる反撃を試みるが、衝撃で発射システムがエラーを起こした。

 

「くそっ! 発射できない! 回路が焼き切れたか!」

 

カイが叫ぶ。絶体絶命。このままではガンペリーが撃沈され、ホワイトベースも沈められてしまう。ミハルの脳裏に、カツやレツの顔が浮かんだ。そして、カイの顔も。彼女を愛してくれた、たった一人の人の顔。

 

「カイさん、手動で発射させます!」

 

「何を言うんだ! そんなことしたらミハル!」

 

カイが止める間もなく、ミハルはシートベルトを外し、コクピット後方のミサイルコンテナへと降りていった。ここからは外部へのハッチが開く。爆発の衝撃や、海風が直接吹き込む危険な場所だ。しかし、手動で発射レバーを引くしか、道は残されていなかった。

 

「ミハル! 戻ってこい!」

 

カイの悲痛な叫びが聞こえる。でも、振り返ることはできなかった。これが、彼女の選んだ罪滅ぼし。彼女の愛する人たちを守るための、最初で最後の戦いなのだから。

 

コンテナ内は寒く、振動で立っているのもやっとだった。

ズゴックが放つビームの光が、ハッチの隙間から瞬く。ミハルは震える手でミサイルの発射装置にしがみついた。目の前には、海中を悠然と迫るジオンの怪物。かつて彼女が心を支配されたジオンの象徴。

 

(もう、負けない……! 私は私の意志で、あんたたちを倒す!)

 

「くそっ、落ちろぉぉっ!」

 

ミハルは渾身の力でレバーを引いた。その瞬間、ミサイルが火を噴き、ズゴックの胸部に直撃した。

水中で爆発し、ジオンの怪物は鉄屑となって海の底へ沈んでいく。勝利の瞬間だった。

 

しかし、ミサイル発射時の爆風は、ガンペリーの機体をも大きく揺らがせた。開いていたハッチから猛烈な突風が吹き込み、ミハルの華奢な体を容易く空中へと舞い上げた。

 

「きゃああっ!」

 

「ミハル――っ!!」

 

カイの絶叫が、耳の奥で反響する。ミハルの体は、ガンペリーから放り出され、冷たい海へと落ちていった。一瞬の浮遊感。スローモーションのように流れる風景。彼女の目に映ったのは、爆発の炎に照らされた夜空と、愛するカイの絶望に歪んだ顔だった。

 

(カイさん……生きてね……)

 

意識が遠のく中で、彼女は幸せだった。愛する人を守れたのだから。子供たちの未来を守れたのだから。自分の命と引き換えに、彼女はようやく、本当の意味での自由を手に入れたのだ。

 

彼女の死は、カイ・シデンの魂に深く刻まれた。愛する人を奪った戦争の理不尽さと、彼女の様な悲劇を二度と繰り返してはならないという強い決意。

カイは涙を拭い、再びホワイトベースの甲板に立った。彼の中に、ジオンと戦う明確な意味が生まれたのだ。それは、愛する人への鎮魂歌(レクイエム)であり、いつか戦争が終わった日、彼女と再会するための誓いでもあった。

花売り少女が遺した想いは、鋼鉄の巨人の心に火を灯し、終わりのない戦いの果てを目指す原動力となったのだ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。