※この作品はR-18です。

奉仕種族に転生したら変態お嬢様に飼われることになった件   作:もんも♡

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9.お嬢様、授業中に限界を迎える

午後の授業。

 

科目は「王立魔法基礎理論」。由緒正しき学園らしく、教科書は分厚く、教師の声は心地よいぐらいに平坦で、教室には適度な睡魔が漂っていた。

 

窓際の席では、女生徒がこっくりこっくり船を漕いでいる。後ろの席では、男子生徒が教科書を立てて完全に寝ている。

 

そんな中、カタリナ・フォン・ローゼンベルクは──

 

完璧な姿勢で授業を受けていた。

 

背筋は伸び、視線は教師に注がれ、ノートを取る手は淀みない。その横顔は、まさに「氷の白百合」の名に恥じない凛としたものだった。

 

(すごいな、お嬢様)

 

僕は教室の後方、ファム用の待機席からその姿を見つめていた。

 

ついさっきトイレであれだけのことをしたのに、もう完全に切り替えている。この二面性こそが彼女の最大の武器であり、最大の謎だ。

 

教室のあちこちには、他の生徒たちのファムも控えている。

 

ミルフィはご主人様の隣で教科書を開くお手伝いをしていた。パウロは窓際で静かに佇んでいる。リゼは目を閉じて瞑想状態だ。

 

全員、奉仕種族の鑑だった。

 

静かで控えめで、必要なときだけ動く。

 

(僕も見習わないと)

 

そう思って、僕も背筋を伸ばした。

 

と、そのとき。

 

「ん?」

 

お嬢様の口から、かすかな吐息が漏れた。

 

(?)

 

気のせいか。

 

僕はもう一度、背筋を伸ばした。

 

「……っ、は……っ」

 

まただ。

 

今度は明らかに、声にならない声。

 

しかもノートを取る手が止まっている。ペン先が小刻みに震えているのが、後ろからでもわかる。

 

(ま、まさか)

 

僕はそっと耳を澄ませた。ファムの聴力は人間よりちょっとだけいい。教室のざわめきの中から、お嬢様の声だけを拾う。

 

「……あ……あぁ……♡」

 

(うわ、なにか呟いてる)

 

聞こえるか聞こえないか、ぎりぎりの小声。

 

「……おまんこ……疼きますわ……♡」

 

(もう発情してる!?)

 

「オナニーしたい……♡♡♡」

 

(しーっっっ!!)

 

「……オナニーしたいオナニーしたいオナニーしたいオナニーしたい……♡♡♡♡」

 

その間も顔は涼しいままなのが、さらに怖い。口元はわずかに微笑んですらいる。でも口の中では「オナニーしたい」が無限ループしている。

 

この人、表情筋と発声が完全に分離してる。

 

(落ち着け、落ち着くんだ僕)

 

状況を分析する。

 

さっきトイレで奉仕したばかりだ。確か四回イかせて、最後におしっこも出た。あれで一旦リセットされたはず。

 

でも、もう性欲ゲージが溜まっている。

 

エロステータスの表示を思い出す。

 

『完全再充填まで推定4時間』

 

(……はっ)

 

待て。あの4時間って、全容量の話だ。

 

お嬢様の性欲ゲージ最大値はSSS級。つまり、4時間で満タンになるけど、その手前でもじゅうぶん「疼く」レベルには達するんじゃないか。

 

たとえるなら、バケツに水が溜まっていくようなものだ。満杯になるのが4時間後でも、半分溜まった時点で底の方はもう水に浸かってる。

 

そしてお嬢様の「半分」は、常人の「満タン」よりはるかに多い。

 

(まずいまずいまずい)

 

このままだと何が起きる?

 

授業中に爆発したら?

 

教室の真ん中で、清楚な公爵令嬢が「オナニーしたい」と叫びながら制服を脱ぎ始めたら?

 

(……お嬢様の人生が終わる)

 

いや、もうだいぶ危ういところまで来ている気もするけど、まだ終わってない。まだ「カエルの幽霊」でごまかせるうちはセーフだ。

 

でもこれはさすがにごまかせない。

 

教室のど真ん中だ。教師がいる。クラスメイトがいる。他のファムたちもいる。

 

ここで爆発したら、氷の白百合どころか「伝説の変態」として歴史に残る。

 

(なんとかしないと……)

 

僕は静かに立ち上がった。

 

ファムの待機席から移動するのは目立つ。でも、今はそれどころじゃない。

 

そっと教室の壁伝いに、お嬢様の席へと近づく。

 

途中、ミルフィと目が合った。

 

彼女は一瞬で状況を察したらしく、「がんばって」という顔で小さくうなずいた。

 

(ファムネットワーク、頼もしい)

 

僕はお嬢様の席のすぐ後ろに到着した。ここは窓際でカーテンがかかっていて、教師からは死角になる。

 

ような気がする。

 

「お嬢様」

 

小さく呼びかける。

 

「……はっ」

 

お嬢様の肩が、びくんと跳ねた。

 

振り返った彼女の顔は、外見こそ氷の白百合だったが、目が完全に据わっていた。サファイアの瞳の奥で何かが爛々と燃えている。

 

「……ショコラ」

 

「お嬢様、大丈夫ですか」

 

「大丈夫じゃありませんわ」

 

小声での会話。

 

「また疼いてるの……♡♡」

 

「さっき四回もイったばかりですよね」

 

「足りませんわ♡♡」

 

(即答か)

 

「……わたくし、もう……ダメかも……♡♡」

 

「ダメって」

 

「ここで、いま、服を脱いで、あなたのおちんぽにおまんこ擦り付けたい……♡♡♡」

 

「ダメです絶対にダメです」

 

「でも♡♡もう、疼いて、疼いて……♡♡♡♡」

 

お嬢様の手が、震えながらスカートの裾に伸びる。

 

(やばいやばいやばい)

 

僕はとっさに、お嬢様の手を握った。

 

「……え?」

 

「落ち着いてください。手を握りますから」

 

指と指を絡める。汗ばんだお嬢様の手は、熱かった。

 

「ショコラの手……あったかい……♡♡」

 

「はい。あったかいです。だからパンツの中に入れようとしないでください」

 

「……ばれた?♡」

 

「バレバレです」

 

手を握ったまま、僕は魔法で自分のポケットから小さなノートを取り出した。奉仕種族は常に筆記具を携帯している。ご主人様の命令をメモするためだ。

 

僕はノートにこう書いて、お嬢様に見せた。

 

『放課後まで耐えてください。そしたら何回でもイかせますから』

 

お嬢様はそれをじっと見つめてから、自分のペンを取って、ノートに書き足した。

 

『何回?』

 

(……交渉してきた)

 

僕は書く。

 

『望むだけ』

 

お嬢様が書く。

 

『百回でも?』

 

僕はペンを走らせる。

 

『百回は死にます。五十回で』

 

お嬢様が即座に返事を書く。

 

『七十回』

 

『六十回』

 

『六十五回でどうですの』

 

『なんでそんなに具体的なんですか』

 

『交渉事はわたくしの得意分野ですの。お父様仕込みですわ』

 

(公爵家の英才教育、こんなところで発揮しないでほしい)

 

『わかりました。六十五回です』

 

『交渉成立ですわね。あなた、いい奉仕種族になるわ』

 

『ありがとうございます。でも手をおまんこに滑り込ませようとするのをやめてください』

 

『ばれた?♡』

 

『バレバレです』

 

この間も、教室の前方では教師が淡々と魔法理論を解説している。

 

「──ですから、魔力収束式の第三項は、術者の精神状態に大きく依存します。特に初心者は、雑念を払うことが重要で──」

 

(お嬢様の雑念、いまめちゃくちゃです先生)

 

僕はお嬢様の手を握り続けた。

 

そのままだと手だけでは足りなくなるかもしれないと思って、もうひとつ作戦を追加する。

 

僕はノートに書いた。

 

『お嬢様、魔法理論の授業に集中してください。性欲を抑えるには知的な活動が有効だそうです』

 

お嬢様が書き返す。

 

『でももう教科書の内容は全部理解してますのよ』

 

『じゃあもっと難しいことを考えてください。高等魔法方程式とか』

 

『あれも去年全部終わらせましたわ』

 

(この人、やっぱり天才なんだな……)

 

天才で、変態で、性欲SSS。神様はなぜこの三つを同じ人間に与えてしまったのか。

 

『じゃあ裸の人間がいるとして』

 

『なんですの急に』

 

『その人間を裸のまま前に立たせて、触らずに四時間キープする魔法を開発するとか。そういう高等な思考に逃げてください』

 

お嬢様は少し考えてから、猛烈な勢いでペンを走らせた。

 

『面白い発想ですわね。接触禁止の拘束魔法に持続時間延長を組み合わせて、触覚遮断フィールドを重ねがけすれば理論上は……』

 

(お、食いついた)

 

お嬢様は、みるみるノートに魔法式を書き始めた。手がもう震えていない。目も据わっていない。代わりに、学者が研究に没頭するときの、あの純粋な輝きが戻ってきている。

 

「……ふふ、これなら触らずにすむわ」

 

(怖いものを作ろうとしてる気がするけど、とりあえず危機は脱した)

 

僕はほっと息をついた。

 

そのとき、教師がこちらを向いた。

 

「カタリナさん、そこにいるのは君のファムかね?」

 

教室の視線が一斉に集まる。

 

「はい、先生」

 

お嬢様は、すでにいつもの氷の白百合に戻っていた。声も涼やかで、表情も穏やかだ。いまさっきまで「六十五回」の交渉をしてた人と同一人物とは、誰も思わないだろう。

 

「授業に関係ない行動は控えるように」

 

「申し訳ございません、先生。わたくしの体調が優れなかったものですから、お世話を頼んでおりました」

 

「そうか。大事になさい」

 

「ありがとうございます」

 

教師はそれ以上追及せず、授業を続けた。

 

お嬢様は、僕のノートに最後の一文を書いた。

 

『放課後、楽しみにしてますわね。六十五回、忘れないでくださいまし』

 

僕は無言でノートを閉じた。

 

どうやら今日も、僕の夜は長くなりそうだ。

 

「しくしく」

 

僕は誰にも聞こえない声で、いつもの呪文を唱えた。

 

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