「これ、性研ゼミでヤったところだ!」 恋の駆け引きから挿入まで、ドスケベ教育講座【性研ゼミ】で完全習得! キミ専用のオ○ホ先生と一緒に、最高の学校性活を手に入れよう! 作:ダザリアン
「おはよう美桜。これ、母さんからお小遣い。朝早くてお弁当作れなかったから、適当に買えってさ」
「分かった……髪、いつ切ったの?」
ダイニングで朝食を摂っていると、まだ眠たそうな美桜が二階から降りて来た。結構な勢いで目をゴシゴシ擦っている。理由は幾つかありそうだ。
「昨日の放課後。友達から良いお店を教えて貰ってさ。美桜も切れって言ってくれたし」
「ふぅ~~ん……ま、まぁ、良いんじゃない? お兄ちゃんに美容院を共有してくれるような、お洒落な友達がいたんだね。知らなかった」
「はいはい。ありがとな褒めてくれて」
「だっ、だから褒めてないしっ……!」
早足で洗面所へと姿を消す。
予想以上の反応だ。いつも辛口な上に一言多い美桜から『まぁ良い』なんてワードまで引き出せるとは……ちょっと、いや、かなり嬉しいかも。
ちなみに美容院は嘘。
先生たちの仕業である。昨晩メグル先生が先陣を切ると、ミサキ先生とチカ先生も代わる代わる現れてはハサミを取り、細かく調整してくれた。
お金が掛からないの超有り難い。
常に携帯するよう言われている手鏡。
改めて状態を確認……まだ見慣れない。髪型もそうだが、明らかに肌の様子が変わった。
別人・イケメン化とまでは行かないが、第三者が抱く印象はだいぶ違って来ている筈。先生たちのお墨付きだし、自信を持って良いと思う。
(っし。汗拭きシートに制汗スプレー。リップクリーム、コーム、制服のホコリ取りも持った……タブレット、没収されないよな? ミント味だし)
そんな今日の目標。
ズバリ、お昼を一緒に食べること。
初っ端から体育なので、終わって教室へ戻るタイミングを利用し、水嶋たちより先に声を掛ける。
邪魔はさせない。二人きりで過ごすのだ。
自ら考案した、距離を詰めるための積極的な作戦。少し気が早いかもしれないが、チカ先生も『きっと成功するよっ!』と背中を押してくれた。
もしも断られたら……いや、大丈夫。失敗したって構わない。今日が駄目でも、もっと話し掛けて仲良くなって、また挑戦すれば良い。
俺には頼れる先生たちがいる。
性研ゼミで何度も復習して、男を磨き続けよう。そして必ず、山田さんを振り向かせるんだ!
「5秒前……3、2、1……スタート」
(クソッ! やらかしたッ!!)
時間割にただ体育としか書いていなかったこともあり、確認も準備もすっかり失念していた。
今日は新学期恒例の体力測定だったのだ。
シャトルランは思っていたより走れた。
メグル先生とのトレーニングの成果が発揮されたのは嬉しい。が、今日の本命はこっちじゃない。
女子は違う場所・順序で動いているため、すべての項目が終わった現在まで、山田さんに声を掛けられず。早く見つけ出さないと。
それこそ水嶋に先を越されるかも。
まだ教室には戻って……あっ!
「なあ、奏音見なかったか?」
「いや? まだ帰ってねえっぽいけど」
「あーまじか~。いっつもどこで昼食ってんのかなー? こんだけアタックして欠片も進展しねえとか、マジで初めてだわ。ガード堅すぎ」
「うーわ。凄えなお前。全然隠さねえじゃん」
ドアに手を掛けたまま立ち止まる。
水嶋だ……同じグループの奴らも。
待ち伏せしているのか。
「ま~、どーせいつかは手に入るし?」
「ヤッバ。その自信どっから来てんだよ!」
「決まってんだろ、顔とチンコ! あ〜早くヤリてぇ〜! とりあえずセフレからイケねえかなぁ〜」
下品にゲラゲラと笑い合う水嶋たち。
いつメンの女子がいないとは言え、あまりにも遠慮が無い。価値観が違い過ぎる。
(いつかは手に入る……だとォ?)
聞き捨てならない。
そりゃまぁ薄々『素の性格はクラスで見せているような、明るい感じじゃないんだろうな』とは気付いていたけどさ。想像以上だった。
思わず拳に力が入った、その時。
「望月くん?」
背後から仄かに香る制汗剤の跡。
困った。できれば今は嗅ぎたくなかったかも。
いや待て……今だからこそ、か?
そうだ。こんなの逆にチャンスだろ。
「教室、入らないの?」
「山田さん。お弁当って鞄の中?」
「えっ……そ、そうだけど、なんで?」
「俺が取って来る。ここで待ってて」
振り返りもせず答えると、扉を開け素早く山田さんの席へと近付く。幸い水嶋たちの占拠するエリアからは遠い。よし、バレずに済みそうだ。
「おっ。なぁお前、どっかで奏音のこと見なかっ……おい、待てって! なにシカトしてんだよッ!」
うるせえ黙っとけ。顔も見たくない。
お前に山田さんは渡さぬ。絶対にな!
困惑する山田さんには申し訳ないが、あまり多くは語らず、強引に人気の無いところへ連れ出す。ただ、目的地は彼女が指定してくれた。
「屋上とか初めて入ったよ」
「環境委員の特権なの。プランターのお世話をしなきゃいけないから、鍵はいつでも借りられるわ」
「あぁ、だから職員室に寄ったんだ」
フェンス沿いに設置されたアレか。
おかげで彼女の秘密を一つ解き明かせた。
「最近は水嶋に絡まれてたけど、一年の頃からお昼休み、いっつも教室にいなかったよね。どこに行ってるんだろうって、ずっと思ってた」
「去年卒業した先輩に教えて貰ったの。あんまりサボるタイミングとかは無いけど、男除けにはなるから上手く使えって……それで、えっと」
「分かってる。急に連れ出してごめんね……ちょっと、今は会わせたくないなって思ったんだ」
ご丁寧にベンチが用意されている。
水嶋たちが話していたことを掻い摘んで教えた。流石にセフレ云々までは言えないから。
途端に山田さん、納得したよう肩を下ろし。
「はぁぁ……やっぱり噂って本当なのね」
「噂?」
「ゲーム感覚で女子に言い寄ったり、先輩の彼女にちょっかい出して揉めたこともあるって……ごめんね望月くん。アイツ、ヤなこと言ってたでしょ」
「まぁね。でも平気だよ、全然」
「……そ、そうなの? 怖くなかった?」
ハッキリと頷く。
そう、不思議とまったく怖くなかった。
以前ならビビっていたかもな。
下駄箱でガン無視される程度の関係性だし。
「いやなんか……だって、所詮は同学年だしなって。今になって思うとだけどね。そりゃ水嶋の方が背も高いし、腕っぷしも強いかもだけど」
「けっ、喧嘩とか売られたりしない?」
「あははっ。大丈夫だって。まぁでも、そういう時は大人を頼るよ。生活指導の先生に睨まれたら、簡単には威張ったりできないしさ」
「……うん、そうよね。ありがと助けてくれて」
俺の安否を心配してか、暫し不安げな面持ちだった山田さん。ようやく安心してくれたようだ。ホッと小さく息を吐き、次第に頬を緩ませる。
すると、それどころではない。
彼女はこんな風に切り出した。
「望月くん、ちょっと顔つき変わった?」
「えっ?」
「髪型もさ。ごめん、最初に言えば良かったわね……似合ってると思う。今は崩れてるけどっ」
「やばっ」
「大丈夫よ。汗も匂わないし。合格っ」
照れくさそうに笑っている。
進学先ですっかり定着してしまった、物静かな印象のソレではない。小学校の頃、ずっと近くで聞いて来た、少し強気で尖った口調。
そして、どこか悪戯で幼い、そりゃもう可愛いの具現化みたいな、百点満点の笑顔。
あの日、放課後に見た時と同じ……本物の彼女。
信じられない。
まただ。また起こった。
俺の言葉が、態度が。
山田さんの素顔を引き出したんだ!
「あ……ありがとう。その、凄く、嬉しい」
「んふふふふっ! もうっ、照れ過ぎ。ホントすぐ真っ赤になるわよね……1年生の時の遠足と一緒」
「こないだ話したやつ?」
「そうそうっ。あたしがお菓子食べながら歩いてたら、一気に全部落としちゃって……そしたら望月くんが、僕のをどーぞって分けてくれたの」
楽しそうに思い出話を語る山田さん。
実はコレ、覚えていなかった。
それこそ昨日チカ先生と小学校のアルバムを捲り、偶然にも遠足の写真があって、同じ班だったとようやく思い出したくらいで……凄い記憶力だ。
「その時の望月くん、林檎みたいに顔が真っ赤で、もうおかしくって……! お母さんに『りんごくんがいるっ!』って帰って話したくらい」
「へ、へぇ~?」
「だからお母さん、今でも望月くんのこと『りんごくん』って呼んでるの。会ったことあるわよね? 5年の運動会でダンス踊った時に……」
ちょっと止まりそうにない。
マシンガントーク状態だ。
思い出話を語り続け、昼休みをほぼ費やしてしまう。俺はただただ頷いて、偶に微笑むばかり。
予鈴が鳴る。
まさに試合終了の合図みたいだった。
彼女はハッと息を飲んで。
「あっ……うそ、望月くんご飯は!?」
「食べてないよ。購買寄ってないし」
「ごめん気付かなくてッ……! えっと……じゃあ、これ食べて! いっつも二個持ちなんだけど、最近ちょっと控えてるからっ!」
教室から持ち出したお弁当の包み。
妙に大きいと思ったら、二食分も入っていたのか。大食いのイメージ無かったから意外だな。
「さっ、先に戻ってるわね。それ、洗って返してくれたら良いから! あと良かったら、明日もここで食べましょ。箱もすぐに返せるしっ!」
「う、うん。でも待って。俺も授業出なきゃ」
爆速で片付けを済ませ、足早に屋上を去る山田さん。俺も顔負けの慌てっぷりだが。
まぁともかく、これで目標はクリア。
流れで次の約束まで交わせた。
今日のコミュニケーションは大成功だ。
(……お弁当、貰っちゃったよ)
可愛いデザインの小さな包み。
まさかの大収穫。しかも手作りでは?
持つ手が震えるほど嬉しい。
嬉し過ぎて、違和感さえ覚える。