※この作品はR-18です。

変身忍者嵐より 千恵(毒蛾くノ一)の異なる未来第2編・江戸での血車党との対決   作:shpfive03

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バジリスク~甲賀忍法帖~に登場したくノ一螢火が公儀隠密として血車党と戦い、捕まるエピソードです。

この先の話では夜叉丸、そして朧も登場します。

バジリスク~甲賀忍法帖~ファンの方にも読んでもらえると嬉しいです。




その頃、江戸では、その一・螢火捕まる、そして血車忍法「顔盗みの秘術」

変身忍者嵐、変身忍者千恵、そしてタツマキたち伊賀忍者と、血車党の人喰いカラスひきいる再生化身忍者たちと、下忍たちとの相模川岸での大決戦が行われたのと同じ頃

 

江戸でも異変は起きていた。

 

が、時は少し戻る

 

早朝に娘の千秋に密書を持たせ、タツマキたちがいるであろう相模川西岸の馬入の代官所へ出発させた百地源太夫は、早速、昨晩の火災で焼け落ちた四ッ谷の伊賀忍者組屋敷に出仕する。

 

既に服部正龍、藤林長門の二人は伊賀組屋敷の方には到着していた。

 

とはいえ『屋敷』ではなく、その焼け落ちた後に何人もの人が集まっている状態ではあるのだが‥‥

 

現在、とりあえず仮設の小屋が急ぎ造られているところである。

 

「源太夫殿、遅いではないか!」

 

と藤林長門。

 

「いや、申し訳ござらぬ」

 

まさか出発する娘を見送っていたとも言えない源太夫は、素直に頭を下げた。

 

「既に我が方では螢火を呼び寄せた。今、江戸市中にて血車党の手引きをしたと思われる肥前の商人、西屋の清兵衛を当たらせている」

 

源太夫は、自分の心配が杞憂ではないことを知った。

 

が、それは口には出さない。

 

「螢火殿か、では、夜叉丸殿も一緒に?」

 

と、源太夫は、さりげなく長門に聞く。

 

伊賀藤林の中忍である蛇使いの螢火と、黒縄の夜叉丸が公然たる相思相愛の仲であることは百地源太夫も知るところである。

 

「生憎と夜叉丸は、今のところ別なお役目についておる。が、これも近々江戸に呼び寄せるつもりだ。血車党なる大敵に対抗するには、我ら伊賀の精鋭をもってすべし。百地殿も、それはお分かりではないのかな?」

 

百地源太夫は少し思案するふりをした。

 

「なるほど。それは道理かもしれぬ。が、それはそれとして

 

タツマキ殿の江戸到着を待ち、あらためて血車党対策を行うのは我ら三家の合意だったはずではないのかな?」

 

藤林長門は苦虫を噛み潰したような顔で答える。

 

「勿論、それは上様、大老のお声掛かりでもあること故、理解はしておる。

 

が、こうしている間にも血車党の一味は動いているはず。江戸を守るは本来、我ら伊賀組の『お役目』。タツマキ殿の報告は今後に必要としても、たかが『血車党の抜け忍』二人に過度の期待をするのはいかがなものかな?」

 

ここで服部正龍が

 

「源太夫殿」

 

と割り込んだ。

 

「我が服部の方でも、先ずは肥前の商人、西屋を洗い出すべしとの藤林殿に加勢すべしとの見地から、忍兵衛をはじめとする数名の手練れを選抜し、そちらに向かわせておるところ」

 

勝手なことを!

 

百地源太夫と藤林長門は、それぞれ別な意味で、そう思いながら服部を見る。

 

が、正龍は澄ました顔で

 

「こういう時にこそ、我ら伊賀の一致結束が求められる時。その見地から助勢することにしたまで」

 

と言いきる。

 

無論、内心は

 

藤林に手柄は独り占めさせないぞ!

 

である。

 

そして源太夫は、そんな二人の様子を見ながら

 

下知する立場のこの二人はともかく

 

実際に向かった連中が酷い目にあわなければいいのだが?

 

と密かに案じてしまった。

 

血車党がその程度であるなら、はじめから、誰も苦労はしないのだ。

 

が、源太夫は意地悪く

 

まずはお手並み拝見、と二人の上忍を冷ややかに見ていた。

 

二人の大きな失点は

 

自分の得点でもあるのは間違いないのだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ここは肥前の商人、西屋の江戸での店舗である。

 

西国からの物産を多く扱う西屋の蔵屋敷は多くの荷馬車、荷車、大八車などが頻繁に出入りし、大変な活気に満ちていた。

 

その西屋のすぐ側の路地裏で、紫の頭巾を被った辻占いの女が、白い布のかかった小さな机の前に座って客待ちをしている。

 

その辻占いの女に声をかけたものがいる。

 

「お願いしましょうか?」

 

いかにも町娘といった風情の女性だが、いささか瞳の眼光がキツすぎるようにも見える。

 

「何を占いましょうか?」

 

その女性に、辻占いの女が訪ねると

 

「そうね、将来の運、不運とか?」

 

と町娘風の女性の方も答える。

 

辻占いの女はそれを聞くと、手に歌留多を持ち、それを差し出す。

 

町娘風の女性は、その一枚を引き、辻占いの女に見せる。

 

「おや?、悪い歌留多が出ましたね!」

 

次の瞬間、町娘風の女の懐から短剣が取り出された。

 

そして彼女は、辻占いの女に襲いかかる。

 

辻占いの女も、机の下からいきなり剣を取り出すと、それを持って、素早く反撃に出る。

 

町娘風の女は、それを避けると大きくジャンプし、そして着地した時には彼女の姿は

 

総髪を後ろ髪に纏め、黒い忍び装束に、黒の手甲、脚絆という、血車党くノ一の姿に変わっていた。

 

「何者!」

 

辻占いの女が大音声で、彼女に問う。

 

彼女は答えた。

 

「血車党くノ一、菖蒲(あやめ)!、お前は?」

 

辻占いの女も答える。

 

「伊賀藤林組くノ一、蛇使いの螢火!」

 

そして彼女も占い師の服装を投げ捨て、黒の忍び装束姿に変わる。

 

彼女の背後から、トレードマークの白蛇がチロチロと舌を出しながら姿を覗かせている。

 

「やはり伊賀忍者だったのね!」

 

と菖蒲が鋭い口調で、螢火に向かって言う。

 

「ええ!、この西屋が血車党と関係しているとの情報があり、ここで見張っていたのよ。随分と早く引っかかってくれたのね」

 

と螢火が笑う。

 

「ほら、町の人が見てるわよ!」

 

が、それを聞いた菖蒲は薄ら笑いを浮かべた。

 

「町の人だって?、よく見てみな!」

 

それを聞いた螢火が

 

「えっ?」

 

という。

 

いつのまにか周囲は真っ暗で、町の人の姿も見えない。

 

「ハハハ、血車忍法『闇夜呼び』!」

 

いつのまにか、この周囲には結界が張られ、周囲から見えなくされてしまっていたのだ。

 

恐るべき相手、と螢火は臍を噛みつつ、身構える。

 

「お前が話に聞く『化身忍者』という奴か?」

 

菖蒲は笑う。

 

「いや、それは私ではない。この結界を張ったのも、私の主だ!」

 

言いつつ、菖蒲は剣を構える。

 

「私は主から、お前を殺せとは命じられていない。捕らえよと言われている」

 

螢火も身構えると

 

「伊賀忍法、蝶乱舞!!」

 

と叫ぶ。

 

たちまち螢火の背後から無数の蝶が現れ、それが菖蒲に向かって襲いかかる。

 

が、菖蒲は平然としていた。

 

「この結界の前では、お前のそんな幻術は通用しないよ!」

 

そう言うと、菖蒲はその持つ剣を縦横無尽に大きく振り回す。

 

まるで変身忍者嵐の『旋風斬り』であるかのように‥‥

 

たちまち『蝶乱舞』はかき消されてしまった。

 

螢火はそれを見て心底からの恐怖感をおぼえた。

 

想像を超えた強敵だ!

 

菖蒲は、そんな螢火の様子を見てニヤニヤする。

 

「お前は伊賀忍の中では使い手かも知れないが、その程度では、この私にさえ通用しないよ!、ましてや我が主になど敵うはずもなかろう」

 

破れかぶれになった螢火は剣を振り上げると、そのまま菖蒲に向けて斬りかかる。

 

「やあっ!」

 

が、菖蒲はあっさりとかわすと、その剣で螢火を倒した。

 

気を失って倒れる螢火。

 

「刀背打ちよ!、それにしてもあっけないこと」

 

むしろ菖蒲は拍子抜けしたようだ。

 

「この程度で我が血車党に楯突こうなど、話にならぬ」

 

その間に『闇夜呼び』は解除された。

 

蔵屋敷の中から数人の屈強の男たちが出てくる。

 

使用人風の服装をしているが、勿論、その正体は血車党の下忍たちである。

 

菖蒲はその場に倒れている螢火を指差して『下忍たち』に指示をした。

 

「こいつを中に運び込み、我が主、毒蛾くノ一様のもとへ連れていけ!」

 

菖蒲は一応、下忍という立場ではあるものの、その中ではリーダー的な存在として周囲からも認められており、そのような指示も、しばしば他の下忍たちに行っていた。

 

使用人風の服装をした血車党の下忍たちは、菖蒲の指示に従い、螢火を担ぐと

 

そのまま彼女と共に蔵屋敷の中に姿を消した。

 

そして菖蒲も蔵屋敷の中に入り

 

この周囲は何事もなかったかのように静まり返った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

忍兵衛たち、五人の服部組伊賀忍者が西屋蔵屋敷の前に駆けつけた時、その近くの場所で辻占いの女に扮して、ここを見張っていたはずのくノ一螢火の姿はどこにも見当たらなかった。

 

「螢火がいないぞ!」

 

と叫ぶ忍兵衛。

 

他の四人も周囲を見渡しながら、様子をうかがう。

 

そこへ

 

フッフッフッフッ、と彼らを嘲笑するような笑みを浮かべながら、総髪を後ろ髪でまとめ、黒の手甲に、黒の脚絆、そして草履、黒色で半袖の忍び装束に身を包んだ三人の女が姿を現した。

 

「何者だ!」

 

詰問するかのように鋭い口調でいう忍兵衛。

 

一番前にいた女から名乗りをあげた。

 

「血車党くノ一、菊!」

 

そして、続く二人も

 

「同じく牡丹!」

 

「同じく桐!」

 

と、それぞれに名乗りをあげた。

 

そして三人は剣を抜く。

 

「ほう?、白昼堂々と、我ら五人の伊賀忍者と斬り合おうとは、女(おなご)の身でいい度胸だな!」

 

忍兵衛はそのように言うと、他の四人に手で合図をする。

 

他の四人の伊賀忍者も一斉に剣を抜き、構えた。

 

「白昼堂々だって?」

 

今度は牡丹が嘲笑する。

 

「お前たちは周りが見えないようだね!」

 

と、これは桐。

 

「なにっ、」

 

忍兵衛たちが周囲を見渡すと、いつの間にか、この場は闇に包まれている。

 

「血車忍法、闇夜呼び!」

 

今度は菊が

 

「夜目がきく我らならいざ知らず、伊賀忍者が、この闇の中で、どれだけ戦えるのか、お手並み拝見といきましょうか」

 

と言って笑う。

 

「うるさい!」

 

伊賀忍者の一人が、その菊に向かって斬りかかる。

 

が、菊は素早く相手の剣を打ち返し、そのまま払い落とすと、そのままバサッ!、と彼を叩き斬った。

 

派手に鮮血を出しながら、彼はその場にドウッと崩れ落ちるように倒れる。

 

この女、強い!

 

忍兵衛たち四人は緊張感と共に、あらためて身構えた。

 

「何と歯応えのないこと、伊賀忍者というのはこの程度の腕でもやっていけるのか!」

 

上から目線で見下したように菊が、忍兵衛たち四人を挑発する。

 

「お前たちが、話に聞く『化身忍者』という奴か!」

 

剣を構えながら忍兵衛がいう。

 

さすがに震えが止まらない。

 

「フッ、そうね、私もいつかはそう呼ばれるようになりたいと思うわ」

 

菊が笑う。

 

「でも、残念ながら違う。私たち三人は、その化身忍者に仕える身。この私たちにさえ敵わないなら、そんなお前たちが血車党に楯突くなど、片腹痛いもいいとこだわ!」

 

「うるさい、黙れ!」

 

忍兵衛のそばにいたもう一人の伊賀忍者が菊に斬りかかろうとするが、忍兵衛は、それを手で制した。

 

「忍兵衛殿!」

 

忍兵衛は首を振り、そして言った。

 

「挑発に乗ってはならぬ!、こ奴らは確かに強い」

 

その上で忍兵衛は、あらためて三人のくノ一に向かって問う。

 

「ここに我らの仲間のくノ一がいたはず。その者は、もうお前らに始末されてしまったのか?」

 

菊は薄ら笑いを浮かべる。

 

「その女は、先に我らの仲間が捕らえ、私たちの主、毒蛾くノ一様のところへ連れていった。その女についてなら『殺すな!』との命が毒蛾くノ一様からあったがゆえ。我らは主の命令には従う」

 

そして、その言葉を引き継ぐように牡丹が

 

「だが、お前たちに関しては、我らはそのような命はうけていない」

 

と続け

 

「である以上、我らがお前たちを殲滅する」

 

と桐が締め括った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「行くぞ!」

 

菊の号令のもと、牡丹、桐の血車党くノ一三人で忍兵衛たち四人の伊賀忍者たちに斬りかかる。

 

「何を小癪な!」

 

伊賀忍者たちも反撃するものの、残念ながら実力差は明らかであった。

 

たちまち仲間の三人が斬られ、残ったのは忍兵衛だけである。

 

「おのれ!」

 

忍兵衛は剣を構え、抵抗の意思を明らかにし続けるものの、このままでは三人のくノ一のいずれかに斬られてしまうのは、どうやら明らかであった。

 

が、ここで

 

「久しぶりね、忍兵衛さん」

 

と、ふいに声をかけてきたものがいる。

 

その人物は、この闇夜呼びによる結界に覆われたはずの闇の中に、事も無げに姿を現したのだ。

 

総髪を後ろ髪に纏め、赤い着物を着た美しい少女が、忍兵衛の目の前に立った。

 

その彼女は、少女とは言え、十分な威圧感を感じさせる。

 

「毒蛾くノ一様!」

 

三人のくノ一は剣を引くと、皆、恭しく一礼する。

 

たった今、現れた彼女が三人のくノ一の主だというのは明らかである。

 

 

そして忍兵衛は、目の前の彼女に見覚えがあった。

 

手を震わせながら、その指で彼女を指す。

 

「お前は楓ではないか!、北九州の有馬にいるはずのお前が、なぜ、こんなところに?」

 

少女、いや楓は、目の前の忍兵衛を小バカにするような笑みを浮かべた。

 

「それは勿論、今の私が血車党のくノ一だからよ」

 

事も無げにいう楓に、忍兵衛は怒りで声を震わせる。

 

「裏切者め!、貴様、伊賀の掟を忘れたのか!」

 

楓は笑いながら答えた。

 

「ハハハッ、『伊賀の掟』ねえ」

 

そして

 

「血車党にも『血の掟』はあるけど、結局、伊賀忍だって、そこは変わらないわよね。『裏切者』は死ね!」

 

と言うと楓は

 

「化身!、毒蛾くノ一!」

 

と叫んで、いったん両手をクロスさせた後、大きく上に回し、再びクロスさせる。

 

楓の姿が揺れ動いたかと思うと、次の瞬間には

 

「イーッ!、ヨーウゥゥー!」

 

という、不気味な叫び声とともに、楓の姿は

 

血のように真っ赤な長髪を持ち、紅色の模様が入った白い翼を広げた、紅の触覚と、青い目の複眼を持つ、毒蛾の姿をした化身忍者、『毒蛾くノ一』に『化身』していた。

 

「伊賀くノ一、上月楓は過去の名前、今の私は血車党化身忍者、毒蛾くノ一!」

 

誇らしげに『化身忍者毒蛾くノ一』は、忍兵衛に向かっていい放つ。

 

「お、おのれ!、化物!」

 

忍兵衛は剣を構えると、思いきって目の前の化身忍者毒蛾くノ一に斬りかかった。

 

「今の私の姿を見た以上、あなたは終わりよ!」

 

化身忍者毒蛾くノ一は言うと、その口から含み針を放つ。

 

それは、たちまち忍兵衛の心臓に突き刺さった。

 

「ああっ、ううっ‥‥」

 

辛うじて悲鳴らしきものを呟くと、絶命した忍兵衛は、その場にドサッと倒れる。

 

「あっけないものよね」

 

と化身忍者毒蛾くノ一は言うと、目の前の三人のくノ一に礼をいう。

 

「菊、牡丹、桐、ありがとう!、『こいつらの片付け』の方は他の下忍たちに任せて、私たちは中に戻りましょう」

 

菊、牡丹、桐は毒蛾くノ一に対して

 

「ははっ!」

 

と、あらためて恭しく一礼する。

 

そして四人は、伊賀忍者五人の死体をその場に残して

 

蔵屋敷の中に入っていった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

西屋蔵屋敷の奥に、その部屋はあった。

 

そこには、先に菖蒲と戦って敗れ、今は囚われのみとなった伊賀くノ一螢火が、椅子の上に縛られた状態で、自分を捕らえた菖蒲に見張られ、身動きも出来ないまま、悔しそうに待っていた。

 

「イーッ!、ヨーウゥゥー!」

 

化身忍者毒蛾くノ一は、その縛られたままの螢火に向かって

 

「あなたを助けに来たらしき、五人の伊賀忍者たちは全員始末したわ!」

 

と、冷酷に告げる。

 

「まさか!、夜叉丸まで!」

 

螢火の顔は真っ青になる。

 

「いいえ、来ていたのは服部組の下忍たちだったけどね」

 

化身忍者毒蛾くノ一はいう。

 

実は、まだ、彼女は目の前の螢火に対して、『上月楓』としての自分の姿は見せていない。

 

服部組の下忍たち?

 

なぜ、この化身忍者はそんなことを知っている‥‥

 

螢火は怪訝に思ったが、それは口には出さなず、あくまで強気にいい放った。

 

「なら!、きっと夜叉丸が、私を助けに来てくれる!、そうすれば、お前たちなんか!」

 

だが、化身忍者毒蛾くノ一は

 

「イーッ!、ヨーウゥゥー!」

 

そんな螢火を笑う。

 

「ふふん、そんなことにはならないわよ、なぜなら、それがあなたを生かしておいた理由だから」

 

そして、化身忍者毒蛾くノ一は、目の前の菖蒲に向かって指示を出した。

 

「そろそろ取りかかりましょう」

 

菖蒲は主の言葉に頷くと、湯気の立ち上る壺を持ってくる。

 

そして、その壺のふたを開けると、その中へ螢火の顔を無理矢理に押し付けた。

 

「きゃあっ!」

 

螢火は抵抗しようとするものの、なすすべもなく、壺の中へ顔をつけられてしまう。

 

少しして螢火は壺から顔を解放された。

 

が

 

「風華様より伝授されし、血車忍法『顔盗みの秘術』、お前のその目で確かめるがよい」

 

と化身忍者毒蛾くノ一はその壺を菖蒲から渡されると、その中から何やら型のようなものを取り出し、それを菖蒲に手渡した。

 

そして、菖蒲がそれを仮面のようにしてつけると、化身忍者毒蛾くノ一は叫んだ。

 

「血車忍法、顔盗みの秘術!」

 

次の瞬間、菖蒲の姿が煙に包まれる。

 

そして、その煙の中から

 

服装まで、今の螢火と同じ姿に『変身』した菖蒲が姿を現したのだ!

 

 

螢火そのものの姿をした菖蒲が、主である化身忍者毒蛾くノ一に向かって、ニコッ、と微笑む。

 

螢火はあまりの驚きに、もはや声を発することさえ出来ず、ただ、体を震わせる。

 

『螢火そのものの姿をした菖蒲』が、縛られたままの螢火に向かって、皮肉っぽく言った。

 

「あなたの恋人の夜叉丸さん、今の私が偽者だと、ちゃんと気づいてくれるかしらね?」

 

声も螢火とそっくり同じになった『菖蒲』が言った。

 

驚いたことに、その背には彼女のトレードマークだった白蛇の姿さえある。

 

「蛇丸(おろちまる)!!」

 

縛られた螢火が衝撃のあまり叫ぶ!

 

「本物の白蛇ちゃんはここよ!」

 

言いながら化身忍者毒蛾くノ一は、牡丹から手渡された白蛇を見せる。

 

そこには

 

 

螢火が異変を知らせるために、先ほどの場に残しておいたはずの白蛇こと、螢火の友、蛇丸(おろちまる)が

 

既に捕らえられており、儚げにぶら下げられていた。

 

「お願い!、蛇丸(おろちまる)は助けてあげて!」

 

螢火は目の前の化身忍者に向かって懇願する。

 

「大丈夫よ、白蛇ちゃんを殺したりしないわ。少なくとも今は」

 

化身忍者毒蛾くノ一は言った。

 

「『顔盗みの秘術』を使っている間は、その『盗まれた側』は生かしておく必要があるの。だから、あなたも殺さない」

 

そして

 

「これから菖蒲には、あなたの代わりに伊賀上忍の連中のところに行ってもらって、『嘘の報告』をしてもらい、そのまま彼らの動向を見張り、調べてもらうつもり。どう、素敵でしょう?」

 

その化身忍者毒蛾くノ一の言葉を聞いた螢火は、怒りで体を震わせる。

 

が、縛られたままの状態では、何も出来ない。

 

化身忍者毒蛾くノ一は、そんな螢火を見ながら楽しそうに言った。

 

「あなたも楽しみにしていてね、ところで」

 

ここで化身忍者毒蛾くノ一は、螢火に向かって問いかける。

 

「せっかくだから、あなたも私たち血車党の一員となり、化身忍者にならない?、歓迎するわよ!」

 

螢火は絶句した。

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