機動戦士ガンダム エロ短編集 女達の地獄の黒史録 作:みなぽん
ガンダムSEED 二次創作
『虚像と現実』
「ラクス様、お時間です」
侍女の声に、私は鏡へ視線を向けた。
映っているのは、今日も変わらず微笑むラクス・クライン。
薄桃色の髪を整えられ、純白のドレスをまとい、誰もが知る「プラントの歌姫」。
……けれど、その微笑みは、本当に私のものなのだろうか。
幼い頃から教えられてきた。
歩き方。
言葉遣い。
笑顔の角度。
歌うときの視線。
人を安心させる声色。
「あなたはクライン派の希望なのですよ」
父はそう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。
私は父が大好きだった。
だから期待に応えたかった。
泣きたい日も笑った。
怒りたい日も穏やかに振る舞った。
嫌なことがあっても、「ラクス・クライン」は決して感情を乱してはならなかった。
いつしか私は分からなくなった。
本当の私は、どこへ行ってしまったのだろう。
⸻
コンサートホール。
何万人もの歓声。
「ラクス様ー!」
「歌姫!」
無数のペンライトが星空のように揺れる。
私は歌う。
平和を願う歌を。
争いを忘れる歌を。
その間だけ、人々は笑顔になる。
その笑顔を見るのは嫌いではない。
むしろ好きだ。
けれど、歌が終わればまた戦争が始まる。
人は拍手をしながら武器を作り、歌に涙を流しながら憎しみを育てる。
私の歌に、本当に意味はあるのだろうか。
そんな疑問を胸にしまいながら、私は今日も優雅に一礼する。
完璧な歌姫として。
⸻
アスランとの婚約。
誰もが祝福した。
「理想のお二人です」
そう言われるたび、私は微笑んだ。
彼は優しい人だった。
誠実で、不器用で。
けれど私たちは、恋人ではなかった。
政治が結んだ関係。
互いにそれを理解していた。
彼も苦しかったのだろう。
だから婚約が解消されたとき、不思議と悲しみはなかった。
ただ一人の若者として生きられるなら、その方が彼には幸せだと思えたから。
⸻
キラ・ヤマト。
最初に会ったときの彼は、世界に傷つけられた少年だった。
あの瞳を忘れられない。
誰も憎みたくない。
それなのに戦わなければならない。
そんな矛盾に押し潰されそうになっていた。
だから私はフリーダムを託した。
世界はきっと私を責める。
軍事機密を奪った歌姫。
裏切り者。
犯罪者。
それでも構わなかった。
平和とは、願うだけでは訪れない。
誰かが責任を負わなければならない。
その責任を、私は引き受けると決めた。
あの日から、歌姫ラクス・クラインは終わったのだ。
⸻
父が亡くなった日。
私は泣かなかった。
泣けなかった。
父の遺体の前には、多くの人がいた。
娘ではなく、クライン派の代表として立たなければならなかった。
本当は叫びたかった。
「お父様!」
そう呼んで抱きつきたかった。
でも、それは許されない。
私は静かに目を閉じ、深く一礼した。
その瞬間、父の娘は消えた。
残ったのは指導者だけだった。
⸻
夜。
エターナルの艦橋は静かだった。
誰もいない窓際に立ち、宇宙を見つめる。
漆黒の闇に無数の星が瞬く。
こんなにも美しい世界なのに。
どうして人は争うのだろう。
「ラクス」
後ろから優しい声がした。
キラだった。
「眠れないの?」
私は少し笑った。
「少しだけ考え事を。」
「みんな、君は強いって思ってる。」
私は思わず吹き出してしまった。
「強い……ですか。」
そんなこと、一度も思ったことはない。
怖い。
失敗もする。
誰かを傷つけてしまうこともある。
毎日、不安でいっぱいだ。
それでも誰にも言えない。
ラクス・クラインは弱音を吐いてはいけないから。
キラは私の隣へ立った。
何も言わず、同じ景色を見つめる。
その沈黙が心地よかった。
ようやく私は、小さく本音をこぼす。
「私……疲れてしまうことがあります。」
声が震えていた。
「皆さんは、私を特別な人間だと思っています。でも私は違います。ただの一人の女性です。」
「怖いこともあります。」
「泣きたい夜もあります。」
「全部投げ出して、普通の女の子になれたらと思うこともあります。」
言ってしまった。
誰にも言えなかった本当の私。
歌姫でもない。
指導者でもない。
ただのラクス。
キラは驚かなかった。
ただ穏やかに笑った。
「知ってるよ。」
その一言だけだった。
「君は最初から普通の人だ。」
「だから僕は君を信じられる。」
胸の奥で、何かがほどけた。
私はずっと「ラクス・クライン」を演じ続けてきた。
誰かの理想であるために。
誰かの希望であるために。
けれど、その仮面の奥にいる私を見つけてくれる人がいた。
それだけで十分だった。
「ラクス」
名前を呼ばれただけで、心臓が小さく跳ねた。
エターナルの静かな個室。柔らかな灯りだけが落ちる空間で、キラと二人きり。
さっきまで交わしていた深い口づけの余韻が、唇に熱として残っている。彼の体温が、私の頬に移っていくようだった。
「キラ」
応える私の声は、自分でも驚くほど潤んでいた。
彼の手が私の頬に触れる。その指先は少しだけ冷たくて、でもそこから伝わってくる想いは確かに温かい。
「怖くない?」
彼はいつもそうだ。先へ進む前に、必ず私の心を確かめる。
私は彼の手に自分の手を重ねた。
「怖くはありません。……あなたと一緒なら」
それは本心だった。未知の領域へ踏み出す不安はある。けれど、相手がキラであるという事実が、その恐怖を遥かに超える歓喜へと変えていた。
キラの手が、ドレスの留め具に伸びる。微かな音を立てて、それが解かれる。
肌が露わになる感覚。空気が直接触れる微かな冷たさと、彼の視線を感じる熱さが同時に走った。
下着姿になったとき、無意識に体を縮こまらせそうになる自分がいた。
「ラクスは、綺麗だね」
彼の言葉に、顔が熱くなる。
「お世辞を……」
「本当だよ」
彼は微笑むと、自分のシャツに手をかけた。さらりと脱ぎ捨てられた衣服の下から現れたのは、戦いの日々を刻むかのような傷跡と、それでも美しいと感じる彼の肢体。
お互いに何も身につけていない状態になると、不思議と羞恥心よりも、深い親密さが込み上げてきた。
彼が私をベッドへと導く。柔らかなスプリングが二人の体重を受け止めた。
横たわる私の上に、彼がそっと覆いかぶさる。
「触れても……いい?」
「はい」
彼の指先が、私の鎖骨をなぞる。鳥肌が立つ。その指はゆっくりと下へと降りていき、胸の膨らみへと触れた。
「っ……」
声が漏れる。自分の体がどう反応していいか分からず、ただ彼に身を委ねることしかできなかった。
彼の手のひらが、優しく乳房を包み込む。その温かさと重みに、体の奥がじんわりと熱くなっていくのを感じた。
唇が胸元へと降りてくる。白い肌に吸い付き、赤い痕を残していく。
「あ……キラ……」
乳首に舌が触れた瞬間、背中が弓なりに反った。
電流のような刺激が走る。彼はそれを愛おしむように舌で転がし、時折優しく吸い上げた。歯を軽く立てられると、甘い痛みが脳髄を直接叩くようだった。
「んっ……あぁ……」
甘い疼きが下腹部へと広がっていく。足が無意識に擦り合わされる。太腿の奥が熱く濡れてくるのを感じた。私は自分の体の変化に驚きながらも、彼にされるがままになっていた。
私の反応を見て、キラはさらに下へと唇を滑らせた。へそをなぞり、下腹部へキスを落とす。
彼の意図に気づいたとき、羞恥心で顔が沸騰しそうになった。
「キラ、そこは……!」
「大丈夫だよ。……感じてほしいんだ」
彼は私の脚をそっと開いた。一番秘められた場所が、彼の前に晒される。
「濡れてるね」
その言葉に、耳まで赤くなるのが分かった。
彼の息がかけられる。それだけで体が震えた。
熱い舌が、割れ目をなぞった。
「ひゃっ……!」
今まで感じたことのない感覚。強すぎる快感に、反射的に脚を閉じそうになる。
キラは私の脚を優しく押さえ、さらに深く舌を這わせた。
花芽を刺激されると、頭の中が真っ白になった。
「あっ、あぁ……! だめ……キラ……!」
声が抑えられない。彼の舌の動きに合わせて、腰が勝手に跳ねる。
彼は私の全てを受け入れながら、丹念に愛し続けた。舌が濡れた襞を割り開き、奥へと潛り込む。くちゅくちゅという水音が、静かな部屋に響き渡る。それは恥ずかしくて、でもたまらなく官能的な音だった。
体の奥が熱く脈打ち、何かが溢れ出していく感覚。
「キラ……キラ……!」
彼の名前を呼ぶことしかできなかった。
やがて彼が顔を上げる。その唇は濡れて光り、目は熱く潤んでいた。
「ラクス……入っても……いい?」
彼の屹立が私の入口に触れる。熱く硬いそれに、体が強張った。
「ええ」
私は彼の手を握りしめた。
「来てください……キラ」
彼はゆっくりと押し入った。
「っ……!」
裂けるような痛みが走った。息が止まる。
キラはすぐに動きを止めた。
「大丈夫?」
彼の額に汗が滲んでいる。私を傷つけないように必死に耐えているのが分かった。
「ええ。動いてください」
痛みは確かにあった。けれどそれ以上に、彼と一つになっているという事実が、私を圧倒的な幸福で満たしていた。
彼がゆっくりと腰を動かし始める。
最初は痛みが勝っていた。けれど次第に、体が彼を受け入れていくのが分かった。
摩擦から生まれる熱。体の奥深くへ彼が触れる感覚。
「あっ……んっ……」
痛みが薄れ、代わりに甘い疼きが膨れ上がっていく。
「ラクス……好きだよ」
耳元で囁かれる愛の言葉。彼の声もまた、快感となって私を満たした。
「私も……好きです……キラ……っ!」
速度が増していく。肉と肉が打ち合う音が、静かな部屋に響く。
「あっ、あっ、あぁ……!」
自分の声がこんな風に変わるなんて知らなかった。歌うときとは全く違う、本能に委ねた声。
体の奥から波のような快感が押し寄せてくる。
「キラ……何か……来ます……!」
「僕も……ラクス……!」
頂点に達した瞬間、世界が弾けた。
白い光が視界を埋め尽くす。体全体が痙攣し、彼の名前を叫んだ。
彼もまた、私の最も深い場所で熱を放った。
ドクッ、ドクッという脈動が子宮の奥で響く。熱い飛沫が注ぎ込まれる感覚に、私は身を委ねた。
二人で重なり合ったまま、荒い息を整える。
汗ばんだ肌が触れ合う。彼の心臓の鼓動が伝わってくる。
「……愛しています、キラ」
私は彼の背中に腕を回した。
「僕もだよ、ラクス」
彼は私の額に口づけた。
この瞬間、私はただのラクスだった。
歌姫でも、指導者でもない。
一人の女性として愛され、愛した喜びに浸るただのラクス。
彼が私の全てを受け入れてくれたように、私もまた彼の全てを受け入れた。
偽りない心と体の結びつき。
それがどれほど尊いものか、今なら痛いほど分かる。
けれど、夜はまだ長い。
余韻に浸る間もなく、キラの唇が再び私の首筋を這った。
「まだ……足りないよ」
彼の目は、さっきまでの優しさとは少し違う、捕食者のような熱を帯びていた。
その視線に、背筋がゾクゾクと震えた。
怖いのではない。もっと彼に侵食されたい、という倒錯した渇望が湧き上がる。
「私もです……もっと、あなたが欲しい」
私の言葉に、彼は微笑むと、再び私の胸に顔を埋めた。
乳首を吸い上げられ、舌で弄ばれる。さっき敏感になったばかりのそこは、過剰なほどに反応してしまう。
「あっ、んっ……! そこ、弱いです……!」
彼は容赦なく刺激を続ける。片方を指で捏ねながら、もう片方を口に含み、強く吸い上げる。
甘い痛みと快感が、下腹部へと直結していく。
彼の手が下へと伸び、再び濡れそぼった秘所に触れた。
「もうこんなに……」
彼の指が、とろりとした愛液を掻き混ぜる。
「ぁっ……!」
指が二本、三本と増えていく。内壁をかき回され、快感の糸が引かれる。
「キラ……キラの……入れたいです……」
我慢できずにねだると、彼は指を引き抜き、代わりに硬く猛った自身を宛てがった。
二度目の侵入は、一度目のような痛みはなかった。
むしろ、彼を迎え入れるための準備が整っているかのように、奥までスムーズに飲み込んでいく。
「はぁっ……! ンッ……!」
奥まで埋まった瞬間、体が満たされる充足感に溺れそうになった。
「ラクス……すごい……締め付けてる……」
「だって……キラのが大きくて……奥まで来てるんです……」
彼が動き出す。
一度目よりも激しく、深く突き上げられる。
「あっ!あっ!あっ!」
彼の腰の動きに合わせて、私の体が揺さぶられる。
彼が私の脚を抱え上げ、さらに深く侵入してくる。
「んっ!そこっ!あぁッ!」
角度が変わり、最も敏感な場所を掠めるたびに、背中が反り返り、爪がシーツに食い込む。
「キラ!キラッ!」
彼の名前を呼ぶことだけが、正気を繋ぎ止める命綱だった。
彼もまた、獣のような荒い息を吐きながら、私の中を貪る。
「ラクス……ラクス……!」
肉が打ち合う卑猥な音と、二人の喘ぎ声が部屋中に響き渡る。
汗が混じり合い、互いの体液の匂いが充満する。
「もっと!もっと奥まで!」
私の口から、そんな淫らな言葉が飛び出した。
歌姫ラクス・クラインが決して口にしない、本能のままの言葉。
彼はそれに応えるように、さらに激しく腰を打ち付けてきた。
ズンッ!ズンッ!という重い衝撃が、体の芯を貫く。
「いっ!いくっ!あぁぁぁッ!!」
再び絶頂が押し寄せる。今度は一度目よりも遥かに強く、深い波だった。
視界が白む中、彼もまた最後の突き上げを行う。
「ラクスッ!」
彼が二度目の熱を放つ。
ドクッドクッという脈動が、一度目よりも強く感じられる。子宮の奥に注ぎ込まれる精液の熱さに、私は声にならない嬌声を上げた。
二度目の絶頂の余韻に浸りながら、私は荒い息をついた。
体は汗と体液で濡れそぼり、力が入らない。
けれど、心は満たされていた。
これが「生」の実感なのだと。
彼と繋がり、彼の熱を受け止めること。それが私の存在意義を超えた、純粋な悦びなのだと。
「ラクス……」
キラが私の耳元で囁く。
「もう一回……いい?」
彼の目は、まだ熱を帯びていた。
そして、私の体の奥もまた、彼を求めて疼いていた。
「はい……何度でも……」
私は彼の首に腕を巻きつけ、自ら唇を重ねた。
三度目の情交は、よりゆっくりと、しかし執拗に、互いの全てを味わい尽くすように行われた。
彼は私の体中に口づけを落とす。首筋、鎖骨、乳房、下腹部、太腿の内側。
そして再び私の中へと戻ってくる。
今度は激しさよりも、深い結合を求めるかのように、ゆっくりとピストン運動を繰り返す。
「んっ……はぁっ……キラ……」
「ラクス……愛してる……」
彼の言葉が、耳から脳へ、そして体の隅々へと染み渡っていく。
私もまた、彼の背中に爪を立て、彼の全てを感じ取ろうとする。
彼が動くたびに、私の内壁が彼を締め付ける。
彼が私の中で脈打つたびに、私の体が喜びに震える。
長い時間をかけて、ゆっくりと高みへと登っていく。
「あっ……キラ、私……!」
「うん……僕も……一緒に……」
最後は同時に頂点へと達した。
三度目の放精は、疲れ果てた彼の体から絞り出されるように行われた。
けれど、その熱は一番温かく、一番深く私の中に刻み込まれた。
彼が私の中から抜けると、混ざり合った体液が太腿を伝ってシーツに滴り落ちた。
彼はそのまま私の隣に横たわり、私を強く抱きしめた。
「ラクス……」
「キラ……」
二人の心臓の鼓動が、一つに重なる。
「この先も……共に歩んでくれますか?」
「うん。……ずっと」
彼の腕の中で、私はようやく本当の安らぎを手に入れた。
明日もまた戦いは続くのだろう。
けれど今夜、私は「ラクス・クライン」という虚像を脱ぎ捨て、ただの女として、彼に愛された。
その現実の重みと温もりを、私の体の奥深くに刻み込んで。
愛する人の隣で。
一人の女性として。