※この作品はR-18です。

半血魔王のクロニクル ~黒き貴公子シリーズ総集編~   作:古弥須 凱

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43話 饗宴<サバト> 中

 

【挿絵表示】

 

 

 

レジナルドの血で染まったまま、ルシエルは彼の腕の中にいる、昏睡したリーザを強く抱き締めた。

 

彼女は青ざめて弱々しく、一人の傷ついたか弱い乙女にしか見えなかった。

 

「この女を傷つける者を、私は許さない」

 

ルシエルの紫の瞳は血に濡れ、彼を構成する魔力が黒い炎のように渦巻いていた。

 

リーザの体は熱く、彼女の心臓の鼓動が彼の胸に伝わる。

 

かろうじて、彼女がサバトの「供物」として、残酷な死を迎える前に間に合った。

 

今は何よりも彼女の生命(いのち)がまだ、彼の手の中に守られていることが大事だった。

 

突然の不意打ちに吹き飛ばされたアスモデールは、ゆっくりと身を起こした。

 

そして、嘲笑うように唇を歪めた。

 

「ルシエル卿、お前は何を勘違いしているのだ?」

 

突然、ルシエルの体にものすごい圧力が瞬時に加わった。

 

空気が凝縮し、爆発するような力――それはアスモデールの純粋な魔力だった。

 

ぶしゃあ……ッと音を立てて、ルシエルの左腕が肩から弾け飛ぶ。

 

肉と骨が裂け、血が噴き出し、支えるものを失ったリーザの身体が地面に転がり落ちた。

 

「ぐっ……!」

ルシエルは膝をつき、リーザをもう一度、残った右手で抱き寄せた。

 

左腕の断面からボトボトと大量の血が流れ、床を赤く染めていく。

 

彼は即座に治癒魔法をかけ、傷口を塞ぐ。

 

再生するはずの肉は戻らず、痛みが引かない。

 

レジナルドに与えた大量の血液が、ルシエルの魔力を大幅に消耗させていた。

 

アスモデールはゆっくり立ち上がり、冷笑した。

 

「ふん、半血(ハーフブラッド)の公爵よ。知らぬ間にまた魔力が強まっているようだな。俺が『散じよ』と念じたのに、片腕しか飛ばなかったとは……」

 

アスモデールは、サタン帝王の側室が産んだ9番目の子だった。

 

しかし、8人の兄と姉をその魔力ですべて弑逆し、帝王の後継者として、なるべくして嫡子となった男だった。

 

その魔力はルシエルとは格が違う――純血の魔王の血が、空間そのものを支配するほどの力を持っていた。

 

ルシエルはリーザを抱き直そうとするが、わずかに彼女を傾けただけだった。

 

それでもその紫の瞳を鋭く輝かせて、アスモデールを睨みつけた。

 

アスモデールは余裕の笑みを浮かべ、指を軽く鳴らした。

 

「もう一度だ……散じよ」

 

今度は腹部に大量のエネルギーが集中した。

 

ルシエルの体が内側から爆発するような痛みに襲われ、リーザを残して犠牲台から吹き飛ばされる。

 

壁に激突し、血を吐きながら倒れ込む。

 

リーザの体は犠牲台にふたたび転がり、額を打った彼女の金髪が血に濡れる。

 

ルシエルは這いずりながら彼女のもとへ戻ろうとするが、体が動かない。

 

アスモデールの魔力が、ルシエルの力を遥かに上回っていた。

 

半血(ハーフブラッド)の公爵など、相手にならない圧倒的な格差が、そこにあった。

 

「ルシエル卿、お前はいま自分が何をしでかしたのか、本当に理解しているのか?俺を主とする厳かなるサバトを汚したのだぞ」

 

アスモデールはゆっくりと段下のルシエルを見下ろして、嘲るように言った。

 

「お前のような者が、公爵を名乗ることがそもそも間違っていた。

 

……しかし、俺から二発喰らって、まだ生きているのが不思議だな。アギーレはおるか」

 

アスモデールは、彼の腹心の部下に呼びかけた。

 

「お側に……」

 

アギーレは主の意を汲み、無言で手を掲げる。

 

空が突然暗くなり、虚空から産み出された、大量の小隕石が召喚される。

 

それこそ、リリアと火喰鳥(ヒクイドリ)を無惨に貫きいた高位魔術――「小隕石(メテオ)」だった。

 

凄まじい量の燃える岩塊が、弾丸となって轟音を立てて降り注ぐ。

 

「くそっ……!」

 

ルシエルは瞬間、かろうじて防御障壁(バリア)を頭上に走らせた。

 

一枚では破れる……。

気づいてルシエルはさらにもう一枚、青く輝く障壁を張って直撃を避けようとする。

 

だが、メテオの数は多すぎ、その衝撃は強すぎた。

 

バリアが軋み、幾つかがすり抜け、彼の腹部と脚を直撃する。

 

「がァッ……!」

 

小隕石(メテオ)は脇腹を突き破り、抉り、骨が砕け、血が噴き出す。

 

激痛が体を貫き、ルシエルは膝を折りって倒れ込む。視界が赤く染まる。

 

アギーレは無表情で手を下ろし、アスモデールに頭を垂れる。

 

ただ彼のすべき事を為した、といった風情だった。

 

ルシエルは血を吐きながら、まだ力を失わない紫の瞳をぎらつかせて、生贄台を見上げた。

 

しかしもう、彼に残された力が何も無い――。

 

*

 

サバト会場の巨大スクリーンは、今や混乱の極みにあった。

 

貴賓席の令嬢たちは息を呑み、観客席の魔族たちはざわめきを抑えきれず、互いに顔を見合わせている。

 

画面の中では、全身血まみれのルシエルが片腕を失ったまま膝をつき、血反吐を吐いて動けない。

 

観客の反応は、完全に凍りついていた。

 

「…………何だ、これ?」

 

「ルシエル公爵が……アスモデール殿下に……?」

 

「いや、待て。あれはフォルネウス男爵の演出だろ? 生贄を奪う芝居で……」

 

ざわめきが徐々に広がり、誰かが立ち上がり、誰かが座り直す。

 

誰もが「これは本気なのか?」「ルシエル公爵が本当に罰せられているのか?」と理解できず、困惑だけが会場を支配していた。

 

司会者の甲高い声が、震えながらスクリーンに響く。

 

「え、えっと……皆様! どう言う事なんでしょうか、これは……!」

 

彼は慌てて台本をめくり、喉を詰まらせながら言葉を紡ぐ。

 

「フォルネウス男爵による、ある意味……演出(ブック)なのかもしれません!

 

とにかく、ルシエル公爵がアスモデール殿下に不敬を働き、今まさに無惨に罰を受けているようです!

 

これは……これは……!」

 

声が上ずり、言葉が途切れる。

 

司会者は笑顔を無理に貼り付けようとするが、顔が引きつっているのが画面越しにもわかる。

 

観客席からは、嘲笑とも怒りともつかないざわめきが上がる。

 

「不敬? ルシエル公爵が?」

 

「アスモデール殿下に? いや、ありえねぇだろ……」

 

「でも見てみろよ、あれ怪我とかいうレベルじゃねぇし……演出じゃねぇぞ」

 

「生贄を奪おうとして失敗したって……マジかよ」

 

顔を青ざめた貴賓席の令嬢たちも、息を殺してスクリーンを見つめている。

 

誰もが「これは現実なのか?」と、理解できないまま、固まっていた。

 

アスモデールはゆっくりとルシエルに近づき、冷笑を浮かべる。

 

「半血(ハーフブラッド)の分際で、よくも俺の生贄に手を出したものだな……」

 

アスモデールはリーザの長い金髪を掴み、強引に引き起こした。

 

痛みに呻くリーザの、傷だらけの白い裸体が、再び観客の前に晒されている。

 

ルシエルは血を吐きながらも紫の瞳をぎらつかせて睨み返す。

 

「やめろ……リーザを傷つけるな……」

 

その言葉に、アスモデールの嘲笑がさらに深くなる。

 

「傷つけるなだと……?今まさにこの処女(おとめ)の純潔を”破壊しつくした”ところだ。子宮の中までもう俺の精液で溢れてる」

 

ルシエルの見ている前で、彼女の片足を持ち上げてやると、リーザ姫の膣口はトロトロと魔性の胤(たね)の残滓をこぼした。

 

再びアギーレが手を掲げ、小隕石(メテオ)の雨が降り注ぐ。

 

群衆の前で、無力に倒れた公爵が打ちのめされ、貫かれ、血反吐を吐いてのたうち回る。

 

会場は、完全に静まり返っていた。

 

誰もが、理解できないまま――ただ、息を殺してスクリーンを見つめていた。

 

アスモデールは、ぐったりと力無く首を垂れているリーザを膝の上に載せたまま、生贄台の上から退屈そうに、ルシエルを見下ろしていた。

 

「俺にはわからない。なぜお前がこんなことをしでかしたのかが。

――狂ったのか?

 

とにかく、常軌を逸している。アギーレ、お前はどう思う?

なぜこいつはこんなことをする?」

 

アギーレは被りを振った。

 

「きっと錯乱しているのでしょう。彼の立場では考えられないことですから。速やかにご処分して然るべきかと」

 

「自分の生命を捨てて、この人間の女を救おうとしている。

 

確かにこれは美しいが、そこまで価値のある女なのか?俺には快楽の道具でしかない。使った後は引き裂くだけだ」

 

「彼は半分、人間ですから、私たちには理解できない価値観があるのかも知れません」

 

「こいつは、いつも問題を起こす」

 

アスモデールは心底、見下した様子でルシエルに向かって吐き捨てた。

 

「こいつが美しいのは、見栄えだけだ。中身は魔界のどんな汚穢よりも価値がない。卑怯で、無力で、惨めな……ただの負け犬だ」

 

*

 

アスモデールは、心底呆れたと言う表情で、膝の上に載せたリーザをもう一度ゆっくりと犯し始める。

 

長い陰茎を見せつけながら、ゆっくりと上下させていく。

 

ルシエルは直視できない。

 

「ふん……みじめだな、負け犬公爵」

 

アスモデールは嘲るように唇を歪め、リーザの細い腰を両手でがっちり掴んだまま、ゆっくりと腰を沈める。

 

ぐちゅ……と湿った音が響き、リーザの膣内が再び魔性の肉棒に抉られる。

 

彼女の体は昏睡したまま微かに震え、熱く火照った肌がアスモデールの冷たい掌に吸い付くように密着する。

 

長い陰茎が根元まで埋まり、子宮口を押し上げるたび、リーザの腹部がわずかに膨らむのが見て取れた。

 

トロトロと白濁の残滓が結合部から溢れ、太ももを伝って滴り落ちる。

 

アスモデールはそれを意図的に見せつけるように、リーザの片足を大きく広げ、ルシエルの視界にすべてを晒した。

 

「見てみろよ、ルシエル卿。お前の大事な『乙女』は、もう俺に全てを捧げ尽くしている。

 

お前には何も残っていない。全て、このアスモデールが喰らい尽くした後だ。

 

この蜜壺は、俺の精液で満たされるのがお似合いだ」

 

ゆっくりと、しかし確実に腰を振り続ける。

 

ぬちゅ……ぬちゅ……と卑猥な音が会場に響き渡り、アスモデールに貫かれてぬらぬらと照り濡れているリーザの局部が、巨大スクリーンにまで拡大されて映し出される。

 

観客席からは息を呑む音すら聞こえなくなり、ただ静寂と凍りついた視線だけが残った。

 

ルシエルは血を吐きながら、這いずるように体を起こそうとする。

 

残った右手で地面を掻き、失った左腕の断面からまだ血が滴り落ちる。

 

紫の瞳は燃えるようにアスモデールとリーザを捉えていたが……

 

直視できない。

 

直視したくても、できなかった。

 

視界が揺れ、赤く染まる。

 

リーザの金髪が揺れ、彼女の唇から漏れる微かな喘ぎのような吐息。

 

アスモデールの長い陰茎が、彼女の奥を抉るたびに体が跳ねる様子。

 

すべてが、ルシエルの心を抉る刃のように突き刺さる。

 

「や……め……ろ……」

 

声は掠れ、血反吐に混じって地面に落ちる。

 

それでもルシエルは目を逸らさない。

 

逸らしたくても、逸らせなかった。

 

リーザの体がアスモデールに蹂躙される光景を、最後の執念で焼き付けるように見つめ続ける。

 

アスモデールはそんなルシエルを、まるで哀れな虫を見るような目で眺めながら、さらに深く腰を沈めた。

 

「いい眺めだ……お前の絶望が、俺の快楽を倍にしてくれる。

 

お前はこの人間の姫君を、愛しているのだな。いまこの場で、俺の性玩具(おもちゃ)となっているこの女を……愛している」

 

ぐちゅ……と最奥を抉る音が、再び響いた。

 

会場は、もはや誰も声を上げられなかった。

 

「では、お前の恋人を起こしてやろう。少しずつ……ゆっくりとな」

 

アスモデールが、自分の胸の前で抱いたリーザの耳元で、何事かを囁いている。

 

どのような術なのか……リーザが光なくぼうっと蕩けた瞳を、ゆっくりと開いた。

 

そして、アスモデールはリーザを抱き寄せて激しく接吻した。

 

彼女の唇から思念を吸い上げ、記憶を写し取り、感情を操作する……。

 

そして、リーザの心の中から、彼女が愛する者の映像(ヴィジョン)を掬い上げると、みるみる間に己の姿へと移し替えた。

 

アスモデールは、ルシエルの姿へと変化したまま、衆目の前でリーザを激しく上下に貫き始める。

 

「――やめろ!!」

 

もちろん、アスモデールには哀れな敗残者の叫びが聞こえていた。

 

冷たく残酷な微笑みを浮かべ、リーザの体を抱きしめたまま、ゆっくりと腰を沈めていく。

 

偽物の紫の瞳が、リーザのぼんやりとした視界に映る。

 

リーザの意識が、徐々に戻り始める。

 

最初は、ぼやけた世界。

 

次に、「ルシエル……?」という弱い声。

 

アスモデールは、ルシエルの声色を完璧に真似て、耳元で優しく囁く。

 

「リーザ……俺だ。怖がらせてしまったが、もう大丈夫だ……俺が来たから……」

 

リーザの瞳が、涙で揺れる。

 

「ルシエル……本当に……あなたなの……?」

 

アスモデールは、優しく頰を撫でた。

 

「ああ、本当だよ。もう誰も、お前を傷つけない。俺がずっとそばにいる……」

 

賢く、気高い心を持つリーザが、なんの躊躇(ためら)い疑念も持たず、幻影のルシエルに惑わされている。

 

それは、かつてルシエル自身がレジナルドを使って実行した、夢の中の「謀略」と同じだった。

 

彼はリーザを欺き、密かに夢の世界を繋ぎ、侵入し、少年の自分を装って彼女を夢の中で犯した。

 

今、ルシエルの前で行われている残酷な現実は、まさにその鏡像だった――。

 

ルシエルは血に浸かり、惨めに這いずりながら、死を願いたいほどの屈辱に耐えた。

 

リーザの体が、わずかに震える。

 

「ルシエル……怖かった……ずっと……待ってた……」

 

アスモデールは、またゆっくりと腰を動かし始める。

 

「大丈夫……俺が抱いててやる……俺たちは一つだ……」

 

ギシギシと、生贄台の玉座が軋む音が響く。

 

アスモデールは、ルシエルの声で低く喘ぐ。

 

「リーザ……気持ちいい……お前の中……熱くて……お前を愛してる……」

 

リーザの体が、無意識に反応する。

 

「ルシエル……あっ……」

 

偽りの恋人に、深く、深く、貫かれるたび、リーザの声が甘く変わっていく。

 

アスモデールは、ルシエルを冷たく見下ろしながら、ルシエルの声色を止めなかった。

 

「リーザ……たまらない……お前が好きだ……このままお前のなかに射精(だ)したい………もしお前が望むなら……お前と子を為したい」

 

ルシエルの絶叫は、言葉として成立していなかった。

 

リーザの瞳が、ぼんやりと涙で潤む。

 

「ルシエル……貴方との子を……」

 

アスモデールは、腰をさらにゆっくり、深く沈めながらリーザの首筋を舐(ねぶ)った。

 

「ああ……俺の子を……お前の子宮で受け入れて欲しい。

 

俺の愛を――植え付けてやる……リーザ……俺の子を産んでくれ……

 

お前の体で、俺の血を継ぐ子を……俺たちの子を……」

 

ルシエルの声で繰り返されながら、リーザの体が、絶頂の波を呼び覚ましつつあった。

 

リーザの内部が、熱く絞るように濡れて、わなないた。

 

アスモデールは、残虐にニヤリと微笑んだ。

 

「もしお前が俺の子を望むなら、欲しいと言ってくれ、リーザ。

 

俺の胤(たね)で孕みたいと望むなら……そう言ってくれ。今すぐに……」

 

リーザは、偽りの恋人に抱かれながら、愛しそうにその頬に手を伸ばした。

 

「ええ……産むわ……貴方との子が欲しい……私に授けて……貴方の望むままに……」

 

ルシエルの視界が、憎しみの涙で歪んだ。

 

血で満たされた肺が、ごぼごぼと音を立てるだけで、もう声は出なかった。

 

「リーザ……わかった……お前の奥に、俺の全部を注いでやる……

 

俺の子を、しっかり受け止めてくれ……」

 

リーザの肢体は、まがいものの優しさと彼の激しい腰使いに、心身ともに侵されつくしていた。

 

完全に蕩けきり、突き動かされるままに乱れた。

 

ぼんやりとした瞳が涙で潤み、ルシエルの名を呼びながら甘い吐息が漏れる。

 

アスモデールは、冷たい笑みを浮かべたまま、ルシエルの声で、最後の言葉を吐き捨てた。

 

「愛してるよ、リーザ……これで、お前は永遠に俺のものだ……」

 

繋がったままで、アスモデールはサバトの花嫁を抱き寄せ、激しい接吻をした。

 

ぐちゅっ……ずちゅっ……と最奥を抉る音が最高潮に達し、アスモデールの長い陰茎が、脈打つように膨張する。

 

そしてリーザは全身を震わせながら――彼女の愛する男の目の前で熱く、大量の魔性の精液を受け入れた。

 

アスモデールの陰茎から迸る魔精が、リーザの子宮口を直撃し、一気に奥深くまで叩き込まれる。

 

容赦なく、子宮を満たし、溢れさせるほどの量。

 

結合部から白濁がびゅるびゅると逆流し、太ももを伝って床に滴り落ち、玉座までさらに汚していく。

 

リーザの体が弓なりに反り、悦楽の波に飲み込まれる。

 

偽りのルシエルに抱かれながら、リーザは激しい性愛の絶頂に達した。

 

「あ……あぁっ……ルシエル……熱い……いっぱい……入ってる……」

  

アスモデールは、ゆっくりと腰を引き、まだ脈打つ陰茎を抜くと、リーザの膣口から大量の白濁がトロトロと溢れ出す。

 

それを指で掬い、リーザの唇に塗りつけた。

 

「ほら……味わえ。お前の愛する男の『愛』だ」

 

リーザは朦朧とした意識で、アスモデールのいうがままに、その指を咥え、舌を出して舐めた。

 

 

*

 

 

ルシエルは、地面に這いつくばったまま、血反吐を吐きながら、紫の瞳を大きく見開いていた。

 

言葉はもう出ない。

 

ただ、震える右手が地面を掻き、視界が赤く、黒く、完全に染まっていく。

 

アスモデールは幻影を解き、本来の冷酷な姿に戻る。

 

「さぁ、恋人たちの時間は終わりだ」

 

膝の上にぐったりと横たわるリーザを抱き上げ、巨大スクリーンに向かって高らかに宣言する。

 

「見ろ、魔界の民よ。サバトの花嫁はみだらに俺を受け入れ、今、俺の植え付けた精胤(たね)で満たされた。

 

今こそ、彼女の白い腹に"悪魔の刻印(マーク)"を刻み、永遠に姫君を我が物としよう!!」

 

会場は、静寂の後、徐々に沸き立つ。

 

サバト会場の古城は、今、異様な熱狂に包まれていた。

 

巨大スクリーンに映し出される光景――

 

アスモデール殿下が膝の上にぐったりとしたリーザを抱え、高らかに勝利宣言する姿――が、会場全体をさらに煽り立てる。

 

一方で、犠牲台の下、血の海に沈むルシエルは、もはや動くことすらままならない。

 

失われた左腕の断面からはまだ血が滲み、腹部と脚を抉ったメテオの傷口は治癒の兆しを見せず、骨が露出したまま赤黒く脈打っている。

 

残った右手は地面を弱々しく掻き、指先が血溜まりに沈む。

 

紫の瞳は大きく見開かれたまま、焦点を失い、虚ろにスクリーンを見つめている。

 

息は浅く、肺に溜まった血がごぼごぼと泡立つ音が、唯一の生命の証だった。

 

言葉はもう出ない。

 

魔族と人間の半血(ハーフブラッド)――魔界でも異端の存在であるルシエルの中から、今まさに人間としての血と涙が流され尽くしていた。

 

リーザはアスモデールの膝の上で、完全に力なく横たわっている。

 

瞳は涙で潤みながらも、焦点が合わず、ただ虚空をさまよう。

 

会場はますます沸く。

 

ルシエルとリーザは、この血塗られた祝祭の生贄となって、そこにいた。

 

一方は血の海で這いつくばり、もう一方は魔王の膝の上で満たされ、汚され、晒されている。

 

――サバトは成功した。

 

人間は負け、純粋な悪の血脈が勝利した――。

 

そのことを、今宵サバトの晩に、魔族は高らかに歌い、その興奮に酔いしれていた。

 

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