変身忍者嵐より 千恵(毒蛾くノ一)の異なる未来第2編・江戸での血車党との対決 作:shpfive03
同作品とキャラクター・イメージが違うと思われる方もいらっしゃると思いますけど
本作品世界の中では、朧は修羅場をくぐり抜け、伊賀と甲賀の最悪の戦いを自らの努力で止めたという設定になっています。
そのため原典にはない「強さ」が、この世界の朧には備わっています。
そうした視点で見ていただけると嬉しく思います。
既に炎に包まれ出した西屋蔵屋敷の中へと急ぐ変身忍者嵐、変身忍者嵐、そして夜叉丸とツムジの四人。
この蔵屋敷の中にある部屋に螢火と、江戸城大奥につとめる二人の女性が囚われているはずである。
だが、そこは既に人一人いない藻抜けの空となっていた。
変身忍者千恵が言った。
「確かにこの部屋に螢火さんたちが囚われていたはずです‥‥」
それに対して変身忍者嵐が手早く答える。
「いや、恐らく骸骨丸たちが別な場所に連れ去ったんだろう」
考えてみれば、血車党側からすれば当然の措置ではある。
それを聞いた夜叉丸が無力感から、思わず叫ぶ。
「ちっくしょうー!!」
夜叉丸は突っ伏し、思わず床を両手でどすんっ、と叩いていた。
「夜叉丸さん、それよりも次のことを考えようよ」
とツムジ。
「ところで螢火さんは、カスミ姉ちゃんが持っている涼風みたいなものを持っていたりしないの?」
夜叉丸は、そのツムジの言葉にキョトンとする。
「涼風、なんだ、それは?」
その疑問にはツムジではなく、千恵が答えた。
「カスミさんの持っている涼風という横笛は、それを吹くと離れた場所でもハヤテさん、嵐さんに伝わり、その居場所を教えてくれるんですよ」
「そうか‥‥、笛ではないが、あるにはある」
と夜叉丸が呟くと、ちょうど、その下あたりに白蛇がチョロチョロと姿を現した。
夜叉丸はそれを見て叫ぶ。
「
そして白蛇に向かって手を差し出す。
白蛇は嬉しそうに夜叉丸の差し出した手に寄ってくると、その手に乗ってきた。
「おう、よしよし」
夜叉丸は白蛇を撫でてあげる。
そして言った。
「先程の千恵殿が放った蛾とは異なり、この
「なら、その白蛇さんが無事なら、螢火さんも無事なんだね!」
とツムジ。
「ああ、そして
夜叉丸は決意を新たにする。
「螢火の居場所はきっと突き止めることが出来る」
「いや、安心は出来ないぞ」
と、これは変身忍者嵐。
「奴等には『転移の術』がある。血車党の拠点には大阪、堺、あるいは九州など遠い場所も少なくない。特に魔神斎が外部に向けての結界を張っている血車の郷あたりまで行かれてしまっては、この私でもどうにも出来ない」
「嵐さん」
と、これは変身忍者千恵。
「推測ですけど、螢火さんたちはそこまで遠くに転移したということはないと思います」
「そうなのか?」
と、これは変身忍者嵐。
「はい。転移の術には行使要件といわれるものがあります。その一つが一度言ったことがある場所でないと術による移動をすることが出来ないと言うものですが、もう一つは」
「えっ、それ以外にも条件があるの?」
と、これはツムジ。
「ツムジさんは知っているはずですよ」
変身忍者千恵はそう言って微笑んだ。
「転移の術で同行するものの同意なく、無制限に遠くへの移動は出来ないというものです。前にツムジさんが私と転移の術で移動した時、私はツムジさんの同意をもらいましたよね?、それはそういう意味なんです」
そうだったんだ‥‥
ツムジは今さらながら納得する。
「前にハヤテさんと、こずえさんのご遺体と共に転移の術で移動したことがありますが、あれは早川と上足柄が距離的にも近かったから出来たんです。これがご遺体ではなく、意識を失った人の場合だと、もっと大変です。ご遺体とは異なり、急に意識を取り戻して予期せぬ動きをする場合もありますからね。つまり転移に要する時間を長くとれない」
とは言うものの‥‥
「いずれにしても蛍火さんたちを急いで探し出す必要はあるな」
と変身忍者嵐。
だが、嵐はふいに危険な気配に気づいた。
「しまった!、この部屋には爆薬が仕掛けられている」
だが変身忍者千恵は予期していたかのように
「今すぐ転移の術でここから脱出します。皆さんつかまって!」
変身忍者千恵の言葉を聞き、嵐、ツムジ、夜叉丸の三人は直ぐにその体につかまった。
「
と夜叉丸が自分の腕に巻きついた白蛇に言い聞かせる。
「忍法、転移の術!」
変身忍者千恵は素早く印を結ぶ。
次の瞬間には四人の姿はこの場所から消える。
そして
西屋蔵屋敷は爆発し、炎に包まれた。
もっとも
既に江戸市中を守る火消しの部隊が、蔵屋敷の前に待ち構えていたのだが‥‥
言うまでもなく、これはタツマキの手配によるものである。
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煙と共に変身忍者千恵、嵐、ツムジ、夜叉丸の四人は、タツマキとカスミ、そして火消し部隊、集まった役人たちの前に姿を現す。
「皆さんご無事で何より」
これはタツマキ。
既に事情は集まった役人たち、火消しの衆にも話してある。
「して、螢火殿たちは?」
代表して変身忍者嵐が首を横に振る。
「そうか‥‥」
残念そうにタツマキが呟いた。
「それよりも夜叉丸さんに伝えなくてはいけないことがあります」
と、これは変身忍者千恵。
「先ほどいた毒蛾くノ一が、伊賀の組頭である藤林長門様のところに、自らの分身である毒蛾を放っています。彼女は長門様を操るつもりだと、先ほど亡くなった菖蒲さんに話していました」
「そうなのか‥‥」
夜叉丸は頷く。
「螢火さんにことも気になりますけど、先にそちらの方を対処しておかないとまずいと思います」
それを聞いてタツマキが
「とは言うものの、藤林長門殿と言えば、仮にも伊賀の上忍。いくらなんでも怪しの者の気配にさえ気づかず、そう易々と操られてしまうとは‥‥」
と疑問を述べる。
「そうよ、易々と操られてハヤテさんに斬りかかった誰かさんとは違うわ」
と、これはカスミ。
「うっせいやいっ!」
それを聞いたツムジが拗ねる。
「いずれにしても、藤林殿の屋敷に急いで行った方がいいのは間違いない」
と、変身忍者嵐。
それと合わせて
「あと、つい先日、姉上(風華)の幻術に操られそうになったカスミも人のことは言えないぞ」
とカスミを嗜める。
「あの時、タツマキは直ぐに幻術を見破っている」
カスミの顔は真っ赤になるが、例によってすぐ言い返す。
「あら、あの時はハヤテさんだって『こずえさんの声』に惑わされていたじゃない!」
「その通りだ!」
変身忍者嵐はあっさりと頷く。
「だからこそ、相手を軽く見るべ
きじゃないということだ!、ところで、それはそれとしてなんだが‥‥」
と、何か言いたそうに、先ほど自決した菖蒲の亡骸に視線を向ける。
「嵐殿、御案じめさるな」
タツマキがそれに応えた。
「とりあえず菖蒲殿のご遺体は、他の血車党下忍たちと江戸で火葬ということになりまするが、その後は清雲寺へ送り、亡き小次郎殿、こずえ殿と共にあちらでお墓を用意するよう段取りをつけるつもりでござる」
「タツマキ、ありがとう」
変身忍者嵐は感謝の言葉を述べた。
そこへ変身忍者千恵が
「転移の術さえ使えば、菖蒲さんだけでも‥‥」
と口を挟むが
「いや、他の血車党下忍たちも菖蒲さんにとっては大切な仲間だったし、一緒に弔うことが悪いとは思わない、それに」
変身忍者嵐はキッパリと言った。
「血車党は私たちを待ってはくれない。明日にでも江戸城内で騒ぎを起こすのは、もう、わかっていることだ!」
それを聞いた変身忍者千恵は無言のまま引き下がった。
そもそも『毒蛾作戦』の実行隊長は自分がなるはずだったのだ‥‥
「千恵さん、その件についてですけど」
ここでカスミが悪戯っぽくニコッと笑う。
「明日、早速千恵さんに協力してほしいことがあるの。お願いしてもいいかしら?」
変身忍者千恵は一抹の不安を感じつつも頷いた。
「私に出来ることでしたら」
「ありがとう!」
嬉しそうにいうカスミ。
「千恵さんに江戸城内をたっぷりと見てもらうから楽しみにしててね」
どうやらカスミがまた、なにか企んでるな、と気づいたものの、余計なことは変身忍者嵐は言わなかった。
「ゆくぞ!、まずは藤林殿の屋敷に。それが最優先だ」
こうして、後の処理なとの必要から、その場にはタツマキのみが残り
変身忍者嵐、変身忍者千恵、夜叉丸、そしてカスミとツムジの五人は藤林長門の屋敷へ急ぎ駆けつけることにした。
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時は少し戻って、ここは四谷にある藤林長門の旗本屋敷。
伊賀組屋敷でのハヤテ、千恵たちとの対面を終え、『螢火』、夜叉丸らの報告を受けた藤林長門は帰宅した。
明日からはまた、いろいろ考えなければいけないことが多そうだ‥‥
ただ、あの千恵というくノ一だが、螢火の報告とは裏腹に、悪意を感じるような御仁ではなかったが‥‥
自分も伊賀藤林組の多くの中忍、下忍の上に立つものとして、多少なりとも人を見る目はあるつもりだ。
そんなことを考えている長門が戸を開けると
「父上、お帰りなさいませ」
長い黒髪の清楚な雰囲気の若い女性か礼儀正しく正座して、藤林長門に向かって恭しく礼をした。
「
藤林長門は目を細める。
それこそ目の中に入れても痛くないほどの愛娘である、彼の一子、朧である。
普段は虫も殺せないほどの優しい心根の女性。
だが彼女には、他の伊賀忍者には追随できない、ある特殊能力があった。
故に伊賀忍で彼女を軽んじるものは、ただの一人もいない。
それどころか、ゆくゆくは男子のいない長門の後を継いで婿養子をとり、藤林の名跡を接ぐことが期待されていた。
だが、長門は知っている。
娘である朧の意中の人は、伊賀忍から見れば他流派にあたる甲賀忍者の次期頭領と目される甲賀弦之介であるということを。
甲賀忍者も、このご時世には他の忍軍同様、いささか左前になってきてはいるのだか
古くから国境向こう側の伊賀と友好関係を維持していた一派があり、その縁もあって
一部は公儀隠密として徳川家に仕えている者たちがいたのだ。
そして甲賀の中でも
伊賀の有力者である藤林家の家付き娘である朧と姻戚関係が出来るのを歓迎する一派と
甲賀の独立自尊を主張する一派とがあり
前者でも多数派は甲賀を背負っていく立場である甲賀弦之介が『伊賀藤林家の婿養子』となることを望んではいなかった。
父親である藤林長門としては、いささか悩ましいところでもある。
が、今はそんなことはいい。
「はい、父上より御公儀の危機との書状をいただいて直ぐ、伊賀を出発し、本日到着したところです」
「そうか‥‥」
藤林長門は頷く。
そして
「お前も最近の血車党による暴虐、非道は聞き及んでいよう」
と朧に尋ねる。
「はい」
朧は即答した。
そして
「伊賀の地にいるとよく分かりますけど、上方の方が酷い有り様ですよ。特に大阪のある摂津、堺のある和泉は血車党が随分とのさばっています。あの者たちは全国から拉致してきた人たちを南蛮の国々に奴隷として売り付けて大阪、堺の港から運び出し、それで巨利を得ています」
上方というのは、今日でいう京都、大阪、神戸などの、いわゆる近畿地方を指す。
「ううむ‥‥」
実は藤林長門もその報告は受けてはいた。
が、今は江戸定在であり、そこから見れば遠い上方のことは、今一つ実感できないところもあったのだ。
やはり伊賀忍たるもの、もっと故郷である伊賀との連絡を密にせねば
その思いを新たにする藤林長門ではあった。
「関東で血車党の勢いが今一つなのも、どちらかというと父上からの書状にもあったハヤテ様のご活躍によるところが大きく、我ら伊賀忍の貢献度は、さほど評価されていないように感じられます」
父である長門の前で、朧はハッキリと言った。
「まあ、ハヤテ殿のご活躍も、結局は百地組のタツマキらによる支えがあってこそのこととわかってはいるが‥‥」
苦々しそうに長門は言った。
「ここらで伊賀に藤林あり、というところを上様や御大老などに見せておきたいというのも正直なところではある」
「別にかまわないのではないでしょうか?」
朧は率直に疑問を口にした。
「我らは我らの仕事を地道にこなしていけばいい。それが忍びたるもののつとめではございませぬか?」
「それはその通りだが」
藤林長門も娘に対して譲らない。
「では朧は、今の血車党の暴虐、非道をハヤテ殿たちに任せて、我らは我らの仕事だけをしていればよいと思うのか?」
「そうはもうしておりませぬ」
朧は抗弁する。
「ただ、手柄争いのようなことは朧は好きではありませぬ。むしろハヤテ様たちと共同して血車党なる敵と対するのがよいと思うのです」
「お前はワシに似て頑固だな‥‥」
藤林長門は思わず苦笑すると
「まあ、そうした話はこれからゆっくりとすることにしよう。それよりも長旅で疲れただろう。今日は早く休むとよい」
そう言って娘を労うとともに、自らの屋敷にあがった。
長旅で疲れているはずの朧に家事などをさせるつもりはない。
そのために使用人も雇っているのだから。
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その晩のことである。
藤林邸の天井裏に一匹の蛾かヒラヒラと舞い込んできた。
そして蛾は藤林長門の部屋の真上にあたる天井裏に忍び込むと、そこで少しずつ大きくなりはじめる。
やがて、一匹の小さな蛾は、いつも間にか人と同じ大きさになり、頭には血の色のような真っ赤な長髪を持ち、姿も人と同様の手足を持つ『蛾人間』のような姿に変化していた。
いや、ハッキリ言おう。
その姿は血車党の化身忍者、今の血車党毒蛾くノ一の分身そのものであった。
「イーッ!、ヨーウゥゥー」
『彼女』は小声でそう叫ぶと、その羽根をヒラヒラとまたたかせる。
少しずつの鱗粉が天井の隙間を縫うようにして、寝床についている藤林長門に向けて振りかかる。
「何者だ!」
気配に気づいて飛び起きた藤林長門だが、既に鱗粉は部屋に満ちていた。
この鱗粉には催眠ガスと同等の効果があり、藤林長門は、それに少しずつ侵されていく自分を実感する。
「うう、なんの、これしきでは負けんぞ!」
強がる長門だが、もはや化身忍者毒蛾くノ一の術中にはまるのは時間の問題ともいえる。
だが、ここで思わぬ助けが入った。
「父上!、何事ですか?」
異変に気づいた朧が、構わず障子を揚げ、長門の部屋に入ってきたのだ。
そして自らの父が置かれた状況をたちまち理解した朧は直ぐに決断した。
「伊賀忍法、破幻の瞳!」
朧の両眼がキラキラと光輝く。
朧には、その目で見た他者による超常の力を問答無用で無効化してしまう強力な『破幻の瞳』の能力があった。
なぜなのかは朧自身もわからない。
が、この能力は実に強力であり、まさかと思える化身忍者毒蛾くノ一(正確にはその分身)の鱗粉攻撃でさえ、これを無効化することが出来たのである。
たちまち藤林長門は鱗粉の魔力から解放され、正気に戻る。
長門はいささか恥ずかしそうに娘に向かって言った。
「朧、面目ない!」
が、朧は父のその言葉に頷いただけで、直ぐに天井裏をキッと見上げると
「そこにいる曲者、出てきなさい!」
と大声で叫んだ。
その言葉を受けて、化身忍者毒蛾くノ一の分身が姿を現す。
「イーッ!、ヨーウゥゥー」
化身忍者毒蛾くノ一の分身が叫ぶ。
「おのれ、さては血車党の差し向けた化物か!」
と叫ぶ藤林長門を見ながら、朧は静かに言った。
「父上、申し訳ありませんけど、ここは朧に任せてください。こいつは人間ではありません。である以上」
そして朧は目の前の化身忍者の分身をキッと睨み付け、キッパリと言った。
「少なくとも今は、この私の『破幻の瞳』以外に、こいつに対抗する術はありません!」
普段は物静かな朧だが、今は目の前の『化物』に対する闘志を見せていた。
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再び朧の両目がキラキラと輝く。
化身忍者毒蛾くノ一の分身は、明らかに苦しみはじめた。
朧の必殺技『破幻の瞳』は、その瞳で直視したありとあらゆる超常の力を打ち消し、無効とするという、ほとんどあり得ないほどの強力なものである。
伊賀忍の長い歴史においても過去に例のないとされる超常能力であった。
朧自身は知るよしもなかったことだが、目の前の化身忍者の姿は別なところから遠隔操作されている『術による分身』であり、当然、『破幻の瞳』には坑するすべもないのだ。
「イーッ!、ヨーウゥゥー」
化身忍者毒蛾くノ一の分身は弱々しく断末魔の声をあげると、やがて、その姿は少しずつ透明度を増していき、ついには、その場から消えてしまった。
「消えた‥‥」
思わず呟く朧。
ここで気を取り直した藤林長門が
「朧、でかしたぞ!、これなら我ら伊賀忍も血車党の化身忍者に対して、十分に戦っていける!」
少し興奮気味の長門に対して、朧は冷静に
「いえ、あの者は単なる術による分身だったと思います。なので『破幻の瞳』の効果もありましたけど‥‥」
人間を遥かに超えた体力なども持つとされる化身忍者に、例えば直接の斬り合いなどに持ち込まれた時、どれだけ抵抗できるのだろうか?
朧がそういいかけた時である。
「長門殿、失礼する!」
と変身忍者嵐の声。
既に異変を感じ取っていた変身忍者嵐、変身忍者千恵、そして夜叉丸、カスミ、ツムジの五人が一斉に姿を現した、
が、それを聞いた朧は反射的に『破幻の瞳』を救援に来たはずの五人に対して向けてしまったのだ。
「うわあっ!」
思わず変身忍者嵐が叫ぶ。
「きゃあっ!」
変身忍者千恵も、思わず呻いた。
そして‥‥
変身忍者嵐は、そのまま元のハヤテの姿に
変身忍者千恵は、元の千恵の姿に戻ってしまったのだ。
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『破幻の瞳』による魔力の衝撃を受け、思わずその場に立ちすくむハヤテと千恵。
その様子を見てカスミとツムジは少なからぬ衝撃を受けていた。
あの無敵を誇る変身忍者嵐の変身が強制解除される!!
もっとも、既に朧の『破幻の瞳』の強力さを知っていた夜叉丸のみは驚いてはいなかったのだが‥‥
そして、ハヤテと千恵に対して
「あのう、大丈夫ですか‥‥」
と、ハヤテと千恵の二人に対して、何やら申し訳なさそうに声をかけてきたのは、他ならない朧本人であった。
これは後世でいう天然ボケであろうか‥
「いや、大丈夫だ」
まずハヤテが立ち上がる。
続いて千恵が強い不安を感じながらも
「すみません、大丈夫です。けど、これは一体?」
と、目の前の朧に対して問いかける。
千恵は一瞬、血車党の新たな術者の仕業かとさえ思ったのだが、目の前の朧を見ると、いかにも儚げな、それこそ虫も殺せないようなお嬢さんにしか見えない。
ツムジもハヤテと千恵につられてか、不安げに朧を見る。
だが、カスミは以前から朧とは過去に面識もあり、当然ながら『破幻の瞳』のことについても事前の知識はあった。
その実力を目の当たりにしたのは確かにはじめてではあるのだが‥‥
それにしても、まさか変身忍者嵐の変身さえも解除されてしまうとは。
「朧さん、江戸に来ていらしたのですね‥、お久しぶりです、カスミです」
とりあえずカスミは朧に対して挨拶をすることにした。
「カスミさん、お久しぶりです」
朧は、やや恥ずかしそうにカスミに応えた。
「カスミさん、この方は一体?」
千恵が不安を隠せないまま、カスミに尋ねる。
カスミは答えようとしたが、その前に
「私の娘だ」
やや、ぶっきらぼうに長門が言った。
そして、あらためて朧はハヤテ、千恵、夜叉丸、カスミ、ツムジの五人の前に向き合うと、やや、もじもじしながら挨拶をした。
「ハヤテ様、千恵様、ツムジ様ですね、はじめまして、そしてカスミさん、夜叉丸、しばらくぶりです」
そして朧は
「私が藤林長門の長女、朧です」
そこまで言うと五人の前で深々と頭を下げた。
それに対して、まず夜叉丸が
「長門様、そして朧様、不躾ではありますが、いくつか御報告させていただきたいことかございます」
と礼をした上で、前に進み出る。
「はい」
朧はそう答えた。
長門も夜叉丸の表情のただならない様子に気がつく。
「夜叉丸、なにかあったのか?」
夜叉丸は唇を噛み締めつつ、静かに伝えることにした。
「先ほど伊賀組屋敷で私たちと一緒にいたあの螢火は偽物でした、そして本物の螢火は血車党に囚われています」
「何だと!」
気色ばむ藤林長門。
「螢火は無事なのですか?」
朧が不安げに夜叉丸に問いかける。
「
夜叉丸はつとめて冷静にそう答える。
そして夜叉丸は
先の『螢火』の様子を不審に思った自分が密かに彼女を尾行したところから話をはじめ
そこで同じ目的で現れたハヤテと出会ったこと、そして
西屋での血車党との戦い、そして、ここに駆けつけるまでのおおよその事情を
藤林長門と、そして自身の直属の上司である朧に報告した。