前世は地獄、今世は天国? 346プロの色欲神プロデューサーの受難 作:ヘルメス・トリスメギスタス
「ここは?」
新田さんはゲートを潜って出た先の部屋に疑問に思っているようだ。
ここは先に話しておくか。
「ここは人間界と冥界の間にある色欲界と呼ばれる世界に俺が作った部屋だ。
俺の意思で部屋の大きさやレイアウト、調度品も自由に変えられる。
先に言っておくが俺が操作しない限りこの部屋を出入りすることは出来ない。
時間に関してはここにどれくらいいても時間は経過しない。
人間界でも1秒たりとも時間は経過していない。まあ、時が止まっているから、
歳をとる心配はしなくていい」
「ちょっと待ってください!
神城プロデューサーが認めなければ私は出られないということじゃないですか!
それに色欲界って何ですか! さっきのゲートもそうですし、
神城プロデューサーは何者何ですか?」
新田さんが怒り始める。まあ、当然の反応だな。
渚が口を開く前にありすが口を開いた。
「私が簡単に説明します。まずご主人様についてですが、
ギリシャ神界の主神ゼウスと女神ヘラの間の子供であり、
色欲神として作られて、人間の女性の子宮に埋め込まれて生まれたのがご主人様です。
色欲界はご主人様が支配している世界のことです。
ハデスが冥界の王として冥界を支配しているように、
ご主人様は色欲界の王として色欲界を支配しています。
先に言っておきますが戦っても勝てませんよ?
オリュンポス十二神と同等の力を持っていますから」
「神城プロデューサーが………神?」
新田さんは信じられないという顔をした。まあ荒唐無稽な話だろうしな。
「信じられないかもしれませんが、本当のことです。
つまり美波さんは人間として本物の神と戦うということです。
それも主神級の神とです」
ありすの言葉を聞き、新田さんの顔が青くなった。
世界史でオリュンポス十二神は習っているだろう。
そのレベルの神と戦えというのだ。どれほどの奇跡が起きても勝てないとわかったのだろう。
「ああ、勘違いしないでくれ。何も殴り合いで勝負するとかではないから」
俺の言葉に新田さんはホッとする。勝負内容によっては勝てるかもしれないと思っているようだ。
「まあ、その前に………。晴、千枝。あそこの椅子に座ってくれ」
俺の指さした先には二つの椅子があった。
「え? はい。」
二人は何の疑問も抱かず椅子に座った。
すると二人が座った瞬間、二人の両手足と胴体が金属で固定された。
二人が何が起こったのかを把握する間も与えず、猿轡と目隠しを二人にし、
特殊なヘルメットを装着した。
「神城プロデューサー! 二人に何をしているんですか!?」
新田さんが驚きの声を上げる。
「俺と新田さんの勝負をより真剣なものにするための準備です」
「準備?」
訳がわからないといった表情の新田さんに俺が説明する。
「簡潔に言います。俺は以前二人に人間の脳に寄生する特殊なスライムを入れました。
そのスライムは脳を弄り、性欲を高めるものでしたが、俺はその後に細工を施しました」
「細工?」
「ええ。スライムを利用して徐々に二人の脳に俺に都合のいい新しい人格を作っていきました。
無論本人達に気づかれないようにね。今や二人の脳の99%は新しい人格です。
今の人格は脳にわずかに残ったチューインガム程度のスライムにしか残されていません」
「な………なんてことを………!」
新田さんの表情が怒りに変わる。
「さて、ここからが勝利報酬の変更です。新田さんが勝っても負けても、
例の件を俺は全力で隠蔽します。その代わり新田さんが負けた場合は、
そこの壁にあるレバーを操作してください。そうすると電流が流れスライムが死にます。
つまり同時に二人の今の人格も消滅。死ぬことになりますね」
「ひ、卑怯です!」
「そうですか? 別に断ってもいいですよ? 俺がレバーを操作するだけですが。
どうします? 二人を見捨てますか? 別に構いませんよ?」
俺は涼しい顔で言い放つ。
「………わかりました。受けて立ちます! あなたを許しません!」
「交渉成立ですね。では、勝負内容を言います。ずばりセックスです」
「せ、セックス!?」
新田さんが素っ頓狂な声を上げる。
「何を驚いてるんです? 俺は色欲神ですよ? だったら勝負はそうなるじゃないですか」
「で、でも………」
「何を今更恥ずかしがっているんです? 男子トイレで全裸自慰をしてた人が………」
「うっ………」
「勝敗の条件を言いますね。俺が勃起出来なくなったら新田さんの勝ち。
新田さんが気絶、もしくは降参したら俺の勝ち。わかりやすいでしょう?
もちろん避妊薬を飲んでもらっての勝負ですので安心してください」
俺からの条件を聞き考え込む新田さん。
この条件で勝利できるのかを考えているのだろう。
だが、無駄なことだ。この勝負新田さんは絶対に勝てない。
一見すれば新田さんが有利に見えるだろう。
だが、俺は勝てない勝負はしない。
絶対に勝てる状況を作り出し、その上で勝負する。
そうでなければ裏社会で生き残ることなど出来ない。
新田さんの趣味にはラクロスがあるが、所詮はスポーツ程度のステージ。
一方俺がいたステージは死力を尽くす殺しのステージ。
ステージが違いすぎる。故に思考も新田さんレベルでは浅い。
あちらが考えていることなどこちらにはお見通しだ。
しばらく考え込んでいた新田さんだったが、決まったようだ。
「わかりました。その条件で勝負します」
「………勝つ気でいますね。いいでしょう。色欲界の王としてその挑戦受けて立ちましょう」
俺は不敵な笑みを浮かべ、新田さんと相対するのであった。