四つん這いの体勢を支えていた両腕から完全に力が抜け落ち、ボクは柔らかなシーツの上へと、顔から無様に倒れ込んでいた。
「はぁっ……! あ、あはぁっ……! んんっ……」
肺の奥まで空気を吸い込もうとしても、過呼吸気味になった気道がヒューヒューと鳴るばかりで、うまく酸素を取り込めない。
全身の筋肉という筋肉が、意思とは無関係に小刻みに痙攣を繰り返している。
特に、ご主人様の暴力的な熱の塊を挟み込んでいた太ももの内側からお尻にかけては、筋肉の繊維が焼き切れてしまったのではないかと思うほど、痺れるような熱と疲労感に包まれていた。
静寂が戻りつつある薄暗い寝室に、ただ二人の乱れた呼吸音だけが、不規則なリズムで重なり合っている。
そして、ボクの背後から。
「はぁっ……はぁっ……」
荒々しい吐息とともに、ご主人様の汗ばんだ重たい身体が、シーツに沈み込むボクの背中へとゆっくりと覆い被さってきた。
ボクの突き出したお尻と、そこから続く太ももの裏側には、ご主人様が放った大量の精液がべっとりとこびりついている。
それが、ボクの肌の表面を滑り、重力に従ってゆっくりとシーツへと滴り落ちていくのがわかる。
その一滴一滴が、ボクの神経を微弱な電流のように撫で下ろし、絶頂の余韻をさらに甘く引き延ばしていた。
ボク自身のおまんこからも、噴出した潮の残滓がとめどなく溢れ出し、ご主人様の精液と混ざり合って、太ももの間で生々しい水たまりを作り出している。
「……すごい量だな、
「んっ……ふふっ……♡ ご主人様がいっぱい、出してくれたからっ……」
ご主人様の大きな掌が、ボクの腰からお尻へと這い下り、白濁に塗れたボクの肉を、慈しむように優しく撫で回した。
撫でられるたびに、自分の身体が完全にご主人様の所有物であり、ご主人様の欲望の掃き溜めとして使われたのだという事実が、視覚と触覚の双方から脳髄に刻み込まれていく。
「……ご主人様。ボクの勝ち、だねっ……♡」
ボクはシーツに顔を埋めたまま、喉の奥で小さく笑い声を漏らし、背中に張り付くご主人様に向かって勝利を宣言した。
ボクは、ボクのすべてを支配する絶対的なご主人様を相手に、ボク自身の言葉と、この柔らかなお尻だけを武器にして、ご主人様の強靭な理性を完全に破壊し、屈服させたのだ。
中に挿れたいと泣き叫ぶご主人様に最後まで挿入を許さず、ボクの定めたルールでご主人様からすべてを搾り取った。
それは、コートでの勝利なんかよりも何百倍も、ボクの自我を強烈に満たす、至上の優越感だった。
「……ああ、完敗だよ。完全に、お前に搾り取られた」
ご主人様はボクの首筋に深く顔を埋め、ボクの汗と匂いを肺の奥深くまで吸い込みながら、低く掠れた声で降伏を認めた。
「……あんなに激しくイカされるなんて、思わなかった。お前の尻は……本物の中と錯覚するくらい、柔らかくて、そして恐ろしいほど熱かったよ」
「えへへっ……♡ あはぁっ……ご主人様ぁっ……」
ボクは四つん這いの姿勢から完全に崩れ落ち、横向きに寝転がって、ご主人様の腕の中にすっぽりと収まるように丸まった。
ご主人様もまた体勢を変え、ボクを背後から包み込むように抱きしめる。
ご主人様の一度果てたばかりの熱の塊が、まだ微かな硬さを残したまま、ボクの精液に塗れたお尻の割れ目にぴったりと寄り添っていた。
「ご主人様、苦しかった……? 挿れたいのに、挿れさせてもらえなくて、頭おかしくなりそうだった……?」
「ああ。狂いそうだった。お前が目の前でお尻を振って僕を誘惑するたびに、力ずくで押し倒して、その生意気なまんこの奥まで突き刺してやろうかと、何度も思った」
「でも、やらなかった。……ご主人様は、ボクの言うことをちゃんと聞いて、お外だけで我慢してくれたよ。えらいね、ご主人様っ……」
「……誰が、そんな風に男を焦らす術を教えたんだ。本当に……」
ご主人様の腕の力が強まり、ボクの身体がご主人様の広い胸板にさらに深く押し付けられる。
ご主人様の言葉には、敗北の悔しさよりも、自らが手塩にかけて育て上げたペットが、自分を狂わせるほどの極上の魅力を持っていることに対する、歪んだ歓喜と愛情がたっぷりと滲んでいた。
「……ご主人様がいけないんだよ。毎日毎日、ボクのこと、いやらしく作り変えていくから。……だからボク、ご主人様のこと、もっともっと気持ちよくしてあげたくなっちゃったの」
「そうか。……なら、その責任は僕が一生かけて取らないといけないな」
「うんっ……♡ 一生、ボクのこと、飼いならしてねっ……」
ボクはご主人様の腕の中で小さく身をよじる。
「ご主人様っ……ちゅしてっ……ご褒美の、キス」
「……ああ。よく頑張ったな」
ご主人様の顔が近づき、互いの唇が触れ合った。
最初は、労うような、触れるだけの優しいキスだった。
チュッ、と軽いリップ音が鳴り、温かい唇の感触がボクの震える口元を包み込む。
けれど、一日中張り詰めていた緊張感と、先ほどの狂乱の余韻が入り混じったボクたちの感情は、そんな穏やかな接触だけでは到底満たされなかった。
「んんっ……! ちゅっ……」
ボクが自ら唇をわずかに開いてご主人様の吐息を迎え入れると、ご主人様の舌が滑り込むようにボクの口へと侵入してきた。
それを合図に、キスの熱が一気に跳ね上がる。
「んちゅっ……! じゅるっ……ちゅる、れろぉっ……♡」
ご主人様の舌が、ボクの舌を根本から絡め取り、上顎の粘膜をねっとりと舐め上げる。
ボクも負けじとご主人様の舌に自分のそれを絡ませ、ご主人様からの唾液を貪るように吸い上げた。
「ちゅぱっ……んちゅっ……はぁっ……んんっ……♡」
唇が離れる隙間など一瞬たりとも与えられず、ただ互いの粘膜を擦り合わせ、体液を交換し合う。
顔の角度を何度も変えながら、深く、さらに深く。
ボクの口を探るご主人様の舌先の動きに合わせて卑猥な水音が、二人の口元から絶え間なく鳴り続ける。
「んっ……ご主人様、おいひいっ……ちゅ、じゅちゅっ……んあぁっ……♡」
言葉にならない甘い喘ぎ声が、キスの音に混ざって喉の奥から漏れ出す。
ご主人様に敗北を認めさせたボクの生意気な口が、今はご主人様に貪られ、唾液の味で完全に支配されている。
息が苦しい。
肺の酸素が奪われていく。
けれど、その窒息しそうな苦しさすらも、ご主人様からの重たい愛情の証のように思えて、ボクはさらに自分からご主人様の首に腕を絡め、顔を押し付けた。
「んちゅっ……ちゅぱぁっ……! はぁ、はぁっ……んんっ……♡」
ご主人様の大きな手がボクの後頭部を支え、逃げ場をなくしたまま、ご主人様の舌がボクの喉の奥深くへと突き入れられる。
まるで、先ほど下半身で許さなかった『挿入』を、口の中で果たそうとするかのような激しさ。
乱暴に口内を蹂躙されながらも、その奥底にあるのはボクを慈しむ絶対的な熱だ。
ボクが息継ぎのためにわずかに唇を離そうとしても、ご主人様はそれを許さず、吸い付くように唇を追いかけてくる。
「ちゅっ……んちゅるっ……あはぁっ……ご主人様っ……♡」
どれほどの時間、そうして唇を重ねていただろうか。
二人の間を行き来する唾液の音が、部屋の静寂を完全に塗り潰していく。
激しく貪り合うようなキスなのに、そこにはどうしようもないほどの愛おしさが溢れていて、ボクは嬉しさで視界が涙で滲むのを感じた。
「ぷはっ……はぁっ、はぁっ……んっ……♡」
ようやくご主人様が唇を離した時、ボクたちの口と口の間には、光を反射する太い銀色の糸が、だらしなく引いていた。
それはゆっくりと千切れ、ボクの顎を伝ってシーツへと落ちる。
「……っ。
「はぁっ……はぁっ……ご主人様もっ……ご主人様の、唾液の味……すっごく、おいしい……っ♡」
ボクはとろけきった瞳でご主人様を見上げ、赤く腫れ上がった自分の唇を舌先で舐め取った。
体内へ直接精子を注ぎ込まれたわけではないのに、ボクのお腹の奥底は、信じられないほどの充足感で満たされていた。
「……ご主人様愛してるっ……♡ ずっと、ずっと一緒にいてねっ……」
「ああ、約束するよ。絶対に、どこへも逃がさない」
「逃げないよ……ボクはもう、ご主人様がいないと、生きていけない身体になっちゃったからっ……♡」
ボクはご主人様の胸板に額を擦り付け、子猫のように甘えた声で喉を鳴らした。
疲れ切った筋肉が、心地よい弛緩に身を任せていく。
ご主人様の規則正しい心臓の鼓動が、ボクの背中越しに伝わってくる。
それが最高の子守唄のようにボクの聴覚を満たし、意識の輪郭を少しずつ、甘くぼやけさせていく。
「……少し、眠れ。今日は本当によく頑張った」
「うんっ……おやすみ、ご主人様っ……」
誰にも邪魔されない、絶対的な密室の避難所の中で。
ボクはご主人様の愛情に包まれながら、だらしなく身体を預けて、深く、甘い微睡みの底へと落ちていった。
また、溜まったら出します。
投稿頻度が遅くて申し訳ない……