※この作品はR-18です。

ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか?   作:わずみかん

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第21話

 鈴谷は俺に微笑みながら、手を自分の下半身へと回す。

 何をやろうとしているのか……。それがどことなく想像できてしまう。俺の常識はこの数日間で随分と壊されてしまったもんだ。

 

「お前、まさか……!」

「先輩。私は先輩に滅茶苦茶にして欲しいんです。私の人生だって、この体だって、全て先輩に捧げるつもりなんです」

 

 ほぉっと顔が赤らんでいく鈴谷の表情は、まるで溶けるように綻んでいく。その言葉にどこまでの意図が孕んでいるのか、もはや俺にはまったく読み取れない。

 

「先輩。私はこの二ヶ月間、ずっと先輩を見てました。それで今日、確信したんです。先輩はやっぱり私の思ったとおりの先輩だったんだって」

 

 すると鈴谷は片手で〝それ〟を掴み、それから何かを跨ぐように足を引き抜く。

 さらにはもう片方の手で、腰にスカートのチャックをジー……っと下げると、同じく両足にその茶色でチェック柄のスカートを(くぐ)らせた。

 

「先輩。私は本当に先輩の言う事ならなんでも聞きます。なんなら、このままレイプしてくれても構いません。それとも、這い蹲ったまま他のお客さんにおねだりして、ハメてもらうところを見てもらっても構いません。もしもソフトなプレイから入りたいのでしたら、このまま先輩のコーヒーを汲んでくるなんてどうでしょう。きっと他のお客さんに私の恥ずかしいところ、全部見られちゃいますね。ねぇ、先輩。私はなんでも良いですよ。どこまでも壊してくれて良いんです。ね、だから先輩。私を、先輩の性奴隷にして下さい」

 

 そう言いながら鈴谷が指で持ち上げたものは、純白のパンツと、履いていたはずのスカートだ。

 こいつは笹原とはまた別の意味で、この公の場で露出する事に躊躇いが無い。

 

「あぁ、先輩。先輩、私、先輩にどんな事をしてもらえるのか、それを考えただけでもう、濡れそうなんです」

 

 鈴谷はますます頬を赤くし、唇を吊り上げる。そして、まるで祈りでも捧げるように、パンツとスカートごと両手を合わせた。

 

「私の事をめちゃくちゃにして下さい。思いっきり犯して下さい。それがダメなら、私を壊して下さい。もう、二度と立ち上がれなくなっても大丈夫です。先輩なら、私、人生も体も、何もかも壊されてもいいんです」

 

 鈴谷真昼。こいつはやっぱり、狂っている。

 

 笹原を『変態』と言うのは、それはまだ俺の中で理解できる領域が残されているからだ。勿論、露出プレイがしたいだとか、いきなり部屋に閉じ込めたかと思えばフェラしてきたりだとか、そんなもんまでは理解できない。だが、あいつにはあくまでも人として理解できる部分が残っていた。だからこそ俺は笹原に協力する事にもしたし、あいつが例えドスケベな変態女子だとしても、まだ付き合っても良いと思うことができた。

 

 だが、こいつは違う―。

 

 こいつを一言で言い表すなら、まさに『狂人』だ。

 なぜなら鈴谷には理解できる部分が何一つ残されていない。そもそもがそうだ。どうして俺のスマホでわざわざ自分の露出写真なんて撮ったんだ? 証明ってなんだ。二ヶ月前からストーカーしてて、その理由すらも未だに分からない。それどころか直接話してすらしてない奴に盗聴器まで仕込むのだから、理解しろと言う方が無理なのだ。

 

 今だってえげつない。鈴谷の下半身はやはり少し焼けた肌が尻から太股にかけて全て包み隠さず露になっている。そしてその手には、何も身に付けていない証拠とも言える二つの布切れが吊るし上げられているのだ。こんなところ、誰が見たってこいつが何をしているのか一目瞭然だろう。

 

「あの、もしかして先輩にはまだ足りませんでしたか? 私の気持ち、伝わりませんか? だったら」

 

 しかも、そいつはまだ満足いかないのか、今度はYシャツのボタンを外すと、その開いた部分に手を突っ込み、『プツン』と、ブラのフロントホックを外す。

 次にYシャツを肩まではだけさせると、左右順番に肩ヒモを腕から通して、そして最後にYシャツからブラを抜き取った。

 

「これでどうですか、少しは楽しくなってきましたか」

 

 鈴谷はそのレースのあしらわれた青いブラをこちらへと差し出す。

 着崩れたYシャツ。今の鈴谷を他者の目から守るものは、たったのそれだけである。

 

「先輩。私、とうとう最後の一枚になっちゃいました」

 

 鈴谷の姿。それは見るも無残なものだった。

 

 正真正銘、今の鈴谷の体を覆っているものは薄い白のYシャツただそれだけ。しかもブラまで外したせいで、その巨乳はぷっくりと大きくYシャツを押し上げている。乳首が山の先端に少しの盛り上がりを作っており、その位置まではっきりと確認できる。

 

「先輩。ねえ、次はどうしましょうか?」

 

 こいつ、どうして笑える? どうしてここに来てそんなふうに俺を見れる!?

 

「ねぇ、先輩」

 

 やはり、俺はそいつの表情を見て確信する。

 鈴谷は、鈴谷真昼と言う狂人は、間違いなく、自分がどうしようもなく破滅的で、本人もそれが分かっていながら自分の行為を楽しんでいるのだ。

 

「……っ」

 

 だが、そんな鈴谷の姿を見て、俺の竿がまた膨張を始め、ズボンを盛り上げている。

 俺は、もう自分が分からない。どうして俺はこんなものを見て興奮している? どうして鈴谷なんて狂人に欲情できるんだ。

 

 もしかして、本当にこいつの言う通りだとでも言うのか。俺の本性が、誰かを甚振り苛め抜く。そんな拷問や処刑をするような、誰かが痛がる姿を見る事が、俺の本当の望みだとでも言うのか……?

 

 俺は思わず唾を飲み込む。感覚が敏感になっているせいか、ゴクリと唾が食道を通っていく感触がやけに気持ち悪かった。

 

「ねえ、先輩。私は本気ですよ?」

 

 俺は、どうするべきなんだ。

 

「私なら先輩を、満足させてあげられますよ?」

「…………」

 

 俺の心臓が高鳴っているのが分かる。こいつの姿に、酷く心臓が震えている。それは恐怖心や緊張ではないと今の俺なら分かる。これはさっき笹原に酷い仕打ちをした時に感じた、紛れも無い心の奥底から湧き上がる欲求だ。

 どうするんだ。いったい俺は。

 

「……先輩のあそこ、今すぐ私の中で暖めてあげたいです」

 

 ダメだ。こいつの言葉に、俺の竿はまたドクンと膨らんでいく。

 

 鈴谷は確かに美少女だ。JKギャルで日焼けた肌に開放的な着こなしの制服、それからむちっとした肉付きの太股は艶があって、男なら直ぐにでもむしゃぶりつきたくなるだろう。スタイルも抜群だし、その甘ったるい声だけでも竿が反応しそうになる。けど、そうじゃないんだ。

 

 鈴谷との時間が長引けば長引くほど、もう後戻りはできないような気がしてならない。だからこそ、俺はここで決断すべきなんだ。

 

 俺は本当にこいつと交渉してまで、笹原の過去のトラウマを知る必要があるのか。

 

 俺には二つの選択肢がある。こいつとの交渉を断って、笹原が自分から過去のトラウマについて俺に打ち明けてくれる時を待つのか。それとも、それを知っている鈴谷から先に聞き出してしまうかだ。

 

 だがこいつは明らかに普通じゃない。こいつとの交渉に乗るということは、俺は相当のリスクを抱える事になる。これだって俺にとっては『約束をする行為』そのものだ。つまり、俺にはこの無理難題な鈴谷の条件でも、一度飲んでしまえば必ずやるハメになる。

 

 鈴谷真昼の飼い主になる。それが俺にとってどれだけ膨大なリスクになるか。正直、想像すら難しい。だけど鈴谷には俺の体質の事を知られてしまっている。そしてあの体質がある以上、俺に笹原との約束を反故にすることはできない。つまりこいつはそれをわかった上でこの提案をしているのだ。

 

「なあ、鈴谷」

「ん~? なんですかぁ、先輩ぃ~」

「お前は、どうして俺を選んだ」

「どうしてそんな事聞くんです?」

「単純な好奇心だよ。お前は、やっぱりそこらの女子より数段可愛いし、スタイルも抜群だ。そんな奴に言い寄られたら、大半の男はイチコロだろうなと思ってさ。だから、どうして俺なんだ。鈴谷」

「それはですね~……。うーん……」

 

 鈴谷は悩むように指で頬をつんと突く。

 俺をストーカーして、俺の体質の秘密まで掴んで、そいつを材料に交渉まで持ちかけて……。鈴谷にとって、俺は本当にそこまで価値のある人物なのか。

 

「先輩が私のご主人様になってくれたら、教えてあげます」

「……そうか」

 

 しかし鈴谷はそう言うと楽しそうににっと笑う。

 

 何やってんだかな。こいつとそんな会話をしたところで、答えなんて見るからないと分かっているのに。

 

 しかし――。

 

 俺は、決めなければならない。否、覚悟をしなければならない。

 もしも笹原の言う過去のトラウマが、本人の口からは言えないものだったら。もしもそれを待つという選択が、結果として永遠に出口を塞ぐ結末を選ぶ事だとしたら。現に俺は、笹原から一度そいつを聞きだそうとして失敗に終わっている。

 

 そう、つまりこの二択とは『リスク』と『リスク』の選択だ。

 

 考えるのは、俺にとってどちらのリスクが軽いものか。もっと言えば、どちらがより最悪の結末から遠いものか。

 

 鈴谷も言っていた。俺は、『例え相手が嫌がっても、その障害になるものは排除しようとするはず』だと。

 

 ……あぁ、そうかもな。俺がもし本当に笹原の抱える問題を解決してやるつもりなら、それにとことん付き合ってやる腹積もりなら、その通りだ。笹原が何かトラウマが原因で引きこもりになったのなら、そいつを解決してやらなければならない。そして笹原が自分から話さない以上、それを知っている鈴谷から聞き出すしか選択肢は無い。

 

 つまりこいつは端から、俺にとっては一本道だったんだ。

 そう、だから俺は―。

 

「……はは、ははは」

「? どうしたんですか、先輩」

 

 突然笑い出した俺に、鈴谷はぽかんとした顔を向ける。

 

「あぁ、なんつうかな。ちょっと自分でもおかしくてさ」

 

 俺はいったい何時から、ここまで他人に付き合うような人間になったんだろうな。

 

 自覚している。俺は極度の面倒屋だ。それがどうして、こんなもんを必死になって考えてるんだろうな。

 

 『一度した約束は必ずやり遂げる』。どうしてこんな体質が身に宿ったのか。その理由すら思い出せない。なのにそいつのせいでここまであいつのために懸命になって、つくづく不思議なもんだ。

 

 けど、だからこそ――。

 

「鈴谷」

「なんでしょう、先輩」

「乗ったよ。お前の提案」

 

 俺は、前に進むことにする。

 

「本当ですか先輩! やったー!!」

 

 鈴谷は大げさに腕を振り上げて喜ぶ。だが、そのせいでYシャツが余計にはだけて、胸の大半がボタンの開いた正面から零れ落ちそうになっている。乳輪なんてもうほとんど見えかけだ。

 

「ただし条件がある」

「……条件、ですか?」

 

 鈴谷は俺の言葉に呆気に取られると、ぽかんとした表情のままこちらに目をやる。

 

「ああ、お前に付き合ってやるのは笹原との約束を果たしてから。それで良いなら乗ってやる」

「…………」

 

 鈴谷はぱちくりと何度か瞬きさせて、こちらの様子を伺うように眺める。

 俺のこの条件の意味。それは、言わばリスクを最小限に抑えるためのものだ。

 

 まず笹原と鈴谷、その両方を相手を同時並行にするなんて俺には不可能だろう。無闇にリスクを重ね合わせれば、もしもの時に共倒れになりかねない。だからこそ俺は笹原との約束を果たした後にと、そう条件をつけた。

 

 俺の口からは、やっぱり先ほどの笑みが零れる。自分でも本当におかしく思えた。この目の前の『狂人』と条件付とは言え関係を持つなんて、以前の俺なら死んでもしなかっただろう。それが今では、あの露出狂で引きこもりの女の子の為に、そんな危険を自ら犯そうとしているのだ。

 

「で、どうするんだ」

 

 最後の問題は、こいつが俺の条件を飲むかだが……。

 俺は鈴谷がその首を縦に振るか、横に振るか。そいつをただ待つ。

 

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