※この作品はR-18です。

「これ、性研ゼミでヤったところだ!」 恋の駆け引きから挿入まで、ドスケベ教育講座【性研ゼミ】で完全習得! キミ専用のオ○ホ先生と一緒に、最高の学校性活を手に入れよう!   作:ダザリアン

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第28話『打ち明けた想い、願い続けた未来……ハプニングをチャンスに変えて』

 

 映画は無難に面白かったが、感想がスラスラ出て来るほど内容は覚えていない。きっと彼女も同じだろう。ポップコーンの中身は減らないまま。

 

 さて、次はカフェで休憩。

 駅ビルには沢山の食事処があり選択肢には困らない。映画が終わる時間を想定してプランを練ったから、どこでも好きな場所に入れそうだ。

 美桜が借してくれた追加予算もあることだし、少しリッチな店を探してみても良いかもしれないな。

 

「ここも駄目か……ッ」

「日曜日だもの。仕方ないわよ」

 

 と、思っていた。

 この楽観的な考えは裏目に出る。

 

 選択肢の多さに浮かれ、すぐ店を決めなかったのが仇。目に付いたブティックに寄り道したり、それはそれで楽しかったが……流石に余裕扱き過ぎた。

 

 ユメ先生が提案してくれた第一候補のお洒落なカフェは、どの時間帯も比較的空いている穴場スポット。ところが、まずここが撃沈。

 保険としてリストアップしていた十数の店舗も、すべて満席。行き先が無くなってしまったのだ。

 

「ごめんね歩かせちゃって、脚とか痛くない? 新しい靴だと大変でしょ? 鞄とか持とっか?」

「ううん、平気。昨日ちょっと慣らしたから」

「そ、そうっ? でも疲れたら、遠慮しないで言ってね。暑いし汗も掻いちゃうだろうしさ……!」

「……っ」

 

 山田さんも戸惑った表情。

 次第に焦りを隠せなくなる。

 これじゃ先生たちと考えたデートプランも、頑張って背伸びしたエスコートも台無しだ。

 

(ま、不味いぞ……疲れさせたくないのもそうだけど、山田さんをあんまり人に見せびらかしたくないんだよな……ちょっと無防備な格好だし)

 

 なんせ今日は、性研ゼミのテキストを持って来ていない。彼女の前で先生たちは呼び出せないし、一人で待たせる方がよっぽどリスク。

 本当に俺って奴は、すぐこうやって調子に乗るから駄目だ。こんなことなら、もっと早く『デート』科の勉強を進めるべきだった……うん?

 

「望月くん……ごめん」

「えっ? な、なにが?」

 

 すると突然、袖をツンと引っ張られた。

 山田さんは申し訳なさそうに俯いている。

 

「昨日のうちに伝えるつもりだったんだけど……お洒落なカフェを見つけたって、言ってたから……でも、いつもの流れで作っちゃって」

 

 もう片方の手に引っ提げた、少し大きめの鞄。

 掴んだ袖と交互にチラチラ目配せしては、その存在を必死に俺へ訴えているようだ。

 いつもの流れ……って、もしかして?

 

「……外で、食べないっ?」

 

 

 風情溢れる観光地の中にポツンと佇む、緑豊かな公園。海が目の前にあり、少しお高いがクルーズ船や水上バスなんかにも乗れる。

 

 にしても、山田さんから言い出すとは。予定のプランよりだいぶ早く訪れたが……想像以上に人気が少ない。この時間帯で逆に正解だったかも。

 

「ごめんね待たせて。じゃあ食べよっか」

「急な連絡? 大丈夫?」

「まぁちょっとね。気にしないで」

 

 いざという時の準備も済ませ、待望のお弁当タイム。昼休みの屋上とはまた違う高揚感だ。映画館に増して迸るデートっぽさ。胸が弾む。

 陽射しが強く結構暑いが、海近だから風が程良く吹いて気持ち良い。視線には気を付けないと……でも、捲れたりしないかな。こっそり。

 

「うわぁっ、美味しそう……!」

「卵焼き好きって言ってたから、いっぱい入れてみたの。ハンバーグも好きでしょ?」

 

 色鮮やかな二段重。俺の好物が所狭しと敷き詰められている。反対に彼女は、屋上で食べている時よりもかなり小さいお弁当箱だ。

 余った分ではない。今日のために、俺のためだけに作ってくれた、山田さん手作りのお弁当……あまりの感動で、目頭がつい熱くなる。

 

「冷めてないかなっ……ひと口だけ良い?」

「え、うん。勿論」

「んっ……大丈夫っぽい。じゃあ、はい」

 

 箸に摘んだ卵焼き。

 口元まで寄せてくれる。

 これって、もしや。

 

「すっごく美味しいよ。前よりもっと甘くて」

「ホントっ? 良かった……」

「あ〜んのおかげかもね」

「いっ、言わないでってば!?」

 

 スッと箸を引いてしまう。

 でもやってくれた。今どきバカップルでも控えるような、そりゃもうコテコテのやつ。

 俺の赤面癖をどうこう言えないくらい、山田さんも頬が真っ赤だ。慌てて自分のお弁当箱へ手を伸ばすが、指先までぷるぷる震えていた。

 

(そっか……あの時も、確か)

 

 赤シートで覗いてしまった本音。

 導き出されるは、手作り弁当を夢見ていた俺と同じくらい……彼女もこの瞬間を待ち焦がれていたという、隠し切れない確固たる事実。

 

 否。もはや一端に過ぎないのだろう。

 今日まで数週間、性研ゼミで本当に多くのこと学んだ。性技や自分磨きだけでなく、女の子の心の機敏と察し方。どれもテキスト通り。

 これだけのヒントを前に、いつまでも鈍感なままではいられない。激しく脈打つ心臓の鼓動が、むしろ後押ししてくれるみたいだった。

 

「ねえ……覚えてる? 4年生の時、この辺りに社会見学で来たこと。お昼はここの公園でシートを広げて、持ち寄ったお弁当を食べたの」

「覚えてるよ。俺、クラスの友達とはぐれちゃってさ。弁当も忘れちゃって、ずっと芝生で寝てた」

「知ってる。見てたから」

 

 ふと隣を向くと、山田さんは箸を止め、どこか寂しそうに微笑んでいた。実質的な幼馴染とは言いつつ、決して多くはない二人の思い出。

 それもその筈。俺たちはクラスが同じなだけで、滅多に会話もしない。偶に行事やイベントで一緒になるとか、精々その程度の関係性。

 

 そう思い込んでいた。

 でも、違った。

 彼女は持っている。俺が知らなかった、気付きもしなかった、二人だけの特別な思い出を。

 両手では抱え切れないほどだ。

 

「あの時もね……お弁当、作ってたのよ。望月くんの分。お母さんが忙しくて用意してくれないって、友達に話してるの聞いてたから」

「……そうだったんだ」

「でも渡せなかった。だって望月くん、勝手にお昼寝してるって、みんなに冷やかされていて……そのタイミングで行ったら注目されちゃうし」

「ごめん。気付けなくって」

「結局、家に帰って自分で食べたんだから……! 馬鹿みたいよねっ、今でも同じことしてさ! 聞いて来た子に言い訳するの、大変なのよ?」

「マジでごめん。本当に」

 

 驚くには驚いたけど、思いのほか冷静に受け止めている自分もいる。もっと慌てた人が目の前にいたら、自然とそうなるものだ。

 或いは単に、現実味が無さ過ぎるだけなのかも。今日までの数週間は夢のような日々だったが、今この瞬間こそ、まさに夢そのもの。

 

 嗚呼、ヤバい。しまった。

 たぶん今、泣いてるや。

 

 

「だいたいねっ……! 望月くんいっつも、あたしばっかり見過ぎなの! 小学校の頃も、絶対にあたしのこと好きだよって、みんな茶化して来るし……! だからあたしっ、幼馴染で本当は仲良しなんだって、必死に言い訳してたんだからっ!?」

 

 昂る感情。声の大きさ。

 もう制御できないらしい。

 あの日の放課後、そんな風に俺たちの関係を称したのには、彼女なりの理由と事情があった。

 

「だってあたし、恋愛とか、誰かと付き合うとか、そういうキャラじゃないもんっ……! 望月くんにも、迷惑だと思って……っ!」

「……ちなみに、いつから?」

「分かんないっ! 分かんないよそんなの……! でも、2年の時には絶対そうだった! 他の男子の告白すぐ断ったし……! バレンタインだって、義理チョコの一つも配ったこと無いんだからっ!?」

 

 広げた箱をさっさと片付けてしまい、山田さんはこちらを向いてハッキリと俺を見つめる。

 

 可愛いな。泣き顔も。

 もしかして俺、こういう表情が一番好きかも。

 それこそ小学校の頃、真面目に授業を受けない男子と言い争って、泣いたりもしていたもんな。

 

 教室の隅でしょぼくれる彼女に、ついぞ声を掛けられなかった。大丈夫だよ、俺は味方だよって……本当はずっと言いたかったんだ。

 

 やっぱり嘘。

 俺はただ、守ってあげたかった。

 泣き顔よりも、笑顔が見たかったから――。

 

「もう叶わないって、勝手に思ってるだけの幼馴染で終わるんだって、諦めてたのに……! 仲良くなりたいとか、急にやめてよぉっ……!」

「……山田さん」 

「そんなのズルいっ。ズル過ぎるもん……! なんで急にカッコよくなっちゃうの? 男らしくなっちゃったの!? ねえっ、なんで!?」

 

 喉を震わせ、思いの丈を叫ぶ。

 ハンカチを取り出す暇も無い。

 

「決まってるよ、そんなの。山田さんに振り向いて欲しくて、一から勉強したんだ。この二週間くらい、凄い頑張ってさ……迷惑だった?」

「迷惑なわけないでしょ! ばかっ! これ以上、あたしを喜ばせないでっ……! こんなに夢中にさせて、責任、取りなさいよぉ……!」

 

 最後の最後。肝心な言葉だけが、綺麗な涙と共に真っ白な素肌へと落ち、やがて溶けていく。

 それ以上、彼女は何も言えなくなった。

 

 もう十分だ。ヒントどころか、答えを半分。いや99パーセントは教えてくれた。ここまで頑張らせてしまったのだ、残りは俺が担おう。

 

「奏音って、呼んでも良い?」

「っ……! こないだは呼んでたっ!」

 

 今更な話題だと、少し怒ってもいたのだろう。

 ハッと顔を上げる。そして、すぐ目を見開かせた。これだけ近付いているのだから当然か。

 

 不思議だ。あんまり緊張しない。

 性研ゼミで何度も予習したから?

 

 違うか。感動が勝っているだけだ。

 彼女の美しい顔を間近で見れて、ただただ嬉しい。それだけで頭がいっぱいなんだと思う。大きくて綺麗な瞳。今にも吸い込まれそう。

 

「奏音。俺、ずっと前から……」

 

 互いの小刻みな呼吸が近付く。

 まず先に、掌が重なった。

 

 予定よりもかなり早い、デートの結末。

 誰にも邪魔されない、二人が待ち望んでいた最高のハッピーエンド……その筈だった。

 

 

「――おぉっと! カップル発見~!」

 

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