【悲報】異世界風俗、嬢の平均年齢が500歳を超えている 作:フレキシブルコーギー
「スライムパラダイスへ、ようこそ♡」
受付スライムが最後の一滴を滴らせながら形を整えて艶やかしくそう言う。
半透明だった。青みがかったゼリー質の身体は、向こう側の壁がうっすらと透けて見えるほど澄んでいる。
輪郭はたしかに女性の形をしている。肩の丸み、腰のくびれ、脚のライン。すべてがなめらかな曲線で構成され、人間の女性と変わらないプロポーションだった。
問題は……。
(全裸じゃねぇか)
服を着ていないことだ。
胸のふくらみは半透明で淡い色の乳首がぷるんと揺れるたびに存在を主張している。視線を落とせば、股のあいだも同じように透けていて、人間でいうところの割れ目にあたる部分がほんのりと色づいている。
「私わぁ……ぷるりん♡」
「……ぷるりん?」
ぷるりん……?鳴き声か? それとも語尾か?
この世界には「〜ッス」と言うムカデもいれば「〜デス」とカタカナ交じりで話す人形もいる。ぷるりんというのも、その亜種なのかもしれない。
俺が微妙な顔をしているのを察したのか、彼女はぷにぷにと身体を揺らしながら言い直した。
「あぁ、ぷるりんって言うのは仮名だよぉ~♡変な名前よねぇ〜。でもお店は仮名を使えって言うしぃ……」
彼女はぷにぷにと自分の二の腕をつまみながら、少しだけ口をとがらせた。つままれた部分が、ぐにゃりと形を変えて、離すとぷるんと元に戻る。
「本名はポポロンって言うのぉ。素敵でしょ?」
ポポロンとぷるりん……。
俺には同系列にしか聞こえないが……彼女のなかでは完全に別物のようだ。
まぁ、ポポロンのほうが、かっこいいような気もしないでもないが、本名をそんな簡単に漏らしていいものだろうか。
「じゃあお客様、こっちに来てね♡」
ぷるりんはぷるぷるとした歩調で、店の奥へ俺を案内した。歩くたびに身体全体が波打ち、尻のあたりがぷるんぷるんと震えている。
見てはいけないと思いつつ、どうしても目が行ってしまう。
「こちらが受付カウンターでぇす♡」
カウンターもスライムだった。
ゼリー状のカウンターはぷるぷると脈打ち、表面に手を置くと、じゅわりと指がめり込んだ。感触はひんやりとしていて、気を抜くと手首まで沈んでいきそうだ。
(ぷるぷるしすぎてカウンターの意味がねぇ……!)
書類を置こうものなら数秒で飲み込まれる。これでは受付業務が成立しないのではなかろうか。
「本日はどのような体型がお好みですかぁ?」
「体型を選べるんですか?」
「スライムは自在に変形できますのでぇ♡」
ぷるりんがカウンターの表面から、ぷるんと一枚の半透明のシートを剥がした。ゼリーでできたオーダーシートのようだ。
でも……渡されたそれは、めちゃくちゃ見にくかった。文字は浮き出ているのだが、紙そのものが半透明なせいで、ぷるぷるが透けて読解を阻害してくる。
なんとか目を凝らして見てみると、そこには細かい項目がびっしりと並んでいた。
【胸のサイズ:SS・S・M・L・LL・LLL】
【身長:低め・標準・高め・お任せ】
【見た目:ロリ・成人・熟女・お任せ】
【プレイ傾向:甘々・ドS・ドM・変態特化】
【特殊オプション:触手プレイ・分裂プレイ・全身包み込み・逆包み込み・部分硬化】
【接客タイプ:クール・小悪魔・ギャル・メスガキ・ばぶみ・お任せ】
おぉ……カスタマイズの自由度が高い……!
体型から性格から特殊能力まで、ありとあらゆる項目を自分好みに設定できるとは……流石はスライムだ。
「えーっと……」
「あ、そうだ♡ シートで選ぶより実演したほうが早いわよねぇ♡」
ぷるりんがカウンター越しに身を乗り出してきた。胸がぷるんと揺れ、カウンターのゼリーと彼女の身体が一瞬、境界をあいまいにする。
「実演?」
「そ♡ こうやってね……」
ぷるりんの身体が、ぐにゃあと縮んだ。
「!?」
あっという間だった。さっきまで成人女性のプロポーションを保っていたゼリーが、ぼこぼこと泡立ち、全体がぎゅっと収縮していく。
胸はしぼみ、腰は細くなり、身長は一気に俺の胸元あたりまで落ちた。十秒もしないうちに、そこには小さな女の子の姿をしたスライムが立っていた。
「おぉ……!? すごい!ちっちゃくなった!」
変身前と変わらず半透明で全裸だが、輪郭は完全に少女のそれだ。あどけない顔立ち、細い手足、つるりとした胸元。
あまりの変わりように、俺は素直に感嘆の声を漏らした。
「どう?♡ お兄さんはロリコンの顔してるし♡」
「いや、ロリコンの顔なんてしてないんですけど……」
俺の言葉を無視し、彼女は言った。
「じゃあ、次はこっちも試しちゃうわねぇ♡」
ぷるりんが再びぐにゃりと変形する。今度は上方へ。身長が伸び、脚がすらりと長くなり、胸がぼんっと膨らんだ。
成人女性のモデル体型……胸はLLサイズといったところか。
「こういう巨乳もお好みでしょお?」
「いや、まぁ……はい」
「どっちがいい? ロリ? 巨乳?」
「……どっちも」
「節操なさすぎでしょお♡」
ぐにゃり。さらに変形。
今度は熟女だ。三十代後半から四十代に見える、円熟した肢体。胸は張りを保ちつつも柔らかさを増し、腰つきには若い娘にはない落ち着きがある。顔立ちは品よく、目元にはかすかな笑い皺が浮かんでいた。
「こういう年上もいける口よねぇ。顔に書いてあるもの」
「……否定はしませんけど」
「あっさり認めちゃった♡ でも、どれもいけそうね~♡ じゃあ、あなたにぴったりなのはぁ……♡」
ぷるりんは体型を一通り見せたあと、ぷるんっと縮んだ。
ロリ体型。でも、さっきと違うのは……胸があった。小柄で幼い輪郭のまま、胸だけが不自然なほどふっくらと膨らんでいる。
ロリ巨乳である。
「最終形態はこーれ♡ あなたの目、ロリと巨乳を両方欲しがってるわよぉ」
「いや、そんなことは……」
「おちんぽは正直だからぁ♡」
(ちくしょう……反論できねぇ……)
俺の身体は正直だった。ロリもいい。巨乳もいい。ならば両方となったら、もう抗うすべはない。
「じゃあ、次は性格を決めましょお♡」
「性格って……項目、まだあるんですか」
「あるに決まってるでしょお。姿だけじゃなくて、中身もオーダーメイドなのがスライムパラダイスの売りなんだからぁ♡」
ぷるりんはロリ巨乳の姿のまま表情を変えた。目をキリリと吊り上げ、腰に手を当て、ふんぞり返る。
「お兄さん、あたしみたいな子にいじめられたいんだぁ? ざぁこ♡♡」
メスガキだ。小さいくせに上から目線で、口が悪くて、でも声が可愛いからなんか許せてしまうタイプのメスガキだ。
次に、ぷるりんは表情をがらりと切り替えた。目をキラキラさせ、語尾が伸びる。
「あ、お兄さんじゃーん! 遊びにきてくれたんだぁ、うれしー! ねぇねぇ、スライムのここ、さわってみる? ぷにぷにしててきもちいいよ♡」
ギャルだ。さっきのハーピー娘を思い出す……。金を返せと叫びたいところだが、ぷるりんに言ってもしょうがない。
次。ぷるりんは目を細め、声を落ち着かせ、穏やかに微笑んだ。
「お疲れさま……今日はたくさん頑張ったんだね。いい子いい子。お姉さんが全部、気持ちよくしてあげるから、何も考えなくていいのよ……♡」
お姉さんだ。包容力がすごい。なんかもう、このままだきしめてほしい。今日はハーピーにぼったくられたし……。
だが……他のも捨てがたいな。
(くっ……どうする?ロリ巨乳にあう性格は……)
俺は本気で悩んでいた。こんなところで時間を使うとは、我ながらどうかしている。
そうして暫く悩んだ後……。
「じゃあ……母性溢れる感じでお願いします」
やはりここは優しいお姉さんだろう。
「かしこまりぃ♡ じゃあ──」
ぷるりんはにんまりと笑った。
「母性溢れるメスガキに決定!♡ ざぁこ♡ でも慰めてあげる♡ みたいな感じ♡」
勝手に変えた……だと?
「メスガキとは言ってないんですけど……ていうか母性溢れるメスガキってなんです?」
「最近、巷で流行ってるんですよぉ。母性溢れるメスガキ♡ お客様みたいな変態にぴったりでぇす♡」
「変態じゃないんですが……」
「あ、ツンデレ成分トッピングもひとつまみいっとく?」
「やめてください」
ラーメン屋のトッピングか。これ以上やるとカオスな性格になっておかしくなる。
ぷるりんが俺の手からシートを回収し、指先で項目を書き換えた。
「じゃあ決まりでぇす! 母性溢れるメスガキ・ロリ巨乳バージョン!」
ぷるりんがぱんぱんと手を叩くと、彼女は突然、大きく息を吸い込んだ。ゼリーの身体がぶくぶくと泡立ち、その場でぷるんぷるんと震える。
「お客様の好みが決まったよー! じゃあこのキャラに相応しいのは……ぴろりんちゃん!♡ ロリ巨乳に変形してからきてね~♡」
叫んだ瞬間、壁の一部がぽよんと揺れた。
壁の膜をすり抜けるように、小さなスライムの塊がぽこんと飛び出してくる。それは床に着地すると、むくむくと人の形を作り始めた。
首、肩、腕、腰、脚。仕組みはぷるりんと同じだが、できあがった姿は彼女よりずっと小さくて、胸だけは注文通りふっくらと膨らんでいる。
(おぉ……ロリ巨乳だ)
髪型がツインテールのロリ巨乳。
でも……。
「……」
無表情だ。ぷるりんとは違って、にこりともしない。
(?)
かわいいけど……なんだろう、この無感情さは。
「じゃあぴろりんちゃん、性格シートはこれね♡」
「ん……」
ぷるりんがオーダーシートのゼリー紙をぴろりんに手渡すと、彼女はそれを無言で自分の胸元に押し当てた。ゼリー紙はじゅわりと溶けて、彼女の身体のなかに吸収されていく。
(体型はロリで合ってるけど……性格は全然違うぞ。大丈夫なのか?)
あの無表情で「ざぁこ♡」とか言われても、たぶん全然メスガキに聞こえない。淡々と罵倒されるだけになりそうで、それはそれで新しいプレイかもしれないが。
「……っ」
ぴろりんの身体が、かすかに震えた。
それから彼女の顔にぱあっと笑みが広がっていく。無表情だった顔が、みるみるうちに小悪魔のような……でも慈愛に満ちた不思議な表情に変わった。
「あはぁ〜♡ なにこれぇ〜♡ お兄さん、変態すぎ〜♡」
声のトーンもさっきとは別人だ。甘くてねちっこくて、でもあたたかい……感じ。
「でも今日はよわよわお兄さんの為にぃ、いっぱい甘やかしちゃうよ〜♡ よちよち♡」
母性溢れるメスガキになった……?
すげぇ……無表情だったのに、いまは完全にキャラに入っている。オーダーシートを吸収しただけでこの変わりよう。
「えーっと、その……よろしくお願いします、ぴろりんさん」
俺がぎこちなく頭を下げると、ぴろりんは俺の顔をじとーっと見上げてきた。
「さん付けなんてお兄さんきも〜い♡ ちゃん付けで呼んでいいよ〜♡」
きもい、とメスガキ成分が早速発動した。母性成分はどこいった?
でも、それより気になることがある。
「……ちゃん付け? 何歳なんですか?」
その瞬間だった。
ぴろりんの表情が消えた。
小悪魔メスガキスマイルが跡形もなく消え失せ、無表情に戻る。
そして──。
「次、年齢の話をしたら殺すぞ」
……え?
ぴ、ぴろりんちゃん……?
今なんて……?
店内が静まり返った。壁のゼリーも、ぷるぷるの床も、なぜかぴたりと振動を止めている。
ぷるりんが慌てたように手をぱたぱた振った。
「は、はーい!♡ 無事に決まって良かったね♡ じゃあプレイルームへGO!♡」
ぷるりんが間に入り、無理やりな明るさで場を繕った。声が裏返っている。
ぴろりんは、ぱちん、とまばたきをひとつ。それから、ふたたび小悪魔の笑みを浮かべた。さっきまでの殺意はどこへ消えたのか、完璧なまでの切り替えだった。
「じゃ、お兄さんこっち〜♡ 迷子にならないように、手ぇつないであげるね〜♡」
彼女は小さな手で俺の人差し指をぎゅっと握り、ぷるぷると歩き出した。
俺は彼女に引っ張られながら、通路を進む。
(結局、何歳なんだ……?)
年齢の話をしただけで殺害予告。まぁ……年齢なんてどうでもいいか。
見た目は可愛いロリ巨乳だし、性格は母性溢れるメスガキだし、これで満足すべきだ。
……でも、気になるなぁ。
ちらりと後ろを見ると、ぷるりんがカウンター越しに敬礼していた。その顔には「頑張って生きて帰ってね」と書いてある気がした。
♢ ♢ ♢
通路は薄暗く、足元がぷるぷると沈むたびに、どこか別の生き物の体内を歩いているような錯覚に陥る。ぴろりんは俺の手を握ったまま、迷いのない足取りで奥へ奥へと進んでいく。
小さな背中。歩くたび、ゼリーのツインテールが左右にぷるんぷるんと震えていた。
(……ん?)
ふと、通路の壁に目をやる。
半透明のゼリー壁の向こうに、ぼんやりとした影が動いていた。二つの影。一つは人型、もう一つはぐにゃぐにゃと形を変える不定形。
二つが重なり、絡み合い、ぷるぷると震えている。
「ん゛っ……♡♡ すご……っ♡♡」
「もっと締めるよ~♡」
かすかに、壁を震わせて漏れてくる嬌声。
(うっ……なんかエロいぞ……)
俺は思わず足を止めかけた。隣の部屋も、その隣も、みんな同じだ。ゼリーの壁越しに、スライムと客の絡み合うシルエットがあちこちで揺れている。
一角ではスライムが触手状に分裂して客の全身を這い回っているのが見えた。別の部屋では、スライムが巨大なぷるぷるの球体に変形して客を包み込んでいる。
「お兄さーん、よそ見しないの〜♡」
ぴろりんが俺の手を強く握った。振り返った顔は、口をへの字に曲げた不満げなメスガキフェイス。でも、目はどこか楽しそうに細められている。
「他のスライムばっかり見てるとぉ、お兄さんのこと、ぜーんぶ放置して帰っちゃうよ〜♡」
「そ、それは困ります!」
金だけ使って目的を果たせないのは嫌だ。さっきのハーピーで懲りた。
「でしょお? だったらぁ、私だけ見てなきゃダメなんだからね〜♡」
手を繋いで迷子にならないようにエスコートしているあたりに、かすかな母性の残滓を感じる。
「ところでぇ、お兄さんってぇ、いっつもこんな感じで風俗ばっかり来てるの〜?♡」
「え、まぁ……休みの日はだいたい」
「うっわぁ、暇人〜♡ よわよわ人間は仕事以外やることないんだぁ♡」
「ぐっ……」
「でもぉ、そんなに通っちゃうくらいだからぁ、けっこう上手なんでしょお? それとも、よわよわだからすぐに出ちゃうのかなぁ?♡」
「……どっちだと思います?」
「んふふ〜♡ どっちでもいいけどぉ、私の前では、ぜーんぶ悩みも弱いところも晒けだしてね?♡ ぜんぶ、受け止めてあげる♡ 」
急に母性が見え隠れした。このギャップ、なかなか破壊力がある。反発する属性の融合は意外と成立するものだと関心した。
「ところでぷるりんさん……じゃなくて、ぴろりんさん」
しまった、言い間違えた。だってぷるりんもぴろりんも似てるから……。
ぴろりんはぴたりと足を止めた。ゆっくりと振り返り、頬を膨らませる。
「はぁ〜? いま、ぷるりんって言ったぁ?♡ お兄さん、私のことぷるりんだと思ってたのぉ? サイアク〜! その舌、ちぎってアルラウネの肥料にしてあげようかぁ?」
「す、すみません! 似てる名前なんで!」
「似てないしぃ〜! ぷるりんとぴろりん、ぜんっぜん違うし!」
彼女はぷんすかと怒りながらも、手を離さない。
「でもぉ……お兄さんがそんなに間違えちゃうならぁ……」
ぴろりんはくるりとターンして、俺の正面に立った。ツインテールがふわりと揺れ、ロリ巨乳がぷるんと跳ねる。
「本名で呼んでいいよ〜♡」
「本名?」
「そ♡ 本名なら間違えないでしょお?」
どうせ本名もぴぴりんとか、めちゃくちゃ紛らわしい名前なんだろ
ポポロンとぷるりんの時点でスライム族の命名センスは察している。ぴろりんの本名も、似たような響きのゆるふわネームに違いない。
「私の名前、バルグレディウスって言うの♡」
全然違ったわ。なんか急に強そうな名前きたわ。
語感だけで言えば、どこかの騎士か戦士か、それか城の主か。とてもではないが、目の前にいるロリ巨乳風俗嬢スライムの名前には聞こえない。
「バルグレディウス♡ 略してグレちゃんでも許してあげる〜♡」
そこを取るのかよ。
「バルグレディウスってねぇ、昔々の大スライム戦争で名乗ってた時の名前でぇ……」
「え?昔、名乗ってた名前……?」
その瞬間、俺の手が凄まじい力で握られた。
「ぎゃあ!!」
「あはは、言い間違えた♡ 名前を貰った……だけだからさぁ……!大スライム戦争がぁ……何百年前だと思ってるだと思ってるのぉ?これだから短命種はさぁ!!!」
大スライム戦争ってなんだよ……!?人魔戦争とやらとは違うのか、スライム同士で殺し合ってたのか……?
ギリギリと締め付けられる俺の手。だが、正気に戻ったのか彼女は力を緩める。
「ま、お兄さんみたいなよわよわ人間なんかぁ……」
ぴろりん……改めバルグレディウス氏はにんまりと笑い、俺の顔を見上げた。その目にはメスガキの成分が七割、母性が二割、残り一割は謎の怒りが混ざっている。
「私のスライムぷにぷにおまんこで、ぜーんぶ搾り取っちゃうんだから♡ 覚悟してよね〜♡」
そうこうするうちに、俺たちは通路の一番奥の扉の前に到着した。
扉もスライムだった。
ぷるりんとしたゼリーの扉が、俺たちの接近を感知したのか、自動的にぐにゃりと左右に開いていく。
「はい、到着〜♡ ここがプレイルームだよぉ♡」
部屋に足を踏み入れた瞬間、俺は言葉を失った。
そこはスライムでできた巨大なドーム空間だった。壁も、床も、天井も、すべてがぷるぷるとしたゼリーで構成されている。
室内全体が虹色の燐光を放ち、揺らめくたびに青、緑、紫、桃色と、幻想的に色が移り変わっていく。天井からは無数の小さなゼリーの粒がぽたりぽたりと落ちては、床に吸収されて消えていった。
部屋の中央には、大きなぷるぷるのベッド。表面にはうっすらと波紋が浮かび、寝転んだら全身が包み込まれそうな柔らかさだ。
「すげぇ……」
「じゃあ、さっそく始めよっかぁ♡」
ぴろりんは俺の手を離し、ぷるぷるとベッドのほうへ歩いていく。
俺もスライムの床に足を取られないように注意しながらベッドに歩く。ぴろりんはベッドの縁に腰掛け、小さな足をぷらぷらと揺らしている。
ツインテールが虹色の光を反射してきらきらと輝いていた。
「お兄さん、ここに座って〜♡」
俺が彼女の隣に腰を下ろすと、ベッドがぐにゃりと沈み込んだ。思ったより深い。尻が完全にゼリーに埋もれる。
「ねぇ、お兄さん……♡」
ぴろりんが身を乗り出してきた。小さな手が俺の膝の上に置かれる。冷たい。でも、すぐにぬくもりに変わった。俺の体温が移っているのだろうか。
彼女はゆっくりと顔を近づけてきた。唇が、俺の耳のすぐ横に寄せられる。ひんやりとした吐息が耳の産毛をくすぐった。
「今日は嫌なことぜぇんぶ、忘れさせてあげる……♡」
声はさっきまでのメスガキでも、母性のお姉さんでもなかった。
もっと深くて、大人びていて……。
「よわよわお兄さんはぁ……私に癒されるの……♡」
耳元で、ちろりと。
ゼリーの舌が俺の耳たぶをかすめた。