前世は地獄、今世は天国? 346プロの色欲神プロデューサーの受難 作:ヘルメス・トリスメギスタス
「いい加減に起きてください二人とも」
晴は誰かに身体を揺らされる感覚を感じた。
この声はありす?
そう考えると晴の意識は闇の底から浮上してきた。
そうだ。プロデューサーに気絶させられて。
そう気付いた時、晴の意識は元に戻った。
「二人とも起きましたか」
ありすが特に興味もなく呟く。
「ありす! これはどういう………」
そう言いかけて自分達の姿に気づく。
服は全て脱がされており、後ろ手に手錠を嵌められて大きな円形のベッドにいるのだ。
「二人とも起きたか」
そう言って椅子に座って本を読んでいた渚が呟く。
「プロデューサー……これはどういうことだよ!?」
晴はプロデューサーを問い詰める。千枝は自分が全裸とわかり、怯えながら晴の後ろに回った。
「晴達が俺を探っているとありすに聞いたからな。面倒になる前に先手を打たせてもらった」
「ありす! 裏切ったのか!?」
「晴さん。裏切ったとは心外ですね。私は度々プロデューサーへの探りをやめておくように忠告はしましたよ?
それに今の私はご主人様の所有物なのですから、情報を流すのは当然でしょう?」
「ご主人様? それに所有物ってどういうことだよ!?」
「簡単です。私の身体も心も魂もそして人権もご主人様のものです。
つまり今の私はご主人様の性欲処理の肉便器と一緒です。犬や豚と何も変わりません」
「~~~!!」
ありすの言葉に二人とも絶句した。
あのありすからそんな言葉が出てくるとは思ってもみなかったのだ。
「ここから出せよプロデューサー!」
晴が渚を睨んで叫ぶ。
「それは無理だな。出したら警察に行くだろう? まあ、ここから自力脱出は不可能だが」
「は? どういうことだよ?」
「この部屋を見回してみろ。どの部屋にも絶対になければならない物が無いだろ?」
渚に言われて晴達は周囲を見る。そしてあることに気づく。
「部屋を出入りするドアがない!?」
晴達は愕然とした。それじゃあどうやってみんなこの部屋に入ったんだ?
晴達の中で疑問が渦巻く。
「簡単に説明してやる。ここは人間界と冥界の間に位置する世界の一つ色欲界。
そこに俺が作り出した部屋だ。だから俺の設定したルールに従わない限り脱出不可能。
万が一脱出したとしても外は色欲界。地上には戻れない」
渚が話した言葉に晴達の顔が青くなる。ここで殺されたら証拠も死体も残らない。
行方不明として警察に処理されるだけだとわかったのだ。
「こ、殺さないでください!」
千枝が涙声で訴える。
「何でプロデューサーがそんなこと出来るんだよ!?」
晴は訳がわからないと混乱した。
「それはご主人様が色欲界の支配者であり色欲神だからですよ」
晴の疑問にありすが代わって答える。
「は?」
「ギリシャ神界のゼウスとヘラの息子であり、人間界の女性のお腹に入って生まれた存在。
それが色欲神神城渚。自身の支配する領域なのですからこの部屋の出入りも自由なんです」
「プロデューサーが………神?」
ありすの説明に晴達が呆然とする。
「先に言っておきますが、プロデューサーを殺そうとしても無駄ですよ。
人間の作った兵器では核兵器でも神にかすり傷一つつきませんから」
ありすが止めとばかりに絶望的な宣告をする。
つまりプロデューサーに生殺与奪の権を握られているということだ。
そのことを晴達が理解すると表情が絶望に染まった。
「ああ、心配しないでくれ。殺しはしない。ルールを守ったら出してやる」
「ルール?」
晴が訝しむ表情をする。
「そう。ここは色欲の世界。そのルールで戦って勝っても負けても二人は元の世界に戻れる」
「………その勝敗はどうやって決めるんだよ?」
「なあに簡単さ。晴達の魂が色欲の底なし沼に沈むか沈まないかだ」
「?」
「ようは俺が晴達を色欲の底なし沼に魂ごと引きずり込むために、ありとあらゆる性的快楽を与える。
耐えられたら今の自我のまま元に戻れる」
「耐えられなかったら?」
「ありすと同じになる。もう晴達の知ってるありすとは違うとわかるだろ?」
「………」
「言っとくがこのゲームは強制参加だ。時間は気にしなくていい。この部屋で何時間過ぎても年は取らないし、
戻っても1秒も進んでいない。ようは二人が耐えられるかどうかだ」
「………戻ったら警察に突き出してやるからな!」
晴の眼は憎悪に燃えていた。
「ふふ。いい眼だ。だからこそ堕としがいがある。まあ、俺は手を出さないんだがな」
「え?」
晴は間抜けな声を出した。
渚はそんなことはお構いなくポケットから指輪を取り出し左手にはめた。
「12人でいいか。神器『色欲に堕ちし者』力を示せ」
渚がそう言うと、指輪から白い煙が吹き出す。
白い煙が晴れると、12人の渚が姿を現した。
あまりのことに誰も声をあげることが出来ない。
「神器で12人の俺を出した。言っとくが幻じゃなく全て俺本体だ。
晴と千枝で分けて6人ずつが相手だ。言っとくがありとあらゆる性的快楽を与える。
下手に抵抗するよりさっさと色欲の底なし沼に堕ちた方が楽だと言っておく」
「はいそうですかとなるかよ!」
晴は怒りの表情を露にする。
「晴さん、千枝さん。安心してください。ご主人様の与える快楽は極楽と言えるものです。
魂も色欲の底なし沼に堕ちたらもう戻ろうとは思いませんよ」
ありすが冷静に答える。
「そんな訳無いだろ!」
「いいえ。私はご主人様の与えてくれた快楽で天国の先の先どころか、さらに上の所へ行きました。
そのため魂が色欲の底なし沼に堕ちましたが、極上の快楽を楽しめています。
二人も色欲の底なし沼に堕ちれば、極上の快楽が待っているんですよ? 人権?
ご主人様がくれる極上の快楽に比べればゴミも同然です。
さあ、私のいる色欲の底なし沼に堕ちましょう。そして、ご主人様に肉便器として飼われるのです」
ありすの眼は性欲に支配され、三人で渚に飼われる未来を見ているようだった。
「俺も千枝もそんなもんになりたくねえ!」
ありすの甘い誘いを晴は怒りの表情とともに拒絶した。
ありすの眼が一瞬で冷たいものに変わる。
「そうですか………残念です。ご主人様。
二人に自ら肉便器になりたいと言うまで徹底的に性的快楽を与えて下さい。
色欲神であるご主人様に立てついた罪は重いです」
「………そうだな。日常生活すら満足に送れないくらい徹底的にやるしかないか………
晴、千枝。最終確認だ。徹底的に抵抗するんだな?」
「当たり前だ!」
「ち、千枝も嫌です!」
二人の回答に渚は深いため息をついた。
「わかった。ありすが堕ちた時の10倍……いや、100倍の性的快楽を与えてやる。抵抗したことを一生の後悔にさせてやる。
……人格崩壊して廃人になろうとも、それは二人の選択だ」
渚が苦々しく分体に命令を下す。
晴は唇を噛み締め、千枝は震えながら渚を見つめた。二人の無垢な瞳に、これから「神の暴力」とも呼ぶべき蹂躙が刻まれる。
分体たちが一斉に動き出した。それはもはやプロデュースという名の範疇を越えた、ただの暴力的な愛撫だった。
晴の指先が、抗うのをやめ、無意識に自分を蹂躙する神の指を求めて這い上がる。千枝の口から、拒絶の言葉の代わりに、甘美な嬌声が漏れ出す。
脳が焼ける。理性が溶ける。
渚の心は暗澹たる澱の中にあった。自らが作り出したこの地獄で、愛すべきアイドルたちの魂が
、快楽という名の底なし沼へと沈んでいくのを、彼はただ冷徹な神として見届けるしかない。
狂乱の宴が、幕を開けた。