奉仕種族に転生したら変態お嬢様に飼われることになった件 作:もんも♡
翌朝。
僕は自室に届けられたばかりの執事服を前に、感動に打ち震えていた。
「これが……僕の……」
黒を基調に、銀のボタンが三つ。襟元には控えめなフリル。サイズはもちろん僕の身体にぴったり。奉仕種族の小柄な体型を完璧に計算した採寸だ。
公爵家専属使用人の証である、小さな紋章も胸ポケットに刺繍されている。
「泣きそう!」
里にいた頃から夢見てた。
いつか立派なご主人様に仕えて、かっこいい執事服を着て、「お呼びでございますか、ご主人様」って言うのが。
まさかそのご主人様がド変態だとは夢にも思わなかったけど。
でも、それはそれ。服は服だ。
僕はさっそく、寝間着代わりの簡素なチュニックを脱いで、執事服に袖を通した。
さらりとした生地は高級品に違いない。肌触りが段違いだ。
(うん、似合ってる……はず)
鏡がないのでわからないけど、気分は最高だ。
そのとき。
「ショコラ? 着替えは済みまして?」
ドアの向こうから、お嬢様の声。
昨日のアヘ顔失神から一夜明けて、また鈴を転がすような可憐ボイスを取り戻している。
でももう騙されない。その声の奥にSSS級性欲モンスターが潜んでるのを、僕は知ってる。
「はい! ただいま!」
僕は慌ててドアを開けた。
そこには、清楚な水色のホームドレスに身を包んだカタリナお嬢様。
朝の柔らかな光を背に受けて、プラチナブロンドがキラキラ輝いてる。
まぶしい。
例え君は清楚の皮を被った捕食者だろうが、って心の中で言いかけてやめた。
でもやっぱり美しいものは美しい。
「まぁ……!」
お嬢様は僕を見るなり、パァッと表情を輝かせた。
「素敵ですわ! とってもお似合い! やっぱりわたくしの目に狂いはなかった!」
「あ、ありがとうございます……!」
素直に嬉しい。
奉仕種族の本能が、ご主人様に褒められるたびにチロチロと幸福物質を出してくる。
「ところで、その執事服なんですけど」
お嬢様は、いたずらっぽい笑みを浮かべて、僕の服の襟元に手を伸ばした。
「ちょっとした特別仕様になってますのよ」
「とくべつしよう……?」
お嬢様の細く白い指が、銀のボタンに触れる。
「一番下のボタン、これが実は──」
カチッ。
小気味いい音とともに、僕のズボンの前部分が、パカッと開いた。
ばるんっ。
「え?」
僕の股間から、こんにちは。
具体的には、僕の……
「おちんちんがこんにちは、ですわね♡」
お嬢様は、しゃがみこんで、僕の股間をまじまじと見つめながら言った。
「は?」
「この機能、わたくしがわざわざ仕立て屋に特注したんですのよ。ワンタッチでここが開いて、奉仕種族の男の子のおちんちんがいつでも取り出せる仕様。名付けて『いつでもショタチンポ舐め放題ボタン』──」
仕立て屋はどんな気持ちでこれ作ったんだろうか。
「あ、いや、なんでもありませんわ。これはただの、実用的な機能ですの」
「実用的?」
「だってお掃除の最中でも、お料理の最中でも、夜這いに来た時でも、このボタンひとつでわたくしの奉仕へのアクセスが簡略化されるんですのよ。合理的ですわ」
僕は急いでボタンを閉じた。閉じようとした。
でも仕組みがよくわからない。どうやら特殊な魔法が組み込まれていて、一度開くと手動では戻せないタイプらしい。
「あら、戻し方がわからないんですの? ふふ、それも仕様ですわ。戻すにはご主人様の命令が必要なんですのよ」
「なんて悪質な……!」
「さあ、どうします? そのまま朝のお世話を始めますか? それとも──」
「戻してください今すぐお願いしますご主人様」
僕は秒で土下座した。
「ふふ、正直でよろしい。では戻してさしあげますわ──っと、その前に」
お嬢様は、しゃがんだまま、僕の露出したそれを、じぃぃぃ……っと凝視した。
「……やっぱり、奉仕種族の男の子のおちんちんは、噂通り可愛らしいですわね。色が薄くて、筋が通ってて、まるで工芸品みたい」
「……っ」
「大丈夫、まだ舐めたりしませんわ。昨日はわたくしばかり気持ちよくなってしまいましたから、今日はちゃんと、あなたにも普通のご奉仕のお仕事をしてもらいますの」
そう言うと、お嬢様は名残惜しそうにボタンをカチッと戻した。
(よかった……朝からフェラとか、まだ心の準備が……)
「それでは、まずはお掃除をお願いしますわ。お部屋、けっこう散らかってて」
「お掃除! 任せてください!」
僕は嬉しくなった。
ようやく、正式なご奉仕っぽい仕事が来た。
掃除魔法は里で散々鍛えた得意分野だ。これなら自信を持ってお仕えできる。
「では、ご案内しますわ」
お嬢様に連れられて、僕は昨日のあの部屋──カタリナお嬢様の私室へと向かった。
部屋に入って、まず感じたのは。
(……なんか、空気がこもってる?)
昨日はそれどころじゃなかったから気づかなかったけど、あらためて見渡すと、なんだかこう……雑然としていた。
ベッドはシーツがぐちゃぐちゃ。床には謎の小瓶や布切れが散乱。机の上は本や紙で埋もれてる。カーテンは閉めっぱなし。
そして、かすかにだけど──
(……なんか、匂いが)
甘ったるいような、でもちょっと生々しいような。
昨日嗅いだお嬢様の愛液の匂いに近いけど、もっと濃縮された感じ。
「あの、お嬢様」
「なにかしら?」
「お部屋、他の使用人の方はお掃除とか……?」
「わたくし、他の使用人は部屋に入れたくありませんの」
即答だった。
「えっ……? じゃあ、お掃除とかは……」
「自分で気が向いた時にやりますわ」
気が向いた時に。
その「気が向いた時」がいつなのか、僕はなんとなく察した。
掃除よりも優先することが、この部屋では日々行われているんだろう。
「でも、ショコラは別ですわ」
お嬢様はくるりと振り返って、にっこり微笑んだ。
「あなたはわたくしの専属おちんぽ……じゃなくて、専属奉仕ファムですもの。わたくしのお部屋のお掃除を、特別に任せてあげますわ」
今、「おちんぽ」って言いかけたよね?
いや、聞かなかったことにしよう。
僕は奉仕種族だ。ご主人様の言い間違いを指摘しない。いい子だから。
「では、早速お掃除を始めますね」
「ええ、よろしくてよ。わたくしは隣の書斎で学園の課題を片付けてますから、何かあれば呼んでくださいな」
そう言って、お嬢様は優雅に部屋を出ていった。
パタン。
ドアが閉まる。
残された僕は、改めて部屋の中を見渡した。
よし、やるか。
「──《全方位清浄魔法》」
僕が呪文を唱えると、手のひらから淡い光が広がって、部屋全体を包み込んだ。
これは奉仕種族の基本魔法のひとつで、空間内の塵や埃、カビやダニまで一掃する優れものだ。
光が消えたあとは、見違えるようにきれいになった部屋が……
(……きれいにならない?)
ならない。
確かに表面の埃は消えた。でも、床の小瓶や布切れはそのままだ。
この魔法は「ゴミ」と「所持品」をある程度判別する。つまりあれらは、魔法が「所持品」と判断したものだ。
「どういうこと?」
僕は仕方なく、手動で片付けを始めることにした。
小瓶を手に取ってラベルを見る。
『ドラゴン涎潤滑液・極上とろみ』
「……」
そっと床に置いた。
他の小瓶も見てみる。
『媚薬入りボディオイル・悶絶7時間コース』
『魔族産ミルク配合ローション・感度500%上昇』
「はい」
そっと床に並べた。
次に机の上の紙を整理しようとして──
手が止まった。
そこにあったのは、詳細な解剖図だった。
オスの体の。
特に股間部分が大きく拡大されて、細かいメモがびっしり。
『奉仕種族のペニスは収縮率が人間の3倍』
『射精量は体重比で換算すると約5倍』
『快感閾値は人間よりも低く、かつ連続射精が可能』
(……すごい研究してるなお嬢様……ていうかどこでこんな資料を……)
紙をめくる。
次のページには、手書きの図解。
奉仕種族のペニスをどういう角度で咥えれば気持ちいいか、とか。
舌の動かし方のバリエーションが矢印つきで解説されてる、とか。
『まずは優しくちゅうちゅうして、次にれりょれりょれりょれりょ、最後にじゅぞぞぞぞっ』
(具体的すぎる……!!)
ていうか擬音がもうプロのそれだ。
僕はそっと、その書類を机の端に重ねた。
そして、ベッドの下に手を突っ込んで、何か落ちてないか確認したとき──
ガサッ。
手に触れたのは、布で包まれた、細長い箱だった。
「ん……?」
引っ張り出して、布をめくる。
そこには──
『魔導式クリトリス吸引機 Mark-III』
『高速振動ニップルバイブレーター』
『多段変速ローター・騎乗位専用アタッチメント付き』
『触手型インサートディルド(膣内非挿入タイプ/クリトリス外側専用)』
「うわあああああああ!!!!」
声が出た。
いや、出ちゃった。
だって、箱の中にぎっしりと並んだそれらは、どれもこれも、明らかに超高級品で、でも明らかに使い込まれてて、そして……
(なんか、カピカピしてる……)
そう、どれも微妙に、カピカピしていた。
乾いた愛液の痕だろうか。
ぬぐっても完全には落ちていない。それはつまり、毎日のように使われて、そのたびに洗浄が追いついていないということで。
僕は恐る恐る、箱の奥を探る。
『魔導式淫核吸引ポンプ・吸引レベル10段階』
『遠隔操作クンニシミュレーター舌型アタッチメント』
そして一番底から出てきたのは──
『処女膜貫通禁止仕様・疑似奉仕種族舌型バイブレーター』
見てはいけないものを見た気がする。
これ、要するに、僕の舌の代わりに使ってたってことだよね。
専用おちんぽをずっと待ちながら、これで代用してたってことだよね。
ていうか「疑似奉仕種族舌型」って。
この世界のアダルトグッズ産業、進歩しすぎだろ。
僕は無言で、それらをひとつずつ、布の上に並べていった。
小瓶。
オイル。
ローション。
解剖図。
研究ノート。
クリ吸引機。
バイブレーター。
ローター。
疑似舌型ディルド。
合計、大小合わせて20点あまり。
これが、カタリナ・フォン・ローゼンベルクの日常。
「……」
僕の中で、何かがストンと腑に落ちた。
昨日のエロステータスが嘘じゃないってこと。
オナニー累計一万回超えが誇張でもなんでもないってこと。
この部屋こそが、彼女の本当の姿なんだ。
学園では「氷の白百合」と呼ばれ、誰にも心を許さず、冷淡で高潔な令嬢を演じて。
でも、この防音の部屋にこもれば、毎晩毎晩、こんな数の玩具に囲まれて、自分の性欲と向き合ってきた。
何年も。
(……なんていうか)
すごい。
すごいよ、お嬢様。
変態を極めすぎて、もはや職人の域だ。
そして僕は、その職人の最初の一本に選ばれたわけだ。
光栄なのか呪いなのか、判断に迷う。
「でも……」
僕は、並べた玩具たちを見下ろしながら、小さくつぶやいた。
「もういらないですよね、これ」
だって、本物の僕がいるんだから。
疑似舌型バイブレーターなんかより、ずっとずっと、気持ちよく舐めてあげられるんだから。
──なんて。
そんなことを考えている自分に気づいて、ぞっとした。
(いやいやいや、今すごく自然に「舐めてあげる」って思ったけど変態か僕は!?)
これが奉仕種族の本能か。
ご主人様が喜ぶなら、疑似舌と張り合ってでも舐めたいと思ってしまう。
「しくしく……」
僕は小さく、本当に小さく、泣いた。
悲しいのか嬉しいのか、自分でもわからない。
でも、身体は正直だった。
こんなオナニーモンスター部屋を掃除するっていうのに、僕の胸の奥では奉仕の喜びがじんわりと温かくて。
(ああもう、僕のこの身体、マジで人間に都合よすぎだろ……!)
「あら、お掃除は進んでまして?」
不意に、後ろから声。
振り返ると、いつの間にかドアが開いていて、カタリナお嬢様が立っていた。
手にはトレー。紅茶のポットとカップがふたつ。
僕が床に並べた「戦利品」の数々を見て──
お嬢様は、にっこりと微笑んだ。
「まぁ。ずいぶんとまあ、見つかってしまいましたわね」
「……え、あ、その……!」
「別に隠してはいませんでしたけど。そのうち、あなたが掃除して見つけるだろうなって思ってましたわ」
お嬢様は優雅に、ベッドの縁に腰掛けた。
「それらは全部、今日までわたくしを支えてくれた、大事な戦友ですの」
戦友。
オナニーグッズを戦友と呼ぶ公爵令嬢。
「でも、もう必要ないですわ」
お嬢様は、その中のひとつ──疑似舌型バイブレーターを手に取ると、ぽいっとゴミ箱に投げ入れた。
「本物の奉仕種族の舌を知ってしまった今、こんな紛い物じゃ満足できませんもの」
「……お嬢様」
「だから、お掃除ご苦労さま。それらは全部捨てていいですわ。ショコラさえいれば、わたくし、もう何もいらないの」
それは、ある意味、最高の誉め言葉なんだろう。
でも。
(それって要するに「これからはお前が全部やれ」ってことだよな……!?)
捨てられる玩具たちを見て、僕は戦慄した。
だってこれらが、今まで吸収してきた性欲の量を考えると──
そのすべてが、これから僕ひとりに集中するってことだ。
SSS級性欲モンスターの、一万回超えオナニーの、十年近い変態の蓄積が。
全部。
僕に。
「……しくしく」
もういちど、小さく泣いた。
何が悲しいって、嬉しいと思ってしまってる自分が悲しいんだ。
「あら、どうしたんですの?」
「……なんでもないです。なんでもないですけど、お嬢様」
「なぁに?」
「僕、死なないですよね? 奉仕で過労死とか、ありますかね?」
お嬢様は、心底不思議そうに首を傾げて──
それから、にっこりと笑った。
「大丈夫ですわ。奉仕種族の寿命は約1000年。まだまだこれからですものね♡」
(そういう意味じゃないんだよなぁ……!!)
♢ ♢ ♢
こうして僕の初仕事は、変態お嬢様のオナニー部屋清掃という形で──
無事に、というか、ある意味残酷に──幕を閉じたのだった。
そして紅茶を飲みながら、お嬢様はさらりと言った。
「そうだ、ショコラ。お掃除が終わったら、次のご奉仕ですわ」
「次の?」
「ええ」
カタリナお嬢様は、カップをソーサーに戻して、とびきりの笑顔で言った。
「今度は、あなたが脱ぐ番ですわよ」