※この作品はR-18です。

変身忍者嵐より 千恵(毒蛾くノ一)の異なる未来第2編・江戸での血車党との対決   作:shpfive03

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血車党くノ一菖蒲の最期

「でやあぁぁぁっ!!」

 

菖蒲はあらためて自らの剣を旋風回転させながら、変身忍者嵐に向かって斬りかかる。

 

が、嵐はなんなくこれをピョイッとかわした。

 

勢い余って、思わずつんのめりそうになる菖蒲。

 

既に彼女は肩で息をし始めており、ふうっ、ふうっ、と大きく息を吐く。

 

男と女、やはり体力差は大きい。

 

しかも菖蒲は、先ほどから何度もハヤテ、更には嵐に斬りかかっているのだが、その都度かわされてしまい、体力の無駄遣いに終わってしまっているのだ。

 

気持ちだけが空回りしている。

 

そんな様子の菖蒲を見ながら、嵐はあえて言った。

 

「菖蒲さん、無駄だ!、あなたの剣の腕では、この私は斬れない。ハヤテだろうが、嵐だろうが、だ」

 

が、菖蒲は

 

「煩い!、何をいうか!!」

 

と叫び、ふうっ、ふうっと肩で息をしながらも、諦めることなく、またしても剣を構える。

 

断っておくと、菖蒲の剣の実力は、それこそ普通の相手なら男女を問わず、そうそうは太刀打ちできるものではない。

 

ハヤテ、そして嵐と斬り合うのは、さすがに無理というだけである。

 

が、ここで菖蒲に対する思わぬ助太刀が出た。

 

ふいにドクダヌキが叫ぶ。

 

「血車忍法、五輪固め!」

 

先ほどは変身忍者千恵に向かって投げつけた五つの輪が、今度は嵐に向かって投げつけられたのだ。

 

「うわあっ!」

 

五つの輪は、たちまち嵐をがんじがらめにする。

 

そしてドクダヌキは菖蒲に向かって大声で言った。

 

「菖蒲、今なら嵐を斬れるぞ、いけ!」

 

輪に縛られた嵐は思わず

 

「卑怯な!」

 

と叫ぶが、ドクダヌキは意に介しない。

 

「ギョワーッ!、ギョワッギョワーッ」

 

と、不気味な叫び声をあげると

 

「目的のためには手段を選ばない、それが我が血車党だ。現にそこの『出来損ないの裏切者』もそう言っているではないか!」

 

と、わざとらしく変身忍者千恵を指差す。

 

これを見て夜叉丸が再び黒縄を投げようとするが

 

ドクダヌキは

 

「夜叉丸、今度はさせぬぞ!」

 

と、いつのまにか右手に持った瓢箪の中の液体を口に含むと

 

「血車忍法、火炎霧!」

 

と叫び、いきなり口から赤い霧のようなものを吐く。

 

その赤い霧は直ぐに炎と化し

 

そして、その炎は夜叉丸と、その側に立っているツムジに向けられた。

 

「うわあっ!」

 

さすがに、これはたまらず炎から飛び退く夜叉丸とツムジ。

 

これでは五つの輪によって縛られた嵐を助けることも出来ない。

 

この化身忍者、相当に手強い!

 

夜叉丸とツムジはそれを確信する。

 

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「ドクダヌキ様、ありがとうございます」

 

菖蒲は心から嬉しそうにドクダヌキに礼をいう。

 

そして

 

「嵐、私は死を覚悟していた。けれども、今、お前を斬りさえすれば」

 

と言って剣を大きく振り上げると

 

「私は再び毒蛾くノ一様とお会いし、また皆(みんな)と一緒に血車党のために働くことが出来る!」

 

と叫び、嵐に向かって斬りかかった。

 

「死ねえっ、嵐!」

 

ドクダヌキと対峙したまま動けない変身忍者千恵が叫んだ。

 

「嵐さんっ!!」

 

だが嵐は平静だった。

 

素早く『縄抜け』の要領で身体中の間接を緩め、なんなく自らを拘束していた五つの輪を外すと、それを菖蒲に向かって投げつけたのだ。

 

「きゃあぅ!!」

 

いきなり五つの輪をぶつけられ、その場に倒れる菖蒲。

 

にもかかわらず、菖蒲は剣を杖がわりにしながらも、またしても立ち上がり

 

そして、よろめきながらも剣を構える。

 

まさに不屈の闘志と言わずにはいられない。

 

「菖蒲さんっ!、本当にもう止めるんだ」

 

嵐の声は悲鳴のようだった。

 

これでは、まるで菖蒲をなぶりものにしているようではないか‥‥

 

「貴女では、私には勝てない!」

 

恐らく、嵐がまともに斬り合えば、たいした時間もかからず、菖蒲を斬ることは難しくない。

 

何よりも変身忍者と、いくら鍛えたとはいえ、普通の人間でしかないくノ一とでは

 

実力に差がありすぎる。

 

それは菖蒲自身も解っているはずだ‥‥

 

にもかかわらず、菖蒲は何度でも立ち上がり、そして嵐に斬りかかってくる。

 

嵐が手加減さえしなければ、恐らく勝負は一瞬でつくにもかかわらず‥‥

 

「死ねえっ、嵐!!」

 

何度でも菖蒲は嵐に斬りかかる。

 

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一方でドクダヌキと対峙している変身忍者千恵である。

 

「血車忍法、五輪固め!」

 

またしてもドクダヌキが五つの輪を変身忍者千恵に向かって投げつけてくるが、さすがに今度はそんな手にはのるわけにもいかない。

 

「千恵の必殺、十字斬りっ!!」

 

変身忍者千恵はそう叫ぶと、自らの持つ剣を振り下ろし、十字型に回転させて横へ振り払う。

 

ドクダヌキが放った五つの輪は十字に斬られ、その場に虚しく落ちる。

 

かつて化身忍者ガマドクロを十字斬りし、止めを刺したときと同じ技である。

 

「ほう、『出来損ないの裏切者』にしてはなかなかやるな!」

 

ドクダヌキが感心したようにいう。

 

「嵐さんに比べれば、まだまだよ!」

 

思わず変身忍者千恵は、そう返事する。

 

実際、自分は最初にドクダヌキが放った五つの輪に縛られた時、それを自力で外すことなど出来ず、結果的に夜叉丸の黒縄による助けを受けているのに対して

 

変身忍者嵐は自力で、この五輪固め攻撃から脱している。

 

やはり自分と変身忍者嵐には厳然たる実力差があったのたと感じずにはいられない。

 

千恵は、かつて化身忍者毒蛾くノ一だったとき、嵐との最初の対決で優勢だったことが確かにある。

 

が、あの時は、まさか女である自分が嵐の剣を『真剣白刃取り』するなどとは思っていなかったということもあるだろうし

 

何よりも嵐が本気ではなかったのだろうと、今にして思う。

 

「ギョワーッ!、ギョワッギョワーッ」

 

ドクダヌキは叫ぶと

 

「そうか、だがワシは嵐のように優しくはないぞ、これでもくらえ!」

 

と言って、右手に持った瓢箪からゴクゴクと液体を口にすると

 

「血車忍法、火炎霧!」

 

と声をあげ、そして口から赤い霧のようなものを吐き、それを変身忍者千恵に向けて放った。

 

その赤い霧は直ぐに炎と化して、変身忍者千恵に襲いかかる。

 

変身忍者千恵は、素早くフワリと舞い上がった。

 

そして華麗に空を飛ぶ。

 

「残念ね、ドクダヌキさん。私は飛べるのよ!」

 

変身忍者千恵は笑う。

 

一方でドクダヌキが放った炎は西屋の建物を焼き、そして、それは燃え上がった。

 

「貴様あ!」

 

ドクダヌキが憤怒の声をあげる、

 

「よくも、このワシが苦労して経営してきた西屋を台無しにしやがったな!」

 

変身忍者千恵は、そんなドクダヌキを背世羅笑(せせらわら)う。

 

「あら、ご自分で建物を焼いたくせに、私のせいにするのかしら?」

 

それを聞いたドクダヌキはイラッとしたのか、さらに怒りを発する。

 

「お前が今宵、ハヤテたちを連れて余計なことをしなければ、ワシはまだまだこの店をやっていけたんだ、ワシの店を台無しにしやがって、返せ!、戻せ!」

 

おやおや、と変身忍者千恵は思った。

 

どうやらドクダヌキは自分が血車党から運営を任されていた、この西屋に随分と愛着を持っていたらしい。

 

だが、せっかくなので変身忍者千恵は、さらにドクダヌキを挑発することにした。

 

「あらあら、ここなんて密貿易の拠点そのものじゃないの!

 

それに、人を狂わす『魔薬』を売ったりとか、血車党が髑髏館建設のために狩り集めた無辜(むこ)の人たちを用済みになったと見るや南蛮人に奴隷として売り捌いたりするような素晴らしい商売の拠点が、そんなにも愛しかったのかしら」

 

この変身忍者千恵の挑発に、ドクダヌキは憤激する。

 

「き、貴様あっ!、お前だって元々はその一味のクセに!」

 

 

「私は心を入れ換えて真人間になったの」

 

変身忍者千恵は澄まして笑う。

 

「で、まずは罪滅ぼしに悪の拠点を潰そうとしているわけ」

 

変身忍者千恵は空を舞いながら、そうやってドクダヌキを揶揄する。

 

 

「うるせえっ!、このアマッ、叩き殺してくれるわ!」

 

叫ぶドクダヌキ。

 

そして、またしても右手に持った瓢箪からゴクゴクと液体を口にすると

 

「血車忍法、火炎霧!」

 

と声をあげ、そして口から赤い霧のようなものを吐き、変身忍者千恵が舞う方向に向けて放つ。

 

もはやドクダヌキの眼中には変身忍者千恵のことしか入らない。

 

勿論、変身忍者千恵はそれを計算した上で、意図的にドクダヌキを挑発しているのだが

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

一方で血車党下忍たちは、目の前のタツマキ、カスミ、ツムジ、そして夜叉丸に対して猛攻撃を仕掛ける。

 

「クエェー!!」

 

と大声で雄叫びをあげる下忍たち。

 

だが、所詮はタツマキ、カスミ、ツムジ、そして夜叉丸たちの敵ではない。

 

今までとは下忍たちの気合いの入り方が違うとはいうものの、やはり次々と斬られていく。

 

それにしても、今回はツムジが大活躍である。

 

「伊賀忍法、ツムジ石っ!!」

 

ツムジは叫ぶと、今度は周囲の数多くの石を一斉に下忍たちに向かって投げつける。

 

「うわあっ!」

 

これには怯む下忍たち。

 

考えてみれば、手裏剣は数に限りがあるが、石なら投げつけ放題である。

 

「ツムジ殿、まだ年若なのに随分と達者な忍術ぶりだな!」

 

百戦錬磨のはずの夜叉丸も、思わぬ少年忍者の健闘ぶりに感心する。

 

「へへっ!」

 

それを聞いたツムジも思わず照れる。

 

これに対して

 

「夜叉丸さん、あんまりツムジをおだてないでください」

 

とカスミが苦言をいう。

 

「この子、すぐ調子に乗るんだから!」

 

 

「いや、カスミ殿」

 

と夜叉丸。

 

「私は本当に感心しているんだ」

 

 

タツマキも、そんなツムジの様子を見て、思わず目を細める。

 

 

そうこうしているうちに

 

異変を知った役人たちが一斉に提灯を持ちながら

 

大勢、こちらへと駆けつけてくる。

 

それを見たタツマキは

 

「ううむ、逆に足手まといかの‥‥」

 

と困ったような表情を浮かべた。

 

考えてみれば、これだけの大騒ぎなのだから

 

役人たちが駆けつけなければ、それはそれで問題なのだが。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「やむを得ない!」

 

何度嵐に攻撃をかわされても、執念で斬りかかるのを止めようとしない菖蒲を見て、ついに嵐は決断した。

 

「秘剣影うつし!」

 

影うつしは言わずと知れた嵐の必殺技であり、愛刀「速風」の刀身に敵の影を映し、間合いをはかって敵に光を浴びせ、タイミングを狂わせて斬る技である。

 

嵐の構えた刀身に菖蒲の影が写り、そして、それは光と共に反射した。

 

その光を浴びせられた菖蒲の目が眩む。

 

「ああっ!」

 

思わず立ちすくむ菖蒲。

 

そして、嵐は思いきり跳躍すると、飛び上がってから急降下し、一気に菖蒲を斬りつける。

 

だが、嵐はこう叫んだ。

 

「刀背打ちいっ!」

 

『刀背打ち』というのは、日本刀の背面を使って相手を斬ることなく強打する方法で、後世では主に『峰打ち』と呼ばれるものである。

 

嵐は菖蒲を斬るのではなく

 

彼女を気絶させることを選んだのだ。

 

以前、毒蛾くノ一千恵と戦った時の、剣を持つ右腕のみを斬りつける『二段斬り』は使用しなかった。

 

言うまでもなく菖蒲に自害してほしくなかったからだ。

 

「あああっ!」

 

嵐の刀背打ちをまともに食らった菖蒲は

 

そして、その場に突っ伏すように倒れた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

だが、嵐の気持ちと、刀背打ちによる強打にもかかわらず、菖蒲は気を失ってはいなかった。

 

「うっ‥‥、、うう‥‥、、」

 

苦しそうに呻き声をあげる菖蒲。

 

しかし、もはや立ち上がることさえかなわない。

 

これ以上ないくらい勝負はハッキリとついたのだ。

 

嵐は、目の前の仲間たちが血車党と乱戦状態なのを承知の上で、あえて自らの剣をゆっくりと鞘におさめた。

 

言うまでもなく、これは『貴女を斬らない』という意思表示である。

 

「菖蒲さん!」

 

嵐は菖蒲に向かって言った。

 

「戦いは決着がついた。いろいろ思うところはあるだろうが、今は私の話を聞いてくれ!、私は身勝手と言われても構わない。貴女を斬りたくない!」

 

言いつつ嵐は周囲に気を配る。

 

ドクダヌキや、他の血車党下忍たちが、もはや戦うことが出来なくなった菖蒲に対して『血の掟による制裁』を加えてくる可能性は十分以上にあったし

 

何よりも魔神斎が突然地割れ攻撃や、先にこずえを殺した、あの黄金の矢により菖蒲に『死の制裁』をしようとしてくる危険を考えなくてはいけない。

 

だが、結果的にはそのような心配はする必要がなかった。

 

菖蒲は最後の力を振り絞って、嵐の方を向くと、キッと鋭い視線で睨み付ける。

 

その視線には、これ以上ないほどの『憎しみ』がこめられており、それは嵐には直ぐにわかった。

 

「菖蒲さんっ!!」

 

再度、彼女の名前を呼ぶ嵐。

 

だが、ついに嵐の気持ちは、菖蒲の心に届くことはなかった。

 

菖蒲は意を決したように

 

「小次郎様、菖蒲は今、貴方(あなた)のもとに参ります!」

 

と叫ぶと、次の瞬間、その歯を強く噛みしめる。

 

ウッ、と短く呻き声をあげ、そして、その可愛らしい口から血を溢れさせた。

 

菖蒲は自らの舌を噛み切ったのだ。

 

たちまち仰向けに倒れる菖蒲。

 

既に彼女は断末魔の苦悶に陥っていた。

 

「しまった!!」

 

と激しく無力感に拳を震わせる嵐。

 

なぜ、菖蒲は気を失ってくれなかったのだ‥‥

 

なぜ、貴女はそんなにも簡単に死を選ぶのだ!!

 

嵐は悔しさを滲ませる。

 

言うまでもなく、舌を噛み切った菖蒲は、もはや言葉を発することは出来ないし、その胸中を嵐が知ることもかなわない。

 

菖蒲は少しだけ痙攣し、そして、そのまま、ついに自らの意思では動かなくなった。

 

彼女は死んだのだ‥‥

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

そして

 

まるで、その様子を見計らったかのように、爆音、煙と共に骸骨丸が姿を現す。

 

骸骨丸は、変身忍者千恵に向かって火炎霧を吐き、むきになって攻撃を続けているドクダヌキに向かって声をかけた。

 

「ドクダヌキ殿っ、たかが『出来損ないの裏切者』相手に、何を熱くなっておられる!!」

 

骸骨丸のその言葉を聞いたドクダヌキはハッとしたように振り返り、冷静さを取り戻した。

 

「骸骨丸殿、口だけは達者な『出来損ないの裏切者』に惑わされ、つい取り乱してしまったわい、面目ない‥‥」

 

骸骨丸はドクダヌキが冷静さを取り戻したのを確認すると、今度は下忍たちに声をかける。

 

「下忍どもも引き上げるぞ!、江戸市内の町方たちがこちらに向かって集まり始めている。無論、そんな連中は我らの敵ではないが、今は事を荒立てたくない」

 

下忍たちは骸骨丸のその言葉を受けて、一斉に頷く。

 

「皆、我とドクダヌキ殿のまわりに集まれ、これより転移の術により移動する」

 

たちどころに下忍たちは骸骨丸とドクダヌキのまわりにあつまった。

 

骸骨丸は、隣に寄ってきたドクダヌキに小声で囁く。

 

「毒蛾くノ一に今、少しばかり説教してきたところだ。あいつはどうも非情になりきれないところがある」

 

ドクダヌキは頷く。

 

「だが、ワシはあの娘(こ)は気に入っておりますがな、何よりも可愛い」

 

「それは、私も同じだ」

 

骸骨丸はドクダヌキに向かって頷くと

 

次の瞬間には爆音と煙と共に

 

骸骨丸、ドクダヌキ、そして血車党の下忍たちは

 

全員、その場から姿を消した。

 

後に残ったのは

 

変身忍者嵐、変身忍者千恵、タツマキ、カスミ、ツムジ、そして夜叉丸

 

あとは菖蒲を含む、既に斬られて死体となった幾人かの血車党下忍たちの亡骸であった。

 

そこへ提灯を持ちながら、大勢の役人たちが集まってくる。

 

にわかに周囲も騒がしくなる。

 

「とにかく螢火さんと、他にも囚われている人がいるなら、それを救い出せなくては!」

 

真っ先に嵐は言った。

 

亡骸となった菖蒲のことは気にかかっているのだが‥‥

 

今は急ぎ行動するべき時である。

 

「嵐殿、螢火が心配だ!」

 

と、これは夜叉丸。

 

「役人の皆様への対応は、このわしとカスミにお任せくたされ。嵐殿、夜叉丸殿、千恵殿、あとツムジも」

 

タツマキは冷静さを保ちつつ

 

「早く、既に炎上をはじめている、この西屋の建物から螢火殿をはじめとする方々を救い出さねば」

 

そこまで言うと、一瞬言葉を切り、そして、こう続けた。

 

「きゃつらの今までの手口から言って、この建物を爆破する可能性も高い。いずれにしても急がねば成りませぬぞ!」

 

そのタツマキの言葉を聞き、嵐、夜叉丸、千恵、そしてツムジは素早く頷くと

 

炎上する西屋の建物の中へと突入した。

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