「これ、性研ゼミでヤったところだ!」 恋の駆け引きから挿入まで、ドスケベ教育講座【性研ゼミ】で完全習得! キミ専用のオ○ホ先生と一緒に、最高の学校性活を手に入れよう! 作:ダザリアン
それから、れんれんが再び小包の中から現れて『弱点丸見え! ターゲット赤視シート&マル秘ノート』の使い方を詳しく教えてくれた。
赤シートって略すと凄い怒られる。
「開発費が嵩むんで、ノートは使い切りっス。学校中の女子をオカズにしたい気持ちは山々っスけど、使い道には気を付けた方が良いっスね~♪」
「やらないってばそんなことッ!?」
なんでも透視できるが、対象物はハッキリと記す必要がある。さっきみたいに名前だけ書くと、自動的に心の声だけが見える仕組みだそうだ。
教室でおいそれと取り出すわけにはいかないな。俺が知りたいのはあくまでも山田さんに関すること……つまり、使うタイミングは。
「これ先に、昨日のお弁当箱。帰ってから食べたんだけど、すっごい美味しかったよ。卵焼きなんてメチャクチャ甘くてさ。ありがとね」
「んっ……ど、どういたしまして」
四時間目が移動教室だったことも幸いし、水嶋の接触を上手いこと避け、再び屋上で落ち合うことができた。連日、二人きりの昼休みだ。
「ってことは、山田さんが?」
「うんっ。お母さんに教えて貰ってるの。えっと、嫌いなものとか入ってなかった?」
「大丈夫。あっという間に食べ切って惜しいくらいだったよ……で、やっぱり二個持ちなんだ?」
「ふぇっ? あ、うん。まぁねっ」
膝をキュッと擦り寄せる山田さん。
そして、もう一つのお弁当箱を。
「きっ……今日も食べる?」
「良いの? 山田さん足りなくない?」
「平気よ。昨日も言ったでしょ? 最近ちょっと控えてるから……それに望月くん、昔から腕とか細いし心配なの。小学校の時も、みんなに自分の冷凍みかん分けようとしたりさ……あたしも偶に貰っちゃってたけど。だから、そのお返しっ」
思い出話を根拠に添え、強引に押し付けられる。
そう。かなり強引だ。
有無を言わさず膝の上に置かれた。
食べないのなら、どうして二つ持って来ているのだろう。いくら記憶を掘り返しても、給食をおかわりしているシーンが思い出せない。
なんなら『牛乳が苦手なのに、どうしてあんなに胸が……』とか不思議に思っていたくらい。
昔から背が高く、誰よりも成長が早かった。
(……む、昔から?)
俺の腕が細い?
それ、いつから比較しての話?
これも先生たちが指摘していた通り。山田さんは俺が思っている以上に、俺のことについて詳しい。なんなら、ちょっと怖いくらいに。
都合の良い妄想だろうか。
教室の片隅から、いつも彼女を眺めていたみたいに。山田さんも俺のことを、ずっと……。
居ても立っても居られない。
やはり確かめなければ。
「……あ。えっと、お水あげないと! このために鍵を借りているんだから、ジョウロとか使った跡が無いと、怪しまれちゃうわねっ!」
僅かな沈黙を境に、山田さんはシュッとベンチから立ち上がる。目前のプランターへと駆け寄り、環境委員の仕事に取り組み出した。
どうしたんだろう。わざわざお弁当を退かして、と言うか食べている途中で始めなくても。
でも、これって……絶好のチャンスだ。
「水やり、手伝うよ?」
「ううんっ、平気! すぐに終わっちゃうから、望月くんは気にせず食べてて……! そっ、それにしても、今日はちょっと暑いわね」
前屈みになってジョウロを傾ける。
昨日の別れ際に続いて妙なテンションだが、水やりに夢中で暫くは振り返りそうにない。
嗚呼、でも待って。
山田さん、その恰好は不味いよ。
(だっ、駄目だ。目が離せない……ッ)
下手に凝視すると興奮してしまうから、教室やこの屋上でも意識しないようにしているが……山田さん、結構スカートが短いんだよな。
お行儀は良いから座る時や階段ではしっかりガードしているけど、だからって健康的な白い素足や、綺麗なヒップラインまでは隠せない。
ヤバい、勃っちゃうかも……。
(……ごめんっ、山田さん!)
心の中で土下座を噛ましつつ、手がバッチリ動いている。欲望には逆らえなかった。ノートの新しいページを開き、山田奏音、と一筆。
(スカート……パンツも書いてみるか? そしたら、あの前屈みの恰好のまま、山田さんの突き出したお尻が……嗚呼ヤバい指が震えるッ!?)
まだ振り向く気配は無い。
なのに、手が動かない。
こんな言い方もなんだが、自分でも驚いてしまう。だって俺、三人の美人先生たちに迫られて、もう何度もセックスを経験しているのに。
パンツどころか、おまんこだって間近で見まくって、触って、挿入れまくって……なのに今は、山田さん相手に死ぬほど躊躇している。
或いは、逆。それだけ俺にとって山田さんが、特別な存在だっていう証明なのかも。前にチカ先生が語っていた『練習用』という台詞も身に染みる。
(だったら、猶更ここは……ッ!)
そうだ。本来の目的を思い出せ。
俺が望んでいたことはなんだ?
山田さんと付き合いたい。
彼氏に、特別な存在になりたい。
そして……セックスがしたい。
何のための性研ゼミだ。本気で彼女を手に入れたいのなら、パンツを見せて貰うことくらい、躊躇っている場合じゃない! 勇気を出せ!
「オッケー、これで終わり!」
「はぇッ!?」
「あっ、うそ……もしかして望月くん、あたしが終わるまで食べるの待ってた? ご、ごめんねっ?」
「いや、そういうわけじゃ……ッ」
間に合わず。
ジョウロを置き、駆け足で戻って来る。
慌ててペンをポケットにしまい、尻でノートを踏みつけるのが精一杯だった。勿体なさ過ぎる。せっかくのお弁当を隠れ蓑にしてしまうなんて。
これだから俺って奴は。
あれだけ大袈裟に語っておいて、最後の最後で勇気が足りず行動へ移せない。性研ゼミと先生たちに何を学んだってんだ……この臆病者め!
『最悪……もうっ、あたしの馬鹿っ!』
ところが。
バレないうちに赤シートも胸ポケットへ隠そうと腕を上げた。本当に偶然。意図はしていなかった。
「……や、山田さん?」
「ごめんね待たせちゃって! ほらっ、もうすぐお昼休み終わっちゃうから……早く食べましょ?」
せかせかと残りのお弁当に箸を伸ばす。
小さいお口でお米をもきゅこきゅ咀嚼する姿は、なんだかハムスターみたいで実に愛らしい。
のは、ともかく。
その顔の横にある、変な吹き出し。
(そうだ……名前だけ書いたから)
スカートやらパンツやら余計なことを考えてしまったせいだ。完全に忘れていた。
特に会話も挟まず、結構なスピードでご飯を掻き込む山田さん。しかしその間も、顔の隣に『吹き出し』が度々現れては消えていく。
『なんで急に水やりなんて行っちゃうのよ、不自然過ぎ……! なにが細くて心配よ! ああもうっ、余計なこと言っちゃったぁ……っ』
赤シートの効果は間違いない。
吹き出しの中にハッキリと浮かび上がっている。陽射しが当たっていても視認性は抜群。
流石、れんれんの作ったスーパーガジェット。
なのに、何故だ。
文字が妙にグラついて見える。
『冗談っぽく「あ〜ん」とか、できるチャンスだったのに……それどころか、変な気まで遣わせちゃって……最悪。ほんと可愛くない、あたし』
山田、さん?
心臓が早鐘のように打ち鳴らされる。
なんだこれ……なんだこれは。
あ~ん? それって、アレ?
カップルがやるやつみたいな?
『ううんっ……日和っちゃダメ。望月くん、あたしがこんなにテンパってるなんて思ってもない筈なんだから……チャンスを生かさなきゃ!』
『前の放課後みたいに、ちょっと余裕のある感じで、意地悪なことも言ったり……勿論、嫌われないように気を付けて……笑顔も、忘れずに! あぁでもっ、変に引き攣ってたらどうしよう……!?』
これ以上は読めない。
せっかくの美味しい手作り弁当だというのに、いよいよロクに喉を通らなかった。
何もかも、今の俺には呑み込めないのだ。
『もう……バレてるかな。全然食べないのにお弁当二個持ちって、絶対おかしいもんっ……本当のこと言ったら、流石に引いちゃうよね?』
本当は気付いていたのかも。
だって今日のおかず。
俺の好きなものばかりで。
『ずっと前から……ここで一緒に食べたくって、勝手にお弁当まで作って来てるなんて。そんなこと知られたら、絶対に怖がられちゃう……ッ』
カランッ。
完全に力が抜け、もう片方の手で持っていた箸を落としてしまう。刹那、吹き出しもパッと消えた。
山田さんは音に反応。こちらへ振り返る。
「望月くん?」
「……あぁ、いやっ、その!? ごめん箸!」
大慌てで拾い始め、ひとまず難を逃れた。
が、俺はもう限界で。
(これ以上は耐えられない……ッ!)
知りたかった。
だが知るべきではなかった。
喜びと罪悪感で、脳が焼き切れる。
それだけじゃない。
本当に俺という人間は、とことん青春とか、スマートな振る舞いってやつと縁の無い男みたいだ。
――ちょっと引くくらい、勃起している。
「山田さん、オレッ、早退する!」
「へっ? そ、早退?」
「理由は聞かないで!」
驚く山田さんへ振り返りもせず、俺は屋上を飛び出し階段を駆け下りた。荷物もすべて置いて行こう。先生に怒られたって知るものか。
結局、お弁当にほとんど手を付けていない。
彼女を悲しませてしまったかも。
でも無理だ。
一秒だって学校にはいられない。
山田さんのことを考えたくない。
じゃないと、すべてが終わる。
気付いたら――押し倒してしまいそうで。