ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか? 作:わずみかん
俺の家は笹原ほど豪勢ではない。玄関から一歩出れば、そこから先が公共の空間だ。
リードを握る手がほんのりと冷たい。手汗がかなりの量出ているのが分かる。
俺はまず頭を少し玄関の扉からはみ出させて辺りの様子を伺う。そこはなんてことの無い住宅街だ。道幅は自動車がギリギリすれ違える程度で、右を見ても左を見ても代わり映えの無い風景に道が真っ直ぐ伸びている。数十メートルおきに縦に伸びてくる道との十字路があって、その度に一定の感覚で街灯の光が照っている。今そこに、人影は無い。
飲み込んだ唾が空気と一緒に喉を通っていく。俺には目の前の道が、まるで細い綱の上みたいに思えた。
「人は、居ないな」
そう言葉を出すと、リードの先が僅かに揺れる。笹原もまた玄関から体を出し、地面に近いところから左右を見回した。
上からそんな笹原を見下ろすと、やはり露出された笹原の乳房や秘部が見え隠れする。おまけに地面に引きずられた黒髪はまるで笹原から黒い影が伸びているようだった。それはやっぱり非日常的で、俺の股間を強く刺激する。しかし、同時に俺の胸に圧し掛かる重圧は尋常なものではない。教室のドアに仕掛けた黒板消しに誰かが引っかかるのを待つとか、そんなちゃちな悪戯なんて比にもならない。
そう、これは紛れも無い犯罪行為だ。全裸の女子を連れて歩く俺は、そんな社会の秩序には
「うぅっ、はぁ……、んっ!」
しかし、この変態ドスケベ女はそんな危機的状況すらも快楽に変えてしまっている。顔を見れば、今のこいつを支配しているのが犯罪に手を染めている罪悪感ではなく、股間部と心臓の底から溢れ出る純粋な性欲だと嫌でも分かる。
正直、俺はペット扱いの女子を連れて歩くという変態的にエロいシチュエーションに、今も竿がこれでもかといきり立っている。興奮する。それも凄く。今までの人生でかつて無いほどに、心の底からこいつを、笹原をズリネタにして抜いてやりたいとも思う。あの風呂場での絶頂が何度もフラッシュバックする。
だが、俺にはこの状況を心から楽しめるほどの器はどうやらないらしい。今の俺の心境にあるのは、どうか警察のお世話になりませんようにと言う、この現状とは対象に現実的なものだった。興奮ではなく、恐怖心が勝っているのだ。
それでもここまで来たら引く訳にも行かない。俺はもう一度生唾を飲み込みながら、玄関から足を一歩踏み出させた。
「ご、ご主人様、そんなに強く引っ張らないで下さい」
「……な、何言ってやがる。これくらいじゃ躾にならないだろうが」
どうやら笹原が四つんばいになっているせいで、俺の歩幅では大き過ぎたらしい。ピンと張られたリードが笹原の首をぐっと引っ張った。
俺はそんな笹原に、およそ流し読みしたエロ漫画の知識をフルに使ってなんとか言葉を返す。まあ、ここまで律儀に俺まで役に入る必要は無いのかもしれないが、なんとなくそうした方が緊張感が誤魔化せる気がした。おそらく、後で思い出したときに死ぬほど恥ずかしくなる黒歴史確定だろうな……。だが、背に腹は帰られない。
「こいよ、お前のその情けない体を見てもらうんだろ?」
「は、はい。どうか、私のこの醜い怠けきった体をお公衆に晒し下さい……」
笹原はその情けない口調とはまるでピントの合わない緩みきった表情で言葉を返す。舌は口からだらんと垂れて、眼元も理性なんて放棄したように焦点が定まっていない。頬は言わずもがなにピンク色で、顎の先には涎と汗が混ざり合った水滴が集まっている。
俺がまた一歩道に足を踏み降ろす。すると笹原も手足や髪が汚れることなんて
「こっちだ。ほら、行くぞ」
「は、はひ、ご主人様」
少しだけ歩幅を縮めながら、俺は道を歩き出す。もうこの時点で頭の冷静さなんて吹き飛びそうだった。俺の方こそ何かヤバい薬にでも当てられたかのように、頭の中が鎖でがんじがらめに縛られてるような感覚だ。だんだんと思考がおぼつかなくなって、もはや空気に身を委ねるしか進む先が無いようにすら思えてくる。まさか俺まで露出プレイの雰囲気に正気を失ってしまったのか。そんな疑問さえも、次第にはっきりと頭には浮かんでこなくなる
「おい、雌豚。お前は誰だ? 言ってみろよ」
「は、はひ……。わ、私はご主人様の畜生奴隷です……。ご主人様の言うことならなんでもききます。どうぞ、私を調教してください……」
「そ、それじゃあ……」
次第に自分がおかしくなっていると、頭では理解していた。俺は笹原との約束を守る為に調教しているだけだ。だからこれは俺の本心ではない。そう、どこかで思い込もうとしていた。
俺の頭の中で次々と浮かんでくる発想。そいつは、とてもまともな人間の考え付くような事じゃない。だけど気が付くと、俺はこの笹原カンナと言う小柄で美少女な変態ド淫乱女を、どこまでも壊してしまいたいという欲求に刈られていく。
もしかすると緊張で頭の中の歯車が狂ったのか、それともこの非日常な空気に俺の感覚まで歪んできているのか。まだ辛うじて残っている理性でわかるのは……。どうやら、俺もこいつと、大きくは違わない人種らしということだった。
「立ってそのマ〇コを自分の手で広げてみせろ。膣の穴まで広げて、その姿のまま歩け」
自分の中で欲望がどす黒く大きくなっているのが分かる。そしてその欲望が吐き出されていくのを、俺は止めるつもりはなかった。
人が銃を持つと撃ちたくなるように、俺もまた美少女を調教できるという立場に酔っているのか、それともこの暴力的な性欲こそが俺が本来持っていたものなのか。しかし、そんなことはもはやどうでも良かった。
「は、はい。ありがとうございます。こんな私にご命令していただいて感謝致します……」
笹原はすっと立ち上がると、俺に言われたとおり両手を秘部へと近づけ、その指先でぱっくりと陰唇を開かせる。
「こ、これでよろしいでしょうか……?」
「違う。もっと中まで指を入れろ。それからぐっと膣の入り口ごと広げて見せるんだ」
「も、申し訳有りませんご主人様……、ん、ふぅん……」
笹原は俺の命令通り、指先をさらに膣の中へと入り込ませる。それから力を入れて、ぴったりと閉じていたはずの秘部を開かせた。
「はぁ、んっ……!」
その手の間で、笹原のクリトリスがびくんと跳ねる。そこはぱくぱくとした膣の中の動きまで丸見えで、本来なら決して触れることの無い夜道の空気を取り込んでいる。
「よし、そのままだ。そのまま行くぞ」
「はい……」
俺を再びリードを引っ張りながら笹原と道を歩いていく。しばらくして数メートル歩くと、最初の十字路を曲がるところで街灯の下にさしかかった。
「ほら、さっさと来いよ」
「で、でも……」
そこはなにせ、夜道の中での街灯の光が差している場所だ。その下は他とは違いスポットライトを浴びているかのように周りからはっきりと映る。
「どうしたんだよ? ほら、ここだ」
「は、はい。分かりました、ご主人様……」
俺はその街灯の光を指差して、笹原をそこへと誘導する。
そして街灯の光がちょうど笹原の姿をくっきりと照らし出したところで、俺はわざと足を止めた。
「そこでしばらくじっとしていろ」
「ご主人様……ここは……」
「お前の裸を他の奴に見てもらいたいんだろ? 暗い道路を歩いてるだけじゃ意味ないじゃないか」
「で、でも、こんなところを誰かに見られたら、私……」
笹原は秘部から手を離し、腕で胸と隠すような仕草をする。その顔は先ほどまでの快楽一色といった雰囲気は少し薄れており、若干の焦りが見えていた。
「何やってる。俺はまだ命令を解いた覚えは無いぞ?」
「そ、そんな……!」
「いいからさっさとマ〇コを開け。それとも俺の命令がきけないのか? この雌犬」
「ご、ごめんなさい……。不躾な雌奴隷で、ごめんなさい」
すると笹原は先ほどよりもゆっくりとした動きで、おそるおそる再び秘部をさらけ出す。
こいつも、ここに来てようやく羞恥心を持ったのかもしれない。露出なんて、ただ誰かに裸や、バイブやローターで感じてるところを見られるだけじゃつまらないからな。それだけではなくて、自分の中で「ここだけは誰にも見られたくない」と言う大切な箇所を、あえて晒される危険へと身を置くことで性的な興奮を得られるのだ。
だから、こいつのこれまでの行為は確かに変態的ではあったが、まだ露出プレイとしては未熟だった。未完成で、純度も低くて、それこそただのオナニーと代わらない。こいつの露出プレイとは、他でもない誰かに、自分では晒せない何かを強引に引っ張り出されてこそ、その真骨頂が得られるのだ。
「……なんだ、これは」
なんだ。この頭を遮っていく思考は。どうしてこうも次から次へととんでもない考えが出てくる?
違う。俺はそんな事、今まで考えもしなかった。それなのに、どうしてだ。
「ねえ、前田君」
その時、俺は信じられないものを見た。
笹原の顔。そいつはまるで性欲にも焦りにも染まっていない。
ただ純粋な、俺に対する好意の眼だった。
「やっぱり、私は前田君で良かった」
さっきまであんなに雌犬だと演じてきたはずの笹原が、一瞬だけ元の笹原に戻ったような、そんな姿に俺は思わずたじろぐ。
「お前、まさか……!」
「うん。やっぱり私の勘、正しかったみたい」
こいつは、あの部屋での一瞬の出来事で―。
まさか見破っていたのか。今、俺の方こそが晒け出そうとしているモノを。
「だから、言ったもん。私は、前田君じゃなきゃダメだって」
思えば、全てがそうだった。
こいつはあの時、しょっぱなからフェラチオなんてしてきたことも、俺にわざわざローターなんて付けさせたことも、それから風呂場で強引にイカせたことも、全て……!
俺の中のこの本質を、引き摺りだすためだったのか……?
「ねえ、前田君。私ね、本当はもう我慢できないんだ。もっと前田君にぐちょぐちょにして欲しいって、私も思ってるんだよ。でもね、その前にこれだけ言わせて」
見ると、その大きく広がった膣の中から、たらーっと粘りのある液体が、太股を伝う事も無く地面へと垂れ下がっていく。
やっぱり、こいつは変態だ。今も心の中ではエグいほどに快楽があって、それを全身で感受しているのだ。それなに、どうしてこいつは……。
こいつは、そこまで真っ直ぐな目ができるんだ。
「私の夢を、まだほんの少しだけど、叶えてくれてありがとう」
俺はその時、思ってしまった。
笹原という引きこもりで、変態で、美少女なこいつに、きっと俺は―。
「……そうかよ」
笹原の目を直視できなかった俺は、ふっと視線を逸らして、ただそう小さく言葉を投げた。