橙色の灯りが部屋の輪郭を柔らかく溶かし、夜の静けさだけが俺たちを包んでいた。
「……脱ぐから、あっち向いてて」
「嫌だ。どうせ全部見るんだから、いいだろ」
ベッドの上に女の子座りする碧依がパジャマのズボンに手をかけながら言う。
碧依の頬は火が灯ったように真っ赤だった。テーブルランプの橙色の灯りがその朱をいっそう鮮やかに浮かび上がらせている。
俺もベッドに乗り、素っ裸のまま碧依の正面で胡座をかいていた。
「…………」
俺の熱量を受けた碧依が根負けし、目を伏せたまま腕を動かした。
まるで新雪のように真っ白い太ももの上を寝巻きのズボンがするすると滑っていく。
彼女の腰元には白いショーツだけが残された。
「寝る時用のだから、可愛くない……」
「いや、可愛い」
「っ……!」
何も言ってないのに勝手に言い訳し出す碧依へ俺は即答した。
どんな下着であろうと、碧依が着たなら最高に可愛いのだ。
碧依は唇をきゅっと結び、伏せた睫毛を震わせた。
そしてそのまま動きを止める。決心と躊躇いがせめぎ合っているようだ。
「……碧依」
焦らず、少しだけ待ってから、俺は静かに彼女の名を呼んだ。
甘い海に肩まで浸かった彼女を、昏い水底へと誘うために。
だけど、まだ岸は見えている。今なら戻れる。
胸の奥に残った最後の良心だけが、彼女へ一
「……やめるなら、これが最後の機会だ」
碧依は、長い沈黙だけを俺に返した。
やがて、遠くの岸を見つめるように揺れていた瞳がゆっくりと俺へ向く。
そして彼女は、自ら一歩だけ深みへと踏み出したのだ。
「……やめ、ない。……ちゃんと見てて」
二人揃って沈んでいく。岸へ返る波音が聞こえなくなった。
——俺たちはもう、戻れない。
碧依がショーツを脱いだ。
■
『シチューの理由は、教えてくれないんだね』
ぬるいシャワーを浴びながら、彼の吐いた嘘の理由をぼんやり考える。
今日は別に特別なことなど何も無かった。……表向きは。
部活から帰ってきた勇雄は妙に上機嫌だった。
まるで念願叶ったみたいに足取りを軽くしながら、キッチンで鍋に火をかける彼の姿を思い出す。
教室ではあんなじゃ無かったから、部活で良いことがあったのかもしれない。
あるいは帰り道にラッキーな出来事でもあったのかもしれない。
……でも、もし。喜ぶ理由が家の中にあったのだとしたら。
彼が帰宅してからできた事なんてほぼ限られている。
たとえば、幼馴染の自慰姿を陰からこっそり覗く……とか。
碧依はぐるぐると思考を巡らせつつも、きっとそれが正解なんだとどこかで察していた。
そうでもなければ、素直な彼が嘘をつく理由なんてない。
(そんなに、喜んでくれたの?)
普通に考えれば、いくら幼馴染とはいえ勝手に自分の部屋に侵入して自慰なんてされたら多少なりとも引くんじゃないだろうか。
あんなに上機嫌で、張本人の大好物を料理する事なんてあるだろうか。
……分からない。男の子ならあるのかもしれない。
碧依が逆の立場だったとしたら……やっぱり嬉しい。
でも理由はたった一つ。勇雄のことが好きだから。彼が自分に欲情しているかもしれないと期待できるから。
ただの幼馴染だったら微塵たりとも嬉しくないはずだ。村の誰かだったら間違いなく縁を切る。
(……勇雄は、私の事が好き?)
その疑問だけが、碧依の中で永遠に渦巻き続けている。
何度も何度もそう期待して、でも違った時のことが怖くて踏み込めない。
この一週間、碧依は欠かさずに彼の秘め事を覗き見てきた。
カケラだけ残った善性が碧依を罵倒するのも聞こえないフリをして、毎晩こっそり部屋を抜け出した。
『ぐ……碧依ッ……!』
眉をギュッと寄せて、彼が呼ぶ。
彼は毎日、必ず最後にその名前を呟いた。
どんな想像をしているのかは分からないけど、誰が登場するのかだけは明白だった。
……分からない。どっちなの。
仲のいい女子から聞いたことがある。
男にとって愛情と性欲は全く別のものだって。好きじゃなくても身体に欲情できるって。
碧依にはあんまり理解できない。好きでもない相手の裸なんて、気持ち悪くて見たくないけど。
(分かんないよ。はっきり言ってよ)
たとえ独り言でも、「好き」の一言さえあれば。
碧依はすぐにでも全てを彼に曝け出せるのに。
彼のあれがただの性欲で、恋心なんて一ミリも無かったなんて知った日には。
碧依はもう二度と立ち直れる気がしなかった。
ズキン、ズキンと胸が痛む。
ずっと隣にいてくれた彼が、いつかいなくなる事を想像して。
じゅくん、じゅくんと胎が熱くなる。
毎晩覗き見た彼の、あの悩ましげな声と顔を思い出して。
——あるいは、そうだ。
身体から始まる恋もあると言う。
碧依が身を捧げれば、勇雄は後から惚れてくれるかも。
その発想を得た途端、碧依の胸中に寂しさと苦しさが吹き荒れた。
きっとこれは邪道だ。互いの貞操を度外視した、負け犬の作戦だ。
それで彼が好きになってくれる保証もない。
……それでも。
(勇雄の隣は、誰にも渡したくないよ……)
きっと機会が来れば、碧依は彼に身を捧げるだろう。
そこに彼の恋心なんて無くたって、僅かな期待がある限り。
あの大きな肉の杭が、碧依の胎へと突き込まれる。
そんな想像が頭に浮かんだ瞬間、じわりと腰に熱を感じた。
その熱は碧依の太ももをつぅと伝い、ぬるいシャワーにさらわれていく。
彼が機会をくれるのを、碧依はひそかに待ち望んでいる。
そしてそれは近いうちにやってくる。そんな予感がした。
■
壁に背をつけた碧依がおずおずと股を開く。
俺は呼吸の仕方も忘れて、その秘密の園へと目を凝らした。
ゆっくりと左右に開かれた真っ白な太もも。
その真ん中に、時が止まるほど美しい光景が広がっていた。
下腹部に短く生え揃う薄い淫毛。均一に整えられたそれは下の白い肌を透かしている。
まるで春の芝生のような柔らかい感触だと、見るだけでも分かった。
そして……ぱくりと遠慮がちに開いた、桜色の割れ目。
とろとろと透明な粘液を溢れさせるそこは、今にも溶けていってしまいそうなほど濡れている。
僅かに奥に覗く粘膜の色は新鮮な柘榴の実を思わせるほど鮮やかだった。
割れ目の左右には、控えめな陰唇がちょこんと待ち構えている。
それは一切の黒ずみを持たず、まるで産まれたてかのような肌色を湛えていた。
そして、秘裂の頂点で俺を見つめる小さな肉芽。
それは薄い皮に包まれたまま、されどぷくりと膨れて存在を主張していた。
恥ずかしがり屋な碧依の性格がここにも現れているようだ。
「……み、見すぎ……っ」
碧依が脚を閉じようとするので、すかさず膝を抑えて止めた。
俺は生唾を飲み込んでじっと見つめる。碧依のココはずっと妄想していたけれど、これほどの美しさは俺の想像力じゃ届かなかった。
「……すげぇ、綺麗だ……」
「……へ、へんじゃない?」
「まさか。俺、こんなに綺麗な光景初めて見た」
「うぅ……恥ずかしい」
今すぐ、しゃぶりつきたい。
そんな衝動を抑え込むのに必死だった。
今もなお碧依の秘裂からは透明な蜜が零れてきている。
とろりとした液が割れ目を伝い、ゆっくりと尻のほうへ垂れていく。
「すごい濡れてるな……」
「い、勇雄のせいだよ。あんなことするからっ」
「俺で興奮してくれたのか」
「…………う、うん」
「そっか……そっか……!」
ああ、嬉しすぎるし、エロすぎる。
さっき射精したばかりの肉棒が、恐ろしい勢いでビキビキと勃ち上がる。
血液が集まりすぎて痛いくらいだ。
「あ……それ……」
「こんなの勃つに決まってる。可愛いすぎるよ、碧依」
「ふぇ」
思わず口をついて出た言葉に、碧依の潤んだ瞳がかすかに揺らぐ。
胸元のパジャマをぎゅっと掴み、何かを堪えるように唇を結んだ。
チラ、と上目遣いに見上げた碧依と、俺の熱視線がぶつかる。
彼女の瞳の中には、緊張と興奮が交互に覗いていた。
「……す、するね」
「ああ」
碧依の細く白い指が、桜色の秘裂へゆっくり降りていく。
それは微かに震えていて、俺まで身を緊張に固めてしまった。
……くちゅり。
「……ん……」
碧依の中指が割れ目に触れた。その瞬間、艶かしい水音が漏れ聞こえる。
指は割れ目に沿うように縦に添えられて、溢れ出る蜜液をたっぷりまとった。
やがてその指が、優しく上下に揺れ動き出す。
単純な上下運動ではなく、秘裂を楕円形に撫で回すような動きだった。
ちゅく、ちゅく、くちゅり、くちゅっ
「ふ……ん、う……あ……」
俺は興奮しすぎて頭の血管がはち切れそうだった。
碧依の指が回るたび、秘裂は柔らかそうに形を歪めて蕩けていく。
鼓膜を打つ水音は彼女の興奮をそのまま表しているようで、俺の官能を再現なく刺激する。
碧依の口から漏れる声には聞き覚えがある。
これまでに二回だけ聞いたはずのその声も、至近距離だと合間の息遣いすら聞こえて更に艶やかだった。
どうやら碧依も声が漏れていることに気付いたらしい。
顔を真っ赤にして、空いている方の手の甲で口元を隠してしまった。
「隠しちゃダメだ。全部聞かせて」
「わっ、まっ……んっ!」
俺はその腕を掴んで口元から引き剥がす。
碧依は驚くが、それでも秘裂を弄る手は止めなかった。すぐに甘い声で喘いでしまう。
俺の前でもちゃんと感じているらしい。
声が漏れるのと同時に、碧依の腰がぴくんぴくんと小さく跳ねていた。
(碧依が、俺の目の前でオナニーしてる……!)
ようやく、脳がこのとんでもない状況を受け入れ始める。
ずっとずっと大好きだった、誰もが憧れる美人の幼馴染。
彼女が今、俺の目の前で、誰にも見せないはずの痴態を俺だけに見せつけてきてるんだ。
ただ見ているだけなんて、出来るはずもない。
「ふっ……は……う」
「んっ……あ……いさお……」
碧依のオナニーを凝視しながら、俺も己の肉棒を扱き始めた。
知らぬ間に先走り液を垂らしていたそれは、最初からドロドロに濡れて激しい快感を生み出す。
碧依もそんな俺の行動にすぐ気付くが、やはり秘裂を触る手は止まらなかった。
そして、互いのオナニーを見せつけ合う。
腕を伸ばせば簡単に触れられる距離で。
背を曲げれば簡単にキスできる距離で。
恋人でもない俺たちは、恋人同士のように乱れ合った。
くちゅっ、くちゅっ、ぬちゅ、くちゅる
「ん……ふぅっ……んぁ……あっ……」
にちゃっ、にちゃっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ
「う、ぐ……ふっ……う……」
M字に股を開いた碧依が、顔を歪めて快楽に耽る。
その目の前で胡座をかいた俺が、秘裂を凝視して肉棒を擦る。
なんだ、この状況。夢でも見てるんだろうか。
どこか隅の方で冷静な思考も、視界に映る光景を信じきれない。
そしてそれはあっという間に性欲と興奮に押し流されて、ただ昂るだけの本能が残された。
「ん……はぁ、はぁ、……んんッ!」
碧依が指の動きを変えた。
秘裂全体をゆっくり撫でるだけだった指先が、割れ目の頂点に場所を移す。
柔らかそうに膨れた小さな秘核。そこをそっと捏ね出したのだ。
碧依の喘ぎ声に、熱が乗った。快感の強さが変わったんだ。
くりゅ、くりゅ、ぐりぐり、ぐっ
「んぁっ……う、ふぅ……あっ……んぁ!」
細い眉がギュッと顰められ、くびれた腰がびくんと跳ねる。
ぷるんとした唇から悩ましげな声が飛び出して、夢中になって秘核を捏ねている。
(やっぱり、クリトリスが一番気持ちいいのか)
知識としてしか知らなかった事が、俺の目の前で実証されていく。
さっきまでとは明らかに違う碧依の乱れ様は、起爆剤となって俺の興奮を加速させた。
俺は両手で自分の身体を支えながら、腰を下ろす位置を前にずらした。
碧依の脚と俺の脚が触れる。ほぼ密着しかけているほどの至近距離だ。
「……っ! んっ……!」
碧依もそれに気づいて目を見開いた。視線の先は、俺の股ぐらだ。
とろとろに濡れて蜜を流す桜色の秘裂。
その数センチ離れたところで高らかに雄叫びを上げる、赤黒い肉棒。
——幼馴染同士の生殖器が、今にも触れそうな距離で見つめ合っていた。
そのまま俺は肉棒を扱き出す。碧依もそれを見つめながら指の動きを再開した。
あまりに近い距離。彼女の秘裂の放つ熱が俺の肉棒にかかってきている錯覚すら覚えた。
碧依の秘裂からは愛液がとろとろと止まらない。
彼女の指がそれを掬って秘核に塗りたくる。捏ねる指の速度が上がった。
俺の肉棒からは先走りえきがだくだくと溢れている。
俺は指でそれを亀頭に広げてまとわせる。扱く指の速度が上がった。
互いの性器から激しい水音が鳴る。
くちゅくちゅくちゅっ、ぐりり、ぬちゅるっ
ぐちゅッ、ぐちゅッ、ぐちゅッ、ぬちゅるっ
俺の顔のすぐ近くに碧依の顔がある。
さらさらな黒髪や長い睫毛の一つ一つが分かるほどの距離で、快感に喘ぐ表情を見せ合った。
荒い息遣いも肌で感じる。耳をすませば心臓の鼓動すら聞こえてしまいそうだった。
(ああ、気が狂いそうだ……ッ!)
一心不乱に、乱れ合う。
共有する熱い吐息。
共鳴する粘着質な音。
共振する激しい指遣い。
碧依の腰が跳ねるたび、触れる脚を通して彼女の快感のリズムを知った。
俺の腰が震えるたび、吐き出す呼吸を通して俺の快感の高まりを知らせた。
「あ、あ、……い、いさお……わたし、もう……っ!」
「う……あ、あおい……! 俺もだ……一緒に……っ!」
熱に潤んだ瞳が俺を真っ直ぐ見上げる。
俺も在らん限りの愛情を込めて、それをじっと見返した。
ぐちゅぐちゅと部屋中を暴れ回る水音は、もはやどちらが出している音かも分からない。
ただひたすらに、本能のままに。俺たちは己を慰め合った。
「んっ……んぅっ、あ……ッ!」
「ぐぅっ……う……あ……ッ!」
そして、最後の瞬間が訪れる。
互いの絶頂が迫ることを感じ取り、俺たちは快感に歪む顔で見つめ合った。
「あおい…………!」
それは、俺の人生で見てきた中で一番美しい彼女の表情だった。
一瞬だけ快楽すらも忘れて見惚れた俺は、思わずその唇へと口付けようとして。
……告白すらもしていない現実を思い出して、寸前のところで止まったのだった。
——そして次の瞬間、身体中を快感の爆発が埋め尽くした。
精巣の奥底から、沸騰する白いマグマが恐ろしい勢いで湧き上がる。
同時に、碧依の身体も一際大きく痙攣した。
「んああッッ!」
「ぐぁ……ッ!」
びゅうううううううううッッ! びゅくうううッ!
とんでもない高さまで噴き上がる白濁液。それは碧依の全身に容赦なく降り注ぐ。
びゅくん、びゅくん、と尿道が精液によって広げられるたび、視界が真っ白に明滅する。
碧依は目をぎゅうと閉じて全身をビクンビクンと震わせている。
白く粘着質な雨に打たれながら、駆け巡る快感を必死に受け流しているようだ。
大量の精子が黒髪やパジャマすら白く穢し、蕩けた秘裂にも遠慮なく降り注ぐ。
(ああ……綺麗だな)
これ以上なく穢されたはずの彼女の姿。
しかしそれは、昏い深海へ射し込む一筋の光のように、静かに輝いて見えた。
「……ごめん、また顔にも出しちゃったな」
「……ううん。ちょっとだけ慣れてきた」
気が遠くなるほどの快感をようやく受け流し切った俺たちは、どこか気まずい雰囲気の中で後処理をしていた。
俺はやたらと冷静な頭で思考する。射精によって分泌されたプロラクチンが俺の興奮を消しとばしたのだ。
そうして浮かんでくる言葉は、どれもこれも取り返しのつかない事ばかり。
どう考えても片想いの相手にしていい所業じゃなかった。
性欲に呑まれてとんでもないことをしてしまった。
でももう、手遅れだ。
幸いと言っていいのか、碧依も別に怒ったり悲しんだりしている様子はなかった。
ただ頬を赤らめたまま黙々とティッシュで掃除している。しかしなかなか精液が拭き取りきれていない。
肩にのしかかる罪悪感と、胸を埋め尽くす高揚感。
相反する感情を持て余しながら俺も碧依を手伝った。
「パジャマ、洗濯した方がいいな。髪にもついてるし、シャワー浴びとけ」
「え……ほんとだ。……勇雄、すごいたくさん出したね」
「……そりゃあ、あんなの見たらこれくらい出るさ」
「そんなに、見たかったの?」
「ああ、見たかった」
「……そうなんだ」
碧依は口の端を僅かに上げた。
疲れが滲む表情の中で、確かに彼女は満足そうに微笑んでいる。
……いいのかよ、碧依。こんな俺の行動を許してしまって。
きっと俺はもう止まれない。これっきりなんて耐えられない。
だって俺たち、付き合ってすらいないんだぞ。
俺が自分から仕掛けたくせに心の中で情けない叫びをあげた。
オナニーを見せ合うだけの関係なんて、互いを性欲の捌け口としか扱っていない。
俺は碧依の心まで、ちゃんと全てを手に入れたいのに。
そんな資格などない癖に悶々とした気持ちを抱える俺の前で、碧依は何事かをじっと考えていた。
そして頬についた精液を指で拭い取ると、それをペロリと舐める。
「え、碧依!? お前またっ……」
「全部飲むって言ったのに、こんなに零しちゃった」
「……不味いだろ。今日はもう飲まなくていい」
俺の静止を聞いたはずの碧依は、それでも再び精液を舐めた。
「おいしくない……けど、ちょっと慣れてきた」
「お、お前なぁ」
「たぶん、次はちゃんと飲めると思う」
「……え?」
次? 次があるのか?
思わず固まった俺に、碧依は当然とばかりに話を続けた。
「"不平等"……。まだ、解消されてないよね。あと六日ぶん残ってる」
そう言って俺を見上げる碧依の瞳には、熱に浮かされたような欲望が渦巻いていた。
どこか演技がかった口調。思わせぶりな上目遣い。だけど最高に可愛い微笑み。
言葉を失ってしまう俺に、碧依はとどめの一言を。
「あ、明日も……見せてあげる」
「…………あ、ああ」
俺が彼女に返せたのは、僅かな頷きだけだった。