※この作品はR-18です。

半血魔王のクロニクル ~黒き貴公子シリーズ総集編~   作:古弥須 凱

83 / 97
5話 男らしさ

「姉上……クラレンスのことですが、彼女を……俺の従者から外していただきたいのです」

 

ベアトリチェは穏やかな視線を向けた。

 

「どうしてなの、ルーク?」

 

ルシエルは唇を噛み、言葉を絞り出す。

 

「俺は……クラレンスが大嫌いです。

あの冷たい視線、無表情の態度……女なのに男装して、俺を監視するように従う。

 

魔力を制御するためとして……あの管理……。

毎日体を弄ばれて、俺は……男らしさを失っていく気がするんです。

 

恥ずかしくて、情けなくて……

姉上、なぜあんな女を、俺の従者にしたのですか」

 

声が震え、紫の瞳に涙がにじむ。

 

屈辱的な射精管理——彼にとってわずかな慰めを自由に許されず、男装の従者であるクラレンスの口唇によって嬲られる日々が、ルシエルのプライドを蝕んでいた。

 

「俺は公爵家の男として、立派になりたいのに……

あんな女に弄ばれて、俺は……快楽のなかで無理やりに果ててしまう。

もう、駄目になってしまいそうだ」

 

ベアトリチェは、静かに弟を抱き寄せた。

 

豊満な胸にルシエルの頭を抱き止め、優しく髪を撫でる。

 

プラチナブロンドの髪から、甘く重い薔薇のような香りが漂った。

 

「ルーク、可哀想に……そんなに彼女を恐れているのね」

 

彼女の声は優しく、しかし女公爵となるべき立場としての冷徹さを帯びていた。

 

「クラレンスは、お前のために選んだのよ。

お前の魔力が不安定で、欲望に負けやすいところを、彼女が制御してくれる。

でも……女に快楽を与えられることで、男らしさを失うなんて、そんなことないわ」

 

ベアトリチェはルシエルの顔を上げ、紫の瞳を覗き込む。

 

その瞳は、慈愛と同時に、絶対的な支配を宿していた。

 

「お前は、私の大切な弟。血の絆で繋がった、公爵家の貴公子よ」

 

彼女はゆっくりとルシエルの狩猟服の前を開き、白い指を滑り込ませた。

 

「私にも、お前の男らしさを見せてごらん」

 

「……姉上!」

 

森の薄闇の中で、姉の指先が弟の肌に触れる。冷えた空気に晒された下腹部が、熱く疼き始める。

 

「ほら……こんなに熱く、張り詰めている」

 

ベアトリチェの指が、陰茎の根元を優しく包み込む。

 

ぬるりとした魔力が指先に纏わり、ゆっくりと上下に動き始める。

 

カリ首を親指で円を描くように撫で、先端の小さな孔を爪先で軽く押す。

 

「んっ……姉上……あっ……」

 

ルシエルは喉を詰まらせ、体を震わせた。

 

拒否の言葉は出ず、腰が無意識に前へ突き出る。

 

姉の指は、唾液のように湿り気を帯び、魔力の脈動で熱く律動する。

 

ちゅく……ちゅく……と小さな湿った音が、森の静寂に響く。

 

「我慢しなくていいのよ、ルーク……」

 

ベアトリチェは弟の耳元で囁き、豊かな胸を押しつける。

 

柔らかな膨らみがルシエルの頰に触れ、甘い体温と香りが彼を包み込む。

 

「私の指で、感じていいの……自分でするよりも、気持ちいいでしょう?

 

お前のおちんちん——凄く硬くて、逞しい。

これが、お前の男らしさよ」

 

指の動きが速くなり、魔力が先端を強く締め上げる。

 

ルシエルは姉の胸に顔を埋め、喘ぎを漏らす。

 

「姉上……ああ……もっと……もっと強く……」

 

彼好みのしごき方で、姉に思う存分なぶってもらいたかった。

 

クラレンスに手淫を禁じられてから初めて、その快楽で味わうのと同じ、熱い悦びが燃え立った。

 

「もっと……姉上、ああ……もっとはげしくして下さい……いつも、そうしていました。俺は……」

 

体が弓なりに反り、睾丸がせり上がる。

 

「お前の好きなやり方でしてあげるわ、ルーク。もっともっと、おちんちんを虐めてあげる」

 

ベアトリチェは微笑み、指を根元まで深く沈めながら、烈しくしごき出していく。

 

「あっ……姉上……気持ちいい……」

 

心地よい摩擦が陰茎全体を包み、熱い波を呼び起こす。

 

「今日はクラレンスの口じゃなく、姉さまの指で絶頂(い)きなさい……

 

お前のおちんちんが空っぽになるまで、幾らでもしごいてあげる。

 

かちかちね…いやらしい子。こんなにお汁を垂らしてる。

 

いつも、何を想像しながら……独りでここを触っていたの?」

 

「姉上……もう許して……俺をいじめないでくれ」

 

「私のはだかを……あそこを想像していたんでしょう?

 

お前はいつも、遠くからわたしを見ていたわ。いつか、こうされることを望んでいたのよ」

 

「ちがう、そんなんじゃない……」

 

「見たいのね、異母姉(ねえ)さまのあそこ……。お前がもっと男らしくなったら、こっそり見せてあげるわ。

 

指でひらいて…奥のいちばん柔らかいところまで、触らせてあげる。

 

ふふ、お前はきっと我慢できなくて、このカチカチのおちんちんを挿入(い)れたくなるわね——。

 

私のなかに思う存分、射精(だ)したくなるでしょう……?——でもダメよ、私たちは姉弟(きょうだい)なんだもの」

 

さらに上下に烈しくなる動き——残酷に陰茎をしごかれながら、ルシエルは声を震わせた。

 

喉がからからになり、ただ激しく痛んだ。

 

「んあッ……!!あねうえっ……もうッ……出ッ……でる……」

 

「可愛いルーク、さぁ……我慢しないで。だからもう今、私の指で好きなだけ射精(だし)ていいのよ。

 

姉さまが、見ていてあげるわ。ああ、もう我慢できないのね。

 

さぁ、ルーク。お前の好きなだけ、ぴゅっぴゅっと出してごらん……♡」

 

そういわれた瞬間にはもう、ルシエルは烈しく体を震わせていた。

 

「あっ……!ダメ……姉上……!!……ああああっ、イくッ!!もうイくッ!!」

 

そのまま低く呻き声を上げて、少年はおびただしい白濁を、姉の手の中に放った。

 

熱い飛沫が何筋もほとばしり、ベアトリチェの白い指をべとべとに汚し、ぼたぼたと零れ落ちる。。

 

「ああッ……だめだ……止まらない」

 

そうね、とただ優しく言いながらも、ベアトリチェは容赦なくその根元までを上下し尽くしていく。

 

喘ぐ少年の——ルシエルの大量の精は、止まらなかった。

 

最後の一滴まで脈打ち、美しい少年は息を荒げて、姉の胸に崩れ落ちた。

 

ベアトリチェは優しく弟の汗ばんだ額を拭い、その瞳を覗き込んだ。

 

「お前の匂い、とても男らしいわ……すごく濃くて、たまらない」

 

彼女は指に付いた弟の白濁を、ねっとりと舐めとった。

 

「また、狩りに連れてきてあげる。もしお前が獲物を仕留めたら……」

 

赤く濡れた唇が、薄闇の中で妖しく光る。

 

「ご褒美に、今度はわたしの唇(くち)でたっぷりと愛してあげる。

わたしの喉の奥まで差し込んで、わたしにお前の、苦い精を飲ませてちょうだい。

 

わたしならお前を傷つけないわ……

優しく舐めて、お前のおちんちんを、いつでも癒してあげる」

 

自らがそば仕えさせたクラレンスが傷つける、ルシエルの心を、ベアトリチェが癒そうとするのは矛盾している。

 

しかしルシエルは……その欺瞞には気づかなかった。

 

「お前は、私のもの。わかったわね、ルーク」

 

ルシエルは震えながら、ただ姉の胸に顔を埋めた。その胸はやわらかく、温かかった。

 

「姉上は優しいから好きだ……

クラレンスとは違う。あの女ではなく、いつも姉上の傍にいたい」

 

森の冷たい風が、姉弟の熱を優しく冷ましていく。

 

「……また、狩りを教えてください。……ベアトリチェ」

 

はじめて、異母姉(あね)をベアトリチェ、と名前で呼んだ。

 

今日、はっきりと性愛の境界を踏み越えて、その呼び方が許されることを、ルシエルは確信していた。

 

 

*

 

 

本邸に戻った夜、ルシエルは黒猫のノワを抱き上げた。

 

老いたメス猫は膝の上に丸くなり、喉をゴロゴロ鳴らすが、その音はいつもより弱く、体温も低い。

 

「ノワ……お前、どうしたんだ……」

 

ルシエルは不安に駆られ、毛並みに顔を埋めた。

 

衰弱したノワの温もりが、ベアトリチェとの狩りの記憶と重なる。

 

「俺には……お前だけだ……」

 

ノワの衰弱は、ルシエルの心に暗い影を落としていた。

 

彼女を失うことが怖くて、何かを残しておきたかった。

 

ルシエルは別邸から持ち込んだ、小さなスケッチブックを開いた。

 

彼が描いた、何枚かのノワの素描。

 

自分ではどれも良く描けているとは思うが、誰にも見せたことはなかった。

 

弱弱しい呼吸で眠っている黒猫の柔らかい曲線を、ルシエルはすがるような気持ちで写し取り始めた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。