ラップランドとドクターが一緒に花火を見る約束をする話 作:中落ちカルビ
プロローグくらいの気持ちでお読みください。
深夜のロドス。
静まりかえったドクターの執務室にはペン先が紙の上を滑る乾いた音と時折めくれる書類の微かな音だけが響いていた。
「…………」
部屋の主人であるドクターの視線は手元の報告書に落とされたまま、デスクライトがフードの影を強く浮き上がらせている。せ
そんな静寂を破ったのはノックではなく、重厚な重いドアの施錠装置がガチャリと無造作に回される音だった。
「ヤッホードクター! 久しぶりだね」
正面からの声にペンが止まる。
顔を上げるまでもない。その独特の、芝居がかった軽やかな響きは、彼女以外の何者でもないからだ。
「昨日もあっただろう」
ドクターは視線を書類に残したまま、淡々と返す。
「昨日の夜からあってないだろう?
だから久しぶりであってるのさ」
理屈になっていない詭弁を楽しげに、歌うように口にした少女、ラップランドはドクターの座る机の方へと歩みを進める。
銀色の跳ねた長い髪が夜気を孕んだように微かに揺れ、デスクライトの光を受けて冷ややかな光沢を放つ。
ループスの耳が彼女の機嫌の良さを示すようにピクピクと動いた。
彼女はドクターの椅子の背もたれに身を預け、顎を彼の肩に乗せ、その銀色の瞳で机上の書類を覗き込む。
「あーあ、またこんな紙切れの山と睨めっこかい?
ボクが居ないと君はそうやって過労死へのカウントダウンを楽しむんだね。
こんな夜遅くまでカリカリカリカリ、過労死に向かって一直線かな?」
「邪魔をするな。
お前にそんなことを言われる筋合いはない」
ドクターが冷たく返すとラップランドは喉の奥でクツクツと笑った。その笑い声は寂びた夜の空気にひどくよく馴染む。
「ボクは君の健康を心配してるのさ。
ただ、その方法が少しばかり人と違うだけでね」
彼女はすっと手を伸ばし、ドクターが今まで書き込んでいた報告書の上に白く長い指を這わせた。
インクの乾ききっていない文字が彼女の指先で滲み、意味を成さない黒い染みになっていく。
「……ラップランド」
「あは、ごめんごめん。汚しちゃった。
でもまあ、どうせ誰も読まない報告書だろう?
補給物資の申請? それとも人事部の嘆き?
どっちにしても明日の朝になればまた新しいのが山のように積まれてくるんだ。
これくらい、歴史の埃の中に埋もれるだけさ」
シニカルな物言いとは裏腹に、彼女の指は書類からドクターの手の甲へと滑り、そのまま包み込むように握りしめた。
夜風に冷えた彼女の体温が、ドクターの肌をじわりと侵食していく。
「ねえ、ドクター。外は見た? 月が綺麗だよ。
シラクーザのループスたちはきっと今頃月に向かって遠吠えしてる」
「…………それがどうした。お前も遠吠えしたくなったのか?」
「あはっ……ふふふ、そんなわけないだろう?
ボクはそんなうるさいだけの音に興味ないよ」
彼女は身を乗り出し、ドクターの耳元に唇を寄せる。
銀髪がさらりと彼の頬を撫で、微かな獣の匂いと、彼女自身の甘いような冷たいような香りが混じり合った。
「ボクが興味があるのはもっと、心地よい音さ。
……君の呼吸の音とか、心臓の音とか」
おどけた口調のまま、彼女の熱っぽい言葉がドクターに絡みつく。
まるで獲物を追い詰めるオオカミのように、あるいは飼い主の気を引こうとする犬のように、彼女は彼の心を爪先で軽く叩いてくるのだ。
ドクターはため息を一つ吐き、ペンを置いた。
観念したように椅子を回転させ、ラップランドと向き合う。彼女はその動きに合わせて自然と体を離し、デスクの端に腰掛けた。
長い脚が組まれ、つま先がドクターの膝を無遠慮に小突く。
「仕事は終わり?」
「……ああ、お前のせいで仕事にならないからな」
「あははっごめんごめん、謝るよ。
でも丁度いいんじゃないかな?」
ラップランドは楽しそうに目を細め、さらに踏み込んでくる。
彼女の銀色の瞳にはデスクライトの明かりに照らされたドクターの姿だけが映っている。
「君は自分が思ってる以上に疲れてるんだよ、ドクター。
脳みそが悲鳴を上げてるのがここまで聞こえてきそうだよ」
彼女は自分の耳を人差し指で指差し、それからドクターの額に同じ指を伸ばしてた。
冷たい指先がドクターの額に触れる。
「ほら、やっぱり熱を持ってる。
……ねえ、ボクが冷やしてあげようか?
それとも、もっと熱くしてあげようか?」
ふざけた提案。しかし、その声色には隠しきれない艶が滲んでいた。
彼女はデスクの上の書類を無造作に端へと押しやる。どさどさと音を立てて書類が床に落ち、そうやってできた空きスペースを指差した。
「ここならちょうどいい広さだね。
君の労働の対価として、ここで一つ素敵なご褒美を貰うのも悪くないだろう?」
「それも労働の一種ではないか?」
「あはは! そうかもね!
でも仕事よりもやり甲斐があるとおもうよ?」
ラップランドは嬉しそうに笑い、空いたスペースに座ると両手を広げてドクターを招く。
「きて……ドクター」
彼女はドクターが自分の誘いを断れないことを知っているのか、あるいは断らないことを信じているのか、艶然とした微笑みを浮かべ彼の反応を待った。
「…………はぁ」
ドクターはゆっくりと立ち上がり、彼女の前に移動する。
ラップランドの目が獲物を捕らえた獣のように、そして主人を待ち侘びた犬のように細められ、熱っぽく輝く。
「やっと、ボクの方を見てくれたね」
彼女はドクターの首に腕を回し、耳元で囁いてその身体を引き寄せた。銀髪が揺れ、二人の周りに薄いカーテンのように広がる。
「久しぶり、ボクのドクター」
唇が触れ合う直前、彼女はふざけた調子をわずかに崩し、心からの安堵と独占欲を滲ませてそう呟いた。
デスクライトの光だけが支配する執務室の中央で、二つの影が溶け合うように重なっていた。
ラップランドはデスクに浅く腰掛けたまま、ドクターの首に手を回し、まるで壊れやすい宝物を抱くように、しかし決して逃がさないという強い意志を込めて、彼の身体を引き寄せている。
「……はぁ」
触れるか触れないかという吐息の熱だけを交換するようなキス。
ラップランドの薄い唇がドクターのそれにそっと押し当てられる。銀色の睫毛が伏せられ、彼女の顔からはいつものニヒルで狂気的な笑みが消えていた。
「んっ……」
最初の口づけは本当にただ触れるだけの、羽根が落ちるよりも軽いものだった。
だが一度離れた唇はすぐにまた互いを求めるように再度重なる。二度目は少しだけ角度を変えて。三度目は彼女の方から首をわずかに傾け、啄ばむように。何度も、何度も、何度も、繰り返すたびに2人の接合部からじわりと熱が広がっていく。
「……ん、ふ……ぁ……」
ラップランドの口から鼻にかかった甘い声が漏れた。その声はあまりにも無防備で熱っぽい、普段の彼女からは想像できない声だった。
自分でもその声が自分のものだとは信じられないのか、彼女は一瞬息を呑み、伏せていた目をうっすらと開けてドクターを見上げる。その銀色の瞳は涙で潤み、デスクライトの光を反射して揺れている。
「……あはは……えーと……今の無しでたのむよ」
ラップランドの頬にうっすらと朱が差し、銀髪がその赤を隠すかのようにさらりと流れ落ちる。
「無理だな」
ドクターが簡潔に答える。
ラップランドは恥じらいと微かな怒りが混ざったような複雑な表情で口元を歪めた。
「ドクターのせいだ」
そう言って誤魔化すように彼女の方からドクターに唇を押し付ける。先ほどまでの優しい触れ合いとは違う、舌を口内に入れ、絡ませあい、唾液を交換する、貪るようなキス。
「ちゅ……ぷぁ……はぁ……」
ささやかな水音が執務室に響く。
彼女の冷たい指先がドクターの後頭部に回され、長く跳ねた銀色の髪が互いの頬をくすぐった。
息継ぎの合間に漏れる彼女の吐息は先程よりも更に甘く、熱を帯びた物になっている。だがもう気にしない事に決めたのか、ラップランドはそのままドクターとの口付けをやめるつもりはないらしい。
「…………」
ドクターの手が彼女の背中にそっと触れる。硬い布地の、その下にある華奢な肩甲骨をなぞるように、彼の手が彼女の背を這う。
「……んっ……ドクター……」
ラップランドはくすぐったそうに身じろぎした。
しかしその手を払おうとはせず、むしろ自分からその掌に背中を押し付けるように身を寄せる。ドクターの手がゆっくりと彼女の背骨のラインをなぞり、腰のあたりで止まった。
「……っ、あ……」
再びラップランドの口から、今度は少し高い、驚いたような声が上がる。彼女はドクターの首に回した手に力を込め、しがみつくように抱きついた。
その耳はぴんと立ち、時折ピクピクと震えている。
ドクターの手がゆっくりと、彼女の腰から腿の外側へと滑り降りる。ラップランドはその動きに合わせて足を開き、彼の身体を自分の両脚の間に招き入れた。
「……いいよ、もっと……きて」
彼女の声は命令でも挑発でもない。それは愛情に飢えた獣の懇願だった。
ドクターの手のひらが彼女の太腿を包み込むように這い回る。
厚手のパンツ越しでも伝わるドクターの体温に、ラップランドは耐えるように目をぎゅっと閉じる。噛み締めた唇の端から押し殺しきれない声が漏れ出た。
「……ぁ……ふ、……んん……」
自分が出したとは思えない、甘く鼻にかかった声。
ラップランドは羞恥に駆られてドクターの首に顔を埋め、その肩口に鼻の頭を擦り付けた。彼女の吐息が首筋にかかり、ドクターの肌をじんわりと湿らせる。
「……笑ったら、許さないからね……」
ラップランドはくぐもった声でそう脅す。しかしその脅しの言葉は拒絶ではなくて、笑わなければ続けても良いという許可の証だ。その身体は完全にドクターに預けられ、太腿に触れる手の動きに合わせて細かく震えている。
彼女の尻尾が喜びを表現するかのように、ゆっくりと大きく揺れる。
「っ! ……はっ……ぁっ」
ラップランドの太腿の外側を撫でていたドクターの手が、太ももの内側へと滑り込む。丁寧に、くすぐるような愛撫。彼女の敏感な皮膚をなぞるドクターの指に刺激され、何かの準備が整うかのように彼女の体温が上がっていく。
「ん……っ」
ラップランドはドクターの肩口に埋めていた顔をわずかに上げ、潤んだ銀色の瞳で彼を見上げる。その瞳にはいつもの挑発的な輝きはなく、代わりに期待と微かな不安が揺れていた。
ドクターは彼女の視線に応えるように、彼女のベルトに手をかける。金属のバックルが静かな執務室に小さく音を立てる。
「……あんまり激しくして、壊しちゃダメだよ、ボクのこと」
ラップランドは冗談めかして言ったが、その声はひどく掠れていて、冗談には聞こえなかった。
「善処する」
ドクターの短い返答に彼女はふっと息を漏らし、自ら腰をわずかに浮かせて彼の手の動きを助ける。厚手のズボンが緩み、下の柔らかく可愛らしい、薄い布地が露わになった。
ドクターの指先が布地の上から彼女の中心にそっと触れる。既にそこは熱を持ち、わずかに湿り気を帯びていた。
「ひ、ぅっ!」
突然の強い刺激にラップランドの身体が大きく跳ねる。
ループスの耳がピンと立ち、口からは今までより高く甘い声がもれた。
彼女は慌てて自分の口を手の甲で覆う。
「あ、あはは……久しぶりだから変な声出ちゃった。
その、できる限り我慢するよ」
恥ずかしさと困惑が入り混じった声で、言い訳するようにラップランドは言う。ドクターは空いている方の手で彼女の口を覆う手を掴み、優しく外させた。
「我慢しなくていい。可愛らしい声だ。もっと聞かせてくれ」
「……もー、恥ずかしいのになぁ……鬼畜だね、ドクターは。
そういうところは嫌いだよ」
そう言いながらも彼女の尻尾は大きく揺れ、銀色の瞳は嬉しさを隠しきれずに細められている。
ドクターの指が布地の上からゆっくりと円を描くように動き始める。ラップランド彼の首に絡ませたは両手に力を込め、顔をくしゃりと歪めた。
「あ……まっ、それ……」
彼女の呼吸が乱れ、胸が浅く速く上下する。腰が無意識にドクターの手の動きに合わせて小さく揺れ始めていた。
「ドクターっ……んぃっ……ボク……っ、あっ……はっぁ……ボク……ね」
何かを言いかけるが、しかし言葉にならない。
ラップランドはもどかしそうに首を振り、銀色の髪が乱れて汗で額に張り付く。
いつもは余裕たっぷりに狂気的な笑いを漏らす彼女の唇。それが今はただ意味を成さない甘い吐息だけを溢れさせていた。
ドクターは布地越しの愛撫を続けながら、もう一方の手を彼女の背中に回し支えるように抱き寄せる。その動きに逆らうことなく、彼女はドクターにもたれかかった。
「ドク……ター……ドクターっ」
ラップランドはうわ言のようにドクターの名前を繰り返す。
その声はだんだんと切迫したものになり、切なさと甘えが溶け合った響きを持ち始めていた。
ドクターの指が布地の上からさらに圧を強め、動きを速める。
ラップランドは彼の肩に爪を立て、耐えるように奥歯を噛みしめたが、それでも漏れ出る声は止められなかった。
「も……だめ、くる……っ」
彼女の身体が大きく震え、耳がピンッと立ち上がる。そして次の瞬間、彼女はドクターの身体にしがみついたまま弓なりに背を反らせた。
「ん、ぁああぁぁぁっ!」
彼女の口から溢れたのは殆ど悲鳴に近い、甘い嬌声。
普段のおどけた態度も、シニカルな笑みも、全てをかなぐり捨てた、ただのループスの、女の声。
「はっ……はぁ……はぁ……」
ラップランドは絶頂の余韻の中で荒い息を吐きながらドクターの胸に顔を埋め、自分の匂いをつけるように胸板に擦り付ける。
ピンと立ち上がっていた彼女の耳はペタリと伏せられ、尻尾は満足げにゆっくりと揺れていた。
「……ねぇドクター……ボク、どんな顔してた?」
しばらくして彼女は顔を上げずにくぐもった声で尋ねた。
「見ていないからわからないが、お前は美人だからな。
綺麗な顔をしていただろう」
「……そういう、簡単に口説くところ、ボクは嫌いだよ」
彼女は顔を上げ、まだ潤みの残る銀色の瞳でドクターを睨む。
だがその行動とは裏腹に、彼女の口元には嬉しそうな緩んだ笑みが浮かんでいた。
「…………ぁ」
ラップランドはドクターの腕の中でしばらくの間ぼんやりと余韻を味わっていた。絶頂の余韻に浸る彼女の顔はいつもの彼女からは想像できないほど無防備で、あどけなく、そして可愛らしい。
そうしてまどろんでいた彼女の目から、一筋の涙が零れ、頬を伝って消えていく。
「……あれ? ……ボク、泣いてる?」
彼女は自分でも驚いたように、指先で目元を拭った。
「泣いてるな」
「……たぶん君のせいだよ」
ラップランドは照れ隠しのように鼻を鳴らし、そしてふと、その銀色の瞳にいつもの悪戯っぽい光を取り戻す。
「でもまあ、泣くほど気持ちよかったってことだよね。
……プラス評価だよ、ドクター」
彼女はドクターの腕の中で身じろぎし、わざとらしく姿勢を正した。まだ微かに震えているが、その表情には余裕が戻り始めている。
「さて。ボクだけ気持ちよくなって、キミを放置するのはよくない。
それは不公平な取引だ。
ロドスの理念に反するよね?」
「ロドスにそんな理念はない」
「あるさ。ボクが今決めた」
彼女は悪びれもせずに言い放ち、ドクターの胸を人差し指でツンツンと突く。
「ねえ、ドクター。
……ボクを抱きたい?」
その問いはあまりにもストレートで、しかし彼女らしいおどけた響きを含んでいた。
ドクターは黙ったまま、何の反応も返さない。
ラップランドはその反応がないという反応にふっと笑い、肩をすくめる。
「まあいいや、言質はとらなくてもいいよね。
……ボクの鼻は匂いで分かるからさ、キミが興奮してるって」
彼女はドクターの耳元に唇を寄せ、吐息と共に囁いた。
「ねえ、正直になりなよ。
ボクを使いたいんだろ?」
彼女の手がドクターの腰に回り、ズボンのベルトに指をかける。
「準備はいい?」
ラップランドは目線を飛ばさず、慣れた手つきでドクターの前を寛げさせ、硬い物を露わにした。
彼女はそれを一瞥し、満足げに目を細める。
「あはっ……元気だね、ドクター。感心、感心。
…………よいしょっと」
ラップランドがドクターの腕の中からするりと抜け出し、デスクの引き出しを勝手に開ける。
そしてゴソゴソと中を物色し始めた。
「コンドーム、コンドーム……。あ、あった」
彼女は引き出しの奥から小さな包装を取り出し、パッケージを破いて中身を取り出す。
「ちゃんと補充しておくなんて流石はドクター、用意周到だね。
それとも直ぐに誰かに使うつもりだったの?」
「お前用だ」
「ははっ嬉しい事を言ってくれるね。
嘘でも許してあげるよ」
彼女はドクターの頬にキスをし、彼の屹立した分身にゴムを装着していく。
慣れた手つきで、素早く、しかし丁寧に。
その間も彼女の銀色の瞳はずっとドクターの目を見つめていた。
「さあ、準備完了。ボクの準備は……必要ないね」
彼女はデスクに再び腰掛け、脚を開いてドクターを招く。
薄い布地はしとどに濡れそぼり、彼女の準備が整っていることを如実に物語っていた。
「おいで、ドクター。
……ボクを君にあげるよ」
ドクターはラップランドの言葉に誘われるように一歩踏み出し、彼女の脚の間に立った。彼女の長い脚がドクターの腰を挟み込む。もう逃さない。そう言外に伝えるように。
ドクターが自身を彼女の入り口にあてがうと、ラップランドは待ちきれないように自ら腰を浮かせ、彼を受け入れようとする。
クチリと湿った音が、静かな執務室でことさら大きくなった。
「……っ……」
その刺激にラップランドの口から微かな吐息が漏れた。
ドクターの先端が彼女の濡れた入口を押し広げ、ゆっくりと、しかし確実に奥へと沈み込んでいく。
ラップランドは大きく息を吸い込み、その侵入に身を委ねる。
「くぅ……っ、はぁ……」
彼女の中はすでに幾度かのドクターの侵入を受け入れているのにも関わらず、驚くほど狹く、そして熱かった。
内壁が異物の侵入に抵抗するように収縮しながらも、同時に彼を深く咥え込もうと蠕動している。ゴム越しでも伝わってくる彼女の内部の執拗なまでの愛撫にドクターは思わず眉を寄せた。
「あ……ん……っ」
ラップランドの口から切なげな声が漏れる。
その声を聞きながら、ドクターは更に腰を進め、彼女の中に自分の物を押し込んでいく。
その進行が進み、狭い洞穴を押し広げるたび、彼女の内部はそれを歓迎するように彼を包み込み、ぎゅうぎゅうと締め付ける。
「はは……ッ……相変わらず……おっきいね、ドクターの……。
ボクのなか……すごい……広がってるよ」
ラップランドは息を弾ませながら、なんとか挑発的な笑みを浮かべてドクターを見上げる。しかしその声は明らかに震えており、目尻には涙が浮かんでいる。
ドクターの腰がゆっくりと、しかし確実に押し込まれ、先端がラップランドの一番奥、子宮口に触れた。
「ひ、ぅあああっ!? どくっ……たぁ……
奥にきてる……ボクの……一番奥まで……きてるよ……」
彼女は背中を大きく反らせ、デスクの端を掴んでいた手が白くなるほど力を込める。銀色の髪が汗で頬に張り付き、伏せられていた耳はピンと立ち上がり、ピクピクと震えていた。
「はっ……はぁ……はは……っ、
ねぇドクター……わかる?
ボクの中、広がって、キミの形に……なっちゃった
キミ専用の穴だね」
潤んだ銀色の瞳でドクターを見上げながら、彼女は泣き笑いのような表情を浮かべる。
「でも、気にする必要はないよ、ドクター。
ボクの中に入っていいのは、キミだけだから……。
ここは、ドクターしか使っちゃいけない場所だから……。
だから、ドクターの形でいいんだ」
彼女はドクターの腰に回した足にぎゅっと力を込め、さらに深く彼を受け入れようとする。
「……動くぞ」
「うん……きて……ボクを……めちゃくちゃにしてよ……」
その言葉を合図に、ドクターはゆっくりと律動を開始した。
最初は彼女の様子を窺うような緩やかな抽送。しかし、それだけでもラップランドは過敏に反応し、往復のたびにその甘い吐息を漏らす。
「あっ……ん……そう……それ……んっ……はぁっ……あっ!」
結合部から聞こえる淫靡な水音が静かな執務室に反響する。ラップランドの手がドクターの背中に回され、爪を立てるようにしてしがみついた。
「どうした、始めたばかりだぞ?
もう余裕がないのか」
ドクターがわずかにからかうような口調で言うと、ラップランドは顔を赤くし反論しようとする。
「っ……まだっ、よゆう……っ、……んんっ!?」
反論しようとした彼女の口から、ドクターが腰の動きを急に強めたことで裏返った声が飛び出す。彼は意図的に彼女の深いところにある弱い部分を狙い、抽送を繰り返した。
「ま、まって……ドクター……それ、ダメ……っ! あっ、あぁっ!」
ラップランドが首を振り、銀色の髪がふわりと舞う。
彼女の髪色と同じ色の、手入れの行き届いたふわふわの尻尾が激しく振られ、デスクをバシバシとたたいた。
それは彼女の戦況があまり芳しくない事を予感させる。
「やめ……あっ……だめ……ッ!」
「やめると思うか?」
ドクターはさらに動きを加速させ、彼女の弱点を執拗に攻め立てた。
デスクがギシギシと規則的な悲鳴を上げる。
「ひぁっ! ……まって、待って……! おんなじとこ、やらない、でっ!
本当に……それ……すぐっ……イっちゃ……う……から……っ!」
ラップランドはドクターの背中に必死にしがみつき、切羽詰まった声で懇願する。しかしその許しを乞う言葉とは裏腹に、彼女の腰はドクターの動きに合わせて無意識に動き、さらに深く彼を受け入れようとしていた。
尻尾がさらに激しくふられ、時折ドクターの腿を叩く。
「……ラップランド」
彼女があまりに必死で、そして可愛らしい声を上げるからだろう。ドクターは一度動きを止め、彼女の顎に手を添えて上を向かせた。
「っ、あっ、……はっ……ぁ……ドク、ター……?」
潤みきった銀色の瞳が、困惑と期待に揺れながらドクターを見上げる。彼は何も言わず、そのまま彼女の薄く開かれた唇に自分のそれを重ねた。
「んむ……っ……」
舌を差し入れ、彼女の口腔内を優しく、しかし執拗に愛撫する。上顎をなぞり、逃げる舌を捕まえて絡め取る。
それは単なる性行為の一部とは言い難い、愛情を伝えるための深い口づけ。
「ちゅ……ふ……ぁ……ドク……ター……」
ラップランドの腕がドクターの首に回され、彼女の方も愛情を伝えるように必死に応えてくる。
互いの唾液が混ざり合う。息継ぎの合間に漏れる吐息が熱い。長い口づけの間、彼女の内部はドクターをさらに強く締め付け、愛おしそうにその形を確かめるように蠕動した。
「……ぁ」
ゆっくりと唇を離せば、銀色の糸が二人の間に橋を架かる。
ラップランドの顔はすっかり蕩けきっており、無防備で、そして扇情的な表情を浮かべていた。
「……ずるい……」
ラップランドは涙声でそう呟き、ドクターの胸に顔を埋める。
「……ボクはおかしくなりそうなのに……ドクターは平気そうだ」
「もう十分おかしいと思うが」
「……うるさい……ばか……」
ラップランドは涙声で悪態をつくと、ドクターの肩に噛み付いた。痛みはない。まるで甘噛みをする子犬のように、歯形を残さないよう加減された、愛情表現の一種。
「……もういいよ……好きに動いて……ドクター……」
彼女は顔を上げずに、くぐもった声で懇願する。ドクターは再び彼女の腰を掴み、先ほどよりもさらに深く、激しく抽送を始めた。
「あっ、あぁ……!」
ラップランドの喉から、甘く、そして高い、悲鳴に近い喘ぎ声が弾けた。
彼女の内部がドクターをぎゅうぎゅうと締め付け、決して離すまいと吸い付く。
結合部からは卑猥な水音が絶え間なく聞こえ、二人の体液が混ざり合って太腿を伝い落ち、デスクに残った書類を台無しにしていく。
「はぁ、んっ、あ、あ、そこ……! そこ、すごい……っ!」
彼女の長い銀髪が振り乱され、汗で肌に張り付く。
ドクターが彼女の最も敏感な場所を的確に捉えて擦り上げるたび、彼女の背中が反り、ループスの耳が快感にピーンと張り詰める。
「あはっ……ボクの……ボクの中……っ!
必死に……こすっちゃって……堪え性……ないね……っ!」
ラップランドは挑発しようとしているのだろうか。
しかし口から紡ぎ出される言葉はどれも甘く掠れ、切実だった。彼女はドクターの首に腕を回し、必死にしがみつく。
「もっと……もっと、奥まで……きて!
ボクの中っ……全部……キミで……埋めて……っ!」
彼女の脚がドクターの腰に絡みつき、逃がさないとばかりに強く締め上げる。腕は背中に回され、爪がドクターの背中に印を付けるように食い込み、微かな痛みを与える。
ドクターはラップランドの耳元に唇を寄せ、わざとらしく低い声で囁く。湿った吐息が敏感な耳を撫でた。
「……ラップランド、締め付けすぎだ」
「だって……あっ、キミが……キミが、
ボクをっ……おかしくさせるから……っ!」
「私のせいか?」
「そうだよぉ……!
ボク、おかしくなっちゃう……脳みそ、溶けちゃう……っ!」
いつも煙に巻くような詭弁と狂気的なセリフばかりが紡がれていた彼女の口。今はただドクターを求める甘い言葉と、意味を成さない喘ぎが溢れ出すだけの口。
彼女は甘い音を垂れ流す自分の口を手で覆おうとするが、その手もまた震えていて、漏れ出る嬌声を止めることはできない。
「あ……んっ、あぁっ、ドクター……どくたぁ……っ!」
彼女はうわ言のようにドクターの名前を呼ぶ。その声は鼻にかかり、甘く、そしてひどく切なかった。
ドクターは唇を塞いでいた彼女の手を優しく退け、その唇を自分のそれで塞いだ。
唇と唇が触れ合った瞬間、ラップランドはその接触を味わうようにぎゅっと目を閉じた。
口腔内に侵入してくるドクターの舌を、彼女は貪るように吸い、絡め取る。
「んっ……ふ、んむ……ぅ……!」
唇が離れると二人の間に銀色の唾液の橋が垂れる。
ラップランドは口元を垂れた唾液を拭おうともせず、潤んだ瞳でドクターを見つめる。その瞳にはもう何の余裕もなかった。
ねっとりとした密着感。汗ばんだ肌と肌の摩擦。
彼女の内壁が、ドクターを搾り取ろうとするかのように激しく収縮する。
「っ!……キツイ……ラップランド、締め付けすぎだ」
「だって……っ! 離したくなくて……っ!
キミを……ボクの中に……留めておきたくて……っ!」
途切れ途切れ吐き出されたのは可愛らしい独占欲だった。
ドクターは彼女のいじらしいそれに応えるように、彼女の腰を強く引き寄せ、さらに深く、激しく突き上げる。
「ああっ! あ、あ、あぁっ!」
その刺激に耐えきれず、ラップランドは仰け反り、銀髪を激しく振り乱す。
机の上のペンや書類がガタガタと音を立てて散らばっていく。だが二人の意識にはもう入らない。
「ボク……ボク……もう……だめぇ……っ!」
彼女の身体がビクビクと痙攣し、内壁が猛烈な勢いでドクターを締め上げる。絶頂の淵に立たされた彼女はただ、今この瞬間のドクターを、自分の男を、全身全霊で感じていたかった。
「私も……だっ」
「一緒に……っ、一緒に、いこうよ……!」
そう懇願するラップランドの姿はいつもの彼女からは想像もつかないほど無防備で、どうしようもなく、何処にでもいるループスの少女だった。
銀色の髪は汗で乱れ、頬や額にひっつき、その白い肌を余計に色っぽく見せている。潤んだ銀色の瞳は快楽の波に飲まれそうになりながらも、ただドクターだけを必死に見つめていた。
その目尻には涙が浮かび、長い睫毛が震えている。
「ボクだけ……置いていかないで……っ」
彼女はドクターの首に回した腕にさらに力を込め、まるでこの世で唯一の支えであるかのように強くしがみついてくる。
その声には普段の狂気的な響きなど微塵もない。その声は鼻にかかった、途切れ途切れの、甘い甘い懇願。
「キミと……同じところにいたいんだ……っ。
キミと一緒に……イキたいんだ……っ!」
ラップランドは自分から腰をくねらせ、ドクターをさらに深く、激しく締め上げる。彼女の脚はドクターの腰にしっかと絡みつき、背中に回された手はさらに深く爪を食い込ませ彼の背中に痕跡を残す。
それは彼女の独占欲と、ドクターを決して逃がさないという強い意志の表れだった。
「ねぇ……どくたぁ……っ。ねぇ……っ!」
彼女は幼い子供が親に甘えるように、何度も何度も呼びかける。
ループスの耳は痛痛しいほどピント張り詰め、尻尾もドクターの動きに合わせて嬉しそうに、そして必死に振られている。
「ボクを……ボクの全部を……キミにあげるから……っ! だから……っ!」
ドクターが彼女の汗ばんだ頬に手を添え、親指で涙を拭った。その優しい感触に、ラップランドは甘えるように頬を掌に押し付ける。
「あぁ……っ、ドクター……好き……っ、大好き……っ!」
理性の堤防が決壊したかのように、彼女の口から溢れ出すのは、ただの単純で純粋な愛の言葉だけだった。
詭弁も戯言もいらない、ただ愛する男と一つになりたいという、彼女の素直で純粋な願い。
ドクターはその願いに応えるように、最後の力を振り絞って腰を打ち付ける。ラップランドは突き上げられる度に、甘く高い声を上げ、ドクターにしがみつく腕を震わせた。
「あっ、あっ、いく……っ、ボク……いくっ……! キミと…………っ!」
「……っ、出すぞ、ラップランド」
ドクターの低い声が彼女の耳をくすぐった瞬間、ラップランドは大きく目を見開き、背中を弓なりにしならせて絶頂を迎えた。
「ーーーーーーーーっっっ!!!❤️❤️❤️」
声にならない叫び。
彼女の口は大きく開かれているのに、肝心の言葉は何も出てこない。
その身体は全身を駆け巡る強烈な快感を必死に受け止め、ドクターの物を受け入れる膣穴が痙攣するように激しく収縮し、その肉棒から精を搾り取ろうと脈動する。
「っ!」
それに呼応するように、ドクターもまた彼女の最奥で熱を放った。
ゴム越しではあったがその熱を感じたのか、ラップランドは一際大きく痙攣した後恍惚の表情を浮かべ、ぐったりとドクターの胸に身を預けた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
二人はお互いの熱い息遣いを聞きながら、しばらくそのまま固まっていた。
深い絶頂直後のふわふわとした甘い余韻。
「はぁぁぁ………しぬかと…おもったよ」
その中でラップランドは掠れた声で呟き、ドクターの胸に額を擦り寄せる。戦闘狂の狂犬であるラップランドはどこにもいない。そこにいるのはただ深い満足感に浸った、愛くるしい愛玩動物だった。
耳はだらりと垂れ、尻尾も疲れ果てたように時折ピクリと動くだけだ。
「……ねえ、ドクター」
「なんだ」
「……キミと一緒にいれて、ボクは幸せだよ……」
掠れた声で呟いた彼女はとても静かで、穏やかな表情をしていた。
あれほど荒れ狂っていた嵐のような激情は過ぎ去り、今はただ穏やかな海のような幸福感が彼女を満たしている。
ドクターが優しくラップランドの髪を撫でる、すると彼女は猫のように目を細め、その手に頭を擦り付けてその温もりを享受する。
彼女の尻尾がゆるゆると振られる。
「はぁぁぁ……」
ドクターの胸に顔を埋めたまま、ラップランドは肺の奥から空気を吐き出すように長く息を漏らした。
全身の力が抜け落ちて、指一本動かすことさえ億劫だ。
熱に浮かされたように思考がふわふわと霞んでいて、頭の中がとろとろの甘い何かで満たされている。
(あぁ……いい匂い……)
ラップランドは無意識にドクターの胸板に鼻を擦り付ける。彼の汗と、自分の汗と、僅かに残るインクの匂い。それらが混じり合った匂いを彼女は肺の奥まで吸い込み、幸せそうにため息をついた。
ループスの耳は満足げにぺたりと伏せられたまま、尻尾はゆるゆると振られ、時折びくりと微細な痙攣を繰り返す。
「どくたぁ……あはっ」
呼んだだけで、口元が勝手に緩んでしまう。
ねじ曲げた理屈を並べ立てたり、攻撃的なセリフを吐き出したり、人を食った笑みを浮かべる唇は、今はただ甘えた音を吐き出すためだけに存在しているかのようにだらしなく緩んでいる。
「んぅ……きもち……よかったぁ……」
舌足らずな声。
自分でも何を言っているのかよく分からないけれど、言葉にせずにはいられない。
体の奥に残る強烈な快感の余韻が、波のように押し寄せては引いていく。その度に背筋がゾクゾクと震えて、またドクターの温もりを求めてしまいそうになる。
彼女はふにゃりと力の抜けた手を伸ばし、ドクターの衣服をゆるく握りしめた。指先に触れる布地の感触さえも愛おしい。
「ねぇ……ドクター……」
「……どうした?」
頭上から降ってくる低い声に、耳が勝手に反応してピクリと動く。
その声さえも、今の彼女には強い麻薬のようだった。
「だいすき……」
「……急にどうした」
「んー……あは……」
彼女はドクターの首筋に唇を寄せ、吸い付くようにキスを落とす。
痕が残るかどうかなんて考えていない。ただ、この温もりが自分のものであると確かめたかっただけだ。
「とってもきもちよかったよ…ドクター。
今もまだ、気持ち良くて、ふわふわしてる」
熱に潤んだ銀色の瞳は焦点が定まらず、何も捉えていない。ただ、ドクターという存在だけが世界の全てのように瞳に映っている。
ラップランドが自分の頬をドクターの胸に押し付ける。心臓の音がトクトクとリズムよく響いていて、それが妙に心地よかった。
「あぁ……すこし……ねむいかも……」
多幸感という名の波に揺られて、意識がゆっくりと沈んでいきそうになる。
思考回路がショートしてしまったようだ。
ラップランドの中にあった憎悪や狂気はどこかへ飛んでいってしまったのだろう。いま彼女の中に残っているのはただひたすらに無防備な愛情と、この場所から一歩も動きたくないという甘えだけ。
「……部屋に帰りたくないなぁ……
ここでねてもいいかい?」
彼女は子供が母親にすがるように、ドクターの体にさらに体重を預けた。
眠りにつく直前の、無防備であどけない姿。
「……風邪を引くぞ」
ドクターの手が彼女の背中を優しく撫で下ろす。
その手のひらの温もりと優しい感触に、ラップランドの眠気は安心感というブースターがつけられて更にその強さを増していく。
「んんっ……キミがあっためてくれるだろう?
だから……大丈夫……だよ……」
彼女は目を細め、幸せそうに微笑む。
その笑顔には一切の翳りも狂気も無い。
ただ純粋に、愛される喜びに浸っている、少女の笑顔。
「ドクター……すきだよ……」
もう一度そう呟くと、ラップランドは心地よい疲労感とドクターの温もりに包まれたまま、ゆっくりとまぶたを閉じる。
それを見たドクターは諦めたように呟く。
「せめてベッドに移動したいのだが……まぁいいか」
夜の執務室に2人の呼吸音だけが染み込んでいく。
「おやすみ、ラップランド」
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続きを書く上で結構改変しました。
なんか繋がりがおかしいところもありましたので結構な大改修です…。
色んなところでラッピーといちゃつきたいね……