半血魔王のクロニクル ~黒き貴公子シリーズ総集編~ 作:古弥須 凱
「姉上……クラレンスのことですが、彼女を……俺の従者から外していただきたいのです」
ベアトリチェは穏やかな視線を向けた。
「どうしてなの、ルーク?」
ルシエルは唇を噛み、言葉を絞り出す。
「俺は……クラレンスが大嫌いです。
あの冷たい視線、無表情の態度……女なのに男装して、俺を監視するように従う。
魔力を制御するためとして……あの管理……。
毎日体を弄ばれて、俺は……男らしさを失っていく気がするんです。
恥ずかしくて、情けなくて……
姉上、なぜあんな女を、俺の従者にしたのですか」
声が震え、紫の瞳に涙がにじむ。
屈辱的な射精管理——彼にとってわずかな慰めを自由に許されず、男装の従者であるクラレンスの口唇によって嬲られる日々が、ルシエルのプライドを蝕んでいた。
「俺は公爵家の男として、立派になりたいのに……
あんな女に弄ばれて、俺は……快楽のなかで無理やりに果ててしまう。
もう、駄目になってしまいそうだ」
ベアトリチェは、静かに弟を抱き寄せた。
豊満な胸にルシエルの頭を抱き止め、優しく髪を撫でる。
プラチナブロンドの髪から、甘く重い薔薇のような香りが漂った。
「ルーク、可哀想に……そんなに彼女を恐れているのね」
彼女の声は優しく、しかし女公爵となるべき立場としての冷徹さを帯びていた。
「クラレンスは、お前のために選んだのよ。
お前の魔力が不安定で、欲望に負けやすいところを、彼女が制御してくれる。
でも……女に快楽を与えられることで、男らしさを失うなんて、そんなことないわ」
ベアトリチェはルシエルの顔を上げ、紫の瞳を覗き込む。
その瞳は、慈愛と同時に、絶対的な支配を宿していた。
「お前は、私の大切な弟。血の絆で繋がった、公爵家の貴公子よ」
彼女はゆっくりとルシエルの狩猟服の前を開き、白い指を滑り込ませた。
「私にも、お前の男らしさを見せてごらん」
「……姉上!」
森の薄闇の中で、姉の指先が弟の肌に触れる。冷えた空気に晒された下腹部が、熱く疼き始める。
「ほら……こんなに熱く、張り詰めている」
ベアトリチェの指が、陰茎の根元を優しく包み込む。
ぬるりとした魔力が指先に纏わり、ゆっくりと上下に動き始める。
カリ首を親指で円を描くように撫で、先端の小さな孔を爪先で軽く押す。
「んっ……姉上……あっ……」
ルシエルは喉を詰まらせ、体を震わせた。
拒否の言葉は出ず、腰が無意識に前へ突き出る。
姉の指は、唾液のように湿り気を帯び、魔力の脈動で熱く律動する。
ちゅく……ちゅく……と小さな湿った音が、森の静寂に響く。
「我慢しなくていいのよ、ルーク……」
ベアトリチェは弟の耳元で囁き、豊かな胸を押しつける。
柔らかな膨らみがルシエルの頰に触れ、甘い体温と香りが彼を包み込む。
「私の指で、感じていいの……自分でするよりも、気持ちいいでしょう?
お前のおちんちん——凄く硬くて、逞しい。
これが、お前の男らしさよ」
指の動きが速くなり、魔力が先端を強く締め上げる。
ルシエルは姉の胸に顔を埋め、喘ぎを漏らす。
「姉上……ああ……もっと……もっと強く……」
彼好みのしごき方で、姉に思う存分なぶってもらいたかった。
クラレンスに手淫を禁じられてから初めて、その快楽で味わうのと同じ、熱い悦びが燃え立った。
「もっと……姉上、ああ……もっとはげしくして下さい……いつも、そうしていました。俺は……」
体が弓なりに反り、睾丸がせり上がる。
「お前の好きなやり方でしてあげるわ、ルーク。もっともっと、おちんちんを虐めてあげる」
ベアトリチェは微笑み、指を根元まで深く沈めながら、烈しくしごき出していく。
「あっ……姉上……気持ちいい……」
心地よい摩擦が陰茎全体を包み、熱い波を呼び起こす。
「今日はクラレンスの口じゃなく、姉さまの指で
お前のおちんちんが空っぽになるまで、幾らでもしごいてあげる。
かちかちね…いやらしい子。こんなにお汁を垂らしてる。
いつも、何を想像しながら……独りでここを触っていたの?」
「姉上……もう許して……俺をいじめないでくれ」
「私のはだかを……あそこを想像していたんでしょう?
お前はいつも、遠くからわたしを見ていたわ。いつか、こうされることを望んでいたのよ」
「ちがう、そんなんじゃない……」
「見たいのね、
指でひらいて…奥のいちばん柔らかいところまで、触らせてあげる。
ふふ、お前はきっと我慢できなくて、このカチカチのおちんちんを
私のなかに思う存分、
さらに上下に烈しくなる動き——残酷に陰茎をしごかれながら、ルシエルは声を震わせた。
喉がからからになり、ただ激しく痛んだ。
「んあッ……!!あねうえっ……もうッ……出ッ……でる……」
「可愛いルーク、さぁ……我慢しないで。だからもう今、私の指で好きなだけ
姉さまが、見ていてあげるわ。ああ、もう我慢できないのね。
さぁ、ルーク。お前の好きなだけ、ぴゅっぴゅっと出してごらん……♡」
そういわれた瞬間にはもう、ルシエルは烈しく体を震わせていた。
「あっ……!ダメ……姉上……!!……ああああっ、イくッ!!もうイくッ!!」
そのまま低く呻き声を上げて、少年はおびただしい白濁を、姉の手の中に放った。
熱い飛沫が何筋もほとばしり、ベアトリチェの白い指をべとべとに汚し、ぼたぼたと零れ落ちる。。
「ああッ……だめだ……止まらない」
そうね、とただ優しく言いながらも、ベアトリチェは容赦なくその根元までを上下し尽くしていく。
喘ぐ少年の——ルシエルの大量の精は、止まらなかった。
最後の一滴まで脈打ち、美しい少年は息を荒げて、姉の胸に崩れ落ちた。
ベアトリチェは優しく弟の汗ばんだ額を拭い、その瞳を覗き込んだ。
「お前の匂い、とても男らしいわ……すごく濃くて、たまらない」
彼女は指に付いた弟の白濁を、ねっとりと舐めとった。
「また、狩りに連れてきてあげる。もしお前が獲物を仕留めたら……」
赤く濡れた唇が、薄闇の中で妖しく光る。
「ご褒美に、今度はわたしの
わたしの喉の奥まで差し込んで、わたしにお前の、苦い精を飲ませてちょうだい。
わたしならお前を傷つけないわ……
優しく舐めて、お前のおちんちんを、いつでも癒してあげる」
自らがそば仕えさせたクラレンスが傷つける、ルシエルの心を、ベアトリチェが癒そうとするのは矛盾している。
しかしルシエルは……その欺瞞には気づかなかった。
「お前は、私のもの。わかったわね、ルーク」
ルシエルは震えながら、ただ姉の胸に顔を埋めた。その胸はやわらかく、温かかった。
「姉上は優しいから好きだ……
クラレンスとは違う。あの女ではなく、いつも姉上の傍にいたい」
森の冷たい風が、姉弟の熱を優しく冷ましていく。
「……また、狩りを教えてください。……ベアトリチェ」
はじめて、
今日、はっきりと性愛の境界を踏み越えて、その呼び方が許されることを、ルシエルは確信していた。
*
本邸に戻った夜、ルシエルは黒猫のノワを抱き上げた。
老いたメス猫は膝の上に丸くなり、喉をゴロゴロ鳴らすが、その音はいつもより弱く、体温も低い。
「ノワ……お前、どうしたんだ……」
ルシエルは不安に駆られ、毛並みに顔を埋めた。
衰弱したノワの温もりが、ベアトリチェとの狩りの記憶と重なる。
「俺には……お前だけだ……」
ノワの衰弱は、ルシエルの心に暗い影を落としていた。
彼女を失うことが怖くて、何かを残しておきたかった。
ルシエルは別邸から持ち込んだ、小さなスケッチブックを開いた。
彼が描いた、何枚かのノワの素描。
自分ではどれも良く描けているとは思うが、誰にも見せたことはなかった。
弱弱しい呼吸で眠っている黒猫の柔らかい曲線を、ルシエルはすがるような気持ちで写し取り始めた。