六月に入り、空は重たい灰色の雲に覆われる日が多くなった。
梅雨入りが宣言されたばかりの街は、朝から絶え間なく降る小雨のせいで、どこもかしこも逃げ場のない湿気を帯びている。
それは僕たち二年B組の教室も例外ではない。
窓ガラスは外気との温度差で白く結露し、天井のエアコンが除湿機能を作動させて微かなモーター音を鳴らしているものの、三十人以上の生徒たちが発する熱気と湿度が混ざり合い、特有の重苦しい空気が漂っていた。
学校はすでに衣替えの移行期間に入っており、大半の生徒は夏服である半袖シャツや、薄手の夏用スラックス、夏用スカートを身につけている。
蒸し暑さに耐えかねて、下敷きをうちわ代わりに仰いでいる男子生徒も少なくない。
しかし、窓際の席に座る『学園の王子様』こと
「
周囲の女子生徒たちも、心配そうに
「ありがとう、
「
「優しい……」
その爽やかな微笑みを見ただけで、女子生徒たちは勝手に解釈し、頬を染めてため息をついている。
僕は自分の席から立ち上がり、前の授業の小テストのプリントを回収するために、
数日前、僕の部屋で行われた徹底的な調教。
彼女の巨大なおっぱいと、その先端にある敏感な乳首だけを何時間も執拗にいじめ抜いた。
その結果、彼女の胸元から首筋にかけては、僕が強く吸い付いて残した無数の赤いキスマークと、軽い鬱血の痕が点在している。
カーディガンのボタンを上まで留めているのは、その痕を隠すためだ。
さらに、彼女の乳首は未だに服の布地が擦れるだけで悲鳴を上げそうになるほど過敏に腫れ上がっており、少しでも摩擦を減らすために、何重にも巻いたサラシの上にさらにカーディガンを羽織って、物理的な刺激から胸を保護しているのである。
「プリント、回収するよ」
僕は無表情のまま、
「あ、ごめんね」
その手を受け取る瞬間。
僕は
教室の喧騒に紛れて、誰にも聞こえない、彼女にだけ届く声のボリュームで囁く。
「首のファンデーション、薄くなってるぞ。赤い痣が透けて見えそうだから、後で塗り直しておけ」
ビクッ、と。
彼女の透き通るような白い頬が一瞬にして真っ赤に染まり、大きく見開かれた黒曜石の瞳が、恐怖と、隠しきれない羞恥、そして強烈な反応の色を帯びて僕を睨み上げてくる。
「
異変を察知した
「いや、
「そうですの。
「あ、ありがとう……
プリントを受け取る際、彼女の指先がかすかに震えているのが伝わってくる。
「どういたしまして」
僕は短く返し、次の列へとプリントの回収に向かった。
背後で、
◇◇◇
三時間目、体育の授業。
来週から始まるプール開きに向けて、二年B組は水泳の授業の代わりに『プール掃除』を割り当てられていた。
朝からの雨は止む気配がなく、霧雨となってグラウンドを濡らし続けている。
通常であれば体育館での授業に変更されるところだが、体育教師の「これくらいの雨ならどうせ濡れるんだから関係ない」という理不尽な号令により、僕たちは全員ジャージに着替えて、屋外のプールへと向かうことになった。
プールサイドには、秋から冬にかけて落ちた枯れ葉や泥が堆積し、水が半分ほど抜かれたプールの底には緑色に変色した苔がびっしりとこびりついている。
男子生徒にはデッキブラシと洗剤の入ったバケツが配られ、プールの壁面と底の苔を力技で落とす役割が与えられた。
女子生徒には、モップやホースを使って、男子が落とした汚れを排水溝へと流していく役割が分担されている。
「うわー、最悪。雨降ってるのにプール掃除とか、マジでテンション下がるわ」
「泥はねてジャージ汚れるし、早く終わらせようぜ」
僕も無言でブラシを受け取り、プールの壁面に向かってゴシゴシと擦り始めた。
冷たい雨が容赦なく降り注ぎ、ジャージの生地を濡らしていく。
気温はそれほど低くないものの、水を含んで重くなったジャージが肌に張り付く感覚は、決して気持ちのいいものではない。
視線をプールの浅瀬の方へ向けると、
彼女は、学校指定の紺色のジャージのジッパーを、首のいちばん上までしっかりと引き上げている。
雨に濡れた黒髪が額に張り付き、水滴が頬を伝い落ちるその姿は、まるでスポーツ飲料のCMから抜け出してきたかのように爽やかで美しい。
「
「風邪ひかないでね」
周囲の女子たちが黄色い声援を送っているのも無理はない。
しかし、
モップを両手で持ち、前後に押し出すたびに、彼女の肩から胸にかけての筋肉が連動して動く。
その動作が、ジャージのナイロン生地と、その下にあるサラシ、そして過敏になりきった巨大な乳首との間に、絶え間ない摩擦を生み出しているのだ。
「んっ……」
モップを強く押し出す瞬間、
彼女は顔をしかめ、一瞬だけ動きを止めて胸元を押さえるような仕草を見せるが、すぐに周囲の目を気にして作業を再開する。
擦れるたびに走る鋭い痛みと、それに伴う過剰な反応。
僕が数日前に執拗に吸い上げた乳首が布地によって苛め抜かれる。
その物理的な刺激が、雨の冷たさと相まって、
「おい
プールの底から、
「あはは、
「おうよ! 俺に任せとけって!」
僕はデッキブラシを動かしながら、少しずつ
サラシで厳重に固定されているとはいえ、本来の質量を完全に殺し切ることは不可能だ。
モップを前方に押し出す際、大胸筋が収縮し、胸の膨らみが布地に押し付けられる。
その度に、敏感になっている乳首がざらついたナイロンの裏地で擦り上げられるのだ。
「……サボってるのか?」
すれ違いざま、僕は
「ひゃうっ……!」
その瞳は、完全に潤みきっている。
ジャージのジッパーの隙間から見える首筋は、雨の冷たさとは無関係に、発熱しているかのように赤く染まっていた。
「さ、サボってなんかっ……ないよ。ちゃんと、やってる……」
「そうは見えないけどね。モップを動かすたびに、顔がだらしなく緩んでるぞ。……そんなに布が擦れるのが気持ちいいのか?」
「ち、ちがうっ……! 痛いのっ……
僕はデッキブラシの手を休めることなく、さらに言葉を重ねた。
「痛いのに、さっきからずっと、身体をよじらせているじゃないか。ジャージの下、もう擦れる刺激だけでどうにかなりそうになってるんじゃないか?」
「あぁっ……! な、なんでそんなことっ……言わないでぇっ……」
雨の湿気と、彼女自身が発する熱気が混ざり合い、特有の甘い匂いが僕の鼻腔をくすぐる。
王子様の仮面を必死に保ちながら、僕の言葉責めだけで完全に理性を揺さぶられようとしている。
「
「あ、大丈夫だよ
「ですが、お顔がとても赤いですわ。やはりお風邪では……」
「本当に大丈夫だから! 気にしないで!」
その無理な動きが、彼女の身体にさらなる摩擦を与え、彼女の呼吸はみるみるうちに荒くなっていく。
僕はその様子を視界の端で捉えながら、淡々とプールの壁の汚れを落とし続けた。