半血魔王のクロニクル ~黒き貴公子シリーズ総集編~ 作:古弥須 凱
ベアトリチェに課せられた最初の儀式は、王宮の「紅蓮の間」と呼ばれる密室で行われた。
黒曜石の壁に赤い
そこに、アスモデール王子は一人で待っていた。
白くバラついた髪を肩に流し、黒い絹のローブを羽織っただけの姿。
赤い瞳は静かに虚空を眺め、唇には薄い嘲笑が浮かんでいる。
扉がゆっくり開き、ベアトリチェが入室した。
白銀の薄布を一枚纏っただけの姿。
プラチナブロンドの髪は解かれ、背中を流れ、豊満な白い乳房が透けて見えるほどに薄い布地が肌に張り付いている。
彼女は優雅に身をかがめ、頭を垂れた。
「アスモデール殿下。ハデス公爵家嫡女、ベアトリチェでございます。
本日より、最初の儀式を執り行います。」
アスモデールは動かず、ただ赤い瞳で彼女を見下ろした。
「ベアトリチェ。俺はずっと、この時を待っていた」
ベアトリチェはゆっくりと顔を上げた。
その瞬間、アスモデールの視線が彼女の全身を舐め回すように這う。
「お前がまだ、幼い少女のころから、俺はお前を気に入っていた。
俺は女を愛さないと決めている……だからお前を気に入った理由は、俺も自分ではわからない。
8人の兄と姉を弑し、嫡子という座を得たのは、俺がただそうしたかったからだが、お前を妻とする立場を得たのであれば、その意味もあったのかも知れぬな」
声は低く、抑揚がない。
「…殿下……恐れ入ります……」
ベアトリチェの声が、わずかに震えた。
「婚約者として、まずはお前の体を確かめねばならん。
魔界の妃となる女は、ただ美しければよいわけではない。
男の情欲をどれだけ燃えたたすことができるか……その資質を、俺の前で証明せよ。」
ベアトリチェはゆっくりと立ち上がり、薄布を肩から滑らせた。
白い肌が月光に照らされ、豊満な乳房が露わになる。
乳首はすでに硬く尖り、恥丘の淡い白銀色の陰毛が、わずかに揺れる。
「姫将軍よ、……お前がいやらしく自分を慰める姿を、俺は見たい」
王子は無表情のまま、玉座に座った姿勢で婚約者を見据えた。
「承知いたしました、殿下。
どうぞ……私のもっとも恥ずかしい、みだらな姿をご覧になってくださいませ」
王子の唇に、薄く笑みがこぼれた。
ベアトリチェは自らの指を乳房に這わせ、ゆっくりと揉みしだいていく。
「んっ……」
小さな喘ぎが漏れる。
指先で乳首を摘み、軽く捻る。
もう一方の手は下腹部へ滑り、秘裂を優しく開いた。
中指を沈め、ゆっくりと掻き回すだけで、ベアトリチェの水蜜が糸を引き、滴り落ちる。
「どうぞ、ご覧……ください……アスモデール殿下……」
彼女は脚を広げ、指を内部に沈めた。
くちゅ……くちゅ……という湿った音が、静かな密室に響く。
アスモデールは動かない。
ただ、赤い瞳で彼女の指使いを、行為を、すべてを見届ける。
ベアトリチェの息が荒くなり、腰がくねる。
彼女は指を激しく動かし、親指で敏感な突起を擦った。
体が震え、膝が折れそうになる。
弟君と夜ごと烈しく枕を交わしながらも、ベアトリチェはまだ貪欲に、ひとり指弄りにふけることがままあった。
己の指先のもたらす快感に震え、甘く蜜を垂らしながら、わなないた。
別邸で暮らす異母の弟……
ルシエルが孤独な夜をすごす寝室の様子を、いつからかベアトリチェは、ひそかに魔力で透視していた。
美しい弟が呼吸をあらげ、夜毎はげしく陰茎をしごき、孤独に悶えながら射精する……
その姿を盗み見しながら、——少女時代のベアトリチェもまた、激しく自慰に溺れた。
それは、ハデス公の純血の完璧な嫡子、美しく気高い姫将軍、約束された女公爵としての仮面を被り続けた、美しい少女の唯一の愉悦だった。
「いつも……ベアトリチェは、ここを
「そのようだ、ベアトリチェ」
「不在の父の執務机で……その角にここを押し当てて……はじめての快楽を知りました。幼い私は……身をふるわせて、何度も絶頂いたしました。
はしたなく腰をくねらせ、少女の私は執務机の角に身を委ねました。
そこが熱く蕩けるまで……裾を捲り上げ、いやらしい割れ目を机の角に擦り付けて……。
声を漏らさずに、なんどもなんども……幼い股間を固く押し付けて、ベアトリチェは
いつも誓いました……もうこんないやらしい事はしない、と。
でも今日だけ、最後にもう一度だけと……私は毎日……"おまたこすり"を致しました。
いけない……悪いおまたを……自分を罰するように、きつく苛めて……また
ベアトリチェは幼いころから……悪い子でございました。
殿下、どうぞ……私の恥ずかしい……いやらしい割れ目を……お好きなだけ、罰してくださいませ。
女当主として……気高く振る舞いながら……わたくしは……いつも、ここを苛める悦びにふけっていたのです」
肉壺をかきまわす猥らな音が、烈しさを増した。
「はぁ……んっ……ああ………ベアトリチェはもう……耐えられません……」
ぐぷぐぷと音を立てて、蜜がはげしく泡だつ。ベアトリチェは白い喉をのけぞらせてながら、はげしく乳房を振り立てた。
「殿下……ごらんになって……わたしは……こんなにみだらな女にございます……」
愛する異母弟であるルシエルにも見せたことのない、彼女だけの秘密の行為。
それを今、婚約者であるアスモデールに晒しながら、ベアトリチェは激しく絶頂した。
「お許しください——もう——!!」
最後に、はしたなくも小水がほとばしった。
黄金のしずくがちょろちょろと零れ落ち、姫将軍は羞恥に顔を背けていた。
「アスモデール殿下……私のからだは……もう、ご用意できて……おります……」
そのまま白く開かれた下半身を差し出し、婚約者であるアスモデールに促した。
アスモデールは、初めて口を開いた。
「俺の許可を得ずに達したな、ベアトリチェ」
冷たい一言。
「俺の前で、果てることは許さん。
妃となる女は、男を果てさせる前に、自分を果てさせてはならん。」
「はい……殿下……はしたないベアトリチェを……お許しくださいませ……」
アスモデールは立ち上がり、ゆっくりと近づいた。
長い指がベアトリチェの顎を掴み、顔を上げさせる。
「お前は強い女だが……魔力では俺のほうが数段強い。隠し事はできんぞ、ベアトリチェ」
はっと怯えの表情を浮かべた。
しかしそのまま抱き寄せられ、長い舌を差し入れられた。
アスモデールは、彼女の唇から思念を吸い上げ、記憶を写し取り、感情を操作する……。
脳内に直接作用し、絡みつく王家の強大な魔力に、ベアトリチェは恐怖した。
(殿下……!お許しください……!!)
アスモデールは許さなかった。
そして、ベアトリチェの心の中から、彼女がその心に囚われた妄執の愛、その
彼女と