半血魔王のクロニクル ~黒き貴公子シリーズ総集編~ 作:古弥須 凱
イフが、胎児の念波によって容赦なく弾き出された瞬間、意識が"現実"に戻った。
あたたかな膝の上に抱かれたまま、ゆっくりと目を開ける。
「どうしたの、イフ?」
彼の母――リーザ王妃の声が、優しく耳に届く。
少年の体は、まだ華奢でか細く、白い髪が母の胸元に触れる。
父、アスモデールゆずりの赤い瞳が、母の穏やかな顔を映す。
「……夢を、見ていました」
イフは小さく呟き、母の胸に顔を埋めた。
リーザの指が、イフの髪を優しく梳く。
「どんな夢?怖かったの?」
イフは首を振って、母の胸に顔を押しつけた。
「わたしに、弟がいて……仲よくしようとしましたが、ケンカになりました」
まぁ、と母は優しく微笑んだ。
「お前は優しい子なのに、どうしてケンカになったの」
「弟は、わがままでした。母上を独り占めしようとするから、わたしが叱ったのです」
イフは、ふくれた顔のままで、彼の母にぎゅっとしがみついた。
「弟は、いらない。わたしだけの母上でいい」
リーザ王妃は、彼の幼い孤独をそっと抱きしめてくれた。
イフの頭を抱き、限られた面会の時間の限り、彼に愛情を注ぐ。
「世界中の誰よりも、母さまはイフを愛してるわ」
「わたしの父上よりも、ですか?」
「お父様……アスモデール陛下のことは心からご尊敬申し上げているわ。とても立派な方よ。
お前の父上で、魔界を統べる、とても大変な責務を負っていらっしゃる方……。
だからこそ、母さまはイフに、お父様が誇れるような、立派な皇嗣になってもらいたいわ」
父を、アスモデールを愛している、とは言わなかった。
それでもただ、一心に向けられる深い母の愛情が、イフには嬉しかった。
「母上……わたしは、詩を書いてきた」
イフは小さな手で、懐から折りたたんだ何枚かの紙を取り出す。
数枚は、傅育官の監視の目を盗み、こっそりと古い詩集から、書き写した詩。
そしてイフが書いた――母上の好きな夜空の星と、母上の笑顔を詠んだ、拙い一行詩。
「母上、読んでください……」
リーザは紙を受け取り、優しい声で読み上げる。
「母上の笑顔は、
夜の闇を照らす星より明るく、
わたしの心を、いつも温かく包む……」
リーザは読み終えて、イフの頰を両手で包んだ。
「とても素敵よ、イフ。母さまは、嬉しいわ。大事にするわね、これは母さまがこれまでに戴いた、どんな贈り物よりもうれしい」
イフのおさない瞳が、ただ純粋な喜びに輝いた。
「母上……わたしは、もっと上手になりたい。母上に、もっと褒めてもらいたい」
リーザはイフを強く抱きしめた。
「お前は私の宝物よ、イフ。母さまが持っていたすべてを引き換えに、手に入れた宝物。
お前に会えなくて、毎日さびしいわ。でも、どんなに厳しい日々でも、この時間だけは、母さまはイフだけのものよ」
イフは母の胸に顔を埋め、小さく息を吐いた。
母上の膝の上。
母上の胸の鼓動。
母上の甘い香り。
鼓動を止めかけている、あの
ここは、"現実"の母の膝の上。
イフだけが、母であるリーザの愛を独占できる場所だった。
「……母上、わたしを愛してる?」
リーザはイフの髪を優しく撫でながら、耳元で囁く。
「愛してるわ、イフ。母さまが愛しているのは、この世でただイフだけよ」
イフは小さく息を吐き、母の胸に顔を埋めた。
イフは、彼が母であるリーザの夢の中に築き上げた"幻の世界"の中で、静かに微笑んだ。
*
そして、同じイフの夢の中で――。
リーザ王妃は、寝台に横たわるアスモデールの前に、ほぼ裸身の姿を晒して立っていた。
あの呪われたサバトの夜、彼女の運命はすべて変わってしまった。
生贄としてアスモデールに捧げられた人間の姫君として、リーザは彼の陰茎に深々と差し貫かれた。
彼女を救おうとしたその恋人……ルシエル公爵は血の海に沈み、何も出来ず、地に伏せて惨めになにか叫んでいるだけだった。
そして、ルシエルの見ている前で、リーザはアスモデールの与える、果てしない快楽の闇に堕ちた。
彼の精液をねだり、甘くとろけきった子宮の中に、魔界の皇胤を迎え入れた。
アスモデールに荒々しく組み伏せられたまま、リーザの膣奥深くに注がれ、種付けされた悪魔の貴種――それがイフだった。
イフを産みおとしてからの年月が、リーザの美しい体躯をさらに磨き上げていた。
魔界の空気の中でどこか冷たく、それでいて柔らかな曲線が、灯りの影に浮かび上がっていた。
アスモデールが強制的に着せた黒い下着は、ほとんど布地を残していないエロティックなデザインだった。
レースの細い紐は、彼女の豊満な白い胸の乳首だけを辛うじて覆い、腰の辺りでは薄いヴェールのように透けて、秘部を隠すどころか、誘うようにその肉襞の存在を強調していた。
黒いストッキングが太ももを締めつけ、ガーターのベルトが肌に食い込み、彼女の白い肌をより妖艶に際立たせていた。
黒い下着……ほとんど布地をもたないランジェリーに痛々しく縛られたリーザの白い裸身は、真裸でいるよりも数倍エロティックに映る。
アスモデールは寝台に悠然と横たわり、赤い瞳でリーザの全身を品定めするように見つめていた。
「いい眺めだ、王妃。お前の淫らな本性を隠しきれてはいないが、そこがたまらない。
脚を広げてみるがいい、そうだ。――随分と"そこ"に食い込んで痛そうだ」
夫に言葉で嬲られるまま、リーザは黙って従った。
脚を開いて向き直ると、なお一層きつく、下着が紐状に彼女の秘部に張り付き、クリトリスを擦り上げた。
「んっ……」
無反応でいたかったのに、もう声が漏れてしまう。
「いいだろう、お前の蜜壺は、その下着に拘束されているわけだ。
今夜もお前の義務を果たすがいい。
最後に、そこを解き放ってお前にたっぷりと褒美をやろう」
リーザは静かに目を伏せ、寝台に近づいた。
アスモデールの足元に膝をつき、ゆっくりと彼のローブの裾をめくる。
露出した彼の下腹部は、すでに熱く膨張し始めていた。
リーザの細い指がそれに触れ、優しく握りしめると、アスモデールは低い声で笑った。
「お上品な口技はいらぬ。娼婦のように、淫らに舐め回せばいい。
お前は王妃だが、俺が求めるのはみだらな蜜壺としてのお前だけだ」
リーザは命令に従い、唇を寄せて陰茎の先端を舐め上げた。
熱い息を吐きながら、舌を絡め、ゆっくりと喉奥まで飲み込む。
アスモデールの陰茎が、彼女の口内で脈打ち、大きさを増していく。
リーザの豊満な胸が、動きに合わせて揺れ、黒い下着のレースが肌に擦れて、甘い痛みを生む。
かろうじて布地に隠されていた乳首が、その揺れによってすでに露わになっていた。
アスモデールはリーザの髪を掴み、腰を押しつけて喉奥までを犯した。
「ああ……いいぞ、王妃……ずいぶん上手になってきたな――
お前の口技が丁寧に、淫らになるたび、俺はあの
屈辱を受けながら、リーザはただ涙を浮かべて耐えた。
「それだけで、
お前は俺の子を産み、王妃として夜毎、俺に奉仕する」
高まる快楽に
「お前は俺の
王妃だと思っているのは周りだけだ。俺も、そしてお前もわかっている。
そしてもう一人、お前の恋人だったルシエルも、左遷された魔界辺境の地で、その事実に夜毎苦しんでいるだろう。
愛する女が、精液厠にされ、犯されていることを想像して、卑しく手慰みでもしているだろう」
アスモデールの掌が、リーザの髪の中で開き、そのまま極限まで押し込まれた。
「出る」とだけ、アスモデールは言った。
「………………っ!!」
放つ瞬間にだけ低く、長く吠えて、アスモデールは彼の妻、魔界の王妃の口内に大量の魔精を放った。
リーザの喉奥いっぱいに、苦く、粘ついた白い滾りが流れ込んでくる。
飲みこぼすことを許されず、むせかえるような濃い精液を、リーザは苦しみながら飲み下した。
「そうだ……良かったぞ、王妃。
お前は良く出来た妻だが、口技もなかなかに育ったな。
お前の恋人……
アスモデールは、リーザの顎を手で持ち上げて、残酷に笑った。
リーザもまた、涙に潤んだ瞳を向けた。
アスモデールの満足を得、その欲望を鎮めなければ、彼女の夜の務めは終わらなかった。
「今夜はもう、どうぞお許しになって……」
リーザは、王妃の務めとして、アスモデールに肉体を奉仕し続けなければいけなかった。
夜毎のこの行為は、彼女の体を疲弊させ、心を蝕んできた……しかし、彼女の夫、アスモデールは容赦しなかった。
「お前が差し出したのは、まだ口だけだぞ。王妃。
俺はまだみなぎっている。お前の蜜壺のなかに、思うまま"排泄"したい。
裸になって、上に乗り、腰を振れ」
王妃は、エロティックな黒いレースの下着を外す。
――ほとんど紐でしかない、彼女の肉を拘束していた部分はすでに、雫を垂らすほど濡れそぼっていた。
命じられるままにアスモデールの腰にまたがる。
そのまま、自分の白い指先を二本添えて、もう濡れそぼって淡く光っている肉襞を、そっと開いた。
すでに回復し、烈しく反り返ったアスモデールの陰茎を花弁にあてがい、リーザは息を詰めて、ゆっくりと腰を落としていく。
「……ん……あぁッ」
甘く蜜をこぼしながら、王妃はアスモデールの長い陰茎を、根元まで受け入れた。
初めて貫かれ、処女を奪われた時と同じ痛みに震え、悶える。
「お前が感じていてどうする、リーザ。お前は、本当に淫らな女だ。自分の快楽ばかり膣奥で味わっている」
彼女の白い尻の片方を、アスモデールは烈しく叩いた。
「お前の膣で、精液を最後の一滴まで残らずしごき出せ。
それが終わるまでは眠らせん。それが――お前の務めだ」
リーザは涙をこぼし、アスモデールの上で烈しく腰を振り続ける。
みだらに――そして彼女の本能の求めるままに、快楽に飲み込まれていく。
かつての恋人……ルシエルも知らない、淫蕩の日々に犯され、開発され尽くした王妃としてのリーザは、夢に囚われたまま、淫らに花開いていた。
クチュクチュと音を立てて、アスモデールとリーザの接合部が深く浅く繋がり、時にぐりぐりと擦り合わされる。
「ああっ……陛下……もう、もうお許しください――どうか、もう……」
「その手は食わないぞ、王妃。お前がねだるのは、早く俺を終わらせたいからだ。
若い頃はずいぶんと騙された。お前の与える快楽にはやり、今よりずっと……
リーザのうねる腰をしっかりと掴みながら、アスモデールは彼女の快楽を
「だが、たまには良いかもしれない。俺たちの新婚時代を思い出す。
魔界のありとあらゆる場所で、お前を犯し、味わい尽くした。
イフを胎内に宿しながら、お前は……激しく俺を求めて腰を振ったな、リーザ。
おれの子を宿した子宮の内部に、まだ足らずに精液をかけてくれと、求めてよがり泣いていた」
リーザは堪えきれず、嗚咽をもらしたが、アスモデールは意に介さなかった。
彼の美しい妻……みじめな負け犬の
「受け入れろ……リーザ。……もっと子を産ませてやる……イフの弟を……お前に授ける……」
リーザの膣を烈しく突き上げながら、アスモデールが呻いた。
「いや……っ!許して…………!どうかもう……」
「ああ……締まってきたぞ、王妃……お前の膣奥がわなないてる……」
「ああっ……!…だめぇっ………」
リーザの頭が真っ白になり、その瞬間にすべての抵抗をぬぎ捨てて、肉体すべてで烈しい絶頂に達していた。
アスモデールが、彼女の膣内にいつ精を放ったのかすらもわからなかった。
気がついた時には、彼女の内部でどくどくと夫の陰茎が脈打ち、夥しい精液にリーザの下半身が濡れていた。
リーザの肉体は、夜毎アスモデールに与えられる、屈辱的な
(……ルシエル……ごめんなさい……わたし、また……乱れてしまった……)
心の奥底で、かつての恋人を想いながら、彼女は寝台にぐったりと身を横たえた。
周りに熱く息を乱した、数人の小姓たちが近づいてくる……
アスモデールの寵愛を受けた、子飼いの貴族の子弟たち。
彼らは、王妃リーザの美しい肉体を、アスモデールの命じるままに、その目の前で夜ごとに貪り続けていた。
彼らの指が、一斉にリーザの裸体に迫り、腕を取られ、脚を開かされ、容赦なく蜜壺へ差し込まれる。
「いやぁああああ……!もう、赦して……」
夫であるアスモデールの見ている前で……また犯される。
小姓たちは遠慮なく、王妃を卑猥な言葉でなぶる。
「王妃さまのエロまんこ……もう濡れ濡れですよ。今夜も……僕たちを欲しがっている」
「いやっ……やめなさい!」
「こんなに汁を垂らしてる。僕たちの大好物だ。いやらしい……エロまんこだ」
大きく拡げられ、そのまま小姓の少年の欲望に貫かれた。グチュグチュと音をたてて、最初からみだらに泡立った。
「……あっ!ダメっ……!やめ……やめなさい……!」
リーザは泣き叫びながらも、最初から腰を振って彼らの欲望に応えた。
アスモデールが……彼女の夫がニヤニヤと笑いながら彼女を眺めていた。
「ああ……本当にがっかりだ。王宮の皆が憧れる、美しい王妃さまが本当はこんな……淫乱な
グチュッグチュッと生々しい音を立てて、リーザの濡れそぼった淫部は、若く逞しい肉棒に貫かれている。
「あッ……あッ……いや……
気持ちいい…!……だめ……やめて……!
そう……そこ……もっと……エルシーリンド……」
拒みながらも、彼らの要求を受け入れてしまうことを、リーザの肉体はもう知っていた。
夫の可愛がる小姓たちに、彼女は下半身を委ね、その精をねだらされる。
小姓のエルシーリンドは、冷たく笑って仲間たちを見回した。
「たまらないな……王妃さま。もうトロトロだ――僕の精液をどこに出して欲しいんですか?
言ってください……僕たちの大好きな……このエロまんこに出してと、口に出して、ほら……」
はげしく貫かれながら、リーザは、首を振って耐えた。
いつも、最後には言わされることはわかっていても、心を折りたくなかった。
「あ……っダメ…………見ないで……いく……いきます……」
「さぁ、言って……殿下の前で言ってください……その美しいお口で」
責められるまま、白い乳房を振り立ててリーザは唇を押さえた。
「ああ……お願い……わたしの……エロまんこ……に出して……!!」
小姓たちは一斉に笑った。
涙をながして屈辱と快楽に耐えている王妃を見下ろしながら、小姓のエルシーリンドは所望されるままに、王妃の膣に大量の精を放った。
リーザはもう、あえてルシエルの名を呼ばなかった。
彼に抱かれているのだと、そう想像することで耐えようとしたこともあった。
しかし今では、その事でさえも、愛するひとへの裏切りとしか思えなかった。
ありとあらゆる痴態をさらし、彼らの尽きせぬ欲望によって、夜通し犯し続けられた。
*
(母上はまだ、――
イフはあえて、父と母の情交を見なかったが、彼らの寝所で何が行われているかは知っていた。
母の精神の中に作り上げた、彼だけの王国の中で……王妃である母・リーザは夜毎に彼の父に犯され尽くしていた。
ここは、イフが作り出したもう一つの世界であり、現実とは違う
偉大なるサタン帝王の後を継ぎ、彼の父・アスモデールが魔界を統べ、美しい母、そして魔界の王妃であるリーザが彼に寄り添う。
イフは、魔界のもっとも強大な血筋の正統な皇嗣――。父と共に、魔界の頂点に立つ存在のはずだった。
そして、現時点でそれは、彼の母の中に作り出した夢であり、ただの幻だった。
それでもイフは、この世界を捨てられないだろう、と思った。
このまま、母のなかに、イフの理想、夢の世界を作り続けたとして――。
現実世界でのリーザは眠り続け、衰弱し、やがて胎児とともに命を落とすだろう。
そうなった後のことは、イフにもまったく見当がつかなかった。
彼はあまりにも幼く、ただリーザの愛情を求めているだけだった。
母上が死んだら、どうなるのだろう、とイフは考えてみたが、わからなかった。
自分と同じように、肉体を失ったら、いつまでも一緒にいられるのだろうか。
それとも、消えてなくなってしまうのだろうか。
母が命を失ったあと、弟である胎児もくっついてくるのなら、それはそれで邪魔だな、とイフは思った。
仲良くしてやろうと思ったのに、弟はイフを拒絶し、弾き飛ばした。
あいつは、きらいだ。
イフはまた、考え込む。
誰か――彼を助けてくれる存在が必要だった。
イフと、母であるリーザを守ってくれる力を持った、力強い保護者。
弟である胎児と、その父であるルシエル公爵を憎み、排除したがっているなら、なお都合が良かった。
そして――サタン帝王の嫡子であり、彼の父であるアスモデールが、まさにイフの求めているその存在そのものだった。
いつか父に会いに行こう、とイフは思いついた。
夢の中ではなく現実で……
父・アスモデールが、母であるリーザを手に入れ、もう一度交わり、彼の肉体を作ってくれさえすれば、イフは魂としてそこに宿ればいい。
彼は……産まれたがっていた。
母であるリーザの胎内に、胎児として眠り、育まれることを夢見た。