シャワーを浴びたいというと、銀さんは熱が冷めるのが嫌だというように抵抗を示した。
けれど、『ちゃんとしたい』のだと伝えたらどうにか諦めてくれた。
折角買ったのだからと、風呂上がりのまだ水気が残る肌に下ろし立ての下着を身につける。
プリーツの入った白い下着。乙女過ぎるだろうと、一度はスルーしたものの、どうしてか心引かれ購入してしまった。
銀さんは気にしないだろうと思っても、いざ身に付けてみると恥ずかしさが込み上げてくる。
寝間着にしている浴衣を纏い、そろりと脱衣所から出る。
ドライヤーが使えないので、髪を洗えなかったのが心残りだ。
銀さんの元に戻ると、一組だけ布団が敷かれていた。誰が敷いてくれたのかは言うまでもない。
改めてだが恥ずかしくなり、顔を覆ってしまいそうになる。
「鴉を殺す準備はできたのか?」
そんな私を見て、からかうように銀さんは言った。
準備と言われて伝えなければいけない事を思い出す。
「えっと……そのね」
本棚の隅に置いた紙袋を取って、銀さんに押し付けるように渡した。
「なんだよ」
「その……殺す準備的な」
どうにも伝えるのが難しくて、曖昧に言葉を濁す。
銀さんは紙袋を持った感触でなんとなく悟ったようだったが、袋の口を開き中身を確かめる。
「……オイオイ、いくら銀さんでも流石にこんなには」
「ちがっ!! さ、サイズとかあるの知らなくて!」
被せるように否定する。まるで私がとんでもないことを期待しているような勘違いはやめて欲しい。
「ああ、なるほど。にしても準備がいいな。お前、どこで買ったのよこんなの」
にやにや笑いながら、銀さんは袋から取り出した『コンドーム』の箱を見せつけながら私の腕を取った。
「ドラッグストアで……ねぇ、もう許して」
買う時も恥ずかしかったのに、前もって準備していたのだと知られるのは更に恥ずかしい。
けれど、必要だろうという知識ぐらいはあるのだ。
振りほどき逃げようとしているのに、銀さんは腕を掴まえたまま顔を覗き込むのをやめない。
「しっかしまぁー。分かんなかったからってこんな……。お前、絶対店員に顔覚えられてんぞ」
「……えっ、嘘!」
「ぜってぇー覚えられてるって。次いったとき、ゴム女とか裏で呼ばれてるって」
「……もう二度と行かない」
どう思われてるかなんて想像もしたくない。しゃがみこみたいのに、銀さんが手を掴んでるせいでそれも叶わない。
そんな私を見て、銀さんが嬉しそうに笑う。途端、余計に恥ずかしくなった。
ずるいと思う。私はこんなに恥ずかしくて、どきどきしているのに銀さんはからかう余裕まであって、それでそんな……嬉しそうに笑うなんて。
「わかったんだから離してよ」
ようやく腕を振りほどいて、背を向ける。
銀さんの背後に布団が敷かれているのが見えた。
それがなんだか色々生々しくて、どうしようと焦り始めた自分がいる。
「お前、変なとこ真面目だなぁ。分からなかったら聞きゃあいいだろ? 喜んで教えてやんのに」
「……そんなの無理に決まってるじゃん」
背後で笑う気配がする。
背後から抱きしめられる。
がさりと音がしたことから紙袋は放り投げられたのだと思う。
「サイズ違いでこんなん買うより、よっぽど効率的だと俺は思うけどな」
「……そうやってからかって、楽しい?」
「楽しい」
耳元にふっと息を吹きかけられ、ビクリと体を震わせる。出そうになった声はどうにか飲み込んだ。
はずんだ銀さんの声が調子を狂わせる。からかわれて悔しいのに、嫌じゃない。
Mになった覚えはないのだけれど、この状況に銀さんがめずらしく浮かれている事が嬉しいのだ。
「好きな子いじめるのは小学生までにしてくれませんかー」
「男はいつまでたってもガキのままなんだよ。……惚れた女、からかいたくなるぐれぇ許してくれよ」
「ずるい」
普段は好きだなんだとは絶対言わない癖に。こんな時だけ。
顔を上げると頬に手を添えられ、キスされる。
角度を変えて、二度。腹の前に腕が回り、首筋に顔を埋められた。
手を添えて頭を撫でると、首筋を舐められた。
「ひゃぃっ」
急な出来事に変な声が漏れる。銀さんはそのままペロペロと舐めながら首筋からあがり、耳を咥え始めた。
ぞわぞわした感触に身を震わせながら耐えていると、夜着の合わせ目から銀さんの右手がスルリと入り込む。
どちらを抑えたらいいのか、そのまま流されるべきなのか判断がつかないまま固まっていると、耳を咥えられたまま笑う吐息が当たる。
「やべぇな……」
少し口を離した銀さんが、耳元で笑っている。
「な、なにが? んっ!」
疑問を口にする間にブラの間に手をいれられ、先端をつままれながら胸を揉みしだかれる。
同時に、腹の前に回っていた左手が、太ももの間に差し込まれた。
「やっ……んっ!」
性急な動きに翻弄され、どうしたらいいか分からなくなる。
逃げたい訳じゃないのだけれど、腰から背筋を何かがが駆け上がるような感覚と、耳元で絶えず鳴り続ける水音に身が捩れる。
「思ったよりやべぇわ」
耳から口を離した銀さんがべろりと大きく首元を舐めた。
「ひゃっん」
口を覆っても漏れ出る声が浅ましく感じてしまい、羞恥心でおかしくなってしまいそうだった。
太ももの間に入った手はショーツの上から筋を確かめるように何度も行き来している。
全身を背後から抱え込むように、銀さんに弄ばれている。
嫌ではない。嫌ではないのだけれど、なにがスイッチだったのかも分からず早急に事が進んでいるようで、気持ちが追いつかない。
「銀さんッ! 待って!」
悲鳴のように上げた声に、遅れて動きが止まる。
それでも、名残惜しそうにゆるゆると胸を揉み、首筋をぺろぺろと舐めていた。
「なに? もう待てねぇんだけど?」
冗談めかした口調とは裏腹に、欲望を主張するように、ゴリゴリと腰を押し付けてくる。
体が熱い。銀さんの熱に当てられ、私も体が熱かった。
しかし、何も分からずにこのまま熱に飲み込まれるのは怖かった。
「銀さんの顔が見たい」
体を捻り見上げると、銀さんは目を細めていた。その目元はその白い肌を透かし、薄っすらと染まっていた。
口元が濡れ、なんだか凄く色っぽかった。
誘われるようにそのまま腕を回し口づけると、体を弄っていた手が離れ、背中に回る。
唇を離し再度銀さんの顔を見つめる。
「私、銀さんの事好き」
そういいながら笑いが溢れてしまう。
銀さんが口角を上げている所為もあったし、全身で私を欲しいと訴えてるからでもあった。
「好き」
再度繰り返すと、折れそうなほど抱きしめられ肩に銀さんの顔が埋められる。
「もう知らねぇよ、俺は。責任取れよ」
「取るよ、まるっと全部。だって、好きなんだ」
抱きしめ返すと一度強く抱きしめられ、そのまま抱き上げられる。
「えっ、ちょっ」
「立ちバックよりも、やっぱ正統派は正常位だろ」
銀さんはそう言って私を布団に運び降ろす。
座った格好で銀さんを見上げると、シュルリと帯が解かれた。
似合うだろうかと迷いながら、藍色の格子模様の浴衣を買った。
着せてみると、惚れた贔屓目だろうか、やや骨太の銀さんによく似合っていた。
その合わせ目が大きく開きスルリと落ちる。そのまま流れるように肩から脱ぎ落とし、残った下着も躊躇なく取り払っていた。
生まれたままの姿で、そそり立つ物を隠しもせず堂々と私の方を見ると、銀さんはにやりと笑った。
その姿をじっと見ていたことが恥ずかしくなり視線を逸らす。
そのまま私の傍に腰を下ろすと、私の帯に手をかけた。いいんだろ? というように一瞬目が合う。
恥ずかしくて俯くと、やはり嬉しそうに笑った。
帯がほどかれ体を露わにされる。
恥ずかしいが、銀さんの反応が気にならない訳ではない。ちらりと見ると銀さんは表情を隠して色のない顔をしていた。
「……白? 新しい?」
目を細めた端的な言葉からは感情が読み取れず、後ろ向きな考えが頭をもたげる。
似合わなかっただろうか? それとも白なんてあざとらしすぎて萎えたのだろうか?
「えっと……。銀さんの髪、思い出して……ついうっかり……その」
下着を彩る光沢のある白いプリーツ生地は光の加減で銀色にも見えた。それが目の前の人の髪を思わせた。
だから、つい買ってしまったのだ。
自分でもどうかと思った理由を言い訳のように伝えると、銀さんは急に体を倒して胸に顔を埋めた。
「そーいうのやめてくんない」
「ごめん、嫌だった?」
「そうじゃねぇ」
大胆な行動にどぎまぎしながら聞くと、くぐもった声で否定された。
そのままのしかかられるように押し倒される。胸に顔を押し付けたまま、下着の上から胸を両手で寄せるように触っていた。
「銀さん重い」
「重い男で悪かったな」
「じゃなくて物理的に」
潰れないように体重を分散させてくれてるのは分かるが、少し重い。
とはいえ顔をあげてくれる気配がないので、仕方なく髪を撫でる。
薄暗闇で見る銀さんの髪はやはり綺麗だと思った。
そうやって撫でていたら銀さんの手つきが少し不審になる。ブラの縁から指を滑らせそのまま押し上げる。
空気にさらされた感触に反射的に手で覆い隠そうとするが、腕を布団に縫い留められた。
銀さんは顔をあげないまま、胸の先端を口に含む。
「や⋯⋯ん」
こそばゆさと、濡れた感触に身体が自然と捩れるが、抑えつけられてる所為で逃げ場がない。
吸ったり、軽く噛んだり舐めたり。
「ふ⋯⋯んっ!」
空いた手で口を押さえるが声がどうしても漏れる。
目を開けていられず、眉に力が入ってしまう。
どんな顔をしているのか自分でも分かってしまうが故に見られたくなくて顔を背けた。
銀さんはそんな私の気を知ってか知らずか、丹念に両の胸を舐っていく。
先端を口に含み吸いながら、反対を指でつまみくにくにと捩る。
「それっ、やっ、んっ」
首を振って制止の声を上げても、銀さんは弱点を見つけたとばかりに責め立てる。
なんとか慣れようと必死になれば、別の刺激が加えられ、自然と肌に汗が浮き、背中が反り、身悶えするしかなくなる。
散々嬲られたあと、背中に手が差し込まれた。まさぐるような動きに、体を少し浮かすと器用にホックを外される。
銀さんが体から浮いたブラの肩紐を片方ずつ抜いていくのに身を任せながら、ぼんやりした頭で息を整える。
完全に外れたブラが銀さんの手の中に収まり、どうするのかと見ていたら、銀さんはそれを口元に持っていき、すっと息を吸い込んだ。
「な、な、なにして!」
慌てて手を伸ばすとスルッと逃げられる。
「何って、匂い嗅いだだけだよ」
悪びれもなく銀さんは言い切った。
羞恥心が募り、風呂に入ったとはいえ汗が――と考えたところで、銀さんの様子に言い表しようのない焦燥を覚えた。
まるで獲物を前にした獣のような目でこちらを見ているのだ。
私の匂いを嗅いで、銀さんは興奮したのだと……思う。明らかに空気の変わった銀さんを前に、どうしたらいいか分からなくなった。
銀さんはそっとブラを脇に置き、もう一度覆いかぶさってくる。
「あんま、怖がんなよ」
鳥肌を浮かべてびくつく私の頬を、あやすように撫でていた。
そのまま軽くキスを一度だけして、喉元を咥え舐める。正直……食い千切られるのではないかと思った。
そのぐらい銀さんは飢えた目をしていた。
現に、そのまま口を滑らせ胸を一度甘く噛んだ。
直接的な快楽よりも、銀さんから移された熱が私の中の情動を刺激していた。
胸を触りながら、脇腹を通り、さらに下と銀さんが刺激を加えながら移動していく。
鼻から漏れる息に声が混じるのを自覚しながら、止めるでもなく与えられる熱を甘受する。
銀さんの顔がおへその下に移動したところで、堪えきれなくなり手で止める。
「銀さんッ!」
「なに」
声は低く、こちらを見上げる目はとろりと溶かした飴のようだった。
「その……恥ずかしいから、普通にして欲しい」
「普通だろ」
「だって顔が……」
そのまま行くとセンシティブラインを越えた場所に、銀さんの顔が当たってしまう。
太ももをぴっちり閉じるように寄せると、その動きに反応するように銀さんの視線が下がる。
「見ないで……」
ドロドロになっているに違いない。知られる事すら恥ずかしいのに、ソコをじっくり見られるなんて耐えられない。
頬を掴んで銀さんの顔を強制的にあげる。
「見ないとできねぇだろ」
「そう……なの?」
「信じんなよ」
ふぅと息を吐いて、頬を掴んでいた手を振りほどくようにショーツの上からソコに顔を埋められた。
「やっ、だめっ!」
突然の行動に頭が真っ白になる。鼻先がまさぐるように動く。
吐息があたり、ぐちゃぐちゃのどろどろになったソコに噛みつくようにキスをされた。
「だっ……んっ」
駄目だと止める声が高く響く。両手を伸ばすが、銀さんの手に絡め取られ意味をなさない。
歯や舌で与えられる刺激に、腰が大きく跳ねる。
「や、んっ!!」
腹の底がキュッとなり、とろりと蜜が溢れるのが自分でも分かった。
銀さんにそれの匂いや味すらも伝わっているのだと思うと、もうどうしようもなく恥ずかしかった。
不意に手の拘束が解ける。
そのまま頭に手を伸ばし止めさせようとしたところで、銀さんの手がズルリとショーツの両端を掴み下げた。
慌てて太ももを閉じ、抵抗する。
「やっ、だめって」
泣きそうになりながら懇願すると手を緩める。
「責任取んじゃねぇの?」
「……そうだけど!」
銀さんの台詞に確かにそう言ったと逡巡したのち、身体の力を抜く。
すると、銀さんはふぅと深く息を吐いた。
「どうしても無理か?」
劣情を燻ぶらせながら、気遣わしげな表情を浮かべていた。
「必要性を……」
「必要性なんてあるわきゃねぇだろ! 強いて言えばお前に痛い思いをさせたくないという銀さんの気遣いぐらい信じてくれませんかね」
「痛くても大丈夫だから」
「馬鹿か」
軽口を言い合う間に、緊張が少しほぐれる。
「だって、恥ずかしい。普通なの? こーいうの」
際どいを通り越したところに銀さんの顔がある。ショーツ越しとはいえ、息が当たる度、びくついてしまう。
手でとか……駄目なのだろうか? 何も分からず逃げを打ちたくなる。
「普通だよ、普通。つーか気持ちよけりゃなんでもいいだろ、こんなもん。ここ、こんなにして、それも否定する?」
銀さんは軽く流すように答えながら、音がなりそうな程濡れたソコを指で押した。
「や……んっ、そうじゃないけどっ」
そのまま指を往復させながら、私の反応を伺うようにこちらを見ていた。
判断基準がなく、とんでもない事をされるんじゃないかという気がしてくる。
けれど、銀さんに触れられているところから生まれた熱が、ぐるぐると
「気持ちよくねぇ? 嫌か?」
もっと、もっとその手で、口で、肌で触れてほしい。そんな欲望が、熱に煽られるように膨らんでいく。
「して……お願い。気持ちよくして」
自ら頼み込むのは恥ずかしくて、両手で顔を覆ってしまう。
太ももにキスをされてそのまま最後の一枚を脱がされる。
腰を浮かせることで、脱がせる事を許可したような気になるのが恥ずかしい。
太ももの下に腕を差し込まれ、足を開かされる。
ちらりと見ると後頭部しか見えないものの、銀さんの視界に何が映ってるかを想像すると、堪らなくなる。
太ももを撫でながら反対の手の指が、肉芽に触れる。
高く上がりそうになる嬌声を噛み殺しながら、必死で身体の反応を殺す。
そのままつぅーと指が下がり、広げられたのが分かった。
「あまり……見ないでっ」
「どろどろ」
「っ……!」
分かっていたけれど、実際に言われると反射的に足を閉じそうになる。
押し留められ、指がつぷっと入った。
「痛くねぇか?」
「ん……大丈夫」
違和感のようなものを感じるだけで、痛みはなかった。
頷くと、指を入れたまま肉芽に柔らかなモノが触れる。銀さんの舌だと思った瞬間舐めしゃぶられ、たまらず声が出る。
「あっ、ああぁん!!」
銀さんの顔を挟み込むように太ももを閉じてしまい、その頭に分けも分からず手を伸ばす。
けれど、抑制するには足りず、行為を許してしまう。
じゅっと吸われたかと思えば、甘噛みされ、弾くように舐められる。
声を抑える努力なんてできず、その動きに翻弄される。
銀さんに触れている手は止めようとしているのか、もっとと強請っているのか分からない有様だった。
「やっ、あ……あん、だめっくるっ」
軽く弾け、けれどすぐに次の快楽を拾う。
指が何度も抜き差しされながら次第に数を増やされていた。
こねる様に肉芽を舐められ、啜る音がする。卑猥な水音と行為に頭がぐちゃぐちゃになる。
何度目か、一際大きく弾けたあと、くたりと力が抜ける。
ぬぷりと、指が抜かれ銀さんの体が離れていく。
「やだ」
手を伸ばしその体を追おうとすると、クスリと笑われた。
「ゴム取ってくるだけだから」
勘違いした挙句とんでもないことを口走ったと一人身悶えていると、紙袋を掴んだ銀さんが戻ってくる。
少しでも離れているのが嫌で、重い体を起こし座ったその隣にひっつくように座った。
キスをしようとして、迷うように動きを止めた銀さんに構わずキスをする。
甘えるように肩にもたれる。
「銀さんのコレね」
一つ箱を取り出し、サイズを指し示すように見せてくる。
そうなのだと納得し、その箱を開けるのをみていた。
一枚、お菓子の包み紙のような物を取り出すと、包装を破り、膨らます前の風船のようなものをつまむ。
平べったいままそれをあてがい、擦るようにして被せていった。
じっと見ていることに気付いた銀さんが挑発するように笑う。
「覚えた? 今度、付けてくんねぇ?」
「……あ、えっと……うん」
何をどうするのかすら知らないことを見抜かれたようで、しどろもどろに答えると、また笑われた。
もう一度キスをして、寝かされる。
「銀さん、その……好き」
「ああ」
気持ちを伝えれば目を細め、薄っすらと笑う。
もう一度キスをされ、指でまさぐるように触られた。
十分潤った場所は、再び銀さんから伝えられる快楽を素直に拾う。
「大丈夫だよ。きて」
うなずきながらあてがわれ、二度、三度擦り付けられる。それが入ってくるのだと思うと、なんだか愛おしくなる。
「その……なんだ。無理だったらすぐ言えよ?」
「うん」
「絶対だからな」
どこか怖がるような仕草に笑う。
「大丈夫だよ。信じてよ」
「どこを信じろつーんだよ」
眉を下げて情けない顔をする銀さんに、キスをする。
ゆっくりと体重をかけられ入ってくる。
痛みはそれほどでもないのだけれど、ソコが内臓なのだと改めて意識する。
怖い。目の前にいるのが銀さんだから耐えられるような怖さだった。
痛みの強さよりも、生存本能を刺激するような痛みの種類に体に力が入る。
「くっ」
食いしばるような声が聞こえ、見上げると銀さんも眉を寄せ何かに耐えるようだった。
「痛い?」
男の人は気持ち良いと思ってたのだけれど、この痛みが銀さんにも伝わってしまってるのだろうか?
「ちげぇよ。そっちこそ大丈夫か? 力抜けるか?」
一度、動きを止め頬を撫でられる。
「大丈夫、銀さんになら腹突き破られてもいいと思う」
本能を意思で捻じ曲げるようにゆっくり口に出すと、腰を引こうとしたのでとっさに腕を伸ばし抱きしめる。
「そうじゃないよ。痛いというよりなんかそんな感じなの」
「こえぇこと言うなよ」
首の後ろに腕を回し、キスを強請るとあやすようなキスが降ってきた。
一度、ひきつれるような強い痛みが走り、そのあとズンッと深い場所に届くのを感じた。
「全部?」
「ああ」
銀さんは余裕のなさそうな声で頷いた。
嬉しくなり頭をなでると不満そうな顔をされた。
「ごめん。少し、そのままでいて欲しい」
辛そうな様子に申し訳なさを感じながら伝えると、また「ああ」と短い返事が返ってきた。
抱きしめられながらお腹の中に突き刺さっている銀さんのモノを感じていた。
そう長くはない時間だったと思う。
大丈夫だろうという曖昧な感覚のもと、銀さんに先へと進んで欲しいと口にする。
「ゆっくり。お願い」
無言で頷くと、ゆっくりと腰が引かれ再び奥へと入っていく。
全身で覆うように強く抱きしめられ、耳元で荒い息が聞こえた。
「好きだよ」
「ん」
短く返事を返しながら、銀さんは再び腰を引き、押し付ける。
速度を早めながら余裕のないそんな顔をしていた。
分かりやすい感覚ではなかったが、じんわりとお腹の中に鈍い何かが広がる。
「銀さん好き」
溢れ出る気持ちをどう表現したらいいか分からず、馬鹿みたいにそれを繰り返す。
返事の代わりなのか口づけが返ってきた。
「あっ、んっ……」
銀さんの指が付け根を押し込むように探る。肉芽が潰され、直接的な刺激に腰が揺れる。
反射的に力が入り、縫い付けられるように差し込まれたモノを強く感じた。
抜かれ差し込まれる度、腹の奥底から強く求めるような思いが湧き起こる。
腕を回し、強くかき抱いた。
もっと来て欲しい、強く。
「好き、銀さんっ!」
痛みなのか快楽なのか分からない。それでも深く感じるものを求めるように呼んだ。
繋がっている場所から溶けてしまい混じり合うような幻想を抱きながら、強く抱き合う。
「ぎ……さ……んッ」
離さないとばかりに覆いかぶさり、全身で伝えてくる体が大きくて、打ち込まれる情動が愛おしくて、嬉しくて感情のままに呼び続ける。
「キリっ」
掠れた声で名を呼ばれた。大きくうねるように腰が打ち付けられる。
肩に顔が埋められ、腰を強く抱き込まれた。
深く差し込まれ、更に奥へというように押し付けられる。
銀さんの体が震えたのが分かった。達したのだ。
それが分かったとたん、多幸感が押し寄せてくる。
「銀さん」
その体にしがみつくように腕を強く回した。
そうやってしばらく抱き合い互いの体温を感じていたが、深い息をついて銀さんが体を起こす。
「んっ」
ずるりと抜ける感触に声が漏れる。
そのまま根本を抑え、外したそれを近くにあったゴミ箱に入れた。
「おいっ」
その視線がこちらを向いたと思ったら焦るような様子で近寄ってくる。
頬をなでられ、困ったような顔がこちらを見下ろしていた。
「悪ィ……」
深刻な様子にどうしたのだろうと思う。
「えっと……?」
「痛かったか?」
親指で目元を触られ、そこでようやく泣いていることに気付いた。
なぜだろうか、気付いてしまえば今まで平気だったのに次々と涙が溢れてしまう。
余計に焦る銀さんに首を振る。
「違う」
「違うって、だってお前」
「違うの、銀さん好き」
腕を伸ばすと抱き上げ、腕の中に収めるように抱きしめてくれる。
「銀さん好きなの」
強い感情が溢れて、涙に変わる。
痛い訳でも辛いわけでもない、ただただ想いが溢れぼろぼろと溢れてしまうのだ。
「ああ」
戸惑うように銀さんは頷き、髪を撫でる。
その手つきが優しくてますます涙が溢れてくる。
「銀さん好き、好きなの。なんだか幸せで、止まらない。ごめんね」
首に抱きつきしゃくりあげながら好きだと銀さんに伝え続ける。
「その……いいけどよ。別に。泣きやめよ、そろそろ」
困っているのが分かる。
「無理。好きなの」
どうやって止めたらいいか自分でも分からない。
蛇口が壊れたように、愛おしい感情が溢れてくる。
「愛してる」
ぽろりと漏れた言葉が次々と口から溢れてくる。
「愛してる、銀さん。世界で一番誰よりも。愛してる。愛してるよ」
泣き疲れ、眠りに落ちるまでひたすらそれを繰り返した。