【悲報】異世界風俗、嬢の平均年齢が500歳を超えている 作:フレキシブルコーギー
コッペリアは動かなかった。
椅子の上で背筋をぴんと伸ばし、両手を膝の上に揃え、陳列棚のビスクドールのように硬直している。
硝子の青い瞳だけが、ぎらぎらと俺を射抜いていた。
「じゃあ、失礼して……」
まずは彼女の襟元の銀のブローチに指をかけた。小さな留め金が外れる。コッペリアの肩が、かすかに跳ねた。
「お前イマ、自分ガ何をシテルカ理解してマス? 傍から見たら完全に変態デスよ」
この期に及んでぐちぐち言うだなんて、往生際が悪い人形だな。
「勿論理解してますよ。いやぁ、俺もこんな変態的なことはしたくないんだけどなぁ、魔法陣を壊すためだから仕方ないよなぁ」
魔法陣を壊すため──その言葉を聞いた瞬間、コッペリアは何かを言いかけた口を閉じた。
どうやら俺は、このサイコパス人形を黙らせる究極の免罪符を手に入れてしまったようだ。
これから先、何かあっても「魔法陣がぁ!」と言えばこいつは大人しくなるに違いない。
俺は一枚一枚、時間をかけてボタンを外していく。胸元、脇腹、腰のあたり。丁寧に。そのたびに、白いブラウスの合わせ目がわずかに開き、陶器のような肌が覗いた。
「これ、全部脱ぐ必要アリマス?」
コッペリアが低い声で言った。
「当たり前でしょう。シェリル夫人だって服を着たまま骨抜きにはなりませんよ」
ブラウスを肩から滑り落とすと、コッペリアの華奢な上半身が露わになった。
カリオペと同じように、人間の美少女にしか見えない。
(外見だけは可愛いんだよな……)
問題は、口から飛び出す台詞の九割が殺意と皮肉で構成されている点だが。
「これで上半身は、あとはキャミソールだけですね」
「……」
コッペリアは口を真一文字に結び、前を見据えたまま微動だにしない。
完全に感情を消しているつもりらしいが、膝の上に置かれた指先が、わずかにぷるぷると震えているような気がする。
これは羞恥心か……? いや、純度100%の殺意かもしれない。油断は禁物だ。
俺はキャミソールの細い肩紐に手をかけ、ゆっくりと下ろした。
するり、と。
布地が胸元を滑り落ち、露わになったのは……。
(おぉ……思ったより、ちゃんとあるな)
小ぶりだが、形のいい乳房だった。頂点に、淡い薔薇色の突起がちょんと控えめに顔を出している。
「……」
コッペリアは無言。しかし耳の縁が、ほんのりと赤く染まっていることに、俺はちゃんと気づいていた。
(そうか。戦闘経験は豊富でも、こういうことには慣れてないのか)
逆に新鮮すぎる。今までの相手は、熟練の風俗嬢ばかりだったしな。メディは処女だったけど……。
こいつは初心者だ。その証拠に、いまも視線をあらぬ方向に固定したまま、俺をまともに見ようとしない。
「じゃあ、下半身もいきますね」
「……下半身? 」
「スカートも脱がせます。当然でしょう」
「当然じゃありマセン。というか、そろそろどこで線を引くべきか考えたらどうデスか。頭が悪いのも大概ニ……」
「あれ? 急に魔法陣を壊したくないって気持ちがわいてきたなぁ。なんでだろう……?」
コッペリアが沈黙した。
ククク……。魔法陣とやらに感謝だな、これは。
──まぁでも。
魔法陣とやらが消滅した0.1秒後には、まず間違いなく俺の首が物理的に宙を舞うことになるだろうから、俺はなんとしてでも魔法陣を死守しなければいけないわけだが。
未来の自分の命を担保にして今の性欲を満たす……勇者として完全に終わっているが、その辺りのリスクマネジメントは後で考えよう。
俺は彼女の腰に手を回し、メイド服のスカートを留めているホックに指をかけた。腰のくびれは驚くほど細い。
ホックが外れ、スカートがはらりと床に落ちた。
残るは、白いレースの下着だけ。
「意外と可愛いもの履いてるんですね」
「メイド服の標準付属品デス。私の趣味ジャないから、くれぐれも勘違いしないようニ」
パンツ一枚になったコッペリアは、依然として俺から目を逸らしたままだ。
いつの間にか、膝の上に置いていた腕を胸の前で組んでいる。それも、露骨にならない程度に胸を隠す位置で。
「じゃあ、最後です」
「ホントに、ここまで必要なんデスか」
声がさっきより小さくなっている。怒気は残っているが……明らかに羞恥心が混ざっている。
こいつにも羞恥心というまともな感情があったことが驚きだが、今はその感情につけ込んで押すしかない。
「必要です。だって本番では、当然ここまで脱がせるんですから。ね?」
「……」
俺は彼女の腰骨に指をかけ、最後の一枚を下ろした。
パンツが腿を滑り、膝を通り過ぎ、足首へ。
「おぉ……」
肩から流れ落ちる金髪。一切のくすみがなく、照明の光を吸い込んで柔らかく発光しているかのような純白の肌。
細い鎖骨から胸への曲線。くびれた腰から腿へと続く、精巧なビスクドールそのもののライン。
そして──足の付け根。
そこには、一筋の陰毛もない、つるりと滑らかな割れ目があった。
閉じた貝殻のように慎ましく重なった外陰部。奥に、ほんのわずかに覗く珊瑚色の内側。
「……」
コッペリアはなおも俺を見ない。だが、身体は正直だった。
白い肌のあちこちに、うっすらと薔薇色が滲み始めている。胸元も、腿の内側も、首筋も。
「これは……ふぅむ……なるほどなるほど……」
俺は彼女の裸を、頭のてっぺんからつま先まで、わざと時間をかけて眺めた。
「何ジロジロ見てるんデス」
「品評です」
「品評?」
「ええ。これからの練習に活かすため、しっかり評価しないと。女体の品評会は重要なんですよ」
「お前、死ぬほどキモいこと言ってル自覚ありマス?」
口調はぶっきらぼうだが、身体が微かにそわそわと動いている。
俺は顎に手を当て、専門家の顔で言った。
「いい仕事してますねぇ……うん、とってもエッチでとってもセクシーで、男を誘惑するために作られた卑猥な身体ですよ」
コッペリアの頬がひきつった。おそらく俺のあまりのキモさにドン引きしているのだろう。
俺としても、自身の言動が法治国家なら一発実刑レベルのキモさであることには内心引いている。
だが、こいつにはこれまで幾度となく理不尽な殺意を向けられ、命の危機に晒されてきたのだ。
だからこれは復讐なんだ。そう、決して俺の意思できもいことを口走っているわけではない。
「でも……」
調子に乗った俺は──つい、口を滑らせた。
「カリオペさんの身体のほうがもっとエロかったかな……」
次の瞬間。
視界が反転した。
「──ッ!?」
椅子が派手な音を立てて倒れ、そのまま俺まで床へ引きずり込まれる。
気づけば俺の顔面が、何か硬くて冷たい万力のようなものに、両側からメキメキと挟み込まれている。
いや、これは──。
「私を前にシテ、カリオペの裸ヲ想像するなんて、いい度胸じゃないデスか、タクミ」
頭上から降ってきた声は、甘かった。
甘いのに、温度だけが氷点下だった。コッペリアの両脚が、俺の頭部をぐりぐりと締めつけている。
「い゛だだだだだだ!!! あ、頭が割れる!!!」
声音は穏やかだった。笑顔だった。笑顔なのに、目が完全に据わっている。これが怒りの頂点を突破した瞬間の顔か。
「い、いや! 違うんです! ほら、あれですよ! 品評には比較対象が必要っていうか、相対評価って大事じゃないですか!」
「知りマセンよそんなモン。いまここでお前の頭蓋を粉砕して、腐った脳ミソを部屋に撒いてやりマショウか」
めっちゃイライラしてるやん。
そりゃそうか。練習台になれと言われ、全裸に剥かれ、散々眺められた挙句に「姉より劣る」と言われたのだ。殺意のひとつも湧くだろう。
でも──。
(……お?)
太腿で挟まれたおかげで、いま俺の目の前には。
ついさっきまで俺がじっくり観察していた……コッペリアのおまんこが。
(すげぇ……綺麗だなぁ……)
産毛の一本すらない。大陰唇も小陰唇も、クリトリスの包皮までもが、美術館の大理石彫刻のように精巧に造形されていてる。
──などと感心している場合ではない。
「オマエ……私を誰だと思ってるんデス……。私は、お前みたいナ雑魚を何百人も屠ってきた、コッペリア様デスよ……!」
地の底を這うような低い声が、耳を打った。コッペリアの両脚が、俺のこめかみをぎりぎりと締め上げていた。
(やばい、やばいやばい)
ガルナのヘッドロックより強い。ラミアの締め付けより容赦ない。このままだと俺の頭蓋が、手で握り潰した卵みたいなことになる。
(やるしかない……!)
突破口は、ただひとつ。
俺は顎をわずかに引き、狙いを定め──。
ぺろんっ♡
「────ッッッ!?!?」
舌の先が、割れ目を下から上へ、ゆっくりと這った。
瞬間、太ももの圧力が、嘘みたいに緩む。
(効いてる……!)
「お、オマ、お前、いま何を……!」
顔を真っ赤にして殺気をほとばしらせるコッペリア。瞳が激しく揺れている。でも太ももの締め付けはさっきよりずっと柔らかい。
俺は千載一遇の隙を見逃さず、もう一度、舌を差し出した。
──ぺろぉ……っ♡
今度は割れ目の中心を、ゆっくり、ねっとりと。
「~~~~ッッ……!!!」
コッペリアがのけぞり、金髪がぱさりと床に散った。唇を噛みしめているが、肩が小刻みに震えている。
人形おまんこはつるつるで、まるで新品の陶器だ。変な味もしないし、変な匂いもしない。
むしろ、ほんのりと甘いような──砂糖菓子に顔を近づけたときのような、不思議な芳香が鼻をくすぐる。
(ドール族って、なんなんだろうな)
無機物の人形なのか、有機体の生き物なのか、舐めれば舐めるほどよくわからなくなってくる。
「ヤ、ヤメロ……! この、変態……!!」
「無理です。太ももでガッチリ挟まれてるんで不可抗力です。ぺろぺろ」
「~っっ……!」
俺は淡々と舐め続ける。割れ目のふちをなぞり、くぼみに舌先を沈め、時折顔を左右に振って全体に唾液を塗り広げていく。
一舐めごとに、コッペリアの身体がびくんびくんと跳ねる。
「ンッ……! ほ、ホラ! もう太もも緩めたでショウ!」
「なんと……これは大変だ。太ももで締められた衝撃で、首から下が硬直してしまった。しばらくこの姿勢から動けそうにない」
「そんなバカな……ひぅっ」
今現在、床にへたり込んで開脚している美少女人形の股間に顔を埋め、ぺちゃぺちゃと音を立てている俺の姿は、どう見ても完全な変態だ。
即座に通報されるレベルの図である。
でも──。
(違う。これは勇者が、人類の脅威である邪悪な殺人人形を身を挺して成敗している、神聖な図だ)
俺の脳内のナレーションは、力強くそう断言している。異論は認めない。だって他に言い訳が思いつかないから。
「オマエ……ふざけるのも、大概に……んぅっ」
コッペリアが俺の頭を押しのけようと手を伸ばす。でも指に力はなく、俺の髪に絡まるだけだった。
(よし、次はこっちだ……)
俺は舌先を、割れ目の上のほうへ滑らせた。小さな突起。そこをそっと押し上げると、なかから淡い桜色の真珠がひょっこり顔を出す。
クリトリスだ。
俺はそこを、軽く啄むように吸い上げた。
ちゅっ♡
「ひぃんっ!?♡♡♡♡」
(……ひぃん?)
空気が、止まった。
俺もコッペリアも、たぶん部屋の隅の観葉植物も、みんな同時に時が止まった。
いま。
いま、この女。
「ひぃん」って。
嘘だろ。
過去にどれだけ命を奪ったかわからない怪物が。太ももで人間の頭蓋を圧縮しようとしていた化け物が。
ひぃん……?
(戦闘人形って、そういう鳴き声なのか……?)
違う。絶対に違う。
「いまのナシでス」
コッペリアが言う。耳のふちは真っ赤を通り越して、いまは熟れた林檎みたいになっている。
「魔が差したというか……声帯の誤作動というか」
「誤作動ねぇ」
「誤作動デス」
「そっかぁ。誤作動かぁ」
「その顔をやめロ……!」
(よし、ここだな)
俺は心のなかでほくそ笑んだ。急所はクリトリスだ。さっきの反応で確信した。ここを狙えば、この強がり人形もひとたまりもない。
ぺろぺろぺろっ♡
「ひっ……! や、やめ……ッ」
ぺろぺろぺろぺろぺろっ♡
「んくっ……! オ、オマエ……絶対に殺ス……! いまに八つ裂きにシテ……んぅうっ♡♡」
じゅるるっ♡
「やめ……ッ!」
苛立ちも殺意も、一枚ずつ剥がされて、その下から出てきたのは──快感に混乱する女の声だ。
「ほんとに……コロスしてヤル……ッあとで絶対……絶対コロ……んん~~~っ!!!」
殺害予告の語尾が、綺麗に裏返った。
殺意もクリトリスの前では塵芥に等しいらしい。
(そろそろトドメだ)
俺は狙いを定めた。舌を引っ込め、代わりに歯を立てる。
小さな真珠を、そっと──。
かりっ♡
「────~~~~~~~~っっっ!!!!?♡♡♡♡♡」
コッペリアの背中が反り返った。
ばしゃあっ……!!!♡♡♡
太もものあいだから、透明な液体がほとばしる。おまんこがひくひくと痙攣し、閉じたり開いたりを繰り返しながら、何度も何度も潮を吹き出していた。
「ゥ……ゥァァ……♡♡」
床も、俺の顔も、全部がびしょ濡れだ。
「……」
コッペリアは、ぐったりと床に沈んでいた。
肩で息をしながら、天井をぼんやりと見上げていた。
(人形が……潮吹き……)
俺のなかで、なにか重大なパラダイムシフトが起こった気がするが、深く考えないことにした。
「……殺ス」
床に沈んだまま、コッペリアがぽつりと呟いた。
「絶対に、殺ス」
なんか恐ろしいことを言っているが、もう一線を超えた俺はひるまない。
「コッペリアさんがこうして協力してくれるおかげでシェリル夫人も骨抜きにできそうな気がしてきたなぁ。もう少しなにかすれば魔法陣を壊せる可能性がぐんと上がるかもなぁ……」
「……」
コッペリアは悔しそうに唇を噛み、黙り込んだ。だが、床に投げ出された指先が、怒りか余韻か、ピクピクと痙攣している。
俺は再び、視線を目の前の割れ目に落とした。
潮を吹いた直後のおまんこは、濡れてつやつやと輝いている。
透明な液体が表面を薄く覆い、照明を反射してきらきらと揺らめいていた。閉じた貝殻みたいだった外陰部が、いまはかすかに開きかけている。
(正直、もう十分だとは思うんだが……)
ここで手を緩めたら、また噛みつかれるかもしれない。今の「絶対に殺ス」は本気だった。
(もうちょい、追い込むか)
俺はもう一度、舌を伸ばした。
ぺろっ……♡
「……まだ、やるンですか」
小さな声が漏れる。さっきまでの殺気むき出しの抗議とは違う。呆れが混ざっている。
「もちろんです。コッペリアさんであらゆるテクニックの熟練度をカンストさせておきたいので、引き続きご協力お願いします」
「はぁ……もういいデスよ。好きにシテ。その代わり、魔法陣を消したら……」
「消したらなんです?」
「イヤ、ナンでも」
たぶん、『魔法陣を消したら貴様の四肢をもぎ取ってミンチにしてやる』とか、そういう物騒な台詞を言いたかったんだろうなぁ。
でも、残念だったな。俺は今後の人生を魔法陣の絶対守護者として生きることに決めたから、コッペリアが望む未来は永遠にこないんだ。
ぺろぺろ。
俺はゆっくりと、外陰部をなぞっていく。そして膣内に舌を入れようとして──。
(……ん?)
ふと、舌先に引っかかる感触があった。
最初は気のせいかと思った。でも、もう一度同じ場所をなぞると──確かにある。
入り口からほんの少し奥まったところ。ごく薄い、膜のようなものが。
(なんだ……?)
俺は舌の動きを止め、まじまじと観察した。
人差し指と中指で、外陰部を左右に開く。濡れた内側が露わになり、淡い桜色の粘膜がひくひくと震えている。
そして、そこに。
入り口の縁に沿うように、薄い桜色のひだが残っていた。
「……」
俺は呼吸を忘れた。
(え、これって……まさか)
不意に、気色悪いユニコーンの処女膜講義が脳裏をよぎった。
──処女膜だ。
「……コッペリアさん」
俺は顔を上げた。
「ナンです」
床に寝転がったままのコッペリアは、天井を見つめている。声はまだ震えているが、それでも虚勢を張ろうとしていた。
「ひとつ、確認したいことがあるんですけど」
「卑猥なこと言ったら、コロしマスよ」
俺は一拍、間を置いてから言った。
「もしかして──」
「処女ですか?」