変身忍者嵐より 千恵(毒蛾くノ一)の異なる未来第2編・江戸での血車党との対決 作:shpfive03
変身忍者千恵と剣による打ち合いをはじめようとしていた化身忍者毒蛾くノ一は、その場に現れた変身忍者嵐とカスミの姿を見て
「ハハッ、変身忍者嵐っ!、来たね。ちょうどいい、『出来損ないの裏切者』もろともに、ここで決着をつけてやる!」
と大胆不敵に笑いながら、嵐とカスミの方をキッと見る。
嵐はその化身忍者毒蛾くノ一の視線を真っ向から受け止めると
「前にも言ったが、バカなことを言うのは止めるんだ、
と叫ぶ。
化身忍者毒蛾くノ一は、それを聞いて
「クッ、クックックッ!」
と、いかにも可笑しそうに笑う。
「何がおかしいの、楓ちゃん!!」
今度はカスミが叫ぶ。
それを聞いた化身忍者毒蛾くノ一は面白そうに
「ほう、カスミ。ということは、お前は嵐から『私の正体』について、もう聞いたんだね?」
と、今度はカスミに向かって問いかける。
「ええ、聞いたわよ!、信じられなかった…、でも、やっぱり、そうなのね……」
カスミは辛さを心に押し殺したような表情で答える。
「そうさ!」
化身忍者毒蛾くノ一は憎々しげな口調でカスミに向かって言う。
「私は心のどこかで、ずっと、恵まれた立場のお前を嫉妬していた。それにハッキリ気づいたのは骸骨丸様と出会ってからだけどね!」
カスミは、その化身忍者毒蛾くノ一の言葉に、見た目にも明らかなショックを受けていた。
一方で嵐は、その化身忍者毒蛾くノ一がカスミに向かって放った言葉を聞きながら
かつての竹馬の友、山彦小次郎が、自ら『化身忍者、死人ふくろう』となり、ハヤテ、つまり自分に挑んできた時のことを否応なく思い出さざるを得なかった。
『俺は貴様を憎んでいた。腕は互角でも身分が違っていた!』
ハヤテに剣を向けてきた山彦小次郎、いや、化身忍者死人ふくろうの言葉を、嵐は昨日のことのように思い出す。
もしかしたら、血車党の化身忍者となったものは、自らの些細な心の綻びを悪意により拡大され、別な人格に『改造』されてしまうのだろうか?
だが、そうだとしたら
千恵さんは?
嵐の思考は、そこで中断された。
化身忍者毒蛾くノ一は、変身忍者千恵の分身である毒蛾たちの鱗粉攻撃に四苦八苦している血車党くノ一菊と桐、それに下忍二人を叱咤する。
「菊っ!、桐っ!、お前たちっ!、何をしているんだ!!、そんなものくらい自分たちの力で切り抜けろ!、そのくらいの実力はお前たちには十分具わっているはずだ!」
いち早く菊が反応した。
「はっ!、毒蛾くノ一様、もうしわけありません」
言うなり、自らの剣を大きく振り上げると、自分たちを取り囲む毒蛾たちを次々と斬り捨てる。
続いて桐も
「やあーっ!」
と自分の剣をジグザグに動かし、ザクッ、ザクッ、と素早い動きで毒蛾たちを斬る。
下忍たちも負けじと剣を振り回し
無数で襲いかかってきたかに見えた変身忍者千恵の放った毒蛾たちを、すべて片付けてしまった。
よほと、自らの主である化身忍者毒蛾くノ一の叱咤が効いたと見える。
これには嵐も驚く他なかった。
この化身忍者は、部下たちを本当に心服させているようだ。
今まで自分が対戦してきた化身忍者の中に、このような者はいたのだろうか?
「お前たちは『出来損ないの裏切者』を殺れ!、変身忍者嵐は、この私が直々に片付ける!!」
化身忍者毒蛾くノ一はそう叫ぶと
「血車忍法、毒蛾乱舞!!」
と印を切り、またしても両手を大きく上に伸ばす。
そして、化身忍者毒蛾くノ一のまわりに再び大量の大きな毒蛾たちが集まり、やはり群体をなす。
「行けっ、嵐とカスミを殺れ!」
毒蛾たちは
ぶわあぁぁぁぁぁっ!!!
と大軍で変身忍者嵐と、その横にいるカスミに向かって襲いかかる。
「言っておくが、この毒蛾たちの撒き散らす鱗粉は『七色の狂い毒粉』の成分そのものだぞ!」
化身忍者毒蛾くノ一のその言葉を聞いて思わず嵐とカスミはハッとなった。
なら、先ほど変身忍者千恵が血車党下忍たちに向かって放った毒蛾たちは??
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変身忍者千恵はそれを見て、咄嗟に
「嵐さんっ!、早く旋風斬りで、あいつの放った毒蛾たちを片付けてください!、鱗粉攻撃の前なら『毒の害』は防ぐことが出来ます!」
と叫んでいた。
そう、だからこそ変身忍者千恵は、化身忍者毒蛾くノ一が放った毒蛾たちを直ぐにでも『必殺の十字斬り』で斬り捨て、その『毒害』を、あらかじめ防ぐ必要があったのだ。
実は、変身忍者千恵も、自らの放つ毒蛾たちの鱗粉攻撃で、七色の狂い毒粉を放つのと同じ効果を持つ攻撃を仕掛けることが、今でも能力的には出来る。
が、この城内の密閉された空間でそんなことをしようものなら、この場にいる大奥女中の皆さんに、どのような被害が出るか、たやすく想像はつく。
だからこそ変身忍者千恵は、あえて自らの放った毒蛾たちに鱗粉攻撃をさせたときにも、制限をかけ、毒粉を使わせなかったのだ。
どうやら化身忍者毒蛾くノ一は、それに気づいていたようではあるが……
「たあっ!!」
変身忍者嵐は大きく跳躍すると、自らの持つ剣を右に大きく旋風回転させる。
「嵐、旋風斬りいっ!!」
変身忍者嵐の旋風斬りは、それこそあっという間に化身忍者毒蛾くノ一の放った毒蛾たちを斬り、散らしていく。
あっという間の勢いだった。
その間にカスミは、目の前の化身忍者毒蛾くノ一に向かい合うと、それをキッと睨み付けた。
「伊賀の『抜け忍』楓っ!、お前を伊賀の掟『抜け忍成敗』により、私、カスミが、この場で斬るっ!」
カスミは意を決したように叫ぶ。
彼女の脳裏には、以前の楓とのさまざまな思い出が蘇っていた。
だがカスミは、その思い出を、あえて振り払ったのだ!
「ハハハ、カスミっ、何をバカなことを言っているんだ?」
カスミの血を吐くような思いを込めた叫びを、化身忍者毒蛾くノ一は嘲笑する。
「お前の忍術なんて、所詮は『お嬢さま芸』もいいところじゃないか!、仮にも化身忍者である、この私に、お前ごときが実力で敵うと思うのかい?」
「やってみなければわからないわ!!」
カスミは叫び、そして剣を構えた。
そこへ、二人の間に毒蛾たちを片付けた変身忍者嵐が、スタッと舞い降りる。
「よせっ、カスミ!、これは私の仕事だ!、私がやる」
思わず、そのように叫んだ変身忍者嵐に、だが、カスミは、あえて言った。
「ハヤテさん!、貴方に『女子供』が斬れるんですか?」
そのカスミの言葉を聞き、一瞬、グッと言葉につまる嵐。
「女子供である私になら、あの化身忍者は斬れます!」
キッパリとカスミは、嵐に向かって、そう、言い切ったのだ。
その様子を見た変身忍者千恵は
「カスミさん、なら、私が!」
と叫んだが
「でりゃあぁぁぁー!、」
次の瞬間、菊が変身忍者千恵にむかって斬りかかってきた。
変身忍者千恵は、それを素早くかわしたものの
単なる『人』とは思えない、菊の鋭い剣撃に、思わず変身忍者千恵も舌を巻かざるを得なかった。
「おっと、『出来損ないの裏切者』!、この私も忘れてもらっちゃあ困るよ!」
今度は桐が斬りかかってくる。
血車党下忍たち二人も剣を抜き、変身忍者千恵を、菊、桐と共に取り囲む。
「包囲攻撃だ。バカな話だが、敵は必殺技のはずの『七色の狂い毒粉』を遠慮して使えないでいる。四対一なら、お前たちの実力なら、十分に勝機はあるはずだ!」
化身忍者毒蛾くノ一が、四人の血車党下忍に向かって号令をかける。
一方
「やあっ!」
抜刀し、化身忍者毒蛾くノ一に向かっていこうとするカスミを、しかし、変身忍者嵐は力強く押し止めた。
「ハヤテさん!」
「言っただろう、カスミ。これは私の仕事だっ!、お前は多勢に無勢の千恵さんを援護してあげてくれ!」
そう言って嵐は、カスミの体を血車党下忍たちと戦う変身忍者千恵の方向へ、無理矢理向けさせると、今度は
「こいっ、化身忍者。この私、変身忍者嵐が相手だ!」
目の前の化身忍者毒蛾くノ一に向かって叫んだ。
「望むところさ、血車党の敵、変身忍者嵐め。この私がお前を斬って、その名を挙げてやる!」
不敵に化身忍者毒蛾くノ一は言うと、その剣を構え、変身忍者嵐と向き合った。
対決である。
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変身忍者嵐は剣を振り上げると一気に跳躍し
「たあっ!!」
と一気に化身忍者毒蛾くノ一に向かって斬りかかる。
一方で化身忍者毒蛾くノ一の方もこれを自らの剣で受けて立つ。
「イーッ!、ヨーウゥゥー!!」
化身忍者毒蛾くノ一が叫ぶ。
バキィーッッッン!!
驚いたことに、全力で斬りかかってきた嵐の剣撃を、化身忍者毒蛾くノ一は、自らの、その剣で見事に打ち返したのた。
剣と剣が熱い火花を散らし、変身忍者嵐、化身忍者毒蛾くノ一の双方が、それぞれ飛び退く。
嵐は思わず、ふうっと息を吐いた。
この化身忍者の剣技は尋常ではない。
そして化身忍者毒蛾くノ一の方も嵐と同じことを感じたのか
「イーッ!、ヨーウゥゥー」
と叫ぶと
「さすがは変身忍者嵐、剣の実力はななかのものね!」
と、嵐の剣の実力は率直に認める。
一方
その化身忍者毒蛾くノ一に斬りかかろうとしながら、無理矢理嵐に押し止められ、変身忍者千恵と血車党くノ一たちと斬り合っている方向へと体を向けさせられたカスミは当惑していた。
血車党くノ一菊と桐、それに血車党男性下忍二名の、計四人が見事なコンビネーションで、変身忍者千恵を取り囲み、素早い動きで回りながら走る。
そして、それぞれが巧みに飛びかかっては、また飛び退き、変身忍者千恵を疲れさせ、弱らせようとする。
カスミが変身忍者千恵の援護にまわろうにも
血車党男女の下忍たちの回りながらの変身忍者千恵に対する波状攻撃に、斬り込む隙が見いだせない。
この状況下で自分に出来ることといったら…
カスミが考えていた時である。
化身忍者毒蛾くノ一がじれったくなったのか、菊、桐、血車党男性下忍たちに向かって激を飛ばす。
「みんな、何をしている!、たかが『出来損ないの裏切者』くらい、さっさと片付けてしまえ!」
その瞬間、カスミは化身忍者毒蛾くノ一に向かって叫んでいた。
「出来損ないの裏切者って、それって、楓ちゃん、あなたのことじゃないの!!」
その瞬間、化身忍者毒蛾くノ一の動きが止まった。
「イーッ!、ヨーウゥゥー」
と叫んだ後に
「カスミっ!、貴様あっ!!!」
カスミに対する激しい怒りを言葉にする。
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もっとも、そのカスミの言葉で変身忍者嵐の動きも止まってしまったのだが…
「カスミ、よせ!」
カスミが何をしようとしたのか察しがついた嵐は、慌てて彼女を止めようとする。
が、もう遅い。
だいいちカスミはそんなことで黙ったりしない。
「楓ちゃん、あなた、少なくとも『伊賀忍者だった』ことは間違いないわよね?」
カスミが叫ぶ。
「何を今さら!」
化身忍者毒蛾くノ一が、カスミのその言葉に対して怒りに声を震わせる。
が、カスミも口では負けていない。
「だったら、あなたは『私たち伊賀忍者』から見れば、『出来損ないの裏切者』そのものよ!、少なくとも、そんなあなたに千恵さんのことを罵る資格なんかない!!」
このカスミの言葉に化身忍者毒蛾くノ一は激怒する。
いわば、堪忍袋の緒が切れた、と言うところだろう。
「イーッ!、ヨーウゥゥー」
化身忍者毒蛾くノ一は叫ぶと
「カスミ、おまえはどうあっても死にたいようだな!」
と強烈な殺気を込めた声でカスミに向かって言う。
そして
『血車忍法、毒蛾分身!』
と高らかに言うと、素早く印を切る。
そして、その手から一匹の毒蛾を取り出すと、それを放った。
放たれた毒蛾はみるみるうちに大きくなり、そして姿を変える。
あっという間に、その毒蛾は、もう一人の化身忍者毒蛾くノ一に姿を変えていた。
「私の分身だ!」
化身忍者毒蛾くノ一はカスミに向かって言う。
「この分身は、私とほぼ、同等の攻撃力を持っている。どうやらカスミは、どうしても私と戦いたいようだから、せめて分身と戦わせてやるよ、感謝しな!」
実際、化身忍者毒蛾くノ一と、その分身が並んだ、その姿は
二人の化身忍者毒蛾くノ一がいるようにしか見えない。
「行けっ、カスミごとき、さっさと片付けろ!」
化身忍者毒蛾くノ一が分身に向かって命令する。
「イーッ!、ヨーウゥゥー!!」
毒蛾くノ一の分身はそのように叫ぶと、大きく剣を振り上げ、カスミに向かって襲いかかろうとする。
その様子を見た変身忍者嵐は慌てて飛び上がると、カスミを庇うようにして、その前に立つ。
そして
「秘剣影うつし!」
と叫び、その手に持つ剣、速風を縦に持ち、構えた。
影うつしは言わずと知れた嵐の必殺技であり、愛刀「速風」の刀身に敵の影を映し、間合いをはかって敵に光を浴びせ、タイミングを狂わせて斬る技である。
嵐の構えた刀身に『二人の』化身忍者毒蛾くノ一の影が写り、そして、それは光と共に反射した。
が、様子がおかしい。
そもそも化身忍者毒蛾くノ一に限らず、単なる分身であれば、その姿は「速風」の刀身に映らないはずなのだ。
にもかかわらず「速風」の刀身には『二人の化身忍者毒蛾くノ一』が映っている。
「気づいたようだな、嵐!」
化身忍者毒蛾くノ一が勝ち誇ったように言う。
「この分身は、私の毒蛾を急成長させたものであって幻術ではない。だから「実体」があるのさ。そして!」
化身忍者毒蛾くノ一の本体はいつのまにか手鏡を、その手に持っていた。
「この風華様よりいただいた『特製の手鏡』はなっ!」
そういって化身忍者毒蛾くノ一は、その手鏡をかざした。
「秘剣影うつしによって発せられた影と光の攻撃も反射して、跳ね返すことができるのさ!」
化身忍者毒蛾くノ一のかざす手鏡がキラリッ、と輝いた。
「うわっ!」
と嵐。
「きゃっ!!」
とカスミ。
影と光の目映さは、そのまま変身忍者嵐と、その後ろにいたカスミを幻惑し、その眩しさで動きを止めてしまう。
「まずカスミっ、お前から叩き斬ってやる!」
手鏡をかざした化身忍者毒蛾くノ一がそういうと、すぐ横にいた化身忍者毒蛾くノ一の分身は、その剣を大きく振り上げると、そのまま飛び上がった。
そのまま一直線にカスミを叩き斬るつもりだ。
だが、変身忍者嵐は咄嗟にカスミを守る。
「嵐、無刀取りぃっ!」
変身忍者嵐は、見事に化身忍者毒蛾くノ一の分身からの剣を真剣白刃取りしたのだ。
「イーッ!、ヨーウゥゥー」
悲鳴をあげる化身忍者毒蛾くノ一の分身。
だが嵐は化身忍者毒蛾くノ一の分身の持った剣を両手で見事に挟み込むと、そのまま、ぶんっ、とその体を放り投げたのだ。
嵐の真剣白刃取りに剣を奪われた化身忍者毒蛾くノ一の分身は思わず転倒する。
それを見て、手鏡を持ったままの化身忍者毒蛾くノ一本体は叫んだ。
「くそっ、嵐め!」
そこへ、思わぬ乱入者が入ってきた。
「伊賀忍『藤林組』、朧、只今参上!」
「同じく夜叉丸、見参っ!」
この部屋の入り口に立っていたのは
先ほどまで中奥近くにいたはずの
伊賀忍者、朧と夜叉丸だったのだ。
が、化身忍者毒蛾くノ一は鼻で笑う。
「ふんっ、雑魚二人が加勢のつもりかい!、笑わせてくれるね」
「それはどうでしょう?」
それを受け止めた朧が、そう答えた。
「雑魚かどうかは、これから嫌でも分からせてやるさ、『伊賀の裏切者、楓殿』っ!」
夜叉丸もそう言うと、早速、戦闘体勢に入る。