前世は地獄、今世は天国? 346プロの色欲神プロデューサーの受難 作:ヘルメス・トリスメギスタス
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休憩室に、女の子の嬌声が小さく響く。
ここは346プロのプロデューサーに与えられた仕事部屋。更衣室や休憩室を兼ねた、いわば個人の隠れ家だ。
本来、仮眠のためのベッドはアイドルが体調不良の際に使うものだが、
プロデューサーが常に健康を管理しているため、その機会は滅多にない。
むしろ、過酷な激務で追い詰められたプロデューサー自身が倒れ込む場所として機能することが多い。
――今、そのベッドの上で、一人の男が理性を溶かしかけていた。
プロデューサー、神城渚。彼に跨がっているのは担当アイドルの橘ありすだ。
ありすは全裸のまま、渚の逸物を自身の内に深く迎え入れ、瞳を蕩けさせながら貪欲に腰を振っている。
なぜ、こんな状況にあるのか。
渚の脳裏には、走馬灯のように「神との対話」が浮かんでいた。
(こんな世界とは聞いてないぞ……)
渚の思考は、自分が置かれた世界の歪さに及ぶ。
この世界は、男女比率が1:3000という極端な状況下にある。
女性が圧倒的に多く生まれるという謎の現象は、世界を根本から変えた。一夫多妻制の導入、婚姻年齢の引き下げ、そして強まる男性の権利。
そんな中、プロデューサーという職業は激務を極め、
事務所側は待遇改善の一環として「アイドルの自由恋愛」を解禁した。その結果が、この光景だ。
(……思い返せば、全ては死から始まった)
渚の前半生は、裏社会での「外道狩り」だった。
悲惨な過去を背負い、復讐の代行者として数多の外道を地獄へ送ってきた男。
やがて病に侵され、孤独な死を迎えたはずの彼を待っていたのは、
天界の主・ゼウスと、その妻ヘラだった。
「お主の行ってきたことは、外道とはいえ殺人だ。だが、多くの人間を救ったのも事実。……心が悲鳴を上げていたのだろう?」
神の言葉に、渚は涙を流した。初めて自分の生を肯定された気がしたからだ。
ゼウスは言った。元の世界には戻れない。だが、並行世界への転生を許す、と。
「私とヘラの子として転生させよう。お主が司るのは『色欲』。そして、その魔眼は――」
警告のように告げられた権能。常時発動するその力は、女神であれば高位の存在であっても逆らえない。
「幸せになって」というヘラの願いとともに、渚はこの世界に落とされた。
現人神として、最強の戦闘者として、そして『色欲』を司る者として。
渚は乱れる息の中で、自分に跨がるありすを見つめた。
この魔眼の輝きに、彼女たちは抗えない。
自分は愛や幸福を知らないまま、ただただ求められるだけの存在なのか。
(……それでも、この人生は俺のものだ)
渚は吐息とともに、ありすの腰を抱き寄せた。神に与えられた色欲の呪いと、
前世の孤独。その狭間で、彼の新しい「プロデュース」が幕を開ける。