半血魔王のクロニクル ~黒き貴公子シリーズ総集編~ 作:古弥須 凱
1話 新妻のつとめ
その淫らな悪夢の中で…
魔界の帝王、アスモデール陛下の妻である王妃リーザは、彼女のかつての恋人・ルシエル卿の腕の中で、ただ、涙を流していた。
「……ルシエル、私を許して……
いえ、許さないで。
もっと責めて、私の体をあなただけのものに戻して……」
頰を伝う涙を、若き魔王ルシエルは、舌でゆっくりと舐め取った。
どんなに苛烈に言葉を尽くしても尚、心から愛する
「俺は……俺は、お前を愛しつづけてきた。それなのに、お前は……」
「私が堕ちたのは……あなたが、私を救えなかったからよ」
リーザは、震える声で、しかしはっきりとそう言った。
「あのサバトの夜に、あなたに救ってほしかった。……あなたに初めてを捧げたかったわ、ルシエル。
あなたを、愛していたから」
二人は、見つめ合った。
「そうだな……俺はお前を救えなかった」
同じ傷を抱えた恋人たちは、互いを傷つけ、その傷からしたたる血を舐め、なお激しく求めあった。
「俺も、同じ地獄に堕ちたい……いっそふたりで、もっと堕ちよう……」
瞳を閉じ、舌を激しく絡ませる。
この終わりのない悪夢のなかで、ルシエルとリーザは、ただもつれ合い、激しく愛し合っていた。
不義密通の愛に溺れ、そこから与えられる果てしない快楽によって――二人はふたたび、結ばれようとしていた。
*
物語の数か月前、魔界の公爵領地。
魔界の公爵であるルシエルと、人間の新妻であるリーザの新婚領地巡りは、護衛も
彼らを乗せた馬車は、黒い漆塗りの古風なもので、窓からは瘴気の薄い霧が立ち込める黒い森が流れていく。
馬車の車輪が、石畳の古道を軋ませるたび、軽く揺れる振動が二人の体を優しく寄せ合う。
リーザは夫の膝に寄りかかり、揺れに合わせて自然と体を預ける。
そのたび、彼女の柔らかな胸がルシエルの胸板に押しつけられ、甘い吐息が漏れる。
「ルシエル……この揺れ、何だかおかしいわ……」
「そうだ。お前が感じやすいように、わざと揺らしてやっている」
リーザの頰が染まる。
ルシエルは彼女の腰を抱き寄せ、低く微笑んだ。
馬車は御者も必要とせず、彼の魔力だけで霧の古道を走っていく。
この揺れは――彼があえて起こしているものだった。
「馬車の揺れが、お前を甘く疼かせるのか?」
ルシエルは低く笑い、彼女の腰を鷲掴みにしたまま、片手でドレスの胸元を荒々しく引き下げた。
白い乳房が露わになり、すでに硬く尖った乳首が震えている。
「さっき、抱かれたばかりなのに……」
「そのための
さっき馬車に乗る前に、あんなによがり泣いていたのに、それでもまだ疼いている。
お前は、魔族の妻としてよく出来た女だ。」
リーザの頰が真っ赤に染まるのを、ルシエルは満足げに見下ろした。
彼は自分の前を乱暴に解き、すでに痛いほど硬くなった陰茎を解放する。
「ほら、見ろ。お前のせいでこうなっている」
彼はリーザの細い手首を掴み、強引に自分の熱い陰茎を握らせた。
リーザの指がびくっと震える。
「欲しいと言え。俺の妻なら、夫のものを欲しがる言葉をちゃんと口にしろ」
「……ほしい……ルシエル……」
長い舌を絡め、新妻が息詰まるほど甘く、長い接吻を与える。
白い肩からドレスを下げ下ろし、そのまま、彼の新妻を素裸に剥いた。
誰も供のいない旅は、なにも遠慮がなく、彼らの馬車籠は常にあけすけで、濃厚な性愛の寝床だった。
「俺に乗れ、リーザ」
新床を終えて、まだ幾夜も経っていないが、新婿であるルシエルの性的な要求は、つねに烈しかった。
背後から軽々と丸抱えた、リーザの肉体を持ち上げ、硬く反り切った陰茎を差し当てた。
素裸の下半身同士が、冷たく触れ合う。
「欲しいか」
クチュクチュと、膣口に押し当て、こね回した。
彼は指で優しく広げながら、熱くなった先端をゆっくりと押し当てた。
わずかに亀頭の先端だけをねじ込んでやる。
「う……やぁ……」
「欲しいと言え、リーザ。お前の欲しがるものをやる。俺が欲しいだろう。奥まで……はげしく、抜き差しして欲しがっている」
「……ほしいわ、ルシエル……してちょうだい……」
「何が欲しい?俺の、何を求めているのかを言え。お前は俺の妻だ。夫の要求に応えるのが……良き妻の務めだ」
焦らしながら、わずかに先端だけを抜き差しした。
淡く色づいた粘膜同士が接触し、お互いを濡らしながら、音を立てて口づけ合っていた。
リーザの体が震え、内腿がこわばった。
ルシエルは、その緊張をほぐすように、妻の可愛らしいクリトリスを撫で付け、つつましい包皮を剥いてやった。
強く刺激されると、女たちがみな、白く電流で甘く灼かれるその部分を指で摘んで、責め嬲った。
「あっ!だめっ……そこ……!ぴくんぴくんなっちゃう……一緒にしたら、だめぇっ……」
焦らすつもりだったが、彼自身が堪えきれずに、もう半ばまで、彼の陰茎はリーザのなかに割り入っていた。
軽い抽出に留めてはいても、すでに繋がった部分から、堪えようのない快楽の波が押し寄せ始めている。
「まだ半分も入っていないのに……お前はいつも、こうして俺を欲しがる」
「や……あっ……!」
「この旅の間、お前は一日も俺のものを絶やさない。馬車の中でも、別邸の寝台でも、どこでも……お前は俺のものだ」
「あっ……ルシエル……奥が……熱い……」
「いい子だ。お前は俺の妻だ。俺が何度でも満たしてやる」
ルシエルは彼女を抱きしめながら、しかし決して優しくない抽送を繰り返す。
甘い喘ぎと、湿った水音が馬車の中に静かに満ちていく。
「リーザ……この蜜月が終わっても、お前は永遠に俺のものだ。俺の子を、何人も……お前の奥に刻み込んでやる。お前は可愛い……愛しくてたまらない。お前は俺のものだ。だから、お前が欲しがるものを、
新妻は、切ないあえぎ声を振るわせた。
「あなたよ……あなたが欲しいわ、ルシエル。奥まで……あなたを差し込んで……」
やっと、彼の新妻がそれだけ言うのを、魔王は残酷な微笑みで見守った。
今は、これくらいで構わなかった。彼の美しい、人間の姫君が快楽におぼれ、小さな涙を浮かべて堪えるのを愛でた。
「まぁ及第点といったところだが……俺は約束を守る男だ」
そのまま、新妻の軽やかな身体を抱き潰し、めりめりと根元までを、一気に押し込んだ。
奥まで沈められて、リーザの背が弓なりに反った。
「い……あああああっ――!!」
リーザの首ががくりと折れ、彼女の夫が容赦なく与える痛みと、快楽に呻いた。
「あっ……あっ……奥にあたって……や……やぁん……」
「気持ちいいだろう、リーザ。お前が、たまらなく締まってきた。」
新妻を抱き、欲望のままに彼女を抜き差ししながら、ルシエルは彼女の耳元で低く囁いた。
「お前の可愛い蜜壺に、俺の魔精を注いでやる。この旅が終わるまで、いや終わっても、お前は永遠に俺だけの……ちいさな蜜壺だ」
腰遣いは滅茶滅茶に激しく、突き動かされてリーザの呼吸すら途切れ途切れになる。
「あっ……ルシエル……熱いわ……お願い、もう……もういかせて……」
「もう、いくのか。ずいぶん、感じやすくなったな。だが、そこも可愛らしい。少し待て、思う存分……お前に注いでやる」
ぐちゅぐちゅと音を立てる交接点が、さらに速度を早めていく。
「ああ――いいっ!奥……もう気持ちいいの……っ!だめっ……お願い、おねがいもう……もう許して……ゆるしてぇ……!!」
「先にいけ、リーザ」
てらてらと濡れて光る陰茎が、リーザの小さな膣口を貫き、残酷に上下する。そのストロークが与える快楽を、若い夫婦はお互いで分かち合っていた。
「ああ……いや!いやぁー!!……あっあっ――いく、いくわ……いくぅ――もう――あひっ――いくぅ―――!!」
「……いけ」
その低い、快楽を押し殺した夫の声で甘く囁かれて、リーザははしたなく身を震わせて、絶頂した。
「……ん……ん……!!」
背筋が硬直し、夫を受け入れた狭い膣道がさらに収縮する。
ルシエルもまた、その快楽に堪えきれず、ううと短く喉を詰まらせた。
そのまま突き上げ、顎を天に向けてどくどくと夥しい精液を、妻の膣内に噴き出した。
圧倒的な快楽が、一気に噴き上がり、全てを奔流として奪い去っていくようだった。
「あ……出てる……あなたの……熱いものが……いっぱい」
目を閉じたまま、下半身のなかで脈打つ、夫の陰茎が震えるさまを、素肌で感じていた。
二人はそのまま、力尽きた弱々しい生き物のように、抱き合った。
「ひどいわ、私は馬車の中で、ほとんど服を着ていないみたい。裸で旅をする公爵夫人なんて、聞いたことがないわ」
ルシエルの胸に甘えながら、リーザは彼女独自のユーモアで、夫を甘く非難した。
「少しも、構わない。お前とあの十二夜の夜に再会したとき、お前に人間の姫の立場を捨てて、淫らな女として俺に尽くせと言った。
――果てしない快楽を、貪り合おうとな。あの時は……お前とこうして、結ばれる望みはなかった。
だからこそ今はただ、お前を抱きつくしたい。お前と、快楽を貪りつくしたいんだ」
魔性に生まれた
新床を終えたばかりの、この若い美貌の夫婦は、ただ飽きることなく抱き合い、互いを甘く溶かし、貪欲に貪り合っていた。
*
ルシエルは、魔界の名門公爵家の若き当主だった。
魔族と人間の
紫の瞳は氷のように鋭く、漆黒の髪は闇のように揺れ、完璧な容姿は見る者を魅了し、同時に凍りつかせる。
かつては孤独な支配者として恐れられてきたが、リーザとの出会いによって、その冷たい仮面の下に隠された、激しい執着と愛情が彼女の前でだけは露わになった。
リーザは人間界オルヴェス王国の王女として生まれた、気高く賢明な純粋な姫君。
金色の髪は陽光のように輝き、穏やかな瞳は優しさと強い意志を宿す。
魔界の残酷な儀式に巻き込まれ、ルシエルに何度も体を奪われながらも、彼女は決して心を折らず、逆にルシエルを「愛する夫」として受け入れる強さを手に入れた。
今や魔界の公爵夫人として、夫の側で静かに、しかし確かな存在感を放っている。
二人は禁断の恋に落ち、夢を通じた凌辱、魔界の血塗れで残酷な
紆余曲折を経て得た絆は、甘くも危うく、二人だけの世界を築き上げている。
新婚の公爵夫妻として領民に顔を見せ、地方視察を名目に、各地の別邸で甘く濃密な一夜を過ごす予定だった。
彼らを出迎える地方の封臣や小領主たちは、ルシエルのやや強引なお忍びハネムーンに伴われた、この若き公爵夫人に一目で魅了された。
ヴォルガン男爵はリーザの気高さと金髪の輝きに息を飲み、エルドリッジ卿は「さすが公爵閣下の奥方様……」と静かに頭を下げ、シリウス子爵はニヤリと笑いながら「畏れ多いほどの美しさ」と感嘆する。
ルシエルは彼らの視線に気づき、自慢げにリーザの腰を抱き寄せて微笑んだ。
「当然だ。俺の妻だからな」
しかし内心では嫉妬の炎がチラつき、(お前たちにリーザを見る資格などない……彼女は俺のものだ)と執着を燃やしていた。
このお忍びハネムーンは、快楽と義務の狭間で、二人の愛を深めていく旅となった。
*
東の森別邸では、霧雨の音が窓を叩く。
ルシエルはリーザをベッドに横たえ、ゆっくりとドレスを剥ぎ取った。
白い肌が月光に照らされ、彼女の胸が優しく上下する。
彼はリーザの唇を奪い、舌を絡めながら、指で秘部を優しく撫でた。
すでに熱く湿り気を帯び、内腿が微かに震えている。
「お前の
リーザは小さく喘ぎ、裸の胸を抱いた。
ルシエルは陰茎を彼女の秘部に押しあて、ゆっくりと沈めていく。
熱く濡れた内部が彼を飲み込み、きゅうっと締めつける。
リーザの体がびくっと震え、吐息が甘く漏れる。
「リーザ……今夜、俺の子を宿してくれ……俺の精で満たしてやる……」
ルシエルは優しく腰を動かし、深く、ゆっくりと彼女を貫く。
リーザの体が夫の動きに合わせて揺れ、内壁が甘く締めつける。
彼は彼女の乳房を優しく揉み、乳首を指で転がす。
リーザの吐息が高くなり、体が無意識に彼に絡みつく。
「ルシエル……あ……」
ルシエルは彼女を抱きしめ、腰を深く沈めた。
この蜜月の間、ルシエルは射精を我慢しなかった。
高まりに至れば、彼は快楽の命じるままに、そのままリーザの膣内に放った。
性愛の技巧も、強引な衝動もこの旅には不要だった。
ただひたすら……ルシエルは愛する妻のなかに、回数をかさねて彼の胤を注ぎ続ける。
彼らを邪魔する者はいなかった。
そのために護衛もなく、召使も伴わなず――それはまるでどこか逃避行めいた秘密の旅だった。
絶頂が近づき、彼はより強く腰を押しつける。
「リーザ……俺の精を全部受け止めろ……俺の子を孕め……」
大量の熱い白濁がどくどくと注がれ、リーザの膣内を一気に満たす。
彼女の体が震え、内壁が精を絞り取るように収縮する。
ルシエルは彼女を抱きしめたまま息を荒げ、満足げに微笑んだ。
二人はそのまま抱き合い、甘い余韻に浸る。
すぐまた、ルシエルが昂るその時まで……二人は見つめ合い、朝がくるのを待った。
そして――リーザを抱けば抱くほどに、ルシエルの欲望は沸き立った。
美しい人間の妻を、我がものとしたことによる独善が、いつしか顔を覗かせつつあった。
彼の暴走は――すでに始まりつつあった。