※この作品はR-18です。

ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか?   作:わずみかん

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第22話

「いいですよ」

「っ……」

 

 俺は予想外に安直な鈴谷の返事に口を結ぶ。

 こいつのことだ。そう簡単に条件には乗ってこないと思っていたが……。どういうことだ?

 

「ただし私からも一つ条件があります」

 

 やはりか。といった具合に、俺はもう一度呼吸を整える。おそらく、ここからが正念場だろう。

 

 あまりにこいつの言動が奇抜過ぎて話題にすら上がらなかったが、そもそもここで俺と鈴谷が交渉する上で必要になる証明を、俺達は互いに持ち合わせていない。

 

 俺の提案した条件は、その点を踏まえても保険の役割があった。

 

 もしもこいつの言う笹原の過去のトラウマがただのホラ話なら、笹原の引きこもりは絶対に解決しないだろう。そうなれば鈴谷と主従関係を結ぶ必要は無くなり、この話は破談だ。だがもしも、笹原の問題を解決しないままに鈴谷と主従関係を結べばどうなるか。それがホラ話だった場合に、俺は鈴谷の飼い主というリスクを背負いながら、しかも笹原の過去すら知りえなくなる。そうなれば、笹原との約束を果たすなんてまず不可能だ。それはつまり、俺がこいつに騙されるという一つの『最悪』を意味している。

 

 だが先ほど俺の出した条件なら、その最悪のケースを消す事ができる。何故なら、こいつと主従関係を結ぶのはあくまでも笹原の問題を解決した後になるからだ。つまり万が一こいつの話が嘘であっても、俺の支払う代償は最初からゼロなのだ。

 

 しかし、それはこいつにとっては逆を意味している。

 

 もしも俺が笹原と持つトラウマを解消させられなければ、鈴谷は『笹原の過去』と言う最高の餌をみすみす無駄にする事になってしまう。それどころか、鈴谷の求める俺との主従関係すらも果たせないままだ。

 

 鈴谷はおそらく、そのどちらに転ぶかの核心がまだない状態だろう。だからこそ鈴谷にとっても俺の示した条件だけではなく、そこに追加して別の保障が欲しい。多分、そんなところだ。

 

「私は先輩に覚悟を示したつもりです。もしも私がここで先輩を怒らせるようなことをすれば、その意向に逆らうような事をすれば、先輩はいつでもあの画像で私を消す事が出来るんです。だから先輩、私も先輩に、覚悟を示していただきたいんです」

 

 さっきまでの雰囲気や勢いなら、そのまま流れに沿って条件を飲むかもしれない、なんて淡い期待はしていたが……。

 こいつ、やっている行動も口から吐く言葉も、何もかもが非常識で論理性のかけらもないくせに、ここに来て冷静に物事を分析してやがる。

 

「先輩、私からの追加条件は一つです。今から〝この場で〟私を性奴隷として扱ってください。何か命令をください。私を滅茶苦茶にして下さい。先輩の思うとおりに壊して下さい。たった少しの間でも構いません。もしもそれが私の期待通りのものなら、私は先輩の条件を飲みます」

 

 こいつ……!

 

 命令だと? しかも期待通りって、お前……。 

 それってつまり、ここでお前に無茶を吹っかけろってのか?

 

 ただでさえ薄いYシャツ一枚、おまけのブラやパンツ、スカートを身に付けていない状況で、このカオスな状況で、さらに俺に場をかき乱すような事を強要しろって言うのか……!

 

「先輩。私は確かに最初、先輩を脅すような素振りをしました。でもこれだけは分かってください。私は、先輩を困らせたいわけじゃないんです。……自分が、今も強引な手段に出てるってことは分かってます。でも私は先輩のことが大好きなんです。それから先輩の〝本当〟を私はきちんと理解しています。してるつもりです。だから、先輩。私ならきっと、先輩の全てを受け止められると思うんです。だからお願いです。どうか私に、先輩の欲情も、欲求も、何もかもを受け止めさせてください」

 

 この違和感。間違いない。

 

 こいつの顔は興奮と、それから自分が受けるかもしれない仕打ちに恋焦がれている。だが、それと同時に冷静さも保っている。

 

 狂いと静寂。こいつにはまるでその二つが同時に備わっているような、今までに感じた事のないえも言えぬ不気味さがあった。

 

「……それがお前の条件ってわけか」

 

 状況が状況だ。時間はあまり残されていない。

 

 ここでもし他の人間に鈴谷の姿が見つかれば、そこで間違いなく騒ぎになる。場合によっては警察を呼ばれるかもしれない。そうなれば、俺は例え無事で済んだとしても鈴谷は違う。それは俺にとっても悪手になる。

 

 つまりはこのファミレスの店内の中で、他の客や従業員に気付かれる前に、俺は答えを出さなければならないのだ。

 しかしこいつの言う『期待通り』の命令って、つまりは―。

 

「先輩。あまり悩まなくても良いんですよ?」

 

 さっきからズクンと疼く下半身が、嫌に敏感になっている気がする。

 

 つまりは、俺がここで求められているもの。笹原の過去のトラウマを、その引きこもりになる原因を明かすキーになっているもの。それは、俺自身のこの欲求だ。

 

 俺自身が否定しているこの胸の高鳴りを、そのまま包み隠さずに開放させてしまう事。それこそが、鈴谷が俺に求めている事なのだ。もしもそれを満たせない時は、鈴谷は今回の取引に応じないかもしれない。

 

 正直、認めたくはない。俺は今まで、特にそんな性癖を持ったこともなかった。まあこれまでのオナニーで、陵辱物や奴隷物を使ったことはある。それは認める。だが、それが自分の持つ本性だと感じた事はなかった。

 

 ただただエロかったから、その時の気分で自慰に使っただけだ。それ以上でも以下でもない。

 

 しかもそれをこの短時間に、自分の本当の性癖だと(さら)け出されて抵抗を覚えない方がおかしい……!

 

「俺は……本当に……っ!!」

 

 だがもしも今の感情を否定するなら、あの笹原との露出プレイで感じた興奮はなんだったんだ。あの胸の底からの欲求は、なんだっていうんだ。

 

 違う。俺は今まで、平穏に生きてきた。誰かを甚振りたいとも、傷つけたいとも思ったことはないはずだ。

 

 なら、どうしてだ。どうして笹原の首輪に繋がったあのリードを掴んだ時、あそこまで純粋に胸が高鳴った?

 

「……あぁ、もう分かってる」

 

 そう、もう認めざるを得ない。

 そもそも、あの時点で既に答えは出ていた。

 

「俺は……お前の言う通り、人を甚振って、弄んで、苦しむ姿を見てチ〇コを立たせるクソ野郎だ」

「ふふ、でも私は、そんな先輩が好きですよ」

 

 目の前の女子、そいつは俺の本性を知っていて、その上で俺の全てを受け入れると言っている。

 

 なら、もう後は―。

 

 俺の胸の中に、次第に黒いもやがかかっていく。

 笹原の時と同じように、理性が薄まっていき、そして同時に制御不能な欲望が吹き上がってくる。

 こいつを、俺は本当に好きにして良いんだ。

 

 たとえ俺がどれだけ非道で、不徳で、卑猥で下劣なことをしとうと――。

 

 こいつはそれを、興奮しながら受け入れる。

 

 

「…………」

 

 

『ねえ、前田君』

 

 

 くそ、どうしてだ。

 どうして、ここで笹原の顔が思い浮かぶんだ……!」

 

『私の夢を、まだほんの少しだけど、叶えてくれてありがとう』

 

 ……くそ、くそ、くそぉおおおお!!

 

「……先輩?」

「あぁ、分かった。分かったよ、鈴谷。俺は、お前をぐちゃぐちゃにしてやる」

「っ! 先輩、私―!!」

「ただし!! それはさっきも言ったとおりだ!! 俺は、笹原との約束を果たすまではお前には本気で付き合うつもりはねぇ!! だが、それでもだ!!」

 

 それでも、俺は決めた。あの時に、心の奥でふと決めてしまった。

 それがどんな変態的な事でも、反社会的な事でも、誰かに咎められるような事だとしても―。

 俺は、笹原との約束を果たしてやろうと。

 

「俺は、笹原を引きこもりから脱却させるために、お前の飼い主を少しだけ〝演じて〟やる!! だからそっちこそ覚悟しとけ!!」

 

 どうしてここで鈴谷に啖呵を切ったのか、自分でも分からない。もしかすると、その言葉は自分自身に向けてだったのかもしれない。

 

「その汚く歪んだ雌奴隷の厚い面の皮が剥がれて、泣き叫ぼうが喚こうがもう構わねぇぞ、いいな」

「先輩……良いですよ、私は、何時でも」

 

 俺は、覚悟を決める。

 

「……よし、まずは俺の隣に来い。シャツを両手で広げながらだ」

「……ん、はい、先輩」

 

 俺がそう指示を出すと、鈴谷は手に持っていたパンツやスカート、ブラをソファ椅子へと置き、命令通りボタンの開いたシャツを両手で大きくめくり上げる。

 

 それはまるで露出ショーのようだった。背中からは白いYシャツで隠れるだろうが、正面の、つまり俺の方からは局部に至るまで丸見えだ。

 

 俺と鈴谷の座っている席は窓際のテーブル席。つまり、鈴谷が俺の居るテーブル側を向いている限り、背中側の客にはその裸体は見えない。

 

 だが、ガラス窓の向こう、道路の方からは、鈴谷の容貌が全て筒抜けになる。

 

「先輩、こちらで良かったですか……?」

 

 すると鈴谷は俺の横にちょこんと腰をかけた。その際、太股を少し俺の膝に重ね、身をぎゅっと寄せてくる。

 

「…………っ!」

「せ、先輩……!?」

 

 そこで俺は―。

 鈴谷のYシャツの中へ腕を突っ込み、その掌で胸を鷲掴みにする。

 

「ん……あっ、……」

 

 そのまま指で乳首を摘んだ後、俺は鈴谷の耳タブを噛む。

 

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