【悲報】異世界風俗、嬢の平均年齢が500歳を超えている 作:フレキシブルコーギー
沈黙が部屋の空気を重くしていた。
俺とメディは、無言で見つめ合ったまま硬直している。風俗店の照明が彼女の深緑の鱗をてらてらと照らしていた。
さっきまでの甘えた笑顔は消え、いまは表情という表情が抜け落ちている。
「メディさんですよね」
「違います」
即答だった。
「私はメピィです。この店で働く、可憐なラミアの風俗嬢メピィです。決してメディという名前のラミアではありません」
彼女は俺から顔を背け、窓の外を見ながら言った。声はいつもの淡々としたメディのものだった。違いは一切ない。
「いや、顔も声も同じですけど」
「ラミアにはよくある顔です。種族の特徴です」
「尻尾の鱗の並び方まで同じじゃないですか」
「ラミアにはよくある鱗です」
「今日、俺をパンツ一丁で働かせたメディさんですよね」
「誰ですかその鬼畜は。私はメピィなので知りません」
彼女は頑なだった。これは押し問答を続けても無駄かもしれない。
「ところでメディさん」
「メピィです」
「メピィさん、さっきの猫撫で声は普段のあなたからは想像もつかない可愛らしさでしたけど」
メディのこめかみがぴくりと動いた。
「なんのことですか。私はいつも通り喋ってますけど」
「それがいつも通りの喋り方……?じゃあ、やっぱりメディさんでは」
「ち、違いまぁす♡♡メピィで~す♡♡風俗嬢のメピィでぇす♡♡初対面のね、初対面のぉ♡♡」
声がころころ変わる。ラミアの発声器官ってすごい。いや、女性ってすごいのか。
彼女は咳払いを一つして、猫撫で声のまま俺を見据えた。
「ところでぇ~……お兄さん、どこかの貴族の家でベビーシッターとかしてそうですけどぉ……こういうお店きていいんですかぁ?♡」
痛いところを突かれた。
確かに子守りを終えた足で風俗に来るのは倫理的にどうなのか。ヴェーラの笑顔が脳裏をよぎる。
お兄ちゃん、お兄ちゃん、と無邪気に巻きついてきたヴェーラ。その世話係が夜な夜な風俗街をうろついているだなんて……。
でも待て。面接のとき、シェリル夫人は俺の身体に染み付いたラフィエルの匂いを察知したうえで採用した。つまり風俗通いは黙認されている。いや、少なくとも禁止はされていない。
だがそれを言い訳にするのは違う気がするので、反撃することにした。
「メディさんこそ、メイドが副業していいんですか」
「まぁ、エゼルディア家はそういうところガバガバですし」
「エゼルディア家?いまエゼルディア家って言いましたよね。やっぱりメディさんじゃ──」
その瞬間、彼女の尾が俺の胴体に巻きついた。
「ぐぇぇっ!」
面接のときより強い。明らかに殺意が乗っている。蛇の尾は俺の肋骨をぎちぎちと締め上げ、同時に彼女は俺の顔のすぐ近くまで迫ってきた。
「お兄さん……」
彼女は笑っていた。口元はにっこりと弧を描いている。だが目が、まったく笑っていない。爬虫類の縦長の瞳孔が、暗い部屋のなかでぎらりと光る。
「こういうお店でプライベートの話をするのはNGなの。わかる?」
「だ、だってメディさんが先にベビーシッターの話を──んぎぃ!!」
ぎゅるるるるっ!
「わ、わかりましたメピィさん!あなたは可憐で可愛いラミアの風俗嬢メピィさんです!決してメイドのメディさんじゃないです!はい!」
「よろしい」
尾が解けた。俺はぜえぜえと息を整える。
メディ──改めメピィは、一つため息をついてベッドの縁に腰を下ろした。
「まぁ、そういうことなので」
「え?」
「言わなくても分かりますよね。知り合いとそういうことするの嫌だし」
なるほど。つまり、顔見知りからプレイはしない、と。
俺はしばし彼女の顔を見つめた。
深緑の鱗に、白いブラウス。仕事中より薄着で、鎖骨も胸の谷間も露わになっている。
顔は小作りで無表情に近いのに唇だけがやけに艶めかしい。さっき猫撫で声を出していた口元だ。
端的に言えば……。
エッチだ。
「何言ってるんです、メピィさん」
「はい?」
「あなたはメピィさんなんだから、俺とは顔見知りじゃないでしょ」
メディの目が、すっと細くなった。
俺は構わず続ける。
「あ~、俺の口は軽いからなァ……今日満足できなかったら、職場で色んな人に何かを口走っちゃうかもしれないなぁ……あ、これはメピィさんには関係ない話ですよ?」
「……」
「俺の舌は俺の意思とは関係なく動くからなぁ……かっー、舌が憎い!でも性欲が満たされたときだけは、舌も俺の言うことを聞いてくれるんだけどなぁ……」
沈黙。
メディはわなわなと震えていた。尾の先がじりじりと床を叩き、両手はシーツを握りしめている。いま巻かれたら絞め殺されるかもしれない。
だが、俺は退かない。退く理由がない。
「……そ、そうですね」
ようやく絞り出した声は、殺意ましましだった。
「私、メピィ……なんだから……ご奉仕、しなくちゃ、ですよね……」
彼女は笑顔を作った。口の端がひきつっている。尾はわなわなと震えたままだ。
「声、もっと可愛くしてくださいよ。それじゃまるで俺の職場にいる可愛げのない先輩のラミアみたいじゃないですか」
「そ、そうぉ~?♡」
声だけは猫撫で声になった。でも両手は拳を握っている。
「じゃあ、ご奉仕、させて、もらうまぁ~す……♡♡」
彼女は怒りでぷるぷる震えながら、俺の前に跪いた。
一瞬、覚えとけよ……みたいな小声が聞こえてきたが、気のせいだろう。
「ズボン、脱がしまぁす♡」
メディは震える手で俺のベルトを外し、ズボンを下ろした。すでに俺のものは硬くそそり立ち、下着の上からでも形がはっきりとわかる。
下着がずり下ろされ、完全に露出したそれを見て、メディの手が止まった。
「……」
彼女はわずかに後ずさりした。頬が微かに赤らんでいる。怒りと羞恥、そして相手が俺だから普段通りにできないのか。
「メピィさん、どうしたの?」
「な、なんでもないで~す♡じゃあ、ラミアの舌、味わってね~……♡♡」
彼女は観念したように小さく息を吐き、顔を近づけた。
ちろっ……♡
最初に触れたのは、二又に分かれた舌の先端だった。
ラミアの舌はエルフともドワーフとも違う。細く、長く、そして先端がふたつに割れている。
温度を感知し、匂いを嗅ぎ分け、空気中の成分を分析する器官。それがいま、俺の先端に触れていた。
ちろちろちろちろ……っ♡♡
二又の舌が、それぞれ独立した生き物のように動く。片方が尿道口をつんつんと突き、もう片方が裏筋をなぞる。人間の舌では絶対にできない同時攻撃。
「ふふ~♡ラミアの舌、気持ちいいでしょ~?♡♡」
メディは目だけを上げて俺を見た。口元は笑っているが、やはり目は笑っていない。でも、それでいい。むしろそのギャップが興奮を煽る。
れろぉ~~~~……っ♡♡
今度は舌全体を使って、根本から先端までをゆっくりと舐め上げる。二又の先がまるで別々の生き物みたいに独立して動き、片方は裏筋をなぞり、もう片方は亀頭のくびれをちろちろと這い回る。
「……っく」
声が漏れた。我ながら情けない。
ちろっ……ちろちろちろ……っ♡ れりょぉ……っ♡
「ふ……お兄さんのここ、けっこう敏感なんだね~?♡」
「そりゃ、まあ……ラミアの舌、初めてなんで……」
「あら、そうだったんだ。じゃあメピィがたっぷり教えてあげる~♡」
彼女は一旦顔を離すと今度は二又の舌を窄めて、尿道の入り口をつんつんと突いてきた。
ちゅっ……ちゅっ……ちゅぴっ……♡♡
「っあ……それ、やばい……」
「やばいんだ~?♡ここ、弱いんだね~?♡」
目だけはぜんぜん笑っていない。完全に「あとで覚えてろ」の目だ。
だけど舌の動きはプロそのものだった。恨みを込めた分だけ、むしろ丁寧に執拗に、俺の弱点を責めてくる。
「んっ……ちゅぱっ……じゅるるるる……っ♡♡」
ちゅぽっ♡ じゅるっ♡ ちゅるるるるるっ♡♡
「は、ぁ……っ、く……」
限界が近い。腰が勝手に跳ねそうになるのを、必死で抑える。
メディはそれを感じ取ったのか、さらに責めを強めた。口のなかで舌を器用に動かしながら、両手で根元をしごき上げてくる。片手は竿を、もう片手は袋を。同時に三方向からの刺激だ。
ちろちろちろっ♡ しこしこしこっ♡ じゅるじゅるじゅるっ♡♡♡
「ん゛っ……ふっ……じゅるるるるるるっっ♡♡」
もうだめだ。
「め、メピィさん……俺、もう……!」
彼女は返事の代わりに、舌を尿道口にぎゅっと押し当て、思い切り吸い上げた。
ぢゅううううううっっっ♡♡♡
「……っっ!!」
びゅるるるるるるるるっっっっ!!!!!♡♡
どぴゅっ!!どぷっ!!びゅくびゅくびゅくびゅくっ!!♡♡♡
俺の精液が爆発的に噴き出した。
それはもう、自分でも驚くほどの量だった。彼女の顔めがけて、何発も何発も飛んでいく。
頬に、鼻筋に、前髪に、顎に。白濁が幾筋も絡みつき、深緑の鱗の上にもぽたぽたと滴り落ちた。
「ん゛っ……!?♡♡」
メディはあまりの量に一瞬たじろいだが、口のなかに飛び込んだ分だけは、ごくりと飲み込んだ。
びゅるっ……どくっ……どくっ……♡
射精が終わるまで、たっぷり十秒以上かかった。
彼女の顔は白濁液塗れだった。
前髪には精液がべったりと絡みつき、右頬から左の顎先まで、太く白い筋が斜めに横切っている。
まぶたの上にもかかっていて、瞬きするたびに白くて長い睫毛が震えた。唇の端からは飲みきれなかった分がだらりと垂れている。
「……」
メディは無言で、備え付けのタオルを掴んだ。顔をぬぐう。ぬぐってもぬぐっても白い。前髪のべたつきが取れないらしく、彼女は諦めてタオルを床に投げ捨てた。
「すごい量だね~♡♡」
声は猫なで声を保っているが、目が完全に据わっていた。タオルを投げ捨てた手が、わなわなと震えている。
「お兄さん、どんだけラミアの舌コキに興奮したの~?♡」
「いやぁ、職場にいるラミアのメイドさんを想像したら興奮しちゃって」
「……」
ぴきり、と彼女のこめかみに青筋が浮いた。
「変態かよ……あ、いやなんでもなぁい♡」
声は取り繕っているが、さっき完全に素が出た。というか、もう取り繕う気すら薄れている。
彼女は深く息を吐き、無理やり笑顔を作った。
「はぁい、じゃあ今日のプレイはここまででーす」
「……え?」
「お疲れ様でした~。お会計はカウンターで~」
メディはそそくさと這って出口に向かおうとした。
「ちょっと待ってください」
「え?なに?」
「本番は?」
「申し訳ないんだけど、メピィちゃんは本番NG嬢で~す」
なるほどな。そういうことを言い出すなんて。
それならもう遠慮するつもりはないな。
「じゃあ、メピィさんじゃなくて」
俺は立ち上がった。
「メディさんと本番交尾します」
「は?」
俺は彼女の肩を掴み、そのままベッドに押し倒した。
深緑の鱗がシーツの上でばたつく。尾が慌てて俺の腰に巻きつこうとするが、勢いがつく前なのでもう遅い。俺は彼女の上半身に覆いかぶさり、両手首をシーツに縫いとめた。
「ちょ、ちょっと!なに考えて──」
「いいんですか、メディさん」
「な、なに……?」
「さっきも言ったけど……いまの俺、すごく性欲が溜まってて、舌が俺の意思と関係なく動いちゃう。もしこのまま帰されたら、明日の朝、寮の廊下でキリアにこう言うかもしれません」
俺は一呼吸おいて、メディの目をまっすぐ見た。
「『メディさんって、風俗で副業してるんだぜ。源氏名メピィって言うんだって。すごい猫なで声で、ラミアの舌コキめちゃくちゃ上手かった』──って」
「!!!」
「あぁ、安心してください。俺が満足すれば、舌はちゃんと俺の制御下に戻るんで」
メディは無言で俺を睨み上げた。顔にはまだ精液の跡がうっすら残っている。目には明らかな殺意が宿っていた。尾の先がシーツの上で怒りに震えている。
でも、俺は退かない。
「あなた、何言ってるかわかってます?」
「わかってます」
「それでもやるの」
「やります」
メディは深くため息をついた。
そして──
「……わかりました」
彼女は観念したように全身の力を抜き、シーツに沈み込んだ。
「そのかわり」
「……」
「絶対に、誰にも言わないで」
やった。やったぞ!メディさんと本番エッチだ!
いやぁ、知り合いと風俗エッチ出来るなんて中々……。
「──でも」
彼女は俺の胸ぐらを掴み引き寄せた。鼻先が触れる距離で、彼女は囁くようにはっきりと言った。
「手加減しないから。そのつもりで」
「え?」
彼女の目が、ぎらりと光った。