【悲報】異世界風俗、嬢の平均年齢が500歳を超えている 作:フレキシブルコーギー
ポンコから教えられた店を探して、人魚専門店の並ぶ通りまでやってきた。
「おにいさぁん♡遊んでかない?」
「水の中でふやけるまで交尾できまぁーす!」
「陸上種族さん大歓迎!♡二本足でも四本足でもね~♡」
水の音があちこちから聞こえる。
通りには綺麗な水路があちこちに張り巡らされて、エメラルドグリーンの水のなかを半裸の人魚たちが優雅に泳いでいる。濡れた髪が光を受けてきらきらと輝き、色とりどりの尾びれがゆらゆらと水を掻いていた。
(何度見ても綺麗だな……人魚……)
俺が水路をぼんやりと眺めていると、水路の縁に両腕をかけて一人の人魚が上半身を乗り出してきた。
青みがかった銀髪。健康的な小麦色の肌。貝殻のブラジャーが、豊かな胸を辛うじて隠している。
「はいはい、そこのお兄さん!」
彼女の背後にある看板を確認する。ポンコの紹介状に書かれていた店名と同じだ。
彼女はにっと唇の端を持ち上げた。
「人魚に興味があるんだよねぇ? あるよね、だってさっきから私の尾びれ見まくってたし♡ いゃん、エッチ♡」
「いや、別に尾びれは──」
「人魚のエッチなところ見るだなんて、これはもう遊んで行かなきゃだめだよね♡ 犯罪だよね♡ 責任とって遊んでいってよね♡」
ものすごい勢いで捲し立てられた。
別に尾びれなんか見てない。というか、尾びれってエッチなところなのか。魚の下半身だぞ。
人魚の性感帯に詳しくないので分からない。
「あのー」
「はい一名様ごあんなーい!!」
俺が何か言う前に、彼女は水路から飛び上がった。尾びれで器用に地面を跳ね、水しぶきを撒き散らしながら俺の腕をがっしりと掴む。握力が強い。ドワーフ受付嬢ほどではないが、それなりに痛い。
「人魚ガチ交尾妊娠&タマゴ孕ませコースでーす!」
「まだ何も言ってないんですけど!?」
「え~、でも入ってくれるよね~?♡ 入ってくれなかったら私、この通りで泣き叫んじゃうよ~?♡『このお兄さんに尾びれをじろじろ見られたのに無視された~!』って」
尾びれなんて見てねぇし、なんだその恐喝は。
彼女はにこにこ笑顔のまま、俺の腕に自分の胸をぎゅっと押し付けてきた。貝殻ブラジャー越しに柔らかな膨らみの感触が伝わってくる。
「お兄さん、おっぱい当てられて嬉しそ~♡ 緊張して身体硬直してるよ?♡」
「いや、これは……」
(どっちかと言うと、人魚が普通に地上で跳ねてるのに驚愕して硬直してるんだが……)
胸のことは否定しない。嬉しいから。
人間で言うところの、両足を揃えたまま飛び跳ねるような移動方法だ。人魚の陸上移動能力は想像以上に高いらしい。
「もう、じろじろ見ちゃって~♡ 私の尾びれ、そんなに気になる?♡」
「だから尾びれは見てないです」
「嘘つき~♡ さ、入った入った~♡」
俺は有無を言わさず、店のなかに引きずり込まれた。
♢ ♢ ♢
「おぉ……! これが人魚の風俗店か」
一歩足を踏み入れて、俺は思わず声を漏らした。
店内の床は半分が水だった。いや、正確には店内を水路が縦横に走っていて、そこを人魚たちが泳いでいる。
水路の水は透き通ったエメラルドグリーンで、底には白い砂と貝殻が敷き詰められ、壁には珊瑚のオブジェ。
真珠を模した照明が水中を漂い、揺らめく光が幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「お兄さん、水棲種族の風俗店は初めて?」
腕を組んだままの客引き人魚が、俺の顔を覗き込んできた。
「はい、初めてです」
「へぇ、水棲童貞なんだぁ」
「水棲童貞ってなんですか……?」
「水棲種族とエッチしたことないんでしょ? だから水棲童貞♡」
なるほど。異世界に来てまで童貞を量産されるとは思わなかった。
エルフ童貞、ドワーフ童貞、ラミア童貞、アラクネ童貞、そして水棲童貞。
俺はあと何回童貞を失えばいいんだ。
「じゃあ今日は、おちんぽが水でふやけるまで楽しんでいってね」
「おちんぽが水でふやけるのは嫌なんですけど……」
ふやけたチンポって、なんかもうダメな気がする。戦闘力が落ちそうだ。
「大丈夫大丈夫、ふやける前に出るでしょ」
「俺が早漏みたいに言うのやめてくれません?」
そんな会話をしているうちに、受付に到着した。
「じゃあ後はよろしく~♡」
客引き人魚は俺を受付に引き継ぐと、外に通じているであろう水路に飛び込んで泳ぎ去っていった。尾びれが水面を打つ音が、ぱしゃんと小気味よく響く。
受付カウンターもまた、水路に面した半水没型の造りだった。カウンターの向こうには、若い人魚の受付嬢が尾をゆらゆらさせながら座っている。
ピンクがかった金髪に、そばかすの散ったあどけない顔。歳は人間でいうと二十歳前後だろうか。
……実際は何歳かは全く分からないが。
「いらっしゃいませ、人間のお兄さん♡ 今日はどの娘にしていきますか?」
彼女はにっこりと笑い、水槽の中から一冊の名簿を取り出した。
分厚い冊子だ。何故か水の中に入っていたのに、紙がふやけていない。魔法の紙かなんかだろうか。
「へぇ……沢山いますね」
表紙には貝殻の装飾が施され、人魚娘名鑑♡(タマゴ孕ませOK娘には★マーク)と書かれている。
「ほら、うちの娘たちはみーんな若くて可愛いでしょ?♡ エルフやドワーフの店と違って、写真詐欺も年齢詐称もなし! これが本当の優良店ってやつだよ♡」
名簿をめくる。
たしかに、どの娘も美人で若々しい。みずみずしい肌に輝く尾びれ。笑顔も初々しくて、年齢詐称の匂いがしない。
(でも……)
写真ちょっと盛ってないか。可愛すぎるというか。
肌の質感が妙に滑らかすぎるし、尾びれの色も実物より鮮やかに見える。
……まぁ、写真修正くらいなら許容範囲か。
しかし──。
今日の俺の目的は、ただ人魚とセックスすることじゃない。
手紙を書いてくれる人魚を探さなければ。
「……ミレーネ……ミレーネ……」
俺は名簿を一枚一枚、丹念にめくっていった。
「お客様、あまり後ろの方に行くと年齢が高い嬢に……」
受付嬢が何か言いかけたが……その時、俺はポンコさんから紹介状を貰ったことを思い出す。
割引されるんだから渡さないとな。
「あ、そうだ。ポンコさんから紹介状を預かってまして」
「ポンコ様から?」
受付嬢は紙を開き、そこに書かれた名前を見た途端、顔を引きつらせた。
「まさか、ミレーネ婆さん狙い……?」
「婆さん?」
「あ、いや、なんでもありませんよ。ギョギョ……」
声が裏返っている。動揺しまくって変な笑い声になってるし……。
俺は無言で名簿をさらにめくった。後ろへ進むほど紙そのものが古くなり、黄ばみが目立ち始めた。
そして最後の数ページ。
「いた!」
そこには、淡い水色の長髪を優雅に棚引かせた、それは美しい人魚の顔写真が貼られていた。
瞳は深い海の底のような濃紺。肌は真珠のように白く透きとおり、唇は薄く、けれど確かな色気を帯びている。
若作りしている感じはない。どう見ても二十代後半から三十代前半にしか見えない。
写真の下には、几帳面な筆跡でこう書かれていた。
【ミレーネ(752)】★★★★★★★★★★★★★
めっちゃ★マーク付いてんじゃねぇか。どんだけタマゴ孕ませOKなんだよ。
しかも名前の後ろの数字は一体……?
いや、分かるけれども。
(752……)
現状、俺が抱いてきた中で最高齢の嬢だ。でも……見た目は若い。問題ない。
「じゃあ、この娘でお願いします!」
受付嬢の目が点になった。
「正気ですか? この写真、百年前のやつですけど……」
「百年前!?」
流石長命種だ。詐称するスケールもデカい。
「何故百年前の写真を……?」
「ご本人が七百歳を超えてからの写真を載せるのを拒否しまして。あぁ、ちなみにこれが今現在の写真です」
そう言って受付嬢は今現在とやらの写真を見せてくれた。
「変わらねぇ……」
全く変わらなかった。間違い探しとかじゃなくて、マジで何にも変わらない。
「どこが違うんですか?」
「えぇ!?更にババァになってるじゃないですか!ほら、こことここ!」
受付嬢が尾びれで写真のある部位を指すが、俺には理解できなかった。
もしかしてこの世界で生きてる奴ならなにかが分かるのだろうか。
「ミレーネ婆さん、最後に指名されたの三十二年前ですけど……いいんです?」
「三十二年前!?」
「人魚にとっては、ちょっと暇だった程度ですけど……人間にとっては長いのでは」
今のは長命種ジョークだよな?
そうであってくれ。
「ま、まぁ……お客様がいいと言うのなら……後でクレームは入れないでくださいね」
受付嬢は慌てて笑顔を作り直した。だが、その目は完全に「こいつマジもののババァ専だ」という目だった。
もういい。いまさら否定しない。ババァ専でもなんでもいい。手紙が書ければそれでいいんだ。ついでに人魚ともエッチできれば万々歳だ。
「人間のお兄さん、一名様ご案内でーす! ほら、連れてって~!」
「はーい!」
その瞬間、受付横の水路から、別の若い人魚が勢いよく飛び出してきた。
「それじゃあ行くよ、お兄さん! しっかり捕まっててね!」
「え、捕まるって──」
俺が言い終わる前に彼女は俺の手首を掴み、水路のなかへと引きずり込んだ。
「うわ!? がぼがぼがぼ……!」
視界が水で満たされる。水のなかを、若い人魚が俺の手を引いてぐんぐん進んでいく。水路は店内を縦横に走り、時折他の人魚や客とすれ違う。
(酸素が……!)
俺が必死に口を押さえていると、人魚が水中で振り返り笑った。
「少し呼吸を我慢してねお兄さん!♡ あ、苦しくなったらキスして酸素交換していいからね♡」
水のなかでも声が聞こえるのは、魔法か、あるいは人魚の発声器官が水中用なのか。
(マジか!)
キスサービスが無料とは。人魚、いい種族だな……!
でも、よく考えたら、酸素交換ってなんだ。口移しで酸素が補給できるのか?
いや、魔法かなんかで出来るんだろう。異世界だし。多分。
♢ ♢ ♢
そして水のなかを進むこと数分。
「ん……♡♡ ちゅう……♡♡ んぅ……♡♡」
(めっちゃキスされた……!)
道中、俺がちょっと息苦しそうな顔をするたびに、彼女は「しょうがないなぁ」みたいな顔をして唇を重ねてきた。
三回くらい。いや、五回か。数えてないけど、とにかくたくさん。
人魚の唇はひんやりとしていて、それでいて柔らかく、ほのかに潮の香りがした。
ちゅぽっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅぱっ……♡♡
(人魚、いい……)
初めての人魚風俗、なかなか悪くないぞ。
そのとき、ぐんと上昇する感覚に襲われる。
「ぷはぁ! 着いたよお兄さん!♡」
俺は水面から顔を出し、大きく息を吸った。
そこは──。
「……すごいな」
洞窟だった。
でも、ただの洞窟じゃない。壁面には無数の貝殻や珊瑚が飾られ、天井からは淡い青白い光を放つ魔導灯が吊り下げられている。
床は滑らかな石で舗装され、中央には天蓋付きの大きなベッド。枕元には真珠をあしらったランプ。壁の一角には小さな棚があり、酒瓶とグラスが並んでいた。
天然の洞窟を人為的に整えた、ラブホテルのような空間だった。
「ここは地下の海底洞窟なの! ちゃんと陸上種族向けに酸素も通ってるから安心してね!」
運んできてくれた若い人魚が水のなかから説明してくれた。尾びれをぱしゃぱしゃと揺らしながら、にこにこ笑顔だ。
「すごいな……こんな部屋があるなんて」
「でしょ~? 人魚の風俗はこういう水棲と陸棲のハイブリッドルームがウリなんだよ。水のなかでも出来るし、ベッドでも出来るし、お好きなほうでどうぞ♡」
「はぁ……」
「じゃあ、時間が来たら迎えに来るからね~、楽しんでいってね♡」
そう言うと彼女は水のなかに潜り、尾びれをひらめかせて水路の奥へと消えていった。水音がだんだん遠ざかり、やがて洞窟は静寂に包まれる。
俺は一人、取り残された。
「……えーっと」
辺りを見渡す。
ラブホみたいな洞窟。これはこれで風情がある。人魚の文化を感じる内装だ。貝殻の装飾、珊瑚のオブジェ、そしてほのかに潮の香りが漂う空気。
さて、問題はここからだ。
(ミレーネさん……七百五十二歳の人魚……)
どんな人物なのか。代書屋をやっていたというからには文字に詳しいはずで、手紙の書き方も教えてくれるだろう。
そのときだった。
「あら……」
背後から声が聞こえた。
深くて、落ち着いた、それでいて妙に艶のある声だった。
振り返るより早く──。
「あらあらあら!!!」
どんっ。
俺はベッドに押し倒されていた。
「!?」
見上げると、そこには水色の長髪を振り乱した人魚が覆いかぶさっていた。写真で見た顔だ。
でも、写真よりずっと実物のほうが生々しくて、そして──。
「お客さん!? お客さんなのね!? 久しぶりのお客さん!」
「んむぅ!?」
返事をする間もなく、彼女は俺の唇に自分の唇を押し付けてきた。
ディープキス。それも、ものすごく濃厚な。
冷たくて、ぬめる舌が俺の口のなかに侵入してくる。人間の舌より少し長くて、細い。水棲種族だからか、わずかに塩味がした。
(す、すごい……)
舌が、ねっとりと俺の舌に絡みつく。上顎をなぞり、歯列をなぞり、舌の裏側をくすぐる。彼女の唾液が混ざり合い、唇の端からだらりと垂れた。
ちゅぱっ……ちゅるるる……んぢゅ……っ♡♡
「ん゛っ……! んむ……っ!」
十秒。二十秒。もしかしたら三十秒以上。
ようやく唇が離れたとき、俺はもう息が上がっていた。
彼女はというと、まったく息を切らしていなかった。人魚だからかな。
肺呼吸もするけど、長時間潜っていられる種族だ。息継ぎなんてお手のものだろう。
「しかも若い男! 百歳もいってないショタ!♡」
(ショタだって? 俺が?)
「あの、俺もう大人ですけど……」
「百歳未満はみんなショタよ。 人間なんて特にね」
その理論だと人間の八十歳のお爺さんもショタになるんだが。
「あ、そうだ!ちょっと待っててね!」
ミレーネは突然、俺の上から飛び退くと、尾びれでぴょんぴょん跳ねながら洞窟の隅へと消えていった。
(なんだ……?)
俺が起き上がろうとした瞬間、彼女は戻ってきた。
両手に重そうなタライを抱えて。
「じゃーん!」
タライのなかには……。
(……なんだこれ?)
無数の小さな粒が、ぷるぷると光を反射しながら山盛りになっていた。透き通ったオレンジがかったピンク色。一粒一粒が小指の先ほどの大きさで、表面はつるりと濡れている。イクラにしては粒が大きい。キャビアにしては色が淡すぎる。
(魚の卵……?)
なんていうか、こう……妙に生々しいというか、生命を感じるというか。
俺が困惑してタライを見つめていると、ミレーネは頬をほんのり赤らめて、もじもじと尾びれをくねらせた。
「私のタマゴ……♡」
「……はい?」
「だから、その……私のタマゴ♡」
ミレーネはタライを俺のほうに差し出しながら、恥ずかしそうに上目遣いをしてきた。濃紺の瞳が潤んでいる。さっきまでの捕食者の目とは別人だ。
「今日ね、ちょうど産卵期で……♡ 今、産んだの……♡」
「えっ……ここで産んだんですか?」
ミレーネは何でもないことのように頷いた。
「ここ、私の部屋でもあるの。客が来ないから、最近は住居として使ってたんだけど……」
(客が来なさすぎて、風俗店の個室を自宅化してる!?)
言われてみれば壁際の棚には酒瓶だけでなく、読みかけらしい本や脱ぎ散らかされた服まで置いてある。
風俗店の一室だと思っていたが、どうやら七百五十二歳の人魚の生活空間でもあったらしい。
「だから……その……」
彼女はもじもじと尾びれを動かし、そして──。
「ザーメンかけて♡」
俺は固まった。
ザーメンを。
このタマゴに。
かける。
「お兄さんのザーメンを私のタマゴにぶっかけてほしいの!♡ いっぱい! どぴゅどぴゅって!♡」
「……」
「なんたって久しぶりの客だし、しかも若いし、これはもう絶対孕ませてもらわないと……!♡」
俺は即答した。
「タマゴ孕ませプレイはなしで」
「……えっ」
「タマゴにザーメンぶっかけるのはなしで。俺、今日はそういう気分じゃないんで……」
「そ、そんなぁ……! せっかくいっぱい産んだのに……! 見てよこのぷるぷる感! 新鮮だよ! さっき産んだばっかりだよ!」
「産みたてを強調されても困るんですが……」
「じゃあ一個だけでいいから! いや、一粒だけでいいから!」
ガチの受精可能なタマゴだった。危ないところだった。
ていうか一粒だけ狙ってかけるとか不可能だろ。全部が受精したら、俺はいきなり数百人の父親になる。
家族計画が急すぎる……。
「なんでよぉ……! 若い男のザーメンかけてほしいだけなのに……!」
ミレーネはタライを抱えたまま、うるうると目を潤ませた。さっきまでの肉食系の雰囲気はどこへやら、いまは完全にしょんぼりモードだ。
「だって、私もう七百五十二歳だよ? もうそろそろ最後のチャンスなの!子供欲しいの!」
子供が欲しい。まぁ、それは理解できるのだが……。
「お医者様には、あと千歳までは大丈夫って言われたけど!」
「全然最後じゃないですよね?」
あと二百年以上は大丈夫じゃねぇか。
(でも……)
不意に、俺の脳裏に前にガルナから聞いた言葉が過る……。
『──人魚の嬢は子供を男に押し付けるから、親権も安心だ』
全然安心できない一言が、俺の脳味噌をぐるぐる回っていた。
「子孫を残すのは生物の本能なの!一度くらい産んでおきたいの! 」
本能と言われても。
俺はまだパパになる心の準備ができていないし、子供を押し付けられるのもちょっと……。
さらに言えば俺はただ手紙の書き方を習いに来ただけなのだ。
「とにかく! タマゴはなしで! 普通のプレイでお願いします!」
「けち! ケチンボ! ショタのくせに!」
「ショタじゃねぇし、ケチでもねぇ!」
ミレーネは唇を尖らせ、タライを洞窟の隅にどんと置いた。
「わかったわよ。タマゴはお預け。そのかわり、思いっきり搾ってあげるから覚悟なさい。体内受精で孕んでやるんだから!」
まさかの体内受精も可能な種族……だと?どうなってるんだ人魚の構造は。
「外に産むのと、体内で孕むのを同時にできるんですか?」
「できるわよ。人魚には外卵用と胎内用の卵巣があるもの」
人魚の身体、繁殖に特化しすぎでは……。
彼女の目は完全に据わっている。
これは……俺も本気で彼女の相手をしないとだめらしい。