「これ、性研ゼミでヤったところだ!」 恋の駆け引きから挿入まで、ドスケベ教育講座【性研ゼミ】で完全習得! キミ専用のオ○ホ先生と一緒に、最高の学校性活を手に入れよう! 作:ダザリアン
「望月くんっ……!」
れんれんに背中を押され、俊敏に彼女の元へと駆け寄る。名前で呼んだのは、勿論わざと。
けん制になるかは分からなかったが。
「はっ? んだよ急に、誰お前?」
「さっきはごめんね奏音、急に帰っちゃって。実は、ペットに餌をやり忘れちゃってさ。今から先生に謝りに行くんだけど、一緒に来てくれる?」
「おいッ、無視してんじゃ……!」
水嶋の腕が伸びる。
突き飛ばすつもりだ。
なんてことない。俺は『予習』をした。
まだ身体も感覚を覚えている。
避けられるどころか。
「なっ!?」
「……お前こそ、奏音と何してるんだよ」
「テメッ、は、離せって!?」
手首をガッチリと捕獲。
離すわけない。更に力を込める。
まさか抵抗されるとは思っていなかったのか、苦痛に顔を歪める水嶋。瞳には激しい怒りも垣間見えるが、絶対に目は逸らしてやらない。
ビビったりするもんか。
見下ろしたって無駄だ……。
「ッ!? 痛ってえなクソがッ!」
先に目を逸らし、腕を振り払ったのは水嶋だった。ふらふらと頼りない足取りで後退すると、懲りずに俺たちを睨んで来る……ダサい。
「んだよ、そういうことかよ……! 奏音お前、マジで男を見る目ねえんだなッ!? 失望したわ!」
おぉ。捨て台詞。
現実でも言う人いるんだ。
と、ツッコミができるくらいには冷静な自分。
どこかへ走り去る水嶋を、驚くほど冷めた目で眺めている。手鏡で確認するまでもない。
姿が消える。もう大丈夫だな。
今日のところは、だけど。
流石にやり過ぎか? 余計な因縁を作ってしまったし……帰ったらチカ先生とエミリー先生のお説教かもな。甘んじて受け入れよう。
「ペットは嘘ね。飼ってないし。先生に怒られるのは本当になっちゃうかもだけど……大丈夫? 怪我とかしてな、って、や、山田さんっ?」
途端、校舎裏に響く泣き声。
シャツの胸元を濡らす冷たい涙。
どんな言葉を掛けたら良いか分からず、ただ受け止めるばかり。彼女の震えが収まったのは、数分近くが経ってからのことだった。
「それで、教室でみんなに囃し立てられて、断れるような雰囲気じゃなくて……ごめんなさい望月くん。あたしが最初にハッキリしなかったから」
「俺は大丈夫だって。ねっ?」
「だって、危ない目に遭わせちゃった……っ」
鞄を両手に引っ提げ、山田さんは苦しそうに俯く。帰宅する準備は済んでいたので、そのまま家へ送り届ける道中なのだが……また立ち止まる。
連日お昼に揃って教室から姿を消したのが災いしてか、水嶋も勘づいてしまったようだ。
そして放課後、行動に出た。
クラスメイトたちの前で『大事な話がある』と大声で啖呵を切り注目を集め、逃げられない環境を巧みに作り出したらしい。浅い悪知恵を。
「取りあえず歩こうよ。家ってもう近い?」
「あの車のとこ……ごめん」
未だ続くあたしが悪い、いやそんなことの押し問答。ここは俺が折れた方が良さそうだな。ええと、あれは『日常』科の……どのステップだっけ。
「分かった。じゃあ、山田さんが悪い」
「……ふぇっ?」
「で、俺も割と危ない目に遭った。まぁ、あのまま喧嘩になったって、絶対に負けたりしなかったけどね。意外とチカラ弱かったし」
終わりの見えない『ごめんなさい』と消えない罪悪感。このループから抜け出すには、少し違う角度から切り込んでみるのが良いらしい。
例えば、こんな風に。
「だからさ。謝る代わりに、俺のお願い一つ聞いて欲しいんだ。それでチャラってことにしない?」
「おっ、お願い?」
「ゴールデンウィーク……いや、もう週末だし日曜でも良い。二人で出掛けようよ。駅ビルで買い物したり、あと映画とかさ。観たいのある?」
よしっ。ほぼ詰まらずに言えた。
自然な流れでデートに誘えたぞ!
「映画……? あっ、じゃあ、こないだ始まった、探偵アニメの最新作とか……毎年観てるからっ」
「オッケー。それで決まりね」
困惑しつつも山田さんは了承。
これこそが狙いだった。馬鹿正直な『デートをしたい』や『○日って空いてる?』と言った、ふわっとした誘い方は成功率を下げてしまう。
具体的な提案をすることで、相手側の退路を自然と断つことができる。先に『デート』科のテキストを斜め読みしておいて助かった……ん?
「山田さん?」
「……ねえ、ホントに?」
「えっ?」
少し進んだ先でまたも立ち止まる。
振り返った彼女の顔は。
「本当に、良いの? 望月くん無理してないっ? だって、あたしとそんな……でっ、デートみたいなことして、つまんなくないの……っ!?」
目元はまだ赤く腫れていた。
頬も同じくらいの色味。
だが、先ほどとは意味合いが違う。
つまらなくないか、だって?
参った。なんて答えにくい質問。
こんなのテキストに載っていない。
だって『楽しみで仕方ない』以外に、答えがあるのか? でもそんなことを言ったら、いよいよ俺の気持ちをすべて打ち明けるような……。
「……な、泣いてるの?」
「だって、だってぇ……っ!」
止まらない。水嶋を追い払った時よりも、ずっと派手に泣きじゃくっている。彼女のこうも弱弱しい姿、もしかしなくても初めて見た。
慌ててハンカチを取り出し……持たせても使いそうにない。俺が拭こう。こんな形で頬に触れる日が来るなんて、思ってもみなかったな。
「つまんないとか、あり得ないよ。言っとくけど俺、山田さんとこうやって歩いているだけで、心臓バクバクなんだよ? 嬉し過ぎて」
「っ……そう、なの?」
「本当だって! 俺の人生で嬉しかった経験トップスリーは、山田さんが幼馴染だって言ってくれたあの日と、お弁当くれたことなんだから」
「……もう一つ、は?」
「今。山田さんとデートの約束をした」
「あっ……!?」
目を見開き、スっと俺の傍から離れてしまう。
以前までなら『やり過ぎた、失敗した』と自己嫌悪にでも陥りそうな瞬間だったが。
もう何一つ隠したくない。
耳まで真っ赤に腫らして、本当に可愛らしい。背が高くて大人っぽいから余計にそう思う。つい口が軽くなって、余計なことを言いそうだ。
俺を『りんごくん』って呼んでた?
なら君はりんごちゃんだ……なんて。
「奏音」
「ふっ、ふぁい!?」
「連絡先、知りたいな。日曜のために」
「う、うんっ! 教えますっ!」
驚くほど自然に呼べた下の名前。
何故か敬語で返される。でも可愛い。
またも知らない山田さん。
「スマホ、家から戻るついでに持って来ちゃったんだ。学校は持ち込み禁止だから、中々交換する機会とか無いよね……っと。家ここだっけ?」
「ま、待ってて。すぐ取って来る……っ!」
自宅の扉へ吸い込まれて行くようだ。
一旦だが、ようやく肩の荷を下ろせる。
声は上擦っていなかっただろうか。
変にニヤケていないか?
いや、良いや。それで良い。
ありのままの自分。少しだけ成長し始めた、今の自信を持った俺で、堂々と日曜を迎えたい。ドキドキもワクワクも、すべて抱えたまま。
本当に楽しみだ。
俺の知らない、知らなかった彼女と。
また出逢うことができる――。
*
「スマホ渡しといて正解だったっスね」
「助かったよ。ありがとう、れんれん」
「いやいや~。お礼は最新のゲームか、日曜に撮って来るあの子とのハメ撮りで良いっスよ!」
「ツッコまないからね」
連絡先を交換した俺たち。ひとまず今日のところは解散し、日曜のデートへ備えることとなった。
あのまま告白したって構わないくらいの雰囲気ではあったけど……まだ水嶋の件も尾を引いているし、慎重に行った方が良いかなと。
「はい、私もそう思い……う、うぅっ……!」
「ミーちゃぁぁぁぁああ~~ん!」
「僅か数週間で、ここまで進展するなんて……トモヤくん、本当によく頑張りましたね……っ!」
熱い抱擁を交わすミサキ先生とチカ先生。
ベッドに湖が完成する勢いだ。流石、編集部で一番の仲良しコンビ。仄かに漂う百合の息吹。
事の顛末を先生たちにも聞いて欲しくて、初めて全員を一度に呼び出した。れんれんはもう居て、勝手にゲームで遊んでいたけど。
「あの鉄仮面のミサキが、こうも感情を露わにするとは……虫とお化けの他に、彼の笑顔が弱点とプロフィールに書き足すべきかもな」
「まあっ。ご存じないのですか? トモヤ様と目合われる際は、それはもう大きな……」
「スケベなのは知っている。仮にも『性技』科だからね。まぁでもユメほどじゃないか」
「んふふっ♪ お互いさまでは?」
「消すなハイライトを。怖いってば」
こちらは軽口を叩き合うメグル先生とユメ先生。
なんでも小中高が一緒の腐れ縁とか。
喧嘩するほど仲がってやつだ。まぁ分かりやすく理論派とロマン派だからな……さて、話を戻そう。
「というわけで、日曜は山田さんとデートすることになった。良い雰囲気を作って……最後に、告白するつもりだ。みんなの力を借りたい」
真剣に耳を傾けてくれる五人。
れんれんはゲームをしているが。
「ただ、一筋縄ではいかないと思う。初めてのリアルなデートだし。もしかしたら邪魔も入るかもしれない。そうだよね、エミリー先生」
「That’s true! 対策を練らないといけないわネ……! 明日は忙しくなるわよ、ダーリン。丸一日掛けて、徹底的に準備を進めましょう!」
ハツラツな声が部屋中へ響く。
続けてみんなも拳を掲げ、それぞれの健闘を誓い合うのであった。さあ、ここからは総まとめだ。
初デート、そして告白。
必ず成功させてみせる!