機動戦士ガンダム エロ短編集 女達の地獄の黒史録 作:みなぽん
プル、宇宙に散る
第一章 出会い
アクシズの薄暗い廊下で、プルは初めて彼を見た。整備中のモビルスーツの隙間から漏れる明かりが、少年の横顔を照らしていた。青い瞳。まだあどけなさが残る顔立ち。でも、その目の奥には、戦場を生き抜いてきた者特有の強さが宿っている。
「なんだ、子供か」
ジュドー・アーシタは立ち止まった。紛れもなく敵地にいるはずの少年が、目の前の少女に目を丸くしている。
プルの胸が高鳴った。鼓動が耳の奥でうるさいくらいに響く。理由はわからなかった。ただ、この少年の前に立つと、胸の奥が熱くなって、頭の中で何かがチカチカと光るような感覚があった。強化人間として施された処置のせいか、それとももっと原始的な何かなのか、彼女自身にも判断がつかなかった。
「プルプルプルプルー!」
気がつくと、彼女はそう叫んでいた。自分でもなぜそんな声を出したのかわからない。でも、ジュドーが驚いた顔をするのがおかしくて、嬉しくて、彼女は笑った。
「お前、変なやつだな」
ジュドーがくしゃくしゃになった顔で笑う。その笑顔を見た瞬間、プルの中の何かが決定的に変わった。冷たい実験室で一人震えていた心に、初めて温かい風が吹いたような感覚。
「ねえ、ジュドー。プルのこと、かわいい?」
自分の口から出た言葉に、プル自身も驚いた。でも、それが本心だった。この少年に、かわいいと思ってほしい。自分だけを見てほしい。それが彼女の中で、パイロットとしての任務よりも重要なものになっていた。
「は? 何言ってんだよ」
ジュドーは戸惑ったように頭をかいた。それがまた、プルには愛おしかった。
第二章 無邪気な誘惑
アーガマに収容されてからも、プルの想いは変わらなかった。いや、むしろ強くなっていた。ジュドーのそばにいる時間が長くなるほど、彼女の中の感情が膨れ上がっていく。
「ジュドー、一緒にお風呂入ろ!」
「バカ言うな!」
顔を真っ赤にするジュドーの反応が面白くて、プルは何度も誘った。本気で一緒に入りたいわけじゃない。ただ、ジュドーが慌てる姿を見るのが楽しかった。
そして、その慌てた顔の奥に、ほんの少しだけ自分を女の子として意識してくれている気配を感じるのが、何よりも嬉しかった。
ある夜、自室で着替えているとき、プルは鏡に映った自分の体を見つめた。まだ乳房の膨らみも乏しく、腰の曲線も未成熟。でも、これからジュドーのように変わっていくのだろうか。彼が男として自分を見てくれる日が来るのだろうか。
「ジュドーってば、プルのこと嫌い?」
「そういう問題じゃないだろ!」
「じゃあ好き?」
「……うるさいな」
答えをはぐらかされても、プルはめげなかった。だって、ジュドーの耳が赤くなっているのを見逃さなかったから。
夜、眠れなくてジュドーの部屋を訪ねたこともある。
「ジュドー、一緒に寝て」
「ダメだっつーの!」
「なんで? プル、一人じゃ怖い」
それは嘘じゃなかった。暗闇の中で目を閉じると、時々、自分のものじゃない記憶がよぎる。冷たい実験室。針の痛み。誰かの命令。自分が自分でなくなる感覚。
「しょうがねえな。ちょっとだけだぞ」
折れたジュドーが隣に寝転がる。その体温を感じながら、プルはそっと彼の腕にしがみついた。
「ジュドー、あったかい」
「寝たんじゃないのかよ」
「うん。でも、もうちょっと」
もうちょっとだけ、このままでいさせてほしい。プルは心の中でつぶやいた。自分の体がいつまで保つのか、彼女はぼんやりと察していたから。
第三章 嫉妬
リィナ・アーシタが現れたとき、プルは生まれて初めて「嫉妬」という感情を知った。
ジュドーの妹。彼が必死に探していた家族。自分よりもずっと前から、ジュドーの心の中にいた存在。
「ジュドー! プルもいるんだからね!」
ダカールでリィナと再会したジュドーに、プルは叫んでいた。
「何だよ、急に」
「だって、ジュドー、リィナばっかり見てる!」
自分でも子供じみていると思った。でも、抑えられなかった。ジュドーの視線が、自分以外の誰かに向かうのが耐えられなかった。
リィナともみ合いになったとき、一瞬、本気で殺したいと思った。
その感情に、プル自身が一番驚いた。
(これが、強化人間ってことなのかな)
心の奥底で、冷めた部分がつぶやく。普通の人間にはない、植えつけられた激情。コントロールできない感情の奔流。ガンダムに対する憎悪と同じように、誰かに対する殺意もまた、彼女の中に仕込まれたのかもしれなかった。
それでも、ジュドーはプルを拒絶しなかった。
「お前も大事だよ、プル」
頭をポンと叩かれ、プルは泣きそうになった。嬉しさと、自分の感情が怖いのと、両方で。
第四章 初めてのキス
ダブリンでの戦いの後、疲れ果ててアーガマの廊下に座り込んでいたプルを、ジュドーが見つけた。
「おい、また無理しやがって」
ガンダムMk-IIで無整備のまま単独出撃したことを怒られながらも、その声は心配でいっぱいだった。
「だって、ジュドーが危なかったから」
「だからって、子供が戦うことねえだろ」
「プルは子供じゃないもん! ジュドーを守れるもん!」
立ち上がろうとして、ふらついた。その体を、ジュドーが支える。
「おい、大丈夫か」
近い。ジュドーの顔が、すぐそこにある。青い瞳が、プルをまっすぐに見つめていた。鼻先が触れそうな距離。お互いの息遣いが聞こえる。
「ジュドー……」
気がつくと、プルは背伸びをして、彼の唇に自分のそれを押し当てていた。
柔らかい感触。
驚いたように見開かれるジュドーの目。心臓が破裂しそうだった。唇を離した瞬間、プルの顔は茹でダコのように赤くなっていた。
「何してんだ、お前」
離れた後、ジュドーがぼそりと言った。怒ってはいない。ただ、困ったような、それでいてどこか切なそうな声だった。
「プル、ジュドーのこと好き。世界で一番好き」
「……ガキのくせに」
でも、ジュドーはプルを突き放さなかった。その代わりに、もう一度、今度は彼の方から唇を重ねてきた。
今度のキスは、さっきよりも深かった。
ジュドーの手が、そっとプルの後頭部に添えられる。もう片方の手は、彼女の小さな肩をしっかりと包み込む。舌が絡み合って、プルの脳裏が痺れるような感覚に支配された。
(キスって、こんなにすごいんだ)
酸欠になりそうで、プルは小さく喘いだ。それが合図になったように、ジュドーが彼女を壁際に押し付け、さらに深く口づける。
「んっ……んんっ……」
キスの合間に漏れる自分の声に、プルは驚いた。こんな声が出るなんて知らなかった。キスがこんなにも甘くて、苦しくて、気持ちいいなんて知らなかった。
長いようで短い時間が過ぎて、二人は名残惜しそうに唇を離した。銀色の糸が、二人の間を繋いで切れる。
「ごめん……つい……」
ジュドーが額に汗を浮かべて謝る。でも、その目はまだ欲望を孕んでいる。プルはそれが嬉しかった。自分の魅力で、ジュドーが男になっていることが。
「もう一度……して」
プルは挑発するように上目遣いで見つめた。十二歳の少女とは思えない表情で。
ジュドーの喉仏が上下した。彼は躊躇したようだったが、結局は屈した。プルの体を軽々と抱き上げると、近くの空き部屋へと連れ込んだ。
扉が閉まる音が、やけに大きく響いた。
## 第五章 思いを遂げて
薄暗い部屋の中で、ジュドーはプルをゆっくりと床に下ろした。荒い呼吸が室内に充満している。
互いの目には、既に理性を超えたものが宿っていた。
「本当に、いいのか」
最後の確認だった。プルは無言で頷いた。その瞳には迷いはなかった。
ジュドーの手が、そっとプルの服にかかる。震えているのはどちらの指だったのか、わからなかった。一枚、また一枚と衣服が剥ぎ取られていくにつれ、プルの白い肌が露わになっていく。
「きれいだ」
ジュドーが素直に言った。それは偽りのない賛美だった。プルは恥ずかしさと喜びで身を縮めた。
「子供っぽいよ……きっと……」
「そんなことない。プルはちゃんと、女の子だ」
ジュドーの指が、プルの鎖骨を伝い、胸元へと降りていく。まだ未熟ながらも確かに存在する膨らみに、彼の大きな手が覆いかぶさった。
「ひゃっ……!」
予期せぬ刺激に、プルは小さく悲鳴をあげた。でも、逃げようとしない。むしろ、もっと欲しいと思っている自分に気づく。
「ここ、感じるのか?」
ジュドーが耳元で囁く。吐息が耳たぶにかかり、ゾクリとした。彼は親指と人差し指で、プルの乳首を優しく摘んだ。まだ硬さを帯びていない蕾が、彼の愛撫に反応して、ぴくりと震える。
「わかんない……けど……変な感じ……」
疼くような、もどかしいような感覚。これが快感というものなのだろうか。プルは混乱した。頭では理解できないのに、体が正直に反応していく。ジュドーの手の動きに合わせて、吐息が自然と溢れてしまう。
「声、我慢しなくていい」
「だって……恥ずかしい……」
「俺しか聞いてない。それに、お前の可愛い声、もっと聞きたい」
ジュドーのストレートな物言いに、プルはさらに顔を赤らめた。でも、言われた通り、徐々に声を抑えることをやめていく。彼の指が動くたび、小さな喘ぎが部屋に響いた。
「はぁ……あっ……んぅ……」
自分の声なのに、知らない女性のような響きがあって、プルは興奮した。これが、大人の女の声なのだろうか。ジュドーはそんな彼女の反応に刺激されたのか、愛撫をより丁寧にしていった。乳首を軽く引っ張ったり、円を描くように擦ったり、様々な刺激を与えてくる。そのたびに、プルの体は跳ねるように反応し、腰が無意識にくねる。
「下も……触ってもいいか?」
ジュドーの問いに、プルは躊躇なく頷いた。もう引き返すつもりはない。彼女もまた、次の段階に行きたかった。ジュドーの手が太ももを這い上がり、最も敏感な部分へと到達する。ショーツ越しでもわかるほどの湿り気がそこにあった。
「濡れてる……」
「言わないで……」
羞恥心で泣きそうになりながらも、プルの体は正直に答えていた。ジュドーの指が布地の上から秘裂をなぞると、小さな水音がする。その音に、プルは耳まで赤くなった。
ジュドーはゆっくりとショーツを脱がせた。抵抗はなかった。
むしろ、早く直接触れてほしいという期待が滲んでいる。
「すごい……きれいだ……」
ジュドーの視線が、プルの最も隠された部分に注がれる。湿り気を帯びた秘所が、淡い光の中で艶めかしく光っていた。
「じっ、見ないで……!」
無意識に閉じようとする足を、ジュドーが優しく開かせる。
「全部見せてくれ。プルの全部が見たい」
彼の熱っぽい視線に晒され、プルの体は粟立った。そして、彼の指が直接触れた瞬間、電流が走ったような刺激が全身を駆け抜けた。
「ひゃあっ!」
「ここ、すごく敏感なんだな」
ジュドーの指が、濡れた秘裂を上下になぞる。小さな陰核が、刺激に応じて主張を始める。それを指先で優しく擦られると、プルの背中が弓なりに反った。
「あんっ! そこ……そこ、変……!」
「変じゃない。気持ちいいんだ。感じてるんだよ、プル」
ジュドーの声は低く、男っぽくなっていた。彼の目は、少女の反応を漏らさず見つめている。その視線の熱さに、プルの羞恥心はさらに煽られる。
「あっ、あっ、あ……ジュドー……ジュドー……」
彼女の口から漏れるのは、愛しい人の名前と、快楽の吐息だけだった。ジュドーの指が一本、奥へと挿し込まれる。
「いっ……!」
異物が入り込む感覚に、プルは息を詰めた。痛みはあった。でも、それ以上に、自分の中にジュドーが入ってくるという事実が嬉しかった。
「大丈夫か? 痛かったら言え」
「うん……大丈夫……動いて……」
おずおずと動き出す指に合わせて、プルの体も揺れる。最初は痛みが勝っていたが、次第に別の感覚が生まれてくる。何かが押し上げられるような、痺れるような感覚。未知の快感に、プルの表情が蕩けたように変わっていく。
「あ……あぁ……なんか……すごい……変な感じ……でも、気持ちいい……」
「ここ、こんなに締まってる。すごいよ、プル」
ジュドーの指が増え、二本、三本と増えていく。
そのたびに、プルの喘ぎは大きくなり、腰の動きも激しくなった。指が内部を掻き回すたび、卑猥な水音が部屋に響く。
「あんっ! ああっ! ジュドー! ジュドー!」
プルはシーツを掴んで声を殺したが、もう限界だった。彼女の体は、強烈な波に飲み込まれそうになっていた。
「いくのか? 逝っていいんだよ、プル」
ジュドーの言葉が合図となり、プルの体が大きく跳ねた。強烈な痙攣が下半身を襲い、視界が白く染まる。
「ああああぁぁぁっ!!」
初めての絶頂だった。全身が震え、意識が飛びそうになるほどの快楽の奔流。プルは涙を流しながら、その波に身を任せた。
余韻に浸る間もなく、ジュドーがさらに動き出す。今度は指ではなく、硬く膨らんだ彼自身が、プルの秘所に押し当てられた。
「プル……もう、限界なんだ。入れるぞ」
ジュドーの声もまた、切羽詰まっていた。少年の顔はもうしていない。一人の男の顔になっていた。
「うん……きて……ジュドー……」
プルは足を大きく開き、彼を受け入れる体勢をとった。もう恐怖はなかった。ただ、彼と一つになりたいという渇望だけがあった。
ジュドーの先端が、濡れた入り口を割り開いて進入する。
「いっ……! いたい……!」
肉壁が引き裂かれるような痛みが走った。プルの目から涙がこぼれる。
「ごめん、痛いか。少し我慢してくれ」
ジュドーは苦しそうな顔で言った。彼もまた、理性を保つのに必死だった。幼い体はきつく、彼自身を締め付けて離さない。
「大丈夫……動いて……早く……」
プルはジュドーの背中に爪を立てた。痛みはあった。でも、それ以上に、彼と一つになる充足感があった。自分の中にジュドーがいる。その事実だけで、胸がいっぱいになった。
ゆっくりと、ジュドーが動き始める。前後に揺さぶられるたび、痛みと快感が交互に襲ってくる。
最初は痛みが勝っていたが、次第に快楽の割合が増えていく。体内の敏感な場所を擦られるたび、声にならない喘ぎが漏れた。
「はぁ……あっ……あんっ……」
「プル……気持ちいい……すごく……」
ジュドーの声もまた、切羽詰まっていた。幼い体はきつく、彼自身を締め付けて離さない。彼は激しく腰を打ち付ける。肉と肉がぶつかる音と、濡れた音が交じり合い、卑猥なリズムを刻む。
「あっ! あっ! ああっ! ジュドー! ジュドー!」
プルの声は、悲鳴と喘ぎの間で揺れていた。彼女は本能的に足をジュドーの腰に絡め、彼をさらに深く招き入れようとした。幼い体には過酷な行為のはずなのに、彼女はもっと欲しがっていた。
「もっと……もっと奥まで……! ジュドーの全部……ほしい……!」
「プル……!」
ジュドーは叫び、さらに激しく突き上げた。幼い体が揺さぶられ、シーツが乱れる。二人の影が、壁に重なり合う。
「ああっ! なんか……なんかくる……! また……あの感じが……!」
プルの体が再び波に飲み込まれそうになっていた。先ほど以上の強烈な快感が、下半身から全身へと押し寄せてくる。
「俺も……もう……!」
ジュドーの動きがさらに加速する。彼の表情は、快楽に歪んでいた。理性を手放し、ただ本能のままに腰を振る。男としての性欲が、彼を突き動かしていた。
「いくぞ……! プル……!」
「うん! きて! ジュドー! プルの中に……全部出して!」
プルの叫びと共に、二人は同時に頂点に達した。強烈な痙攣が二人を襲い、視界が白く染まる。ジュドーがプルの奥深くで果て、彼女の体がそれを全て受け止める。
「ああぁぁっ!! ジュドーーっ!!」
「プルーッ!!」
二人の叫びが重なり、部屋に響き渡った。
激しい余韻の中で、二人は互いの体を抱きしめ合った。荒い呼吸が徐々に落ち着いていく。汗に濡れた肌が貼り合い、互いの体温が溶け合う。
「プル……ごめん。少し荒かったか」
ジュドーが申し訳なさそうに言った。
「ううん。すごく……よかった。プル、今すごく幸せ」
プルは彼の胸に頬を寄せた。体の奥に残る熱は、彼と一つになった証だった。
「ジュドー……ずっと一緒だよ……」
「ああ。ずっと一緒だ」
その夜、プルはジュドーの腕の中で眠った。こんなに安らかな眠りは初めてだった。冷たい実験室で震えていた夜が嘘のように、彼女は温もりに包まれていた。
## 第六章 戦死
サイコ・ガンダムMk-IIがアーガマに迫っていた。
「プルツー……もう一人のプル」
コックピットの中で、プルはつぶやいた。
自分の分身。同じ顔、同じ声、同じ存在。
でも、グレミーの命令で動く操り人形。
キュベレイMk-IIは整備中だった。
でも、プルはかまわず出撃した。
「待ってろ、プルツー!」
戦いは熾烈を極めた。
互角だった。
いや、サイコ・ガンダムMk-IIの性能を考えれば、プルは押されていた。
それでも彼女は諦めなかった。
「プルは、プルはジュドーを守るんだ!」
その時、サイコ・ガンダムMk-IIの照準がΖΖガンダムに向いているのが見えた。
「ジュドー!」
体が勝手に動いた。
間に割って入る。
衝撃。熱。痛み。
「プルーッ!」
ジュドーの叫び声が遠くに聞こえる。
視界が赤く染まり、徐々に暗くなっていく。
(ああ、なんだ。これが死ぬってことか)
怖くはなかった。
最後にジュドーの役に立てた。それだけで十分だった。
(ジュドー……大好き……)
あの夜の温もりが、最期の瞬間に蘇った。彼に抱かれた夜の記憶。肌と肌が触れ合った感覚。愛しい人の名前を呼びながら果てた瞬間の快感。
それら全てが、彼女の魂を包み込んでいた。
それが、エルピー・プルがこの世界で感じた最後の想いだった。
終章if
奇跡の名前は、プル
第一章 廃墟の再会
宇宙世紀0093。シャアの反乱が終結し、世界はまた微妙な平戦下の静寂に包まれていた。
ジュドー・アーシタは、ジャンク屋として生きていた。かつてのZ ZZガンダムのパイロットとしての輝きは封印し、瓦礫の中から価値あるものを拾い上げる日々。それは、壊れてしまった世界や、失ってしまった人を、修復できないまでも、せめて見つめ直す作業のようなものだった。
「親父、ここのブロック、まだ回収できそうです」
若い助手の声に頷きながら、ジュドーは廃墟となったコロニーの残骸に足を踏み入れた。かつて戦場だった場所。今はただの鉄の墓標。
その時だ。
瓦礫の隙間から、かすかな物音が聞こえた。ネズミか、それとも生存者か。ジュドーは念のため、息を殺して近づいた。
そこに、一人の少女がうずくまっていた。
ボロボロの毛布に身を包み、寒さと恐怖に震えている。顔の半分は火傷の跡で覆われ、左腕は不自然な角度で固定されていた。一目で重傷を負い、満足な治療も受けられなかったことがわかった。
「大丈夫か?」
ジュドーが声をかけると、少女はビクッと肩を震わせ、恐ろしいものを見るような目で見上げてきた。その瞳。
青く、澄んでいて、どこかで見たことのある——。
ジュドーの心臓が、早鐘を打った。
「……プ、ル……?」
その名前が、口をついて出た。あり得ないと思いながらも、全身の血が沸き立つような感覚。
少女はきょとんとして、首を傾げた。
「……プル? それ、なに? わたし、の、なまえ?」
言葉はたどたどしく、幼い。記憶喪失のようだった。それでも、その仕草の無邪気さ。彼女の奥底に眠る、あの頃の面影。
ジュドーは膝をつき、震える手で少女の頬に触れた。火傷の跡が、彼の掌に痛いほどの現実感を伝えてくる。
「……俺だ。ジュドーだ。覚えてないか?」
少女は不思議そうに、ジュドーの顔と、自分に触れている手を交互に見つめた。そして、おずおずと、彼女自身の小さな手を、ジュドーの手の上に重ねた。
「……あったかい……。こわく、ない……」
その瞬間、ジュドーの目から涙がこぼれた。あの日、コックピットで散っていった彼女。守れなかった彼女。その彼女が、壊れかけた体で、再び自分の前に現れた。
「ああ……もう、どこにも行かせねえ。絶対に」
ジュドーの誓いは、廃墟の静寂に、深く響いた。
ジュドーは少女を自宅兼作業場に連れ帰った。手当てをし、温かいスープを飲ませ、清潔な服を着せた。
少女は自分の名前も、なぜここにいたのかも覚えていなかった。ただ、何かを探しているような、途方に暮れた目をしていた。
ジュドーは彼女を「プル」と呼んだ。彼女自身は、最初こそ戸惑っていたが、その響きにどこか安らぎを覚えるのか、次第にそれを受け入れていった。
「ねえ、ジュドー。プルは、ジュドーのなに?」
ある夜、食事を終えた後、プルが尋ねた。無邪気な、しかし核心を突く問い。
ジュドーは箸を止めた。どう答えるべきか。かつての恋人か、戦友か、それとも——。
「……家族だ。大切な、家族だ」
嘘ではなかった。血の繋がり以上に、彼らは生死を共にした。だが、それだけじゃなかった。あの夜、互いの全てを捧げ合った、男と女の絆。それを、記憶のない彼女にどう説明できようか。
「かぞく……。プル、うれしい」
プルは花が咲くように笑った。その笑顔が、ジュドーの胸を締め付ける。彼女は何も知らない。かつて自分が死んだことも、ジュドーがどれほど嘆き悲しんだことも。
そして、自分が強化人間として、戦うために生み出された兵器であったことも。
「プル、何か思い出したことはないか? 昔のこと」
「うーん……よくわかんない。でもね、ジュドーのにおいすると、ここが……あたたかくなるの」
プルは自分の胸に手を当てた。
「それとね……チョコレート、見ると、なぜかたべたくなるの」
ジュドーは思わず笑った。チョコレートパフェ。彼女の大好物。記憶が消えても、味覚の記憶は残っているらしい。
「明日、食わせてやるよ。特大のチョコレートパフェ」
「ほんと!? やったー!」
はしゃぐプルを見て、ジュドーは決意した。過去を無理やり思い出させる必要はない。彼女がプルであることに変わりはないのだから。今度こそ、普通の少女としての人生を歩ませる。それが、生き残った自分の使命だと。
だが、夜になると、プルは決まって悪夢にうなされた。
「いや……! いやだ! グレミー……! しないで……!」
叫び声を上げて飛び起きる彼女を、ジュドーは必死に抱きしめてなだめた。
「大丈夫だ、プル。俺だ、ジュドーだ。誰もお前を傷つけさせない」
悪夢の内容は、強化人間としての過去か、戦場の記憶か。ジュドーが抱きしめると、プルは次第に落ち着き、彼の胸に顔を埋めて眠りにつく。その肌の触れ合いだけが、彼女を安心させた。
悪夢が落ち着いた夜のこと。
ジュドーの腕の中で、プルがふと顔を上げた。暗闇の中で、彼女の瞳が潤んだ光を宿している。
「ジュドー……きず、いたくない?」
プルは、ジュドーの腕にある古い傷跡に指を這わせた。戦争でついた傷だ。
「いたくなかった。でも、プルがいるから、もういたくない」
「ほんと?」
「ああ」
プルは自分の、火傷の跡が残る頬に手を当てた。
「プルは……かわいくないよ。きず、あるし……」
「そんなことない。プルは、世界で一番かわいい」
ジュドーの声は、真剣だった。心の底からの言葉だった。プルの目が揺れる。
「……ちゅう、していい?」
その問いかけに、ジュドーは驚いた。かつてのプルも、そうやってキスをねだった。記憶は消えても、魂の奥底に刻まれた愛欲の衝動は、消えていなかったのか。
「……いいぞ」
ジュドーの許可を得ると、プルは遠慮がちに唇を重ねてきた。最初は啄むように。それから、少しずつ深く。
唇が離れた瞬間、プルの顔は真っ赤になっていた。
「……なんか、また、あたたかくなった。こころも……からだも……」
「プル……」
「もっと、ジュドーにさわりたい。さわってほしい。だめ、かな?」
その言葉は、ジュドーの理性を大きく揺さぶった。彼女は無垢な願いとして口にしているのだろう。しかし、その響きは、あの夜の彼女と同じ、誘惑を含んでいた。
「だめじゃない。でも、思い出すかもしれないぞ。あの夜のことを」
「あのよる? どんなよる?」
「……すごく、気持ちいい夜」
ジュドーはそう囁くと、プルを優しく床に押し倒した。
今度のキスは、先ほどよりも情熱的だった。舌を絡ませ、互いの息遣いを分かち合う。プルは最初こそ驚いていたが、すぐにその快感に身を委ねた。体が、本能的に反応している。かつて彼に開かされた扉が、記憶と共に再び開かんとしていた。
「んっ……ふっ……ジュドー……」
服の上から、胸の膨らみを掌で包む。未成熟なまま止まってしまった乳房は、それでも彼の手に馴染む形をしていた。
「あっ……! ここ、なんか……びびびってする……」
「ここもか?」
乳首を指で摘むと、プルの背中が弓なりに反った。
「ひゃあっ! だめ、そんなとこ……! でも……きもちいい……!」
記憶がない分、感覚は鋭敏だった。全てが新鮮な刺激として、彼女の体を駆け巡る。ジュドーはかつてのように、いや、かつて以上に丁寧に、彼女の体を愛撫した。傷ついた肌に口づけ、震える場所を優しく撫でる。
「プル、きれいだ。この傷も、全部プルだ」
「うっ……うれしい……!」
服を脱がせ、露わになった体。かつての白い肌には、無数の傷跡が散っていた。それは彼女が生きてきた、過酷な証。ジュドーはその一つ一つに唇を落とした。火傷の跡、手術の痕、銃創。それら全てを受け入れるように。
「あぁ……ジュドー……ジュドー……」
プルの声が、甘く濃くなっていく。彼の手が下腹部に伸びると、彼女は無意識に足を開いた。体が覚えている。彼に愛されるための体勢を。
「ここ、もう濡れてる」
「だって……ほしいって、からだがいってるの……ジュドーが、ほしいって……」
ショーツを脱がし、秘所に触れる。そこは、既に蜜を溢れさせていた。指で割り開き、敏感な秘珠を擦ると、プルは大きく喘いだ。
「あんっ! あっ、あっ! なにこれ! すごい! なんか、とろけちゃう!」
「プル、感じてるんだよ。俺を欲しがってるんだ」
「うん! ほしい! ジュドー! はやく!」
無邪気な懇願。しかし、その瞳は女の熱を孕んでいた。ジュドーはもう、ためらうことはなかった。彼自身を、彼女の濡れた入り口に押し当てる。
「入れるぞ、プル」
「うん! きて!」
ゆっくりと、先端を沈める。きつい抵抗があった。長期間のブランクと、彼女の体の衰弱。だが、ジュドーは決して乱暴にしなかった。一ミリずつ、彼女の感覚に合わせて進んでいく。
「いっ……! おおきい……! はいってくる……! ジュドーが……!」
「痛いか?」
「いたい……けど……うれしい……! わたしの中に、ジュドーがいる……! せかいで、いちばん、しあわせ……!」
根元まで埋まった瞬間、プルは涙を流して笑った。記憶喪失の彼女にとって、これは初めての行為かもしれない。しかし、細胞の一つ一つが歓喜していた。この人のためだけに生きかえったかのように。
ジュドーは動き始めた。ゆっくりと、深く。かつての夜の情熱を、慈しみに変えて。彼女の傷ついた体を壊さないように、しかし確かな快楽を与えるように。
「あっ、あっ、あんっ! ジュドー、すごい……! あたま、まっしろ……!」
「俺もだ、プル……お前の中、熱い……すごくいい……」
ピストンの動きが、次第に激しさを増す。肉と肉がぶつかる音。濡れた結合部の水音。プルの喘ぎが、甲く高くなる。
「もっと! もっとつよく! ジュドー! プルのなか、めちゃくちゃにして!」
無邪気な口から出る、淫らな懇願。それがジュドーのスイッチを入れた。彼はプルの腰を強く掴み、激しく打ち付けた。獣のような、しかし愛に満ちた交尾。
「あああっ! いくっ! なにかくるっ! ジュドーーっ!!」
「俺もっ! 一緒にっ! プルーッ!!」
二人は同時に絶頂へと達した。ジュドーは深々と彼女の奥で果て、プルは彼の全てを子宮で受け止めた。全身を痙攣させ、プルは意識を飛ばしかけた。
激しい余韻の後、二人は汗と体液にまみれたまま、強く抱き合った。
「ジュドー……だいすき……」
「俺もだ。愛してる、プル」
記憶がなくても、体が覚えていた。魂が覚えていた。互いが互いの半身であるという事実を。
## 第四章 奇跡の名前
それから、二人は共に生きた。
ジャンク屋の仕事を終えたジュドーが帰宅すると、プルが笑顔で出迎える。彼女は徐々に、日常生活を取り戻していった。料理を覚え、掃除をし、時にはジャンクの手伝いもした。
夜は、互いの体を重ね合った。プルは快楽に貪欲だった。それは、生きている実感を、ジュドーとの結びつきの中に見出していたからかもしれない。彼女の体は、日毎に艶を取り戻し、傷跡さえも二人の愛の証のように思えるようになっていった。
ある朝、プルが鏡を見ながら、つぶやいた。
「ねえ、ジュドー。プルって、なんのいみ?」
ジュドーは考えた。エルピー・プル。かつて彼女につけられた、強化人間としてのコードネーム。だが、今の彼女にとっては、ただの名前だ。
「……奇跡、かな」
「きせき?」
「ああ。俺がお前と出会えたのは、奇跡だったから」
プルはきょとんとして、それから満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、プルはきせきなんだね! ジュドーのきせき!」
「そうだ。俺の、たった一つの奇跡だ」
ジュドーはプルを抱き寄せ、そっと口づけた。
記憶は戻らなくてもいい。過去の悲しみも、強化人間としての宿命も、今は必要ない。
彼女は、ただの少女として、ジュドーの隣で生きている。それだけでいい。
「プル、これからもずっと一緒だ」
「うん! ずっとずっと、いっしょ!」
廃墟から拾い上げた愛は、瓦礫の中から芽吹いた花のように、たくましく、美しく咲き誇っていた。
かつて宇宙に散った少女の魂は、壊れかけた体に宿り、愛する人の腕の中で、再び生き始めた。
終わりなき、奇跡の愛として。
(了)