※この作品はR-18です。

半血魔王のクロニクル ~黒き貴公子シリーズ総集編~   作:古弥須 凱

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第二部 黒き貴公子とifの皇嗣 【不義密通 篇】
1話 新妻のつとめ


その淫らな悪夢の中で…

 

魔界の帝王、アスモデール陛下の妻である王妃リーザは、彼女のかつての恋人・ルシエル卿の腕の中で、ただ、涙を流していた。

 

「……ルシエル、私を許して……

いえ、許さないで。

もっと責めて、私の体をあなただけのものに戻して……」

 

頰を伝う涙を、若き魔王ルシエルは、舌でゆっくりと舐め取った。

 

どんなに苛烈に言葉を尽くしても尚、心から愛する女性(ひと)を責め足りなかった。

 

「俺は……俺は、お前を愛しつづけてきた。それなのに、お前は……」

 

「私が堕ちたのは……あなたが、私を救えなかったからよ」

 

リーザは、震える声で、しかしはっきりとそう言った。

 

「あのサバトの夜に、あなたに救ってほしかった。……あなたに初めてを捧げたかったわ、ルシエル。

あなたを、愛していたから」

 

二人は、見つめ合った。

 

「そうだな……俺はお前を救えなかった」

 

同じ傷を抱えた恋人たちは、互いを傷つけ、その傷からしたたる血を舐め、なお激しく求めあった。

 

「俺も、同じ地獄に堕ちたい……いっそふたりで、もっと堕ちよう……」

 

瞳を閉じ、舌を激しく絡ませる。

 

この終わりのない悪夢のなかで、ルシエルとリーザは、ただもつれ合い、激しく愛し合っていた。

 

不義密通の愛に溺れ、そこから与えられる果てしない快楽によって――二人はふたたび、結ばれようとしていた。

 

 

*

 

 

物語の数か月前、魔界の公爵領地。

 

魔界の公爵であるルシエルと、人間の新妻であるリーザの新婚領地巡りは、護衛も使用人(サーヴァント)も一切連れず、ただ二人きりで魔界の広大な領地を馬車で回る、甘い蜜月(ハネムーン)となった。

 

彼らを乗せた馬車は、黒い漆塗りの古風なもので、窓からは瘴気の薄い霧が立ち込める黒い森が流れていく。

 

馬車の車輪が、石畳の古道を軋ませるたび、軽く揺れる振動が二人の体を優しく寄せ合う。

 

リーザは夫の膝に寄りかかり、揺れに合わせて自然と体を預ける。

 

そのたび、彼女の柔らかな胸がルシエルの胸板に押しつけられ、甘い吐息が漏れる。

 

「ルシエル……この揺れ、何だかおかしいわ……」

 

「そうだ。お前が感じやすいように、わざと揺らしてやっている」

 

リーザの頰が染まる。

 

ルシエルは彼女の腰を抱き寄せ、低く微笑んだ。

 

馬車は御者も必要とせず、彼の魔力だけで霧の古道を走っていく。

 

この揺れは――彼があえて起こしているものだった。

 

「馬車の揺れが、お前を甘く疼かせるのか?」

 

ルシエルは低く笑い、彼女の腰を鷲掴みにしたまま、片手でドレスの胸元を荒々しく引き下げた。

 

白い乳房が露わになり、すでに硬く尖った乳首が震えている。

 

「さっき、抱かれたばかりなのに……」

 

「そのための蜜月(ハネムーン)だ。おまえの蜜を、思う存分むさぼるための旅だ。

 

さっき馬車に乗る前に、あんなによがり泣いていたのに、それでもまだ疼いている。 

 

お前は、魔族の妻としてよく出来た女だ。」

 

リーザの頰が真っ赤に染まるのを、ルシエルは満足げに見下ろした。

 

彼は自分の前を乱暴に解き、すでに痛いほど硬くなった陰茎を解放する。

 

「ほら、見ろ。お前のせいでこうなっている」

 

彼はリーザの細い手首を掴み、強引に自分の熱い陰茎を握らせた。

 

リーザの指がびくっと震える。

 

「欲しいと言え。俺の妻なら、夫のものを欲しがる言葉をちゃんと口にしろ」

 

「……ほしい……ルシエル……」

 

長い舌を絡め、新妻が息詰まるほど甘く、長い接吻を与える。

 

白い肩からドレスを下げ下ろし、そのまま、彼の新妻を素裸に剥いた。

 

誰も供のいない旅は、なにも遠慮がなく、彼らの馬車籠は常にあけすけで、濃厚な性愛の寝床だった。

 

「俺に乗れ、リーザ」

 

新床を終えて、まだ幾夜も経っていないが、新婿であるルシエルの性的な要求は、つねに烈しかった。

 

背後から軽々と丸抱えた、リーザの肉体を持ち上げ、硬く反り切った陰茎を差し当てた。

 

素裸の下半身同士が、冷たく触れ合う。

 

「欲しいか」

 

クチュクチュと、膣口に押し当て、こね回した。

 

彼は指で優しく広げながら、熱くなった先端をゆっくりと押し当てた。

 

わずかに亀頭の先端だけをねじ込んでやる。

 

「う……やぁ……」

 

「欲しいと言え、リーザ。お前の欲しがるものをやる。俺が欲しいだろう。奥まで……はげしく、抜き差しして欲しがっている」

 

「……ほしいわ、ルシエル……してちょうだい……」

 

「何が欲しい?俺の、何を求めているのかを言え。お前は俺の妻だ。夫の要求に応えるのが……良き妻の務めだ」

 

焦らしながら、わずかに先端だけを抜き差しした。

 

淡く色づいた粘膜同士が接触し、お互いを濡らしながら、音を立てて口づけ合っていた。

 

リーザの体が震え、内腿がこわばった。

 

ルシエルは、その緊張をほぐすように、妻の可愛らしいクリトリスを撫で付け、つつましい包皮を剥いてやった。

 

強く刺激されると、女たちがみな、白く電流で甘く灼かれるその部分を指で摘んで、責め嬲った。

 

「あっ!だめっ……そこ……!ぴくんぴくんなっちゃう……一緒にしたら、だめぇっ……」

 

焦らすつもりだったが、彼自身が堪えきれずに、もう半ばまで、彼の陰茎はリーザのなかに割り入っていた。

 

軽い抽出に留めてはいても、すでに繋がった部分から、堪えようのない快楽の波が押し寄せ始めている。

 

「まだ半分も入っていないのに……お前はいつも、こうして俺を欲しがる」

 

「や……あっ……!」

 

「この旅の間、お前は一日も俺のものを絶やさない。馬車の中でも、別邸の寝台でも、どこでも……お前は俺のものだ」

 

「あっ……ルシエル……奥が……熱い……」

 

「いい子だ。お前は俺の妻だ。俺が何度でも満たしてやる」

 

ルシエルは彼女を抱きしめながら、しかし決して優しくない抽送を繰り返す。

 

甘い喘ぎと、湿った水音が馬車の中に静かに満ちていく。

 

「リーザ……この蜜月が終わっても、お前は永遠に俺のものだ。俺の子を、何人も……お前の奥に刻み込んでやる。お前は可愛い……愛しくてたまらない。お前は俺のものだ。だから、お前が欲しがるものを、奥(・)ま(・)で(・)入れてやる。言え、何を入れて欲しいのか」

 

新妻は、切ないあえぎ声を振るわせた。

 

「あなたよ……あなたが欲しいわ、ルシエル。奥まで……あなたを差し込んで……」

 

やっと、彼の新妻がそれだけ言うのを、魔王は残酷な微笑みで見守った。

 

今は、これくらいで構わなかった。彼の美しい、人間の姫君が快楽におぼれ、小さな涙を浮かべて堪えるのを愛でた。

 

「まぁ及第点といったところだが……俺は約束を守る男だ」

 

そのまま、新妻の軽やかな身体を抱き潰し、めりめりと根元までを、一気に押し込んだ。

 

奥まで沈められて、リーザの背が弓なりに反った。

 

「い……あああああっ――!!」

 

リーザの首ががくりと折れ、彼女の夫が容赦なく与える痛みと、快楽に呻いた。

 

「あっ……あっ……奥にあたって……や……やぁん……」

 

「気持ちいいだろう、リーザ。お前が、たまらなく締まってきた。」

 

新妻を抱き、欲望のままに彼女を抜き差ししながら、ルシエルは彼女の耳元で低く囁いた。

 

「お前の可愛い蜜壺に、俺の魔精を注いでやる。この旅が終わるまで、いや終わっても、お前は永遠に俺だけの……ちいさな蜜壺だ」

 

腰遣いは滅茶滅茶に激しく、突き動かされてリーザの呼吸すら途切れ途切れになる。

 

「あっ……ルシエル……熱いわ……お願い、もう……もういかせて……」

 

「もう、いくのか。ずいぶん、感じやすくなったな。だが、そこも可愛らしい。少し待て、思う存分……お前に注いでやる」

 

ぐちゅぐちゅと音を立てる交接点が、さらに速度を早めていく。

 

「ああ――いいっ!奥……もう気持ちいいの……っ!だめっ……お願い、おねがいもう……もう許して……ゆるしてぇ……!!」

 

「先にいけ、リーザ」

 

てらてらと濡れて光る陰茎が、リーザの小さな膣口を貫き、残酷に上下する。そのストロークが与える快楽を、若い夫婦はお互いで分かち合っていた。

 

「ああ……いや!いやぁー!!……あっあっ――いく、いくわ……いくぅ――もう――あひっ――いくぅ―――!!」

 

「……いけ」

 

その低い、快楽を押し殺した夫の声で甘く囁かれて、リーザははしたなく身を震わせて、絶頂した。

 

「……ん……ん……!!」

 

背筋が硬直し、夫を受け入れた狭い膣道がさらに収縮する。

 

ルシエルもまた、その快楽に堪えきれず、ううと短く喉を詰まらせた。

 

そのまま突き上げ、顎を天に向けてどくどくと夥しい精液を、妻の膣内に噴き出した。

 

圧倒的な快楽が、一気に噴き上がり、全てを奔流として奪い去っていくようだった。

 

「あ……出てる……あなたの……熱いものが……いっぱい」

 

目を閉じたまま、下半身のなかで脈打つ、夫の陰茎が震えるさまを、素肌で感じていた。

 

二人はそのまま、力尽きた弱々しい生き物のように、抱き合った。

 

「ひどいわ、私は馬車の中で、ほとんど服を着ていないみたい。裸で旅をする公爵夫人なんて、聞いたことがないわ」

 

ルシエルの胸に甘えながら、リーザは彼女独自のユーモアで、夫を甘く非難した。

 

「少しも、構わない。お前とあの十二夜の夜に再会したとき、お前に人間の姫の立場を捨てて、淫らな女として俺に尽くせと言った。

――果てしない快楽を、貪り合おうとな。あの時は……お前とこうして、結ばれる望みはなかった。

だからこそ今はただ、お前を抱きつくしたい。お前と、快楽を貪りつくしたいんだ」

 

魔性に生まれた悪魔(ディアボロ)として、ルシエルの欲望は尽きなかった。

 

新床を終えたばかりの、この若い美貌の夫婦は、ただ飽きることなく抱き合い、互いを甘く溶かし、貪欲に貪り合っていた。

 

 

*

 

 

ルシエルは、魔界の名門公爵家の若き当主だった。

 

魔族と人間の半血(ハーフブラッド)でありながら、圧倒的な魔力と冷徹な美貌で領地を統べる公爵だ。

 

紫の瞳は氷のように鋭く、漆黒の髪は闇のように揺れ、完璧な容姿は見る者を魅了し、同時に凍りつかせる。

 

かつては孤独な支配者として恐れられてきたが、リーザとの出会いによって、その冷たい仮面の下に隠された、激しい執着と愛情が彼女の前でだけは露わになった。

 

リーザは人間界オルヴェス王国の王女として生まれた、気高く賢明な純粋な姫君。

 

金色の髪は陽光のように輝き、穏やかな瞳は優しさと強い意志を宿す。

 

魔界の残酷な儀式に巻き込まれ、ルシエルに何度も体を奪われながらも、彼女は決して心を折らず、逆にルシエルを「愛する夫」として受け入れる強さを手に入れた。

 

今や魔界の公爵夫人として、夫の側で静かに、しかし確かな存在感を放っている。

 

二人は禁断の恋に落ち、夢を通じた凌辱、魔界の血塗れで残酷な儀式(サバト)、互いの命を賭けた試練と別れを繰り返した末に、ようやく結ばれた。

 

紆余曲折を経て得た絆は、甘くも危うく、二人だけの世界を築き上げている。

 

新婚の公爵夫妻として領民に顔を見せ、地方視察を名目に、各地の別邸で甘く濃密な一夜を過ごす予定だった。

 

彼らを出迎える地方の封臣や小領主たちは、ルシエルのやや強引なお忍びハネムーンに伴われた、この若き公爵夫人に一目で魅了された。

 

ヴォルガン男爵はリーザの気高さと金髪の輝きに息を飲み、エルドリッジ卿は「さすが公爵閣下の奥方様……」と静かに頭を下げ、シリウス子爵はニヤリと笑いながら「畏れ多いほどの美しさ」と感嘆する。

 

ルシエルは彼らの視線に気づき、自慢げにリーザの腰を抱き寄せて微笑んだ。

 

「当然だ。俺の妻だからな」

 

しかし内心では嫉妬の炎がチラつき、(お前たちにリーザを見る資格などない……彼女は俺のものだ)と執着を燃やしていた。

 

このお忍びハネムーンは、快楽と義務の狭間で、二人の愛を深めていく旅となった。

 

 

*

 

 

東の森別邸では、霧雨の音が窓を叩く。

 

ルシエルはリーザをベッドに横たえ、ゆっくりとドレスを剥ぎ取った。

 

白い肌が月光に照らされ、彼女の胸が優しく上下する。

 

彼はリーザの唇を奪い、舌を絡めながら、指で秘部を優しく撫でた。

 

すでに熱く湿り気を帯び、内腿が微かに震えている。

 

「お前の膣内(なか)が……俺を待っている」

 

リーザは小さく喘ぎ、裸の胸を抱いた。

 

ルシエルは陰茎を彼女の秘部に押しあて、ゆっくりと沈めていく。

 

熱く濡れた内部が彼を飲み込み、きゅうっと締めつける。

 

リーザの体がびくっと震え、吐息が甘く漏れる。

 

「リーザ……今夜、俺の子を宿してくれ……俺の精で満たしてやる……」

 

ルシエルは優しく腰を動かし、深く、ゆっくりと彼女を貫く。

 

リーザの体が夫の動きに合わせて揺れ、内壁が甘く締めつける。

 

彼は彼女の乳房を優しく揉み、乳首を指で転がす。

 

リーザの吐息が高くなり、体が無意識に彼に絡みつく。

 

「ルシエル……あ……」

 

ルシエルは彼女を抱きしめ、腰を深く沈めた。

 

この蜜月の間、ルシエルは射精を我慢しなかった。

 

高まりに至れば、彼は快楽の命じるままに、そのままリーザの膣内に放った。

 

性愛の技巧も、強引な衝動もこの旅には不要だった。

 

ただひたすら……ルシエルは愛する妻のなかに、回数をかさねて彼の胤を注ぎ続ける。

 

彼らを邪魔する者はいなかった。

 

そのために護衛もなく、召使も伴わなず――それはまるでどこか逃避行めいた秘密の旅だった。

 

絶頂が近づき、彼はより強く腰を押しつける。

 

「リーザ……俺の精を全部受け止めろ……俺の子を孕め……」

 

大量の熱い白濁がどくどくと注がれ、リーザの膣内を一気に満たす。

 

彼女の体が震え、内壁が精を絞り取るように収縮する。

 

ルシエルは彼女を抱きしめたまま息を荒げ、満足げに微笑んだ。

 

二人はそのまま抱き合い、甘い余韻に浸る。

 

すぐまた、ルシエルが昂るその時まで……二人は見つめ合い、朝がくるのを待った。

 

そして――リーザを抱けば抱くほどに、ルシエルの欲望は沸き立った。

 

美しい人間の妻を、我がものとしたことによる独善が、いつしか顔を覗かせつつあった。

 

彼の暴走は――すでに始まりつつあった。

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