奉仕種族に転生したら変態お嬢様に飼われることになった件 作:もんも♡
異世界転──。
ラノベやアニメじゃお馴染みのフレーズだけど、実際に体験してみると、これがなかなか悪くない。
前世の記憶を持ったまま、僕はこのファンタジー世界に奉仕種族……ファムルスとして生まれ落ちた。
相性はファム。かわいいね。
そう、人間じゃない。
人間に奉仕することで生きる喜びを感じる、ちょっと特殊な種族だ。
外見は人間の子どものような姿をしている。性別を問わず、総じて庇護欲をそそる可愛らしい顔立ちをしている。
愛玩動物用に最適化されたみたいなフォルム。寿命は約1000年。こどもの皮を被った超長命種族ってわけ。
「お世話魔法」ってのも使える。掃除、洗濯、料理、マッサージ、果ては相手の感情をうっすら察知する「共感魔法」まで。
人間に尽くすために進化しすぎだろ、僕たち。
里での20年間は、この本能を制御する訓練の日々だった。
なぜなら奉仕種族には、人間に尽くすことで脳内にドバドバ幸福物質が分泌されるっていう、なんとも都合のいい体質が備わってるからだ。
逆に奉仕不足が続くと「奉仕欠乏症」とかいう禁断症状が出ちゃう。倦怠感、自己嫌悪、果ては軽い鬱状態。
もはや人間用に設計された生物兵器かなにかだ。
でも、僕はこの運命を呪ったりしなかった。
何故なら、人間に奉仕したくてウズウズしてるからだ!
前世の理性は「おいおい大丈夫か」って囁くけど、そんなの関係ない。この体の全細胞が叫んでる。
「誰かのために生きたい。誰かの役に立ちたい。誰かに……めちゃくちゃに使われたい!」って。
だってそれが本能的な幸せなんだから、仕方ないよね。
そしてついに、成人の証である「契約紋」が手の甲に浮かび上がったんだ。
光り輝く幾何学模様。これがあれば、正式に人間と奉仕契約を結べる。
里の掟では、成人したら即座に里を出て、人間社会でご主人様を見つけることが義務づけられてる。
「待っててね、未来のご主人様!」
僕は意気揚々と、生まれ育った隠れ里をあとにした。
♢ ♢ ♢
ディルムント王国、王都ローゼンハイム。
石畳の街並みに、中世ヨーロッパ風の建築。馬車が行き交い、露天商が威勢のいい声をあげてる。まさにハイファンタジーの見本みたいな光景だ。
僕は王都の「奉仕種族斡旋所」に登録して、ご主人様が現れるのを待った。斡旋所のおじさん曰く、需要は常に供給を上回ってるらしい。そりゃそうだ、僕たちは便利だから。
もし僕が前世でこんな都合のいい種族がいたら三匹は飼っちゃうね。
で、登録からわずか3時間後。
とんでもない額の契約金を提示した貴族が現れて、僕は秒で引き抜かれた。
金額、金貨300枚。相場の3倍だ。
「まじですか?」
「まじだよ」
しかも買い手はなんと、この王国でも指折りの大貴族──フォン・ローゼンベルク公爵家だった。
公爵家の紋章が刻まれた漆黒の馬車に揺られること小一時間。到着したのは、もはやお城と見まごうレベルの超巨大な屋敷。
白亜の壁に、青い屋根。手入れの行き届いた広大な庭園には、噴水や幾何学模様の生け垣が広がっている。
敷地面積、東京ドーム何個分だろうか。
「これは……とんだ玉の輿に乗っちゃったなぁ」
僕は緊張と期待で胸を膨らませながら、メイドさんに案内されて屋敷の中へと足を踏み入れた。
大理石の廊下。天井には精緻なフレスコ画。調度品のひとつひとつが美術品級だよ。
案内されたのは、応接間らしき広いお部屋。
そして……
「まぁ……あなたが新しいファムの子?」
鈴を転がすような可憐な声が、お部屋の奥から響いた。
現れたのは、完璧な女性だった。
プラチナブロンドの美しい縦ロール。サファイアのように澄んだ大きな瞳。白磁のお肌に、上品な桜色の唇。ドレスは派手すぎず地味すぎず、それでいて生地の質が明らかに超高級な水色のロングドレス。
「は、初めまして!よろしくお願いします!」
緊張で声が裏返った。
ちなみに奉仕種族ファムの僕達に個人名なんて贅沢なものはない。誰かに名付けられるまで名前をつけることは許されないのだ。
骨の髄まで社畜である。
「なんて可愛らしいのかしら。わたくしはカタリナ・フォン・ローゼンベルク。あなたのご主人様になる者ですわ」
にっこりと微笑むカタリナお嬢様。
お部屋の隅には、公爵夫妻と思われる紳士淑女が並んで座ってる。どうやらこれは正式なお披露目面接みたいだ。
「奉仕種族の君は、魔法が使えるんだろう?」
公爵様……貫禄のある口髭の男性が尋ねてきた。
「はい! お掃除、お洗濯、お料理、マッサージなど、日常生活全般に使えるお世話魔法を一通り習得してます!」
「素晴らしい。カタリナは学園にも通っていてね。身の回りの世話と、護衛を兼ねられる奉仕種族を探していたのだ」
「護衛もできますよ! 身体能力は人間の成人男性を上回りますので」
当然の自信を持って答える。
実際、奉仕種族はご主人様を守るために、ある程度の戦闘能力も備えてるんだ。「可愛いだけの置物じゃないですよ」っていうアピールは大事だ。
「ふふ、頼もしいですわね」
カタリナお嬢様は淑やかに微笑んだ。
その笑顔は、まさに貴族の鑑。完璧な令嬢。清楚で、高貴で、気品にあふれてる。
僕の本能が叫ぶ。
(この方だ……!)
運命のご主人様。僕が生涯をかけてお守りし、お仕えするべき方。
「名前は……可愛らしいから、『ショコラ』にしましょう!いいですわよね?」
「は、はい!お名前をくださりありがとうございます!」
人間に尽くしたいっていう渇望が、一瞬で彼女に向かって収束していくのを感じた。
「我が娘を頼むぞ、ショコル」
「はいっ! 全身全霊でお仕えいたします!」
深々と頭を下げる。
なお、公爵さまが僕の名前を早速間違えているが、突っ込まない。
奉仕種族は人間さまの間違いをいちいち指摘しないのだ。
いい子だからね。
そのまま、正式な契約の杯を交わした。聖水で濡らしたカタリナお嬢様の指が僕の手の甲の契約紋に触れた瞬間、紋様が一際強く輝く。
契約完了。
これで僕は、名実ともにカタリナお嬢様専属の奉仕種族ファムだ。
「では、わたくしのお部屋に案内しますわ。ついてきてくださいな」
ご両親に一礼したカタリナお嬢様が、優雅に立ち上がる。
僕は可憐な後ろ姿を、感動に打ち震えながら見つめていた。
(なんてお美しいお方なんだろう……)
(こんなに素敵なご主人様に巡り会えるなんて、僕は世界一幸せな奉仕種族だ……♡)
──このときの僕の純真な感動を、5分後の僕に聞かせてあげたい。
♢ ♢ ♢
カタリナお嬢様の私室は、屋敷の3階にあった。
想像してたよりずっと広い。でも、公爵令嬢のお部屋にしては妙に……防音がしっかりしてる気がする。分厚い壁。ドアにも特殊な魔法陣が刻まれてる。
(……? なんだろうこの部屋。なんか変だなぁ)
「ここがわたくしのお部屋ですわ。どうぞ」
カチャリ。
お嬢様がドアを閉めた瞬間。
空気が、変わった。
ビリッ、とお肌を刺すような気配。
張り詰めていた糸が切れたような……檻から解き放たれた獣の気配。
「ふふっ……ふふふ……うふふふふっ……!」
振り返ったカタリナお嬢様のお顔からは、さっきまでの清楚な微笑みが消えていた。
代わりに浮かんでいたのは…、
獲物を前にした捕食者の笑み。
「え……?」
僕の本能が警鐘を鳴らす。
でも、奉仕種族の性は「ご主人様から逃げる」っていう選択肢を、根本的に許容してくれない。
「ようやく……ようやくですわ! わたくしだけの奉仕種族! それも、こんなに可愛い男の子!」
バッ!
次の瞬間、お嬢様は僕に飛びついて、そのままベッドに押し倒してきた。
「えっ!? ちょっ、お嬢様!?」
「黙りなさい! ご主人様の命令ですわよ!」
彼女は僕の首筋にお顔を埋めると──
すんっ、すんすんすんっ!
匂いを嗅ぎ始めた。
「きゃあぁぁぁ!?」
肉食獣が獲物の鮮度を確認するみたいに執拗に、熱心に。
「ああ……いい匂いですわ……これが奉仕種族の雄の香り……! 図鑑や文献でしか知らなかった本物が、今ここに! しかもわたくしの所有物!」
「ちょ、お嬢様、落ち着いt「落ち着いてますわよ! むしろ今この瞬間が、わたくしの人生で最も理性的ですわ!」
どこがだ! って心の中でツッコむ。
でも口を開くより早く、今度はぺろりと首筋を舐められた。
「ひゃっ!?♡♡♡」
「ふふ、可愛い声。もっと聞かせてくださる?」
完全に目が据わってる。
瞳は獲物を前にした猫のそれだね。瞳孔が開ききって、爛々と輝いてる。
つまりイカれてるってことだ。
「お嬢様、あなたはその、清楚な貴族令嬢では……?」
震える声で尋ねると、彼女は心底愉快そうに笑った。
「ええ、そうですわ。外面は完璧に清楚を演じてますのよ? 学園では『氷の白百合』なんて呼ばれてますの…、」
高笑いするお嬢様。
いや、自分で言っちゃうんだ。氷の白百合なんて二つ名をベラベラ喋っちゃうんだ。
「でもね、ショコラ。人間は誰しも仮面を被っているものですわ。わたくしの場合は、それが少々……そう、少々厚めなだけ。そして仮面の下の素顔を知っていいのは、生涯を共にする奉仕種族だけですの」
そこで彼女は妖艶に微笑んだ。
「あなたは逃げられませんわよ。契約はもう結ばれたんだから。あなたの本能が、わたくしに逆らうことを許さない。……そうですわよね?」
「……っ」
図星だった。
僕は今、恐怖と困惑で頭がパンクしそうなのに、それでも心のどこかが喜んでるんだ。
奉仕したい。ご主人様の役に立ちたい。
その気持ちが、理性をじわじわと溶かしていく。
「さて」
お嬢様は僕の上からするりと退いて、ベッドサイドに立った。
「前置きが長くなりましたわ。まずは簡単な命令から始めましょう」
彼女の細く白い指が、スカートの裾を摘まむ。
ゆっくりと、焦らすように。でも迷いなく、たくし上げていく。
フリルが幾重にも重なった真っ白なペチコート。
そして、レース編みの繊細な白い下着。
(まさか……)
僕の脳裏に、最悪の予感がよぎる。
「人間に尽くしたいんでしょう? ならばこれは願ってもない機会じゃない」
そう言って、彼女は。
優雅な手つきで、下着に指をかけた。
ゆっくりと、太腿を伝って下ろしていく。
露わになる、淡い金色の茂み。
その下の……
ぱっくりと割れた、桃色の肉びら。
もうすでに、愛液でてらてらと濡れ光っているそれが、はっきりと、僕の目に映った。
「わたくし、初めて見る『本物の奉仕種族』に興奮して、入学式の日よりも早く目が覚めてしまいましたのよ」
恥じらいの欠片もない口調で、お嬢様は宣言した。
「さあ、あなたの本能的に、わたくしのココがどうして欲しいか、もうわかっているでしょう?」
彼女は一歩、僕に近づく。
「ご主人様の命令ですわ」
さらに一歩。
眼前に迫る、女の匂い。熟れた果実のような、濃密なフェロモン。
お嬢様は、勝ち誇った笑みを浮かべて──
こう言い放ったんだ。
「ここを……おまんこを、お舐めなさい♡」
僕の奉仕種族としての最初の命令が、これだった。